閲覧、及び誤字脱字報告本当にありがとうございます。助かっております。
春季県大会を優勝した俺達の次の目標は春季東海地区大会だ。東海大会は愛知、岐阜、三重、静岡の上位4校が集まって戦う
大体五月下旬くらいにやることになる、勝ったからといってシードが貰えたりする訳じゃないんだが、レベルの高い相手と夏前に戦える良い機会になる
何より俺にとってはポイントが旨い。試合は練習より効率が良いから数をこなしたいんだ
もちろんチームにとっても良い機会になる…ベンチ入りの最終選抜もこの辺りになるだろうな
──今のチームはかなり調子が良い。県大会を優勝して自信もついたし、戦い方がハッキリした
ここで考えるのが新一年生だ。去年の夏に予選から俺と
新一年は15人。監督が早速投手陣の見極めをしてたり、野手も
今のところ可能性ありそうなのが二人。左
今のレギュラーは
投手は何枚いても良い…20人の内何人を投手にするかはチームによって異なるけど、大体4~5人くらいだ
今のベンチメンバーは俺と
正直この夏を戦うだけならあんまり入れる必要はない。でも下の育成もやるべきことの一つなんだ
前澤は125キロ出るし、コントロールも安定してる。体はひょろっとしてるからまだ伸び代もある
実戦で投げることは良い経験、育成になるはず…監督もそう考えてるはずだ
何よりセンスを感じる。投球術の妙っていうのか…ここぞで良い結果が出せるような雰囲気を感じる
何にせよまずは東海大会だ。勝ちきって勢いをつけるぞ!
◇ ◇ ◇
──春の東海大会。
この頃になると東海地区ではもう
それでも取れる手段は限られる。大脇はバントや粘りでペースを乱そうとした
しかし水流にそれは通用しない。序盤は150km/h超えの真っ直ぐを中心に押す投球を、中盤以降は変化球を主軸に躱す投球を披露し九回を完封した
打線は
──二回戦の相手は静岡の古豪、
ここで
この先強豪相手に水流がどうしても投げられない場面はある。球数制限や連投の疲れも出てくるだろうと考えた末の采配だった
──試合は乱打戦に突入した。岸本は三回までは抑えたが
蓮華打線も相手先発を打ち砕き、早々に引きずり下ろす。両チーム投手を注ぎ込んだ試合は6─9で蓮華学園の勝利
打線は全体的に打ったがこの試合は半田が爆発。2ラン
登板した投手で活躍したのは田中。冬を経て新しく習得したカットボールが冴え渡り三回を1失点に抑えた
──決勝戦。相手校は岐阜一位の
岐阜県の超名門で甲子園通算4度の制覇を誇る古豪、強豪だ
先発は水流。中二日だが休養は十分
県岐農は足を使った揺さぶりと得点を狙う作戦を立てた。どの打者もレベルが高く序盤から球数を使わされる
塁上の揺さぶりや隙を見た盗塁などで中盤以降チャンスを作るが、要所を締める投球で点を許さない
打線は相手先発の多彩な変化球への対応に苦戦したが、四回に水流の
その後は
終盤ゲッツー崩れの間に一点を失ったが、九回を完投し1─3で勝利
蓮華学園は春季県大会に続き春季東海地区を優勝し、春の東海地区を完全に支配したのだった
◇ ◇ ◇
──あれから俺達は夏に向けて最終調整に入った。全員でケース別の作戦や状況別の守備などを練習し、練習から限りなく実戦に近く。試合感を失わないようにした
夏は一発勝負だ、負ければ次はない。俺達は二年だけど、三年の先輩達には本当にお世話になった…ここまで抑えられたのは先輩達の守備のおかげだ。最初の方に戦力化できてないとか言ってた自分をぶちのめしたくなるな…
愛知県内の強豪とはは殆ど試合済み…とはいえ夏までにチームは変わってくるだろう。舐めてかかる事だけはしない
──やるぞ。今年の夏、全国のどのチームより長くグラウンドに立つのは俺達だ!
