研究レポート:六面世界における魔法について 作:えびかま
アルベルト・セインから返事が届いたのは、ディーンが文章をユリウスに預けてから十二日後のことだった。
その日もディーンは朝から冒険者ギルドへ行き、街道沿いに出没する魔物の討伐依頼を一つ終えていた。昼過ぎに町へ戻り、報酬を受け取ってから治療所へ寄る。最近では特に用事がなくても、何か面白い症例がなかったか聞きに行くことがあった。
扉を開けると、ユリウスは診察台ではなく机に向かっていた。
「今、時間ある?」
「ああ。ちょうど君を探しに行こうかと思っていたところだ」
「俺を?」
「先生から返事が来た」
ディーンの視線が、ユリウスの手元へ落ちた。
封を切られた手紙が一枚置かれている。
「読んでいい?」
「私宛てだ」
「じゃあ読んで」
「君はもう少し遠慮というものを――まあいい」
ユリウスは手紙を持ち上げた。
「全部読む必要はないな。先生が君の書いたものを読んだ。それで――」
一度、ディーンを見る。
「本人と話がしたいそうだ」
「いつ?」
「明後日だ」
「どこ?」
「先生のところへ私が連れていく」
「何時?」
「……嬉しいのは分かったから少し落ち着け」
「落ち着いてる」
「そうは見えない」
ディーンは自分では普段と変わらないつもりだった。ただ、気づけば机のすぐ前まで移動していた。
「何聞こう」
「それを私に聞くな」
「違う。いっぱいあるから」
鞄から紙を取り出す。
ユリウスが嫌そうな顔をした。
「今から書くのか?」
「忘れたら困る」
「明後日まであるぞ」
「増えるかもしれない」
「……好きにしろ」
増えた。
その日の夜には紙一枚だったものが、翌日の夜には三枚になった。
治癒魔術で傷口が閉じるとき、何が最初に治るのか。
骨と筋と皮膚では違うのか。
失った部分が大きいほど必要な魔力が増えるのはなぜか。
切断されたものが残っている場合と、完全になくなった場合では違うのか。
王級治癒魔術による四肢の再生を本当に見た者はいるのか。
再生した四肢は元と同じなのか。
傷跡は残るのか。
爪はあるのか。
指は五本なのか。
途中で失敗したらどうなるのか。
そもそも――。
『治癒魔術は、何をしている?』
最後にそれを書いて、ディーンは筆を置いた。
考えてから、三枚を一枚にまとめ直した。
同じことを違う言い方で聞いているものが多かったからだ。
*
アルベルト・セインが暮らしていたのは、ディーンが以前訪ねた大きな施設ではなかった。
町の中心から少し外れた、古い石造りの家だった。一階の一部が治療所になっているらしく、入口には小さな看板が掛かっている。中へ入ると薬草と薬品の匂いが混じって鼻に入った。
「ここ?」
「ああ」
「普通だな」
「先生に何を期待していたんだ」
「もっと大きいところ」
「本人の前では言うなよ」
「分かった」
ユリウスが扉を叩いた。
「先生。ユリウスです」
「開いている」
中から男の声が返ってきた。
部屋へ入る。
最初に目についたのは本だった。
壁際の棚に並んでいる。机の上にも積まれている。治療道具の置かれた棚の下にまで何冊か押し込まれていた。
その次に、奥の机に座る老人を見る。
髪にはかなり白いものが混じっていたが、背筋は伸びている。ディーンが想像していたより細身だった。派手な服も着ていない。袖を肘まで捲った姿は、町で見かける治療師と大して変わらなかった。
老人はディーンを見た。
「君がディーンか」
「はい。ディーンです。本を読みました」
「そうか」
「聞きたいことがあります」
「それも知っている」
アルベルトの視線がユリウスへ移る。
「本当にこのままだな」
「かなり良くなったんですよ」
「元が気になるな」
「先生は知らなくていいです」
ディーンには意味が分からなかったが、今はそちらに興味がなかった。
「座ってもいいですか?」
