第75話 それぞれの場所
西暦2312年春――カタロン臨時拠点
朝。
夜の間も途切れることのなかった人の動きが、少しずつ落ち着き始めていた。
簡易テントの間では温かい食事が配られ、負傷者の手当てが続いている。昨日までアザディスタンで暮らしていた人々が、今は国境の外で今日を生きるために列を作っていた。
国は失われた。
だが、そこにいた人々まで消えたわけではない。
マリナ・イスマイールは、その光景を長い間見つめていた。
隣にはシーリンがいる。
「決めたのね?」
「ええ」
マリナは静かに頷いた。
「私は、ここに残ります」
最初はアザディスタンへ戻るつもりだった。
だが今戻ったところで、彼女にできることはほとんどない。
連邦軍とアロウズが展開し、政府機能は失われた。皇女として戻ったところで、拘束される可能性の方が高い。
それなら。
「ここにもアザディスタンの人たちがいます」
マリナは避難民を見る。
「国境線が変わっても、あの人たちがアザディスタンで生きてきたことまでなくなるわけじゃない」
「そうね」
シーリンはそれだけ答えた。
決断を促す必要はなかった。
マリナ自身が考え、自分で選んだのだから。
「マリナ」
声に振り返る。
刹那が立っていた。
「刹那」
「ここに残るのか」
「ええ」
マリナは彼の前まで歩いていく。
「何ができるかは、まだ分からないけれど」
「それを決めるのはお前だ」
マリナは少しだけ笑った。
「あなたは?」
「俺は行く」
即答だった。
「まだ戦いは終わっていない」
「そう……」
寂しさがないわけではない。
それでも、マリナは彼を止めなかった。
「気をつけて」
「ああ」
短い言葉。
それだけで二人には十分だった。
◇
少し離れた区画では、絹江が荷物をまとめていた。
記録端末。
通信機。
予備バッテリー。
取材用の機材。
どう見てもプトレマイオス2へ戻る準備ではない。
「本当に残るのか?」
レイナスが壁にもたれながら尋ねた。
「ええ」
絹江は端末から顔を上げる。
「ここなら実際にアザディスタンから逃げてきた人たちに話を聞ける。それに、クラウスさんたちが集めた情報も調べたい」
「連邦政府側も追うって言ってなかったか?」
「もちろん追うわよ」
「ここから?」
「記者を舐めないで」
「いや、そういうつもりじゃないけどな」
レイナスは肩を竦めた。
「また一人で危ないところへ突っ込まないなら、それでいい」
「昨日も聞いたわよ」
「今回は確認だ」
「同じじゃない」
「そうとも言う」
そこへニールがやって来た。
「準備できたか?」
「私はね」
ニールは荷物を一瞥する。
「本当に残るんだな」
「その話、もうしたでしょう?」
「ああ」
「だったら、そんな顔しないの」
「どんな顔だよ」
「心配してる顔」
「そりゃするだろ」
ニールは苦笑した。
「前科がある」
「あなたまでそれ言う?」
「俺は言う権利あると思うけどな」
「ないわよ」
即答だった。
レイナスが二人を見比べる。
「じゃ、俺は邪魔みたいだから行くぞ」
「待ちなさい」
「何で止めるんだよ」
「勝手に変な空気にしないで」
「そうか?」
ニールが笑う。
「俺としては助かるけどな」
「ニール」
「冗談だよ」
レイナスは肩を竦めた。
「ま、連絡だけは取れるようにしとけよ。何かあったらクラウス経由でもいい。こっちに回せ」
「分かってる」
レイナスの表情から軽さが消える。
「無茶はするな」
絹江も今度は茶化さなかった。
「分かってるわ」
「ならいい」
レイナスはそれ以上言わず、歩き出す。
ニールがその背中を見送った。
「ずいぶんあっさりしてるな」
「信用してくれてるんでしょう」
「そういうことにしとくか」