◇ ◇ ◇
そして6月の下旬。夏の大会が始まった
蓮華学園は春の県大会で優勝しシードを獲得した為出場は三回戦から。猛暑のなかこれは大きなアドバンテージだ
蓮華学園は予選を順調に突破。格下の高校は控えの投手陣がしっかりと抑え、中堅強豪は水流が完璧に抑えていく
昨年から変わったのは打線。以前の貧打が嘘のように打ちまくり、コールド勝ちもあった
水流、半田、神田の二年生クリーンナップが長打を連発し破壊力を見せつけていく
スカウト達は水流の能力は当然として、春から投げ続けてもなお全くの疲れも怪我も見えない強靭な肉体を評価し始める
ベスト16、五回戦で蓮華学園は
水流は全く危なげない投球を披露。昨年夏のリベンジに燃えMAX154km/hを連発した
打線も瀬尾、遠藤のタイムリーなどで順調に得点を重ね、0─5で勝利
その後もベスト8、ベスト4と勝利し、いよいよ決勝戦。相手は春の県大会で最も水流を追い詰めた
甲子園を賭けた一戦が今、始まろうとしていた
◇ ◇ ◇
「いよいよだなお前ら。ここまで良く戦ってきた…」
誰もが興奮し緊張しているが、萎縮してはいない。春から積み上げた『勝つ』という経験がチームを急激に成長させていた
「いいか!ここがゴールじゃない、今日この試合を勝って立つのはスタートラインだ!いくぞぉ!」
「「「おう!」」」
チームの闘志に火が着き、全員の体の底から力が溢れ出る。過酷な夏の日程をこなし選手の体にはダメージが刻まれているが、それをカバーして有り余る気力だ
スターティングメンバーは一番
全国高等学校野球選手権愛知大会、決勝戦が今始まった
◇ ◇ ◇
──試合は膠着した。水流は前回の試合の反省を活かし真っ直ぐを中心に攻め、取れるところまで三振を取りに行った
対する東朋の先発もランナーを出しつつもボールゾーンを上手く使い蓮華打線の打ち気をそらしていく
試合が動いたのは五回表、2アウト一、二塁で打席には半田
カウント2B1Sからの四球目──
「フシュッ!」 ギュカッ
カァン!!
外角低めのツーシームを叩くと、打球はライトの頭を越える
──六回の裏、東朋打線は真っ直ぐに何とか食らいつき先頭四球をもぎ取ると、バントと進塁打でランナー三塁とする
水流が変化二つで簡単に追い込むと、三振を取りに行った三球目
「フンッ」 シュゴオオオオ!!
キンッ!
真ん中に入った真っ直ぐを弾き返され打球はセンターへ。東朋が一点を返す
──その後はお互いに攻めるも点は入らず、2─1のまま九回の裏へ突入した
◇ ◇ ◇
とうとうここまできた…あと三人!絶対に抑える!
三振が取れるならそれが一番…でもここは丁寧に、低めに集めてるんだ。後ろは頼りになる!
──初球シンカー…いけっ!
「ウラアッ!」 ククッ
スパッ 「ストライク!」
よしっ初球入った!次は真っ直ぐ…しゃあっ!
「オァアッ!」 シュパアアア!!
「くっ」 ドパァン!
空振り!…落ち着け、一球ボール挟んで…
「ボール!」
決めるぞ、スライダー…いけえっ!
「オラアッ!」 ギュカッ
ギィン!
サード!響頼む…おっけー!
「ワンアウトー!」「響ナイスプレー!」「いいぞ水流!」
二人目、真っ直ぐ低めに…そらっ!
「シッ!」 シュカアアア!!
──甘い!
カキィン!!
やられた!レフト…太田!取ってくれぇ!
ダッダッダッ ──バシィ!
「うおおおおお!」「ナイスプレー!」「ツーアウト!」
…あっぶねぇ!やばいやばい…球速は出てるのに甘くなったらしっかり振ってくる…これが名門の意地!
──それでも、ツーアウトだ…あと一人だ!
真っ直ぐ、気合い込めて...打てるもんなら打ってみろ!
「オラァ!」 ゴオオオオッ!!
ドバァン!!
「ストライーッ!」
もういっちょ真っ直ぐ…いけええっ!
「フシッ!!」 ゴアアアアッ!!
ズバァン!!
「ストライクツー!」
追い込んだ!あと一球…最後は!
「オオアッ!!」 シュバアアアッ!!
──スパァン!!
「ストライク・スリーッ!ゲーム!!!」
っ……!
勝った……!
「よっしゃああああ!」
「うおおおおおお!」「やったあああ!」「勝った!勝った!」「甲子園だぁ!!」「よかった…よかった!」「ナイスゲーム!」「ようやったぞ!」
──勝った!勝った!!俺達が王者だ!
夢にまで見た甲子園…全国の舞台!あそこへ俺達が!
◇ ◇ ◇
──試合終了。2─1で蓮華学園の勝利。次の舞台は甲子園へ移っていく。今はただ、チームは歓喜の瞬間を噛み締めていた……
誤字脱字報告していただければ幸いです。