毒蛇は10年後のドルフロ世界へ   作:チキンスネーク

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人質救出~後編~

エイハヴは女の人質を背負って他の人質二人を誘導しながら回収地点となる場所へと向かう。

 

ヴァリャーグの拠点を一度抜けて回収地点へと来るとそこではグローザが一両の車両と共に待機していた。

 

「エイハヴ。彼らは任せて頂戴。貴方は任務の続きを優先して」

 

「分かった。後は頼む」

 

エイハヴはそう言って気絶している女の人質を車両の後方に乗せると他の人質二人はエイハヴの方へ視線を向ける。

 

「エイハヴさん。助けて頂いて本当にありがとうございます。この御礼は必ずします」

 

「彼女の事は心配しないでください。何があったのかは我々が説明します。どうか彼女の……我々の代わりに奴等に報いを与えてください。お願いします」

 

二人はそう言って頭を下げるとエイハヴは何も言わずに頷くと再びヴァリャーグの拠点へと向かった。

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エイハヴがヴァリャーグの拠点に戻るとヴァリャーグ達が騒いでいた。

 

「この野郎!まんまとやられてゴミ置き場に入れられやがって!」

 

「お、お前だって壁に投げ飛ばされて気絶してやがったんだろ!人の事なんて言えるかよ!」

 

「何だとこの野郎!」

 

「止めろ馬鹿共!人質共がいなくなったっていう時に!」

 

ヴァリャーグ達が喧嘩をしており、話している内容からエイハヴが潜入している事や人質が解放もとい逃げた事を知られたとエイハヴは判断した。

 

《エイハヴ。此処から先は警戒が厳しくなるわ。油断しないで》

 

ジャンシアーヌのその言葉にエイハヴは頷くとヴァリャーグの一人が粗末な銃を持って叫ぶ。

 

「奴等の事だ!あの集落に逃げたんだろうよ!明日の朝、奴等の集落に行って俺達を舐めて掛かった事を後悔させてやろうぜ!」

 

「そうだそうだ!」

 

「此方の方が数は上だ!それに武器も弾薬もな!次は皆殺しだ!」

 

ヴァリャーグ達は口々に集落に対する報復を口にし、予断を許せない状況となった。

 

《明日の朝……エイハヴ。それまでに出来る?》

 

「やってみよう。奴等の好きにはさせない」

 

エイハヴはそう言って警戒の高まった拠点を見つからない様に進む。

 

途中、ヴァリャーグの巡回に遭遇するも再びCQCで気絶させ、活路を開くとエイハヴは武器庫の中に侵入した。

 

中にはヴァリャーグの粗末なジャンクの銃とその弾薬があり、エイハヴは銃を一丁取って見てみるとあまりに作りが乱暴でよく暴発しないなと思いつつ銃を置く。

 

《武器庫に入ったわね。C4は持ってる?それを設置して爆破させれば簡単に吹き飛ぶ筈よ》

 

ジャンシアーヌの言葉を聞いてエイハヴはC4を武器庫に置いてある弾薬の束の所に設置するとそのまま外へ出た。

 

次に武器庫近くに停めてある車両へと行き、ヴァリャーグ達が警戒しているのを逆手に取って簡単に接近すると一台ずつC4を設置する。

 

万が一に車両に乗られて離れられても破壊出来る様にする為の処置である。

 

エイハヴは順調にC4を取り付けて行き、最後に物資保管庫へと来て中に入ると食料や医療物資、工具の類いが置いてあった。

 

ヴァリャーグの物ではあるがその中にはあの集落の物資も含まれているとエイハヴが悟り、流石に気が引ける思いを抱いた時、ジャンシアーヌから無線が入った。

 

《分かるわエイハヴ。その中にはヴァリャーグに奪われた物も多いでしょう。寧ろ大体が何処からか奪われた物の筈よ。奪い返したいとは思うけど人質達とは違って歩く事はない。諦めて頂戴。破壊には集落の人達にも既に了解を得てるわ。ヴァリャーグに利用されるくらいなら派手に吹き飛ばしてくれと。やって頂戴、エイハヴ》

 

ジャンシアーヌのその言葉を聞いてエイハヴは項垂れつつC4を幾つか設置すると背を向けて去った。

 

C4を仕掛け終えたエイハヴに残された仕事はヴァリャーグのリーダーの排除だ。

 

エイハヴは旗の掲げられている建物へ向かい、警備を無力化させると静かに歩く。

 

明るく照らされている部屋の窓をエイハヴは覗くとヴァリャーグのリーダーらしき者が部下のヴァリャーグに酒瓶をぶん投げて怒鳴りつけていた。

 

「この馬鹿が!人質に逃げられやがって!奴等がいればあの集落の連中をどうとでも出来るって言うのに何してやがった!」

 

「で、でも頭!あの人質共が行くのはあの集落ですぜ!確かに逃げられやしたが別に驚異じゃないですしまた収奪にでも」

 

「それを馬鹿だと言っている!収奪はやったばっかなんだぞ!痩せた畑から何が取れるってんだ!人質を取りつつまた肥太ったら収奪する!そう言う計画を俺は立ててたんだぞ!」

 

「おぉ!頭は頭が良いな!」

 

「寧ろ説明はしただろうが!だがまぁ、良い。奴等に舐められちゃヴァリャーグが廃る。一度キツく躾やればわざわざ収奪なんてしなくとも自ら差し出す様になるだろうよ。明日が楽しみだ」

 

ヴァリャーグのリーダーはそう言って近くにあった真新しい酒瓶の蓋を外すと口に運んだ。

 

《あれがリーダーの様ね。奴の排除。つまり、貴方に殺しをさせる事になる》

 