「ああ」
「ありがとうございます」
椅子に座る。
ユリウスも少し離れたところへ腰を下ろした。
アルベルトは机の上から数枚の紙を取り上げた。ディーンが書いたものだった。
「読ませてもらった」
「どうでした?」
「読みづらい」
「……そこ?」
「だが、言いたいことは分かった」
ディーンは少し安心した。
「なら聞いていいですか?」
「そのために呼んだ」
紙を取り出す。
「王級治癒魔術で、なくなった腕が戻るって本当ですか?」
「ああ」
答えは早かった。
「見たことありますか?」
「ある」
ディーンの指が止まった。
「……本当に?」
「本当にだ」
「どんなの?」
「私が二十代の頃だ。旅の治癒術師に同行する機会があった。その途中で、事故に遭った男を治療した」
「腕?」
「右腕だ。肘より少し上で失っていた」
「完全に?」
「ああ」
「切れた腕は?」
「回収できなかった」
ディーンは紙を見るのをやめた。
「どうなった?」
「戻った」
「どうやって?」
「治癒魔術で」
「そうじゃなくて」
「分かっている」
アルベルトは静かに言った。
「どこから生えた?」
「断端からだ」
「骨から?」
「分からん」
「肉?」
「分からん」
「最初に何ができた?」
「分からん」
「見てたんですよね?」
「見ていた」
「じゃあ――」
「光でよく見えなかった。それに、私も当時は治療の補助をしていた。君のように鼻先を突っ込んで眺めていたわけではない」
「……見たかった」
「私も今ならそうする」
ディーンが顔を上げる。
アルベルトは笑っていなかった。
「指は?」
「五本あった」
「爪も?」
「あった」
「元の腕と同じだった?」
「少なくとも見た限りではな。治療後に指を動かすこともできた」
「力は?」
「すぐには戻らなかった。だが後日、物を持てる程度には回復したと聞いている」
「傷跡は?」
「残っていた。薄くだがな」
「その治癒術師に聞きました?」
「何をだ」
「どうやって治したのか」
「聞いた」
ディーンは身を乗り出した。
「なんて?」
「術式通りに治しただけだ、と」
しばらく黙った。
「……それだけ?」
「それだけだ」
「アルベルトさんは納得した?」
「しなかった」
即答だった。
その言葉で、ディーンの身体が少しだけ椅子へ戻った。
アルベルトは続ける。
「だから治癒魔術を学んだ」
若い頃に見た、失われた腕が戻る光景。
それ以前から治療師として学んではいたが、その出来事から治癒魔術を見る目が変わったのだという。
初級を使った。
中級を学んだ。
上級まで到達した。
傷を診た。骨折を診た。火傷を診た。潰れた肉を診た。指が切れた患者では、切断された指が残っていれば元の位置へ合わせて治療した。うまく繋がったこともあれば、うまくいかなかったこともある。
古い記録も集めた。
王級治癒魔術を使ったとされる治療例も読んだ。
可能なら、その場にいた者にも話を聞いた。
「じゃあ、再接合はできる?」
「場合による。切断された部位が残っていて、損傷が少なく、時間が経ちすぎていなければな。だが、私には失われた部位そのものを作り直すことはできない」
「王級ならできる」
「少なくとも、私はそれを見た」
「どうして上級じゃできない?」
「分からん」
「何が違う?」
「分からん」
「使う魔力?」
「それだけなら、話は簡単だっただろうな」
ディーンは黙った。
アルベルトが使えるのは上級までだった。
なら、この人にも限界がある。
最初はそう思った。
だが話を聞くほど、その考えは薄れていった。
「傷が閉じても痛みが残ることありますよね」
「ある」
「中が治ってない?」
「そういう場合もある」
「何が治ってないか調べた?」
「調べた」
アルベルトは棚から一冊の古びた帳面を持ってきた。
開く。
細かな文字が並んでいる。
傷の場所。
深さ。
治療に使った術。
