機動戦士ガンダムOOR   作:ミスト12523

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第116話 ガンダム

第116話 ガンダム

月・裏側宙域。

Oガンダム。

オリジナルGNドライヴ。

稼働。

緑のGN粒子が、白い機体の背後へ流れていく。

リボンズは正面を見る。

そこにいるのは。

ガンダムエクシア。

そして。

刹那・F・セイエイ。

「……エクシア」

リボンズは笑った。

かつて自分がOガンダムで救った少年。

その少年が今、自分へガンダムの刃を向けている。

『リボンズ』

「随分と遠回りをしたようだけど」

Oガンダムがビームガンを構える。

「結局、最後にガンダムへ乗るのは僕と君か」

エクシア。

GNソード。

展開。

『お前を止める』

「忘れたのかい、刹那?」

リボンズの笑みが深くなる。

「僕が一番ガンダムを上手く使えるのさ」

『ガンダムは』

刹那の黄金の瞳が。

Oガンダムを捉える。

『お前が人を支配するための道具じゃない』

「ならば君にとっては何だ?」

『俺が――』

一瞬。

クルジス。

燃える街。

銃を持った少年。

空から降りてきた。

一機のガンダム。

そして。

エクシア。

ロックオン。

アレルヤ。

ティエリア。

スメラギ。

ソレスタルビーイング。

戦い。

失ったもの。

得たもの。

出会った人々。

『俺が、ここまで来るために共に戦った存在だ』

Oガンダムのビームガンが火を噴いた。

エクシアが動く。

最後の戦いが始まった。

          ◇

一発。

二発。

三発。

ビームが宇宙を走る。

エクシアは機体を振り、最小限の動きで回避。

接近。

GNソード。

振り下ろす。

Oガンダムがシールドで受ける。

火花。

粒子。

二機が離れた。

リボンズの目が細くなる。

「以前とは違う」

『……』

「機体じゃない」

Oガンダムが再加速。

「君だよ、刹那!」

ビームサーベル。

GNソード。

激突。

「以前の君はガンダムという存在に縋っていた!」

『ああ』

「自分がガンダムになれば世界を変えられると、本気で信じていた!」

『ああ』

刹那は否定しない。

Oガンダムの蹴り。

エクシア。

腕で受ける。

弾かれる。

姿勢制御。

即座に反転。

『俺は間違えていた』

「認めるのかい?」

『だから変わった』

エクシア。

加速。

『間違えたなら』

GNソードが閃く。

『変わればいい!』

Oガンダムのシールド。

切断。

リボンズが目を見開く。

「っ!」

エクシアが踏み込む。

だが。

Oガンダムも速い。

ビームサーベル。

エクシアの左肩を掠める。

装甲が弾ける。

互いに。

距離。

          ◇

プトレマイオス2・ブリッジ。

「エクシア、Oガンダムと交戦!」

フェルトの声。

スメラギは。

正面モニターを見ていた。

二機。

第一世代。

第三世代。

新型同士の戦いではない。

それでも。

誰も目を離さない。

「刹那……」

フェルトが小さく呟く。

クリスが。

両手を握る。

「ここまで来たんだから……」

その後ろ。

サジ。

ルイス。

二人も画面を見ていた。

ルイスの手に。

サジの手が重なる。

ルイスは。

振り払わなかった。

          ◇

格納庫。

レイナスも。

モニターを見上げていた。

横。

イアン。

「……やっぱり動くな」

レイナスが言う。

「何がだ?」

「Oガンダムだよ」

「オリジナルの太陽炉積んでるんだ。当たり前だろ」

「そうじゃない」

Oガンダム。

旋回。

射撃。

エクシアの死角へ回る。

「乗ってる奴だ」

イアンが黙る。

リボンズ。

ソレスタルビーイングのガンダムを。

その始まりから知る存在。

「腕は確かだな」

「褒めてる場合か」

「敵の腕を低く見積もって得することもないだろ」

レイナスは。

画面のエクシアを見る。

「それでも」

GNソードとビームサーベル。

交差。

「今の刹那なら、やるさ」

          ◇

Oガンダム。

ビームガン。

連射。

エクシア。

回避。

だが。

一発。

右脚。

命中。

「捉えた!」

Oガンダムが突っ込む。

ビームサーベル。

エクシア。

GNソードで受ける。

押される。

「どうした!」

『……!』

「それが君の答えか!」

Oガンダム。

さらに出力を上げる。

「僕を否定するなら!」

リボンズの顔から。

笑みが消える。

「力で証明してみせろ!」

『違う』

「何?」

『お前を倒したから』

刹那。

押し返す。

『俺が正しいわけじゃない』

「……!」

『俺も間違える』

GNソード。

振り抜く。

Oガンダムが離れる。

『誰だって間違える』

「ならば!」

Oガンダム。

ビームガン。

『だから――』

射撃。

エクシア。

回避。

『話す!』

接近。

『聞く!』

斬撃。

Oガンダム。

サーベルで受ける。

『分かろうとする!』

「そんなもの!」

リボンズが叫ぶ。

「人間が何度失敗したと思っている!」

『それでもだ!』

刃。

激突。

『失敗したからって!』

押す。

『誰かに全部決めてもらう理由にはならない!』

Oガンダムが。

弾かれた。

          ◇

ヴェーダ中枢。

ティエリアは。

戦闘情報を見ていた。

その横。

リジェネ。

「リボンズは」

リジェネが呟く。

