俺とジジイの提督生活(タイトル募集中) 作:Z/Xプレイヤー26
「熊野とデートか…デートなんぞ何時ぶりだろうな…」
熊野を待っている間、大佐は士官学校時代の事を思い出していた…
「そう言えば…『借金教官』は今どうしているんだろうか…」
昔の記憶を辿っている間に、熊野が門の前に到着した。
「お、お待たせしましたわ!!って…何か考え事ですの…?」
記憶を辿っている大佐を見て、考え事と勘違いした熊野が心配した様な声をかける。
「ん?いや、少し昔を思い出してな…って、そんなに昔じゃないか…」
「大佐の昔?気になりますわね…移動中にでも聞かせていただけます?」
「別に構わないが、つまらんぞ?」
大佐が熊野に念を押す。
「良いんですの!!鎮守府の誰も知らない大佐の昔話を聞くのが楽しいんですのよ!!」
「……まあ良い…とりあえず、ベタだが映画でも見るか?」
(誰も知らないって…ジジイは流石に大体の事は知ってるんだが…)
「映画鑑賞ですの?……最近DVDも借りてませんわね…もしかして私、一年以上映画を観てませんの!?」
「いや、驚かれても困るんだが…いくぞ?」
一人で驚いている熊野を置いていく様に大佐が歩き出す。
それを追いかける様に熊野が歩き出した。
「大佐!!しっかりエスコートして下さいます!?いきなり置いていくなんて論外ですわよ!?」
「言っただろ?俺はそう言うのは疎いんだよ…期待するな」
(疎いにも程がありますわよ!!……もしかして大佐は誰かとデートするのも初めて…!?だとしたら私が初めての相手!?)
「も、もしかして…大佐はデートが初めて…だったりいたします?」
熊野が期待に胸を膨らませながら、大佐に質問をする。
「ん?どうだったかな………分からん」
(まさか…はぐらかされてますの!?分かりませんわね…ここは少し様子見を…)
「そもそも、俺はデートの定義が分からんな…どっからどこまでがデートなんだ?女と男が二人で遊びに行けばデートなのか?」
「うっ…そ、それは…個人の主観ですわね…少なくとも、嫌いな異性と行動を共にしても、デートとは呼びませんわね、やはり多少の相手への好意は必要なのではないかしら…?」
熊野の説明を聞き、納得したような表情の大佐だった。
「成る程な、なら俺は士官学校時代に2回デートしたことになるのか」
「ファ!?今なんて…?」
突然の衝撃告白に、熊野の思考が凍りつく。
(え?なんですの?私が初めての相手ではないんですの…?それ以前に…デートをした相手は誰ですの!?士官学校時代…つまり私達が知らない相手ですわね!?)
凍りついてはいなかった…寧ろ早くなっていた。
「ど、どんな方とデートいたしましたの…?」
「どんな奴か?そうだな、一言で言えば『自由人』だな、こっちの事情はお構い無しでな…金剛に近い感じか?」
「お付き合い…してましたの?」
「してないな、嫌いでは無かったが、恋愛対象ではないな」
その言葉を聞いて安心したのか、ホッと胸を撫で下ろす熊野。
「ですが…そのお相手の方は、大佐の事を好きだったかも知れませんわね?」
「………どうだろうな、ただ単にからかわれてただけな気がするな…」
(やはり…その女性は要注意ですわね…)
「もう映画館に着くが…何か観たい映画でもあるか?」
「え?そうですわね…貼ってあるポスターから、決めるとしましょう」
話をしていると、映画館に到着した…熊野はどの映画を観るか、ポスターを見る。
「これは、昔のアニメの再公開ですの…?面白そうですわね!!」
熊野が食いついたポスターを見て、大佐は絶句した。
「えっと…『元々は10分のアニメを昔の映像のまま編集して、映画にした話題作!!』面白そうですわね!!大佐!!これにしましょう!!」
「…………え?マジで?」
「何か不都合でも?」
「いや…それ、元々は一話完結のアニメの筈だから…どう編集しても、映画にするのは不可能なんだが…」
大佐の話を聞いて、熊野は目を輝かせた…
「それだけ難しい物を完成させた作品ですの!?是非観てみたいですわ!!」
「……………後悔するなよ?俺は知らんからな?責任は取らんぞ?良いな?」
念を押す大佐…しかし熊野は首を縦に振った。
「勿論ですわ!!この熊野に二言はなくってよ!!