治療直後の状態。
翌日。
三日後。
七日後。
同じような記録が何頁も続いていた。
「これ、全部?」
「一部だ」
「他にもある?」
「あの棚の下二段だ」
ディーンは振り返った。
本だと思っていたものの一部が、すべて記録だった。
「……全部見ていい?」
「今日は駄目だ」
「なんで?」
「話をしに来たんじゃないのか」
「そうだった」
紙へ視線を戻す。
「骨折は?」
「何が聞きたい」
「骨の位置がずれてても治る?」
「術者の技量と程度による。ひどくずれたまま治療すれば、そのまま癒着することもある」
「じゃあ治癒魔術は、元の形に戻してない?」
「そう単純でもない」
「なんで?」
「欠損の再生では、失われた形が戻る」
「……変だ」
「ああ」
ディーンは顔を上げた。
アルベルトもこちらを見ていた。
「変ですよね?」
「だから私は何十年も調べている」
その言葉に、ディーンは何も返せなかった。
初めてだった。
これまで、ディーンが疑問を口にすると、大人は何かしら答えようとした。
魔力が水になる。
治癒魔術は自然治癒を早める。
詠唱するから魔術が出る。
説明できなければ、そういうものだと言う者もいた。
アルベルトは違った。
分からないことを、分からないまま残していた。
しかも、放っておいたわけではない。
何十年も見ている。
試している。
記録している。
それでも分からない。
ディーンは紙の最後を見る。
一番大きく書いた問いが残っていた。
「じゃあ……」
一度、言葉が止まった。
「治癒魔術って、何をしてるんですか?」
アルベルトはすぐには答えなかった。
長い沈黙だった。
机の端に置かれた紙を指で一度撫で、それからディーンを見る。
「分からない」
それだけだった。
ディーンは待った。
続きがあると思った。
なかった。
「……アルベルトさんでも?」
「ああ」
「ずっと調べてるのに?」
「ああ」
「上級まで使えるのに?」
「使えることと、分かっていることは違う」
ディーンは黙った。
その言葉はよく分かった。
自分も火を出せる。
水を出せる。
土を動かせる。
風を起こせる。
だが、それらがなぜできるのかと聞かれれば、答えられない。
「自然治癒を早めてるだけじゃない?」
「私はそうは思っていない」
「じゃあ何?」
「それが分からないと言っている」
「身体が元の形を知ってる可能性は?」
「あるかもしれん」
「ないかもしれない?」
「もちろんだ」
「どうやって確かめる?」
「それも考えている」
「何か方法ある?」
「今のところ、決定的なものはない」
ディーンは一つずつ聞いた。
アルベルトは一つずつ答えた。
知っていることは答えた。
実際に見たことは、見たと言った。
人から聞いたことは、聞いた話だと言った。
記録にしかないことは、記録にあるだけだと言った。
自分の考えなら、考えだと断った。
そして分からないことには、分からないと言った。
質問を続けるほど、ディーンの中にあった期待は小さくなっていった。
同時に、アルベルトという人間への信用は大きくなっていった。
だから困った。
この人が適当な人間ならよかった。
本に書かれたことをそのまま話しているだけなら、別の人を探せばいい。
あまり調べていないのなら、もっと調べている人を探せばいい。
けれど、違った。
アルベルトは見ていた。
ディーンが生まれるよりずっと前から。
治していた。
記録していた。
考えていた。
それでも答えを持っていなかった。
詳しい人に聞く。
これまで何度も使ってきた方法だった。
その先にいると思っていた人間まで来た。
そこにも、答えはなかった。
*
治療所を出た頃には、日が傾いていた。
ユリウスと並んで歩く。
「どうだった?」
「分からなかった」
「そうだな」
「アルベルトさんも分からなかった」
「ああ」
それきり、ディーンは黙った。