「最後まで理解できなかったんだね」

「……」

「人間を導こうとした」

「違う」

ティエリアは。

静かに訂正する。

「導こうとしたんじゃない」

リジェネを見る。

「自分が必要とされる世界を、作ろうとしたんだ」

リジェネは。

少しだけ目を伏せた。

「そうかもしれないね」

          ◇

エクシア。

Oガンダム。

互いに損傷。

エクシア。

左肩損傷。

右脚装甲破損。

GNソード。

刃こぼれ。

Oガンダム。

シールド喪失。

左腕損傷。

ビームガン。

残量低下。

それでも。

二機は止まらない。

リボンズには。

聞こえていた。

刹那の声。

トランザムバースト。

あの光を浴びてから。

完全には消えない。

声。

刹那だけではない。

戦場。

人々。

恐怖。

怒り。

願い。

迷い。

「うるさい……」

『リボンズ』

「僕の中に入ってくるな!」

Oガンダム。

ビームガン。

乱射。

『俺が入っているんじゃない』

エクシア。

回避。

『聞こえるようになっただけだ』

「黙れ!」

『お前にも』

「黙れ!」

『聞こえている!』

Oガンダム。

ビームガン。

エネルギー切れ。

リボンズは投げ捨てる。

ビームサーベル。

抜刀。

「だから何だ!」

加速。

「理解したところで!」

斬撃。

エクシア。

受ける。

「人間の醜さが消えるわけじゃない!」

『消えなくていい!』

「何!?」

『綺麗になる必要なんてない!』

刹那の声。

『違うままでも』

エクシアが。

Oガンダムを押し返す。

『一緒に生きることはできる!』

「理想論だ!」

『そうかもしれない!』

「!」

『それでも!』

エクシア。

GNソード。

構える。

『俺はそっちを選ぶ!』

          ◇

Oガンダム。

リボンズ。

呼吸が荒い。

理解できない。

いや。

違う。

理解したくない。

人間は。

不完全。

愚か。

争う。

間違える。

だから。

自分が必要だった。

そのはずだった。

『リボンズ』

「……」

『お前は』

刹那。

黄金の瞳。

『人間を信じられなかったんじゃない』

リボンズの目が。

動く。

『自分が必要なくなるのが怖かったんだ』

「……黙れ」

『だから人間の上に立とうとした』

「黙れ」

『お前自身が――』

「黙れぇぇぇぇっ!」

Oガンダム。

突進。

全出力。

ビームサーベル。

エクシア。

GNソード。

刹那も。

真正面から。

加速する。

二機。

急速接近。

リボンズ。

叫ぶ。

「僕は!」

Oガンダム。

サーベルを振り上げる。

「人類を導く存在だ!」

刹那。

「俺たちは!」

エクシア。

GNソードを構える。

「自分たちで未来を選ぶ!」

激突。

          ◇

一瞬。

音が消えた。

Oガンダム。

ビームサーベル。

エクシアの左脇腹を貫く。

同時。

エクシア。

GNソード。

Oガンダムの胸部。

深く。

突き刺さる。

「……!」

リボンズの目が。

見開かれる。

警告。

赤。

GNドライヴ接続系。

制御系。

機体各部。

停止。

「僕が……」

刹那は。

何も言わない。

リボンズの声が。

聞こえる。

怒りではない。

恐怖でもない。

ただ。

小さな。

疑問。

「……僕は」

Oガンダムの手から。

ビームサーベルが離れる。

「間違っていたのか……?」

刹那は。

目を閉じる。

一瞬。

そして。

答えた。

「分からない」

リボンズの目が。

僅かに動く。

「……何?」

「俺にも」

刹那は。

リボンズを見る。

「正しい答えなんて分からない」

「……」

「だから」

エクシアの手が。

GNソードを握ったまま。

「これからも探す」

リボンズは。

何も返さなかった。

Oガンダム。

停止。

白い機体から。

光が消えていく。

          ◇

静寂。

エクシアも。

動かない。

損傷。

深刻。

だが。

コクピット。

刹那は生きている。

黄金の瞳。

その光が。

ゆっくりと落ち着いていく。

通信。

ノイズ。

やがて。

声。

『……刹那』

フェルト。

『聞こえる?』

「……ああ」

『刹那!』

クリス。

『無事なの!?』

「生きてる」

ブリッジ。

誰かが。

息を吐いた。

そして。

次々と。

声。

アレルヤ。

マリー。

ライル。

スメラギ。

イアン。

ラッセ。

サジ。

ルイス。

刹那は。

その全部を聞く。

今度は。

能力で聞くのではない。

通信機から。

届いてくる声。

「……終わった」

誰に言ったのか。

自分でも分からなかった。

          ◇

プトレマイオス2・格納庫。

レイナスは。

モニターから目を離す。

「勝ったな」

イアンが。

大きく息を吐く。

「ああ」

「エクシアもボロボロだ」

「アルティオールと並べとけ」

「お前な」

「一機増えたところで誤差だろ」

「整備する側には大違いだ!」

レイナスは。

少しだけ笑う。

それから。

もう一度。

画面を見る。

停止したOガンダム。

その傍ら。

傷だらけのエクシア。

「……刹那」

小さく。

誰にも聞こえない声。

「ちゃんと、自分で決めたか」

レイナスは。

踵を返した。

長かった戦いは。

ようやく。

終わった。

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