毒蛇は10年後のドルフロ世界へ 作:チキンスネーク
夜の闇の中、エイハヴはジャンシアーヌに頼んだ装備を持ってヴァリャーグの拠点付近へとやって来た。
エイハヴの装備にはプライマリにエルモ号の倉庫にあったサプレッサー付きのAM MRS-4とセカンダリに最初から持っていたAM D114、手榴弾数個とC4を幾つかを持ってヴァリャーグの拠点近くへと近付く。
《エイハヴ聞こえる?ヴァリャーグの拠点へ来れたみたいね。貴方にして貰う事は幾つかあるわ。先ず最初に人質になっている集落の人達の居場所を探して救出する事。次に人質救出がヴァリャーグに発覚しても問題が無い様にヴァリャーグの武器庫、車両、物資保管庫を全てを破壊。そして最後にヴァリャーグのリーダーを排除する事よ。やる事は多いわ。出来る?》
「大丈夫だ。やる事が多い事には慣れている」
エイハヴはそう言ってヴァリャーグの拠点近くにある高台へと行くと双眼鏡で偵察を行う。
ヴァリャーグの拠点は元々、集落だった場所を利用しているらしく古い家屋が多く、道や建物の上、造られたであろう簡素な見張り台にはヴァリャーグの見張りが周囲を警戒している。
そして四方を簡単なバリケードの様な壁で囲んでちょっとした防御拠点の様になっているのだ。
拠点内では当然の様に巡回するヴァリャーグもおり、エイハヴは一頻り偵察すると行動を開始した。
暗闇に紛れてヴァリャーグの拠点へ近付き、周囲を警戒して周りにヴァリャーグがいない事を確認してからバリケードを登って中に入った。
《拠点内へ入ったわね。先ずは人質の人達が何処にいるのか把握したいのだけど……》
「それなら直接聞けば良い」
《誰に?》
ジャンシアーヌのその言葉に答える様にエイハヴは近くを鼻歌交じりに歩いてきたヴァリャーグを素早く捕まえて背後に回って抑え込むと首にナイフの刃を突きつけた。
「ひぃッ!?だ、誰だ……!?」
「名乗るつもりはない。人質の監禁場所は?」
「ひ、人質……?捕虜の居場所ならあ、彼処にある大きな建物に一ヶ所に集めている……」
「武器庫、車両、物資保管庫は?」
「そ、それは……わ、分かった……話す……!」
エイハヴのナイフの刃が首に軽く当たるのを感じたヴァリャーグは脅されて思う通りに情報を話した。
「武器庫はあの通りを抜けた先だ……車両もその近くに……物資の保管場所はそこから離れた位置だが少し角を曲がった所だ……!」
「最後に聞こう。お前達のリーダーは何処だ?」
「み、見て分からないか……?お頭はあの旗が靡いてるこの拠点の一番立派な建物の所で呑気に晩酌している筈だ……お、俺の知ってる事は話した……解放してくれ……!」
「分かった。少し苦しいぞ」
「え、いや解放……グェッ!?」
エイハヴはヴァリャーグの言葉を待たず首を絞めに掛かり、首を絞められたヴァリャーグは苦しみながら徐々に意識を失い気絶した。
それを見届けたエイハヴは音を立てない様に気絶させたヴァリャーグを寝かせるとジャンシアーヌからの通信が入った。
《成る程。直接聞くと言うのはそう言う事なのね》
「これで情報は集まった。行動を開始する」
《了解。気を付けて。でもその前にそのヴァリャーグは何処かに隠しておいた方が良いわね。見つかったら厄介よ》
ジャンシアーヌのその言葉を聞いてエイハヴは周りを見渡して見ると近くにゴミ置き場を見つけると気絶したヴァリャーグを担いでそこに入れた。
《うわぁ……とても臭そう……》
ジャンシアーヌの補佐をしていたメイリンがゴミ置き場に入れられたヴァリャーグを見てとても嫌そうな顔をする。
エイハヴは分からなくもないと思いつつ尋問した情報を元に動く。
ヴァリャーグの巡回を避けつつ進み、人質が囚われているであろう場所の付近へと来るとその周辺には数人のヴァリャーグが巡回や警備をして守りを固めていた。
《あの警備の固さ……彼処に人質がいるのね》
《簡単には逃がすつもりはなさそうね》
ジャンシアーヌとグローザは警戒の厳しさに状況の難しさを覚える中、エイハヴは構わずに行動する。
エイハヴは匍匐になり出来る限り姿勢を低くしつつ夜の暗闇や遮蔽物を利用して進み、邪魔なヴァリャーグは拘束してからの首絞めやCQCによる打撃で気絶に追い込んでいく。
一通り、邪魔なヴァリャーグを無力化させて隠し終えると人質がいるであろう建物の中に入った。
《凄いわね。此処まで彼奴らは全く気付いていないわ。先ずは人質の安否を確認しましょう》
ジャンシアーヌはエイハヴの潜入技術に感心を寄せつつ指示を出すとエイハヴは頷き、AM D114をホルスターから抜いて警戒しながら進む。
中にヴァリャーグが歩いている気配は無いが仮眠を取っている可能性もある為、警戒を保ちつつ静かに移動する。
やがて一つの部屋の前へと来るとエイハヴはそっとドアノブを手にし、ゆっくりと扉を開けて様子を伺いながら中を見ると三人の人質がいた。
《間違いないわ。その人達よ》
ジャンシアーヌのその言葉を聞いてエイハヴはAM D114をホルスターにしまい人質達の元へと来ると人質達はエイハヴの存在に気付いて視線を向けた。
「だ、誰!?」
「大丈夫だ。俺はお前達を助けに来た」
エイハヴは落ち着かせる様にそう言うと人質達は信じられないとばかりにざわつく。
「た、助け……なのか……?」
「本当に……?」
人質の二人は希望を見出だした様に表情が明るくなってきた時、人質の一人である女が言う。
「駄目よ……私達が此処から逃げたら間違いないなく私達の集落を襲うわ……奴等が健在の内に逃げた所で意味がない……だから奴等を少しでも始末してやる……!」
女は他の人質よりも血気盛んなのかヴァリャーグに怒りを露にする様に言う。
「ヴァリャーグの事は俺に任せろ。お前達を先に連れ出して待機している仲間に保護させる。早まる事はない」
「でも、奴等は私達の仲間をもう何人も殺した……!捕虜として連れてこられた他の人質も見せしめとして……せめてこの手で仇を……!」
女はそう言って怨みを込めた目でエイハヴを見る。
エイハヴは戦場で何度も見てきた報復心を宿した目を持つ女に軽く項垂れて首を軽く振ると。
「悪いが少し眠って貰うぞ」
「ちょっと何を!」
女はエイハヴに首を絞められ、意識を奪われる形で気を失った。
他の人質の二人はその光景に驚愕しているとエイハヴはナイフで二人の拘束を解く。
「此処を出るぞ。必ずお前達の家に帰してやる。だから此処から先は俺の指示を聞くんだ」
「分かった……頼む……えーと……」
「エイハヴだ。行くぞ」
エイハヴはそう言って女を抱えると人質の二人を連れ出すのだった。