ウマ娘プリティーダービー 〜黄金の時代〜   作:リンゴ糖

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ありがとう/さようなら
札幌記念:夏のクロスロード


1.北の大地へ

 

 

ブラストワンピースとフィエールマンは、札幌レース場にいた。

 

「はーるばる、きたぞー函館へ♪」

 

「…札幌、だよ」

 

 

フィエールマンが、小さくツッコむ。

 

「…函館は、もっと南」

 

「そっかー」

 

ブラストは、あっけらかんと笑った。

 

───

 

札幌記念。

 

夏の北海道シリーズで唯一のG2であり、ときにG1級の顔ぶれが集まる「スーパーG2」と呼ばれる舞台。

 

今回は、秋に向けて動き出した国内組と、洋芝を試したい凱旋門賞組が顔を合わせる、そんな舞台。

 

───

 

「フィエ、今日はがんばるぞー!」

 

「うん、がんばろ」

 

拳を合わせ、互いの健闘を祈る。

ここで負けても遠征をやめる気はないが、せっかくならいい結果で挑みたかった。

 

 

 

───

 

2.再会

 

 

「…ブー、フィエ、ひさしぶり」

 

そんな二人の後ろに音もなく現れたのはワグネリアン。

 

 

「ひっさしぶりだぞー!」

 

「…元気?」

 

 

ブラストワンピースに抱きつかれながら、

フィエールマンの問いにやわらかく微笑んだ。

 

 

───

 

夏を実家で過ごした彼女は、ここを復帰戦に、秋戦線へと進む。

 

「…ワグ、お母さんに挨拶できた?」

 

「うん、一周忌にはいられないから」

「みんなにも、ちゃんとあいさつしてきた」

 

「…そう」

 

「…だいじょうぶ。げんきな姿のほうが、きっとよろこぶから」

 

ワグネリアンはそう言って微笑んだ。

彼女は前を向いている。

 

 

少ししんみりした空気が流れる。

それをぶち壊したのは、

 

 

「残念ね!」

「今日の主役は私、ペルちゃんよ!」

「ソウダネ ペルチャン」

 

「春はいまいちだったけど、勝負はこれからよ!」

「ソウダネ ペルチャン」

 

ペルシアンナイト(とアルちゃんぬいぐるみ)だった。

突然の登場に固まる三人だったが、

 

 

「そっか、よろしくたのむぞー」

「それ、かわいい」

「…自作?」

 

「アルちゃんが作ってくれたのよ!」

「ソウダネ ペルチャン」

 

ツッコミ不在の中、役者は集まっていくのであった。

 

 

 

───

 

3.札幌記念

 

レースはスタートから淀みなく流れた。

タフな洋芝、直線も短いので、有力ウマ娘は前目にポジションを取った。

 

昨年の覇者、サングレーザーが二番手追走。

ワグネリアンは四番手。

真ん中くらいにペルシアンナイト、それをみる位置で内にブラストワンピース、外にフィエールマンが並ぶ。

 

隊列を保ったまま三コーナーを抜け、四コーナーで、一団に固まる。

 

最終直線、サングレーザーとワグネリアンが前に出る。

ブラストワンピースは前の二人の間を割るように進出、

ペルシアンナイトはワグネリアンの外、フィエールマンはさらにその外から仕