「
「「「はい!」」」
監督の激が飛ぶ、今日は共栄との準々決勝だ。
準々決まで来ると球場の人入りも凄いことになってる、観客の数が尋常じゃないぜ…
強豪校の応援は人数も熱量もハンパない。正直アウェー感すらある…俺たちも地元なのに。まあこれは俺が勝手に感じてるだけだけど
今日の先発はもちろんエースの
スタメンはいつもと変わらず俺も6番ライトだ。正直ブルペン待機もあるかもと思ってたけど監督は鷲山先輩に託すことにしたみたいだな。正解だと思う
…やっぱ緊張するな。いつもは能天気な
……始まる。さあ行くぞ、ダッシュで守備位置までGOだ!
◇◇◇
「プレイ!」
試合開始 先行の共栄の攻撃。共栄の先頭打者は左打者。ここまでの大会打率は四割を越えている
そのデータを元に監督と三年バッテリーが出した戦い方はとにかく
高校生の制球力だとコース際を攻めるのは難しく当ててしまう、甘く入る可能性があること。また高校野球の審判は一般的に外に広くストライクを取ること。そして高校生のパワーと近年導入された低反発バットの影響で、打球が上がりずらいということ
これら総合して基本は外角。出来るなら
しかし共栄は強豪校。140キロにギリギリ届かない鷲山のストレートで外中心に攻めても二順目には打ち崩されてしまうと判断した。それゆえの作戦である
鷲山のコントロールでは四隅は狙って突けないが大雑把に内角を狙うことは出来る。球が適度に散るのも打者は狙いを絞りづらい場合がある
ランナーが出ても内角直球とフォークを投げまくる。山田のブロッキングを信じて落とす。そうして勢いと攻めの気持ちで挑まなければたちまちに飲み込まれてしまうだろう
山田が内角にミットを構え真っ直ぐのサインを出す。鷲山は頷き投球モーションに入る
足を大きく上げ体が深く沈み込む。左足で踏み込みリリースポイントは限界まで低く、そして前で放す
「オラァッ!」
シュパァーーーーッ バシンッ!
「ストライク!」
真っスラ回転で打者に食い込んだボールは見逃しでワンストライク
続けて内角真っ直ぐ。一球目と全く同じサイン
「ウァ!」
シュァーーーッ キンッ!
内角の球をバッターが打ち上げる、高く上がった球はセカンドのグラブに収まり先頭を打ち取った
「ワンアウトー!」「球走ってるよー!」「いいぞ鷲山!」
打ち取られた先頭バッターがすれ違いざま二番打者に伝える
「ちょっとカットするぞ、後結構低めから来る感じ」
「オッケ。監督が上から強く叩けってさ」
「りょーかい、まあ打てない球じゃないべ」
軌道やフォームが多少特徴的でも強豪には才能溢れる選手と受け継がれたノウハウや経験がある。共栄の選手たちは鷲山のボールを驚異とは思っていなかった
二番打者が打席に入る、右打者で夏の打率は3割強。小技と足のある選手だ
ここも内角に構えサインはフォーク。山田が両手で低く低くとジェスチャーを送る
「フッ!」 「ボール」
内角のフォークを見逃してボール。やや低すぎた。打者はポイントを後ろに置きボールを見るようだと山田は感じた
次も当然内角高め。直球のサイン。徹底して内を攻める
「ウラァ!」 「ボール」
これも外れた。今度は高すぎる。バッターの雰囲気に投げづらさを感じるのかそれとも自分で相手を大きく見せてしまっているのか。いつもの良さが消えてしまっている
今度はど真ん中に構えサインはフォーク。とにかく腕を振れ!と目で伝える
「ンッ!」 「ストライク!」
真ん中から落ちたフォークはゾーン低めに決まりワンストライクをとる
次は内角。サインはフォーク。さっきよりもやや低く構える
「シッ!」 ギィン!