「そうか…分かった、俺も覚悟を決めよう…」
そう言って、大佐はチケットを二枚買った。
「楽しみですわ!!」
無邪気に喜ぶ熊野…
「まあ、公開出来るって事は…いや、この作品にたいして、『常識』は通用しない…覚悟をしないとな…」
☆
~映画終了後~
「………………」
「………………」
二人とも、無言であった。
「………」
「………」
「熊野…どうだった?」
「…………理解出来ません…あの主人公は何なんですの?ヒーローなんですの?」
「勿論ヒーローSA☆」
「大佐!?やめて下さる!?」
「………俺は知らんと言っただろ?」
「………」
無言で俯く熊野…
「飯に…するか…」
「はい…」
「何が食べたい?」
大佐は素早く思考を切り替えた。
「……そうですわね…『はんばぁがぁ』と言う物が食べたいですわね」
「ハンバーガー?そんなんで良いのか?」
「ええ、食べてみたいんですの!!」
「了解、じゃあ行くか」
二人はハンバーガーショップに向かった。
そしてその後ろに、動くダンボールが一つ…
「HQ、HQ!!」
『こちらHQ、どうした?夕立?』
「大佐と熊野がハンバーガーショップへ移動したっぽい!!」
『了解した、引き続き監視を頼むぞ』
ダンボールの中で無線機を使って、通信をする夕立…しかしダンボールが大きい為、あまり隠れられていなかった。
「ママ!!あのダンボール、ゴソゴソしてるよ!!」
「シッ!!見ちゃいけません!!行くわよ!!」
「え~!!」
通行人にも不審に思われていた…
「熊野…気付いてるよな?」
「ええ、夕立ですわね…中将に言われて来たのかしら…?」
当然二人にも気付かれていた…
「熊野…今から走るぞ、ダンボールに隠れながらじゃ、追いかけるのは無理だ…」
「了解いたしましたわ…では…」
大佐と熊野が走り出す。
「あっ!?勘づかれたっぽい!?」
夕立は全速力で追いかけた…ダンボールを捨てて…
「熊野…あれ、ダンボール捨ててないか?」
「す、捨ててますわね…」
「どうするよ…?俺もまさかダンボールを捨てるとは…」
「そうですわね…」
走りながら、話し合う大佐と熊野…後ろからは全力疾走する、夕立が迫っていた…
「最早追跡じゃなくて、全力で追いかけに来てないか?」
「バレるのは覚悟してるのかしら…?」
「いや、あの状態でも気付かれて無いと思ってるんじゃないか?」
「…確かに…それは有り得ますわね…夕立ですし…」
少し夕立は馬鹿にされていた…
「HQ、HQ!!こちら夕立…応答を願うっぽい!!」
『こちらHQ、どうした夕立!!まさか勘づかれたか?』
「もしかしたら、勘づかれたっぽい…大佐と熊野が走って逃げてるっぽい!!」
『チッ…中将!!どうする!?』
『撤退せい…孫に勘づかれた時点で、この作戦は失敗じゃ…夕立…帰投せい…』
無線機からの声を聞いて、肩を落とす夕立。
「うぅ…仕方ないっぽい…夕立帰るっぽい…」
夕立が帰ろうとしたその時、熊野の声が聞こえた。
「あ、貴方達!!何なんですの!?」
熊野の声は焦っている様にも聞こえた。
「HQ…中将?大佐達に何かあったっぽい!!」
『何じゃと?夕立…様子を見てもらえるかのう?』
「了解っぽい!!」
夕立が声のする方に向かうと、路地裏の人通りの無い、少し開けた場所だった。
そこに大佐と熊野を囲む様に、体格の良い男達が5人居た。
「お前ら…何だ?ただの一般人じゃないよな?何が目的だ?」
大佐の質問に、サングラスをかけた、金髪の男が答えた。
「俺達は、そこに居る『艦娘』に用があるんだよ、提督さんには用はねえな!!その『艦娘』置いて、さっさと失せろ!!」
「………艦娘の存在を知っているんだな?情報源はどこだ?」
「ハッ!!答える訳ないだろう?さっさと失せないと…分かるだろ…?」