「何よ」
「いや」
ニールは笑い、改めて絹江を見る。
「じゃあ俺からも一つだけ」
「無茶するな?」
「先に言うなよ」
「みんな同じこと言うんだもの」
「みんな心配してるってことだ」
絹江は少し黙ったあと、頷いた。
「……分かってる」
「ならいい」
絹江が笑う。
「レイナスと同じこと言ってる」
「それはちょっと嫌だな」
「聞こえてるぞ」
遠くから声が飛んできた。
ニールが吹き出した。
◇
出航準備が進む中。
沙慈は姉の荷物を見下ろしていた。
「姉さん、本当にここに残るの?」
「ええ」
絹江は取材用端末を鞄へ収める。
「アザディスタンで何が起きたのか調べたいの。連邦の発表だけ見ていたんじゃ分からないことが多すぎるから」
「だったら僕も――」
「沙慈」
絹江の手が止まった。
「あなたはどうしたいの?」
「え?」
「私が残るから、あなたも残るの?」
沙慈は答えられなかった。
絹江は責めるでもなく、弟を見る。
「ここにいたいなら、それでいい。でも私が残るからって理由だけなら、違うと思う」
「……姉さん」
「五年前もそうだったでしょう?」
沙慈の表情が僅かに強張った。
五年前。
自分は何も知らなかった。
世界で何が起きているのか。
隣の部屋に住んでいた刹那が何者なのか。
姉が何を追っていたのか。
そして。
ルイスが、何を失ったのか。
いつかまた以前の日常へ戻れる。
そんなふうに思っていた。
だが世界は、自分が知らないところで動き続けていた。
「僕は……」
沙慈はゆっくりと言葉を探す。
「もう、何も知らないままでいたくない」
絹江は黙って聞いていた。
「ソレスタルビーイングが正しいのか、僕にはまだ分からない。ガンダムがやってきたことだって……全部納得したわけじゃない」
それは今も変わらない。
刹那たちと行動を共にしたからといって、過去まで肯定できるわけではなかった。
「でも、だから自分で見たいんだ」
沙慈は姉を見る。
「刹那たちが何をしようとしてるのか。アロウズが何をしてるのか。どうして世界がこんなことになってるのか」
「危険よ」
「分かってる」
「戦闘になれば、あの船は真っ先に狙われる」
「……それも分かってる」
怖くないわけではない。
沙慈は軍人ではない。
戦うことなどできない。
それでも。
「それに僕、宇宙では技術者として働いてたから」
少しだけ声の調子が変わった。
「モビルスーツの整備は無理だけど、設備とか機械関係なら手伝えることはあると思う。ずっと何もせず乗せてもらってるのも嫌だし」
絹江が少し驚いたあと、笑った。
「ちゃんと考えてたのね」
「僕だって考えるよ」
「そうね。ごめん」
沙慈は少しだけむっとした。
「姉さんは姉さんのやりたいことをやればいいよ」
「沙慈も?」
「うん」
短い沈黙。
絹江が手を伸ばし、弟の肩に触れた。
「分かった」
「止めないの?」
「止めてほしい?」
「……それは困るけど」
「だったら聞かないの」
絹江は笑った。
「でも、一つだけ約束して」
沙慈にはもう何を言われるのか分かった。
「無茶しないこと?」
「……先に言わないでよ」
「さっき姉さん、レイナスさんとニールさんに同じこと言われてたじゃないか」
「私はいいの」
「よくないよ」
「姉に口答えするようになったわね」
「姉さんが無茶するからでしょ」
一瞬。
二人は顔を見合わせた。
先に吹き出したのは絹江だった。
「……お互い様ね」
「本当にね」
五年前とは違う。
姉が何をしているのかも知らず、自分の周囲で何が起きているのかも知らず、ただ日常が続いていくと思っていた頃とは。
もう違う。
絹江はここに残る。
沙慈はプトレマイオス2に残る。