叩きつけたゴロはサードへ転がり半田がとって一塁へ送球してツーアウト。しかしタイミングはギリギリだった
そのスピードに半田は内心で戦々恐々とする
(あっぶない。凄い足してるな…ちょっとでも
二番打者がベンチに戻り四番打者に情報を伝える
「フォーク結構落ちるよ。あと基本内しかこんと思う」
「おう。真っ直ぐのカットどんなもん?」
「結構動くね、最初は打ちにくいかも」
三番打者が打席に入る。この夏好調の左打者。長打を警戒し山田が外野にバックするよう指示を飛ばす
やはり内に構える。サインは直球
「オオッ!」
投げ込まれた真っ直ぐはやや真ん中よりに甘く──
カキィン!
センターへ高々と打球が上がっていく、センターが下がり、下がり、下がり──
─打球はグラブへ収まった。スリーアウトで三者凡退スタート。しかし空振りをなかなか奪えず三番には捉えられた
苦しいピッチングになるとバッテリーと監督は思うが、それでもこれで攻めるしかないのだ
◇ ◇ ◇
変わって一回の裏の蓮華学園の攻撃。先頭一番右打者の三年が打席に入る
「フッ!」
ゴオオオオオッ! ズバァン!
共栄先発の春場のストレートは唸りをあげて打者へ向かってくる
初球真ん中の144㎞/hストレートを空振り。二球目外高め143㎞/hストレートを空振り。三球目外スライダーを空振りで三球三振ワンアウト。手も足も出ない
二番の山田に情報を伝えようとするがとにかく速い、曲がる、エグいとしかいいようがない
山田が左打席に入る。初球は外低めのストレート144㎞/h。バットを出すが下を振ってしまう
「フンッ!」
二球目。真っ直ぐにタイミングを合わせていた山田にチェンジアップが投じられる。スイングを崩され、当てるだけのピッチャーゴロでツーアウト
山田が三番の鷲山に声をかける
「引き付けて何とかするしかない。真っ直ぐ待ってるとやられるぞ」
「おん。わかった」
鷲山が右打席に入る。初球の内角ストレートに手を出すが振り遅れファールになる
(思ったより速い…)
二球目のスライダーが高く浮いたが低めに目付をしていた鷲山はバットが出ずストライクツーとなる
本来なら打てる球でも打てなくするMAX146㎞/hの直球の持つ実際の威力と、イメージの威力の両方が遺憾なく発揮されていた
三球目のストレートはボール1個分ストライクゾーンから低かったが勢いに思わず手が出てしまう。セカンドへ弱いゴロが転がりスリーアウトとなった
◇ ◇ ◇
ベンチの監督
(何とか春場を崩さんことには勝ち目がない……しかし真っ直ぐに絞っても下位打線じゃまともに前にも飛ばないぞ)
(鷲山の調子は悪くない…何とか先制点をとれないものか……)
監督は割りきって指示を出すことにした
「全員真っ直ぐが変化どっちかに絞って対応しろ!どっちもベルトより上を狙え!変化は基本右相手はスライダー、左相手はチェンジアップだ!四球待ちは通用しない。打って勝つぞ!」
「「「はい!」」」
チームの意思を統一する。今の攻防で全対応して打ちにいってもどうにもならないのは選手全員が理解した。とにかく相手の投げミスを逃さないこと、投げミスがなければゴメンナサイ作戦で行くことを決めた。腹を括ったのだ
◇ ◇ ◇
カキィン!!
四回の表、ワンアウトランナー二三塁で四番に投じた真っ直ぐは、右中間を割るツーベースヒットとなり、共栄が2点を先制した
「タイム!」
山田がタイムを取り、内野手がマウンドに集まる。特に何を話すでもない、作戦は変わらす内角攻めだ。このタイムは間を切るためのタイムである
「球は来てるぞ、思い切り腕振れ!」「俺んとこ打たしてこい!」「2点なら何とかなるよ!」
それぞれ鷲山に声をかけ、定位置に戻っていく。その後鷲山は何とか後続を押さえた
◇ ◇ ◇
「くそっ!」
八回の裏の三打席目…全く目が慣れない!今のところ
鷲山先輩は八回の表までを3失点で辛くも食い止めてる。これじゃ見殺しだよ……
「シッ!」 「ストライクツー!」
ああカスリもしねぇ!真っ直ぐが速すぎる!狙っても打てん…
「フンッ!」
真っ直ぐ、外、低い──低い!
バシィン!
「ストライク!バッターアウッ!」
くあぁ……アウトローいっぱい…だめだぁ…
これでツーアウト。後ろも期待できないし勝ちの目がほぼなくなってしまった。ベンチもお通夜だし…
……なんか様子がおかしいな、鷲山先輩に何かあったのか?
「水流。すまんがブルペンに入ってくれ。鷲山の爪が割れた」
「はい!」
えっまじか。いま
まさか投げる可能性出てくるとはとは思わなかったな。絶対打たれる…いや!それでもやるんだ!ここでポイントを稼ぐ。経験も積む。いや一番は畑中先輩が抑えてくれることなんだけど…
◇ ◇ ◇
9回表の共栄の攻撃は容赦がなかった。回の頭から登板した畑中は初球の真っ直ぐをセンターに弾き返されるとその後制球が定まらない。四球を与え一二塁にすると置きに行った真っ直ぐをスタンドにぶち込まれ3ランホームランを浴びた
ワンアウトも取れず3失点を喫しスコアが6─0になったところで、水流の登板がアナウンスされた
◇ ◇ ◇
結局こうなったか…何とか試合を締めないと
「とにかく低めに集めて手を出させるぞ。四球もこの際仕方ない。少しでも甘く入れば持ってかれるからな」
山田先輩がそう言う。俺もそう思う。はっきり言って失点を抑えるとか裏の攻撃に繋がる投球を…とか言ってられないからな
──さあ先頭バッター。難しいことは考えない。無心であのミットへ投げ込むだけだ!
「フシッ!」
シューーーーーッ スパンッ!
「ストライク!」
よしっアウトローいっぱい!今日調子良いかも…
「フシュッ!」
これも良いボール!同じとこに… カンッ
セカンド!
「ワンアウトー!水流いいぞ!続けていけ!」
何とか低めに集めて…サインはスライダーか
「ウッ!」 「ストライク!」
低めギリギリ、審判結構広く取ってくれてるな…ありがたい
…次は真っ直ぐ。ここもアウトロー…
「フシッ!」 カキィン!!
うわっいかれたか!?サード…取った!助かったぁ!
「
「任せろ!打たせてこい!」
いや助かった!これでツーアウトだ。三人で取ってやる!
…低め真っ直ぐ、ギリギリを狙って…いけっ
「フシッ!」 「ストライク!」
カンペキ!今日調子良いわ!次はカーブ、ここは外す…
「シュッ!」 「ボーッ!」
よし、これで緩急が効くはずだ。真っ直ぐで差し込む!
「ウッ!」 カンッ
崩れた!セカンド……よしっ!スリーアウト!
「しゃっー!」「ナイスピー水流!」「良く守った!」
まさか三者凡退でいけるとは思わなかった!いやぁ出来すぎ!でもよかったぁ…
…まあこの点差だからあんまり喜べないけど。せめてヒット一本は打ちたいよな……
◇ ◇ ◇
「「「ありがとうございました!」」」
試合終了。スコアは6─0で共栄の勝利
蓮華学園は共栄先発の春場の前に完全に沈黙。ノーヒットノーランを達成された
山田や鷲山三年生の高校野球はここで終わり、秋の大会へと新チームの構築が急がれる
水流は主力の抜けたチームで大会を勝ち抜くために夏稼いだポイントの使い方を考えるのだった
システムに表示はされませんが調子が設定されています。春場も水流もこの試合は好調でした
春場 能力値
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守備位置 投
投手能力
球速 146㎞/h
コントロール B76
スタミナ C69
スライダー 変化量4
チェンジアップ 変化量4
得能
キレ○
リリース○
奪三振
ゴロピッチャー
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誤字脱字報告していただければ幸いです