男達はニヤニヤと薄気味悪い笑みを浮かべている…
「大佐…この生ゴミ達は一体…?」
小声で熊野は大佐に話しかけた。
「生ゴミって…お前って、認めて無い奴には酷いよな…」
「何こそこそ話してんだ!?さっさと艦娘置いて行けよ!!」
「断る…それに大声で艦娘言うな…一応国家機密だぞ?」
「そうですわよ…貴方達みたいな生ゴミがその情報を持っているのは気になりますが…艦娘の存在を知っているなら、人間が艦娘に勝てないのは自明の理ではありませんこと?ああ…生ゴミだから理解出来ないのですわね…失礼致しましたわ…」
「テメェ…このアマ!!」
熊野の発言に、手前にいた男が熊野に殴りかかる。
「……正当防衛ですわよ?」
殴りかかって来た男の腹に、見事に熊野の鋭い蹴りが炸裂する。
「お……ぐえぇ…」
男はそのまま倒れ込んだ…口から泡を吹いている。
「うわぁ…超痛そう…熊野…手加減しろよ…」
「嫌ですわよ…こんな汚物に手加減なんて…」
その様子を見ていた夕立は、熊野には逆らわない事にしようと、人知れず誓った。
「これは心配は無用っぽい…でも、中将に連絡はしよう…」
夕立は携帯電話を取りだし、テレビ電話で中将にも見えるようにした。
『何じゃ…一人倒れておるな…孫が殺ったのか…?』
「熊野っぽい…それに死んで無いっぽい…」
そんなやり取りを他所に、今度は二人の男が大佐に殴りかかる。
「この野郎!!」「死ねや!!」
「………長門の攻撃の方が、数倍速いな…お前らは遅すぎ…」
二人の攻撃を難なく避けると、大佐は二人の男のわき腹に手刀を入れた。
「かっ…!?息が…」「く、苦しい…」
「おお…息がぴったりじゃねえか…良く見たら双子か?成る程な…あ、そのままだと酸欠で、死ぬから…」
「た…助け…」「お、あ…」
二人はそのまま気絶した。
「大佐こそ…手加減なさったら?」
「手加減って何だ?」
「もう良いですわ…」
呆れる様にため息を吐く熊野。
「くはは…やはりチンピラどもでは相手にならんか!!この私自ら相手を…」
「邪魔」
「邪魔ですわ」
二人の蹴りが話をしていた男の腹にクリーンヒットする。
「ゴハァッ!?」
「さてと…最後はお前だが…情報を持っているのはお前だけだろ?さっさと吐かないと…周りの雑魚みたいになっちゃうぞ☆」
満面の笑みで男に脅しをかける大佐…それを見て、中将は怯えていた。
『夕立…もう大丈夫じゃ…これから先は見ない方が良いじゃろう…』
「え~!!夕立見たいっぽい!!」
『駄目じゃ!!トラウマになるぞ!!』
「うぅ…分かったっぽい…」
渋々その場をあとにした夕立…その背後では、男の悲鳴が聞こえていた。
☆
~鎮守府正門前~
「悪いな、熊野…デート、途中になっちまって…」
「構いませんわ…この生ゴミ達を中将の前に連れていかないといけなかったのは事実ですわ!!」
「本当にすまんな…今度埋め合わせするからな?」
「あ、なら…キス…して下さいます?」
もじもじしながら大佐に頼む熊野…
「……本気か?」
「……冗談ですわよ!!早く戻りましょう?少し冷えてきました…風邪をひくと嫌ですわ!!」
「……そうだな」
二人は鎮守府に入っていった…捕まえたチンピラ達を引きずりながら…
☆
~熊野と鈴谷の部屋~
「くまのん…何であの時、冗談だなんて言ったの?多分大佐はキスしてくれたよ?」
「見てましたの?……別に深い意味はありませんわよ?ただ、あの状態でのキスは…卑怯な気がして…」
首を傾げる鈴谷。
「卑怯?何で?」
「私からの頼みではなくて…大佐自らが私とキスをしたいと、頼まれる様になるのが良い淑女…ではありませんこと?」
「うーん…多分鈴谷には一生分かんないね~…」
唸る鈴谷を見て、熊野は優しく微笑んだ。
結構グダグダでご免なさい…ボ○ガ博士!!お許しください!