別々の場所で。
それぞれ、自分の目で確かめるために。
◇
プトレマイオス2・格納庫
「手伝いたい?」
イアンが沙慈を見る。
「はい」
沙慈は少し緊張しながら頷いた。
「コロニーでは技術関係の仕事をしていました。モビルスーツの整備経験はありませんけど、設備や機械関係なら少しは」
「専門は?」
沙慈が答える。
続けていくつか質問が飛ぶ。
最初こそ緊張していた沙慈だったが、技術の話になると少しずつ返答が滑らかになっていった。
イアンは腕を組んだまま聞いていたが、やがて頷いた。
「分かった。いきなりガンダムを触らせるわけにはいかないが、補助なら仕事はいくらでもある」
「ありがとうございます」
「礼を言うのはまだ早いぞ。今は人手が足りん。働くと言った以上は使うからな」
「はい」
「気をつけろよ、沙慈」
横からレイナスが口を挟んだ。
「イアンに仕事できますなんて言ったら、本当に仕事が降ってくるぞ」
「お前が言うな」
イアンが即座に返す。
「俺は経験者として忠告してるんだよ」
「お前の場合、頼んでない仕事まで勝手に増やすだろうが」
「最近は減っただろ」
イアンは何も言わず、格納庫の奥を見る。
レイナスもその視線を追った。
GN-X III。
さらに、その隣。
アヘッド・スマルトロン。
「……まあ、その話は置いとこう」
「置くな」
沙慈が思わず笑った。
そのまま改めて格納庫を見渡す。
00ガンダム。
セラヴィーガンダム。
ケルディムガンダム。
アリオスガンダム。
アステリオン。
そこにGN-X IIIとアヘッド・スマルトロンまで並んでいる。
「……多くないですか?」
沙慈が呟く。
「気づいたか」
イアンの声が低くなる。
「ソレスタルビーイングの格納庫なのに、敵の機体が二機もある」
「言い方に悪意があるな」
「事実だろうが」
レイナスはGN-X IIIを指す。
「あれは移動手段が必要だった」
次にアヘッドスマルトロン。
「あっちはマリーが乗ってた。気を失ってる人間を無理やり降ろすわけにもいかないだろ」
「だからって二機とも残す必要はない!」
「使える物を捨てるのも勿体ないだろ」
「そこだ!」
少し離れた場所で、アレルヤとマリーがやり取りを聞いていた。
マリーが小さく笑う。
「いつもこんな感じなの?」
「レイナスがいるとね」
「俺のせいみたいに言わないでくれ」
「違うの?」
フェルトまで整備端末を手にやって来た。
「フェルト?」
「GN-X IIIを持って帰ったのは誰?」
「俺」
「アヘッドは?」
「……俺だな」
「じゃあレイナスのせい」
「反論できないな」
妙に素直に認めた。
イアンが大きく息を吐く。
「いいか。これ以上、敵のMSを持って帰ってくるな」
「分かったよ」
返事だけは早い。
イアンが疑わしそうに睨む。
「本当だろうな?」
「俺だって好きで拾ってるわけじゃない」
「なら大丈夫だな」
「ああ」
レイナスは平然と頷いた。
◇
格納庫の別区画。
ケルディムのコックピットハッチが開く。
ライルがシートから身を起こした。
「どうだ?」
下からニールが声をかける。
「悪くない」
「それだけか?」
「じゃあ何て言えばいい?」
ライルがハッチから身を乗り出した。
「兄貴のお下がりじゃなくて安心した、とか?」
ニールが苦笑する。
「好きに言え」
「冗談だよ」
ライルはもう一度コックピット内部を見る。
デュナメスとは違う。
同じ狙撃戦を主眼に置いていても、別の機体だ。
そして何より。
これは兄の機体ではない。
自分に渡された機体だった。
「……ケルディム、か」
「気に入ったか?」
「まあな」
「ならよかった」
ニールはそれ以上口を出さなかった。
どう戦うか。
どう乗るか。
それを決めるのはライル自身だ。
一方。
アリオスのコックピットにはアレルヤが収まっていた。
操縦桿を握る。
計器を確認する。
手順は身体に残っている。
だが。
四年という時間が消えるわけではない。
「どう?」
下からマリーが見上げている。
『……懐かしい』
「これ、乗るの2回目でしょ?」
『そうなんだけどね』
アレルヤは操縦桿へ視線を落とした。
『ガンダムに乗ること自体が』
四年ぶりだった。
「無理しないでね」
『分かってる』
「本当に?」
『マリーまで疑うの?』
「四年ぶりなんでしょ?」
『……はい』
「素直でよろしい」
アレルヤが苦笑する。
そのやり取りを聞きながら、少し離れた場所でレイナスがアリオスを見上げていた。
「可変機か……」
視線が完全に機体へ吸い寄せられている。
「キュリオスより変形機構が洗練されてるな。飛行形態も見てみたい」
『レイナス』
「ん?」
『何でそんな近くで見てるの?』
「見るくらいいいだろ」
『まあ、それはいいけど……』
「後で変形させていいか?」
「駄目だ」
アレルヤより先にイアンが答えた。
「まだ触ってもないだろ」
「する前に止めてるんだ」
「見るだけだって」
「お前の『見るだけ』は信用ならん」
レイナスはため息をついた。
「……そこまで信用ないか、俺」
フェルトが即答する。
「MSに関しては」
「限定されたら余計に反論しづらいな」
◇
やがてプトレマイオス2はカタロン臨時拠点を離れた。
山間部に隠されていた巨体がゆっくりと浮上し、地表すれすれを進みながら拠点との距離を広げていく。
マリナはシーリンと共に地上へ残る。
絹江もまた、自らの仕事を続けるために残った。
沙慈は艦に残った。
誰かに命じられたからではない。
姉についていくのでもない。
自分自身で選んだ。
◇
プトレマイオス2・ブリッジ
「カタロン臨時拠点より離脱」
フェルトが報告する。
「周辺空域、異常なし」
クリスが続けた。
「連邦軍の索敵網にも、今のところ引っかかってないみたい」
スメラギが頷く。
「進路そのまま。しばらくは低高度を維持して。山岳地形を使って索敵を避けるわ」
「了解」
眼下を流れていく荒れた大地。
アザディスタン国境地帯から十分な距離を取るまでは、安易に高度を上げるわけにはいかない。
刹那。
ティエリア。
ニール。
そしてレイナスもブリッジに集まっていた。
「これからの方針を確認するわ」
スメラギの操作で壁面モニターが切り替わる。
アロウズ。
地球連邦政府。
ヴェーダ。
そしてアザディスタンを襲撃した赤いガンダム。
「調べることが一気に増えたわね」
クリスが呟く。
「人手は増えたのに、仕事も増えた」
「よくある話だ」
レイナスが答える。
「増員した途端に仕事まで増えて、結局一人当たりの負担が変わらない。下手すりゃ引き継ぎで余計に忙しくなる」
スメラギが横目で見る。
「経験談?」
「嫌というほどな」
フェルトが振り返る。
「百年以上分?」
「そこまで全部仕事してたわけじゃない」
「否定するところ、そこなんだ」
「事実だからな」
クリスが笑う。
スメラギはモニターへ視線を戻した。
「まずヴェーダ。これはティエリアを中心に調査を続ける」
「ああ」
「絹江からも、連邦政府に関する情報が入り次第共有してもらうわ」
表示が切り替わる。
「次にアロウズ。可能な限り戦力と指揮系統を把握する」
「正規軍とは分けて考えるべきだな」
ニールが言う。
「グラハムみたいなのもいる」
「ええ」
スメラギも同意する。
「地球連邦軍全体を一括りにして敵と考えるつもりはないわ」
そして最後。
赤いガンダムの不鮮明な映像が表示された。
刹那の目が細くなる。
「アリー・アル・サーシェス」
「まだ確定じゃないわ」
「分かっている」
そう答えながらも、刹那の声には確信に近いものがあった。
レイナスは腕を組む。
「どのみち、また出てくるだろ」
「なぜそう思う?」
ティエリアが尋ねる。
「アザディスタンだけ潰して終わりなら楽なんだけどな」
レイナスは赤い機体を見る。
「誰かに頼まれて動いてるとしたら、ああいう仕事を任せられる奴を一回で遊ばせるとは思えない」
スメラギが頷いた。
「私もそう思うわ」
その時。
クリスの端末に警告表示が走った。
「……待って」
全員の視線が集まる。
「広域監視網に反応」
スメラギの表情が変わった。
「所属は?」
「連邦軍……」
クリスの指が止まる。
「違う」
識別情報が更新される。
「アロウズ」
ブリッジの空気が変わった。
「位置は?」
「南東方向。航空艦一、MS反応複数。こっちへ接近してる」
フェルトが情報を重ねる。
「進路から見て、偶然ではありません。こちらへ向かっています」
「捕捉されたか」
ティエリアが呟く。
スメラギはすぐに判断した。
「カタロンの拠点から引き離す。現在の進路を維持」
「向こうが追ってくるなら、ちょうどいい」
レイナスがモニターを見る。
「置き土産まで拠点に持ち帰る必要はないからな」
ニールが肩を竦める。
「出航早々、忙しいな」
「さっき言っただろ。仕事ってのは増員した途端に増えるんだよ」
「予言だったか?」
「だったらもっと景気のいいこと言ってるよ」
スメラギが立ち上がる。
「全艦、第一種戦闘配置」
警報が艦内へ響き渡った。
『第一種戦闘配置。第一種戦闘配置』
◇
プトレマイオス2・格納庫
警報と同時に空気が変わった。
整備員たちが一斉に持ち場へ走る。
沙慈も手にしていた工具を置いた。
「沙慈!」
イアンの声が飛ぶ。
「戦闘中は勝手に動くな! まだ艦内の避難経路も全部覚えてないだろ!」
「はい!」
「手が必要になったらこっちから呼ぶ!」
沙慈は頷き、指示された安全区画へ下がる。
その前をパイロットたちが駆け抜けていった。
刹那。
ティエリア。
ライル。
アレルヤ。
そしてレイナス。
五つのコックピットが次々と閉じる。
00ガンダム。
セラヴィーガンダム。
ケルディムガンダム。
アリオスガンダム。
アステリオン。
新たなソレスタルビーイングの戦力が、初めて同じ戦場へ向かう。
◇
アロウズ航空艦・格納庫
低空を進む大型航空艦の内部。
赤い警告灯が明滅していた。
機体固定用アームが次々と解除され、整備員たちが退避していく。
コックピットの中。
ルイス・ハレヴィは小さなケースを開いた。
白い錠剤。
一錠を取り出し、口へ入れる。
水も使わず、そのまま飲み込んだ。
荒れていた呼吸が、少しずつ落ち着いていく。
だが。
胸の奥に沈んでいたものは消えない。
モニターに敵性識別が表示された。
――ソレスタルビーイング。
ルイスの目が止まる。
「……ガンダム」
五年前の光景が蘇る。
炎。
悲鳴。
崩れ落ちる建物。
家族。
失われた左腕。
そして空に浮かんでいた赤いガンダム。
忘れた日はない。
忘れられるはずもない。
むしろ、その記憶は年月を経るほど鮮明になっていた。
握った操縦桿に力が入る。
「今度こそ……」
機体が発進デッキへ運ばれていく。
外部映像。
乾いた大地。
遠くに連なる山々。
その向こうに、敵がいる。
『発進準備完了』
管制の声。
前方ハッチが開く。
風が格納庫を抜けていく。
ルイスは正面を睨んだ。
「私が……」
機体の固定が解除される。
「全部、倒す」
GN粒子を噴き上げ、機体が航空艦から大空へ飛び出した。