毒蛇は10年後のドルフロ世界へ 作:チキンスネーク
ヴァリャーグの追跡から逃れるべく、エイハブ達はメイリンが寄越したドローンに向かって移動する。
執拗に追ってくるヴァリャーグを相手に流石のエイハブも疲れを見せる中、ヴァリャーグの改造機甲も完全に姿を現した。
此処でドローンの所まで逃げても追い付かれてオジャンになるのは目に見えており、一度迎撃して撤退の隙を伺うしかなかった。
「指揮官。むやみに遮蔽物から離れないで」
グローザはジャンシアーヌにそう注意を促した後、グローザは迫るヴァリャーグを撃ち、ネメシスも援護に入る。
エイハブもグローザ達を援護する様に発砲、ヴァリャーグを倒した。
戦闘が最終局面を迎え、激しい戦闘が繰り広げられる中、メイリンからのドローンによる援護が始まった。
《ドローンスタンバイ!座標をお願いします!》
メイリンからの連絡が入り、座標を確認されたのかドローンからミサイルが発射された。
ドローンのミサイルは正確にヴァリャーグの部隊の真ん中を貫き、吹き飛ばして一気に数を減らす事に成功した。
「迎撃完了。これより撤退を開始する」
グローザのその言葉を合図にエイハブ達はドローンの元へと急ぐ。
エイハブ達に戦局が傾く中、ヴァリャーグの改造機甲が迫って来ていた。
その近くには無数のヴァリャーグがおり、このまま戦闘が続いてしまえば今度こそおしまいだった。
「奴等が来るぞ!急げ!」
エイハブはジャンシアーヌを押した後で駆け、グローザとネメシスも走る。
ヴァリャーグのボスの乗る改造機甲は砲撃を開始、被弾した場所の近くにあった送電塔が倒れてきた。
倒れる方向にはジャンシアーヌがいる。
「指揮官気を付けて!」
メイリンのその言葉に倒れてくる送電塔に気付いたジャンシアーヌの元にネメシスがすかさず助けに入り、二人同時に倒れ込む様に飛んで躱した。
ジャンシアーヌとネメシスは無事、送電塔を回避したがその後ろではグローザとエイハブが取り残された。
「エイハブ、大丈夫?」
「大丈夫だ。このくらいの事は慣れていたからな」
エイハブはそう言ってマガジンの弾数を確認すると迫るヴァリャーグの様子を伺おうとすると砲撃の爆発が飛び、エイハブは咄嗟に遮蔽物としている岩にすぐに身を隠す。
「メイリン!攻撃!」
「は、はいぃ!」
ジャンシアーヌの指示を聞いたメイリンがドローンで攻撃を開始した。
ヴァリャーグの改造機甲にミサイルを叩きつけるが慌てているのか改造機甲の射程近くを飛んでしまっている。
《メイリン、上に上げて!》
《えっと……どうやっ……ああッ!》
《下げてどうするの?帰ったら訓練のやり直しねメイリン》
《今はその話をしないでくださぁいいい!》
ジャンシアーヌの指示も空しくメイリンが操るドローンは改造機甲の対空攻撃によって落ちた。
ドローンの破壊されたパーツがあちこちを巻き込みながら落ちる中、エイハブとグローザはその隙をついて駆け出す。
だが、それを執拗に砲撃で妨害する改造機甲に阻まれ、砲撃の爆発でグローザが爆発の衝撃で飛ばされた。
《グローザ!》
ジャンシアーヌが飛ばされたグローザに叫び、エイハブはすぐにグローザの元へ駆け寄ろうとしたがグローザの頭上に破壊されたドローンが落ちてきていた。
「避けろグローザ!」
エイハブは咄嗟に叫ぶがグローザは反応しきれていない。
このまま破壊されたドローンの下敷きになるとエイハブは考えたその時、箱が突如として電気を発し、動き出した。
青白い電気が発せられる中、細かく分かれる様に箱が開かれると中からまだ幼い少女が現れたのだ。
「子供……?」
エイハブは目の前の光景に唖然としていた時、細かく分かれていた箱が球状の物体になるとレーザーの様な攻撃で落ちてきていたドローンを迎撃、破壊した。
エイハブは少女と球体を注意深く見ていると少女は目を擦った後、まるで寝惚けて起きた所で二度寝する様な感覚で眠りについた様な動きを見せた後、球体は再び少女を包む様に箱に戻った。
その光景に各々が動きを止めていたがヴァリャーグが先に正気を取り戻して動き、エイハブもすぐに気を取り直してヴァリャーグを迎撃し、そこへネメシスの援護も入る。
グローザは箱を片手で持つと勢いをつける仕草を取る。
「ネメシス!箱をお願い!」
グローザはそう言って箱を投げ、それをネメシスがキャッチする。
「無に返す」
ネメシスは短くそう言って箱を受け取ったとグローザに送るとグローザは次にエイハブの元へ行く。
「エイハブ。少し粗っぽく行くわよ」
「……任せる」
グローザが何をしたいのかエイハブは察してやるしかないと項垂れるとグローザはエイハブを掴んで箱と同じ様に勢いをつける。
「エイハブもお願い!」
グローザはそう叫んでエイハブを投げ、ネメシスは箱と同じ様にエイハブもキャッチしてみせた。
「戦友、この手の内に」
「すまない。助かった」
エイハブはそう言ってネメシスの手から離れるとグローザを見る。
グローザはまだ取り残されており、エイハブはグローザを見つめているとグローザはサムズアップをして見せる。
それを見たエイハブは躊躇しつつも頷くとネメシスと共にその場から離脱する。
エイハブとネメシスは暫く走るとそこにはジャンシアーヌが既に回収の為に送られたドローンの近くで待機しており、エイハブとネメシスはジャンシアーヌの元へと行く。
「エイハブ、ネメシス。無事だったのね。グローザは?」
「まだ取り残されている。最後に見た時は奴等の元へ突っ込んで行くのを見た」
「全く無茶するわね……二人共、ドローンに乗って!グローザを回収して撤退するわよ!」
「了解。指揮官」
ジャンシアーヌの指示を聞き、エイハブとネメシスはドローンに乗るとドローンは動き出す。
《発進します!掴まっていてください!》
メイリンのその言葉が終わると同時にドローンは飛び立つとグローザの回収の為に再び死地へと向かう。
エイハブ達を乗せたドローンはグローザがいる地点へと来るとそこではグローザがヴァリャーグの改造機甲の砲身を破壊して落ちている所だった。
「メイリン!」
《は、はいぃ!》
ドローンは加速して落ちていくグローザの元へと向かうと間一髪の所でグローザがドローンを掴んだ。
ジャンシアーヌはすぐにグローザを引き上げると漸く一息ついた。
「はぁ……グローザ……出来たらあんな無茶はしないでくれるかしら……?」
「そうね……こんな事が続かなければもうしないわ」
グローザのその返答にジャンシアーヌは笑うとエイハブとネメシスも釣られて笑うのだった