ユリウスも何も言わなかった。
宿へ戻る。
机へ座る。
紙を広げた。
『本』
『現物』
『詳しい人』
以前から使ってきたものを書く。
本は読んだ。
自分でも治癒魔術を使った。
患者の傷も見た。
ユリウスにも聞いた。
アルベルトにも聞いた。
紙の上で筆が止まる。
何をすればいい。
いつもなら次に見るものがあった。
別の本。
別の魔物。
別の実験。
別の人。
今回は、それが浮かばなかった。
アルベルト以上に治癒魔術を調べている人間を探せばいいのかもしれない。
王級治癒術師を探す。
実際に四肢が再生するところを見る。
それも必要だ。
だが、見たところで分かるのだろうか。
アルベルトも見た。
それでも分からなかった。
ディーンは椅子の背にもたれた。
天井を見る。
「……分かんないな」
小さく呟いた。
答えが分からないのではない。
次に何をすればいいのかが、分からなかった。
それは初めてだった。
しばらく、そのままでいた。
やがて身体を起こす。
紙を見る。
『本』
『現物』
『詳しい人』
その下に、一本線を引いた。
分からない。
なら、終わりか。
「……違うな」
それだけはすぐに分かった。
分からないからやめるのなら、そもそもここまで来ていない。
方法が足りない。
知っていることが足りない。
見たものが足りない。
なら、増やせばいい。
何を増やせばいいのか分からないなら、それも探せばいい。
ディーンは新しい紙を出した。
翌朝、もう一度アルベルトの治療所へ向かった。
*
「また来たのか」
「はい」
「昨日で聞きたいことは終わったと思っていたが」
「増えました」
アルベルトが少しだけ笑った。
「座れ」
「ありがとうございます」
ディーンは椅子へ座った。
「アルベルトさんより治癒魔術に詳しい人、知ってますか?」
「随分な聞き方をするな」
「もっと丁寧にした方がいいですか?」
「いや。意味は分かる」
「いますか?」
「いるだろう」
「誰?」
「知らん」
「王級治癒魔術を使える人は?」
「いる。だが、私がすぐに紹介できる相手はいない」
「その人に会えば、治癒魔術が何してるか分かると思いますか?」
「分からん」
「じゃあ、治癒魔術じゃない人は?」
アルベルトの眉がわずかに動いた。
「どういう意味だ」
「治癒魔術だけ見てても分からないかもしれない」
ディーンは紙を広げた。
そこには昨日の夜に書き足したものが並んでいた。
『魔物は詠唱しない』
『人間は詠唱する』
『俺は詠唱しなくても使える』
『傷は勝手に治る』
『王級なら、勝手には治らないものも治る』
『水は残る』
『火は消える』
「全部、魔力使う」
アルベルトは紙を見る。
「治癒魔術だけ違うものなのか、まだ分からない」
「……なるほど」
「だから、治癒魔術じゃない魔術を調べてる人にも聞きたい」
「何を?」
「まだ分からない」
「それでよく会いに行こうと思えるな」
「話したら分かるかもしれない」
アルベルトは椅子へ深く腰を下ろした。
しばらくディーンの紙を眺めていた。
「ラノア魔法大学は知っているか?」
「知ってます」
村にいた頃から名前だけは聞いていた。
魔術を学ぶ場所。
それくらいの認識だった。
「行ったことは?」
「ないです」
「そうか」
「治癒魔術に詳しい人いる?」
「いる」
「本は?」
「ここより遥かに多い」
「魔物については?」
「研究している者はいるだろう」
「魔術陣は?」
「当然いる」
「魔力そのものを調べてる人は?」
「いるはずだ」
「古い治療記録は?」
「大学の蔵書なら、私が持っていないものも相当数ある」
質問するたびに、ディーンの身体が少しずつ前へ出た。
「王級治癒魔術の記録も?」
「あるだろう」
「見られる?」
「学生や研究者ならな。すべて自由というわけではないが」
「研究者?」
「魔術を教えるだけの場所ではない。魔術を調べている人間もいる」
