毒蛇は10年後のドルフロ世界へ 作:チキンスネーク
ヴァリャーグからジャンシアーヌ及び箱を奪還したエイハブ達はメイリンの操作するドローンに乗って帰還した。
《機動基地に到着しました。下降を開始します。皆さん、掴まっていてください!》
「此処でヘマしたら、誰も給料を払ってくれなくなるからね」
《指揮官!》
ジャンシアーヌのからかうその言葉にメイリンはちょっと怒った様に言うとジャンシアーヌのからかいは続く。
「これから、親愛なるエルモ号の整備費用との御対面なの。これ以上、物を壊されても困るわ」
《操縦の邪魔しないでもらえます!?》
「その辺にしてやれ指揮官。そろそろメイリンの手が滑るぞ」
《はいはい、黙っ……うわぁッ!?》
エイハブの懸念する通り、メイリンの手が滑ったのかドローンが体勢を崩してほぼ落下する様にエルモ号へ降り立った。
何とも無事とは言いがたい着陸にエイハブは腰を擦りながらドローンから降りるとジャンシアーヌが降りる姿を見た時、肩を痛そうに擦っていた。
「指揮官。後で医務室に来い。他に問題は無いか検査をした後、痛み止めを用意しておく」
「ありがとう。それにしてもヴァリャーグの奴ら……もう少し手加減して欲しいものだわ」
肩の怪我の事なのかはたまたエルモ号の事なのかジャンシアーヌがヴァリャーグに対し愚痴る様に言う。
「そう言えばメイリンは?」
ジャンシアーヌがメイリンを探す素振りを見せた時、タイミング良くエレベーターからメイリンが駆け寄ってきた。
「あ、メイリン?まだコーラップス放射性物質が体についてるわ。お帰りのハグはひとまずお預けよ」
「何言ってるんですか指揮官?伝動設備と通信設備が壊れちゃってるんですよ!?コントロールシステムは何とか持ち直しましたけど倉庫のパーツは……人形の素体も含めて……全部破壊しつくされちゃったんです、分かってるんですか!?」
メイリンの必死とも取れる言葉にジャンシアーヌは苦笑いするとメイリンの目の光が無くなり、絶望に満ちた顔になった。
「新しい設備を購入する資金もゼロ……指揮官、コーラップスピースを隠し持ってるんですよね?そうですよねそうだと言ってください!」
メイリンの必死の懇願にジャンシアーヌは諦めた様に笑って答えた。
「……ちゃんと払うわよ」
「よ、良かったぁ!」
ジャンシアーヌの払うと言う言葉にメイリンの顔は絶望から希望へとシフトチェンジし、エイハブはいつも通りの光景に少しは戻れたかと笑って見守る。
「だが、通信設備がイカレたとなると今すぐB.R.I.E.Fで注文、と言う訳にもいかないわね」
「あ……」
ジャンシアーヌのその言葉にメイリンがまた絶望の顔に戻ろうとする。
「ベクトルエンジンはどう?」
グローザが質問するとメイリンはすぐに気を取り直して端末を見て確認する。
「はい、エンジンは何とか。でもコントロール設備のパーツが足りないので、完全な修復は無理そうです。これじゃ安全速度は25km/hまでしか出せません」
「通信設備の状況は?」
「先ず発信器事態が破壊されちゃってます。車内の非常用システムを用いた短距離通信は可能ですが信号の強化と転送を行う装置が完全に沈黙してます。ネットワークの接続と長距離通信は……絶望的ですね」
メイリンはそう言って顔を暗くしていく。
「修理は出来ないの?」
「倉庫のパーツも全部吹っ飛んじゃったんで……」
「何処かで調達するしかないと言う事か?」
メイリンのその言葉にエイハブは深刻な事態になりつつある事に唸るとジャンシアーヌは答える。
「まぁ、色々と問題はあるけど箱はこの通り此処にあるわ。配達は続行可能よ。この任務を達成すれば、かなりの額の報酬が手に入る」
「ほ、本当ですか!?」
「勿論。今はとにかく、通信設備と移動手段の回復に勤めましょう。大丈夫、何とかなるわ」
ジャンシアーヌがそう言った所でエイハブは思い出した様に言う。
「指揮官。俺は一度、医務室の方へ戻る。この騒ぎだ、必要な薬品や医療品が使えなくなってないか見ておく」
「分かったわ。お願いね」
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コーラップス放射性物質を念入りに落としたエイハブは医務室へ来ると医務室はヴァリャーグとの戦いで銃口の穴や瓶の割れた薬品や医療品が散乱していた。
それを見たエイハブは軽い溜め息を吐くと片付けをしようと目の前に黒いスーツと帽子を被った髑髏の様な顔を持つ男が現れた。
「茶番だな……BIGBOSS」
嘲笑う様に言う髑髏顔の男にエイハブは目を細める。
「例え世界の形を変えようとお前に染み付いた血、報復への渇望は決して消せはしない。言った筈だ。お前も私も逃げも隠れも出来はしないと」
髑髏顔の男は不敵に笑いながらエイハブの前に立つ。
「お前は亡くしたものの痛みに魘され続けるしかない。例え役割を終え、世界を変え、銃を置いたとしてもその手に銃を握り、他者の
髑髏顔の男はそう言ってエイハブを指摘し、エイハブは目を細めるだけで何も言わない。
「あの指揮官と人形と旅をしたとしてもお前は人には戻れん。お前は……鬼であり続けるしかない」
「……言いたい事はそれだけか?」
エイハブはようやく口を開くと髑髏顔の男は不敵に笑いながらエイハブから両手を広げて後退する。
「何を求めているのかなど私の知った事ではない。だが、忘れるな?お前の鬼を。お前自身の報復心を。決してな」
エイハブは髑髏顔の男を睨み続けていた時、医務室の扉が開かれた。
「来たわよエイハブ……どうしたのそんな所に突っ立って?」
来たのはジャンシアーヌだった。
検査を受けに来たらしく面倒くさそうにしていた雰囲気だったがエイハブが立ち尽くしているのを見て首を傾げた。
「いや、何でもない。それよりも検査だな。だが、その前に少し周りを片付けてからで良いか?」
「えぇ、そうね。こんなに散らかってたら検査をする以前の話だしね」
ジャンシアーヌのその言葉にエイハブは苦笑いするのだった。