「問題ない。俺は兵士だった。血を流す事だって経験している」

 

エイハヴがそう言うと中にいた部下のヴァリャーグが出ていき残されたのは酒盛りをしているヴァリャーグのリーダーのみとなった。

 

エイハヴはサプレッサー付きのAM MRS-4を構えながら扉を開けて中に侵入するとヴァリャーグのリーダーはエイハヴの存在にすぐに気付いた。

 

「だ、誰だテメェッ!」

 

ヴァリャーグのリーダーはそう叫んで近くに置いてある銃を手に取ろうとしたがその前にエイハヴの容赦も慈悲も無い銃撃によって黙らされた。 

 

サプレッサーが取り付けられている為、外部に音が漏れる事もなく騒ぎは特に起こらなかった。

 

撃たれたヴァリャーグのリーダーは血を流しながら絶命し、それを見届けたエイハヴの元にジャンシアーヌからの無線が入った。

 

《排除を確認。此で統率力は失ったわ。拠点から離れてC4を起爆して頂戴》

 

ジャンシアーヌの指示を聞いたエイハヴはその場から静かに立ち去った。

 

エイハヴはヴァリャーグの拠点から出て離れるとC4のスイッチを押して起爆、仕掛けた箇所を爆破させた。

 

ヴァリャーグの拠点内は突然の爆発によって大混乱に陥り、リーダーに指示を仰ごうとする傍受された無線の声も聞こえるもそのリーダーは既に亡骸になっている。

 

ヴァリャーグ達は大混乱の中、騒いでいたがやがて拠点から這い出る様に逃げ出していくヴァリャーグ達の姿が見え、この拠点を放棄するのだと分かった。

 

《これでヴァリャーグも懲りたでしょう。離脱して指定の座標に向かってエイハヴ。迎えを寄越すわ》

 

ジャンシアーヌからの任務完了とも取れる言葉を聞き、エイハヴはその場から去ろうとした時、一部のヴァリャーグの動きがおかしい事に気付いた。

 

「クソ!あのクソッタレ共め!絶対に許せねぇ!」

 

「お、おい……もう良いだろ?俺達も早くずらかろうぜ」

 

「馬鹿言うな!此処までコケにされて黙れるか!腰抜けに用はねぇ!まだやれる奴は着いて来い!」

 

ヴァリャーグの一部が残された武器を手に移動を開始したのだ。

 

目標は恐らく集落。

 

エイハヴがやった事を集落の人間の仕業だと考えて報復に動いたのだとエイハヴは悟るとジャンシアーヌも気付いたのか指示を出した。

 

《エイハヴ!彼奴ら集落に向かうつもりよ!手段は問わない!排除して!》

 

ジャンシアーヌの指示を聞き、エイハヴはヴァリャーグの排除に動く。

 

エイハヴが移動する道中、砂嵐が起き、周りの視界を砂が遮り、風の突風が音を掻き消した。

 

「クソ!鬱陶しい砂嵐だ!」

 

ヴァリャーグ達は砂嵐の中を進んで報復対象の集落へ向かう中、ヴァリャーグの一人が頭を撃ち抜かれた。

 

撃たれた事で敵がいると察知したヴァリャーグ達は警戒するも砂嵐で周りが見えず、音も拾えない。

 

ヴァリャーグ達は警戒しているが一人、また一人と倒されていく。

 

一人残されたヴァリャーグは怯えて後退ると背後に気配を感じ、恐る恐る振り返るとそこにはAM D114を片手で構えたエイハヴがいた。

 

その銃口はヴァリャーグの頭をしっかりと捉えており、逃げようにも間違いなく撃たれるとヴァリャーグは悟ると武器を捨てて土下座でエイハヴに懇願した。

 

「た、頼む!命だけは助けてくれ!もう略奪も殺しもしない!何とかまともに生きるからどうか助けてくれ!」

 

ヴァリャーグは泣きながら情けなく命乞いをし、エイハヴの顔を見上げるとエイハヴの顔を見て顔を青ざめた。

 

「あ、あぁ……!お、鬼……!」

 

エイハヴの顔を見たヴァリャーグは震え上がる。

 

まるでエイハヴの顔が血に塗れた鬼の顔に見えるのか恐怖で呼吸が出来なくなってきた事でそのまま泡を吹いて気絶した。

 

エイハヴは気絶したヴァリャーグを暫く見つめた後、AM D114をホルスターにしまった。

 

《見逃すの?》

 

ジャンシアーヌのその言葉にエイハヴは頷く。

 

「これ以上の殺しは無意味だ。此処までやって一人残して伝えさせればあの集落に手を出す気も無くすだろう。無闇に殺せばそれこそ報復を招きかねない」

 

エイハヴはそう言って気絶したヴァリャーグの懐からあるものを取り出した。

 

写真だ。

 

気絶したヴァリャーグの家族か何かの写真で妻らしき女とその娘の姿が写っている。

 

「俺はこの世界がどうなってるのかは知らない。ヴァリャーグと言う集団は確かに略奪と殺しをした。だが、やられた度に報復を行えば報復で帰ってくる。尽きる事の無い報復はやがて己の身を焼き尽くし、最後には破滅する」

 

エイハヴはそう言って気絶したヴァリャーグの懐に写真を入れ直す。

 

《だから殺さないと?報復の連鎖を断つ為に?》

 

「俺のエゴでしかない。だが、それでも己の鬼を捨て、銃を捨てて生きられる明日には報復心は必要ない。その明日を俺が生きている内には見る事が叶うのかは分からんがな」

 

エイハヴはそう言って気絶したヴァリャーグを置いてその場を去った。

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