ディーンは黙った。
それは知らなかった。
学校とは、知っている人間が知らない人間へ魔術を教える場所だと思っていた。
だが、それだけではないらしい。
「その人たちも、分からないこと調べてる?」
「それが研究というものだ」
「……いっぱい?」
「何がだ」
「そういう人」
「少なくとも、この治療所よりはな」
ディーンは紙へ視線を落とした。
治癒魔術。
魔物。
魔術陣。
魔力。
古い記録。
それぞれを調べている人間がいる。
そして本がある。
自分がまだ知らない本が。
自分がまだ会ったことのない人間が。
「そこに行けば、分かりますか?」
アルベルトは少し考えた。
「分からん」
ディーンは顔を上げる。
「大学にも答えがないかもしれない?」
「当然だ」
「……そうですか」
「そんな顔をするな」
「どんな顔?」
「知らん。だが、私は答えがあるとは言っていない」
「じゃあ、なんで教えたんですか?」
アルベルトはディーンが広げた紙を指差した。
「君はもう、私一人に聞いて済むことを調べていないからだ」
ディーンも紙を見る。
「私は治癒魔術を調べてきた。今でもそれを調べている。だが魔物の生態には詳しくない。魔術陣も専門ではない。魔力そのものについても、知っていることは限られている」
「大学なら全部分かる人がいる?」
「そんな人間はいないだろう」
「じゃあ――」
「違う人間がいる」
ディーンの口が止まった。
「治癒を調べる者。召喚を調べる者。魔術陣を調べる者。魔道具を作る者。魔物を調べる者。私とは違うものを見て、違うことを考えている人間がいる」
「……」
「答えがあるとは言わん」
アルベルトは言った。
「だが、君が次に何を調べればいいのかを探すなら、ここよりはいい」
ディーンはしばらく黙っていた。
「遠い?」
「遠い」
「金かかる?」
「当然だ」
「寒い?」
「かなりな」
「本、高い?」
「それは知らん」
「大学にあるなら買わなくても読める?」
「……君はそこが一番重要なのか?」
「かなり」
アルベルトが初めて声を出して笑った。
ディーンは何がおかしいのか分からなかった。
だが、もう頭の中では別のことを考えていた。
ラノアまでの道。
旅費。
宿代。
途中で受けられる依頼。
必要な防寒具。
大学へ入る方法。
そこで何が見られるのか。
「行ってみます」
アルベルトの笑いが止まった。
「決めるのが早いな」
「ここにいても分からないので」
「ラノアでも分からないかもしれんぞ」
「はい」
「何年かかるかも分からん」
「それは今も同じです」
アルベルトはディーンを見た。
やがて、小さく頷いた。
「そうか」
ディーンは紙を畳んだ。
答えは得られなかった。
治癒魔術が何をしているのかは、昨日までと同じように分からない。
王級治癒魔術が、どうやって失われた腕を作り直すのかも分からない。
身体が元の形を知っているという考えが正しいのかも分からない。
アルベルトにも分からなかった。
それは、ディーンにとって大きな手がかりを一つ失ったのと同じだった。
けれど、問いまで失ったわけではない。
むしろ逆だった。
一人の人間が何十年も調べて、それでも分からない。
なら、簡単な問いではなかったということだ。
ディーンは立ち上がった。
「ありがとうございました」
「何も答えていないぞ」
「でも、分からないって分かりました」
アルベルトは少しだけ目を細めた。
「それは役に立ったか?」
「はい」
ディーンは少し考える。
「かなり」
治療所を出ると、空はよく晴れていた。
宿へ戻ったら、まず地図を買う。
ラノアまでいくらかかるのか調べる。
それから大学へ入る方法も知らなければならない。
やることは多い。
ディーンは歩きながら、鞄の中の紙を指先で確かめた。
答えはなかった。
だから、探しに行く場所を広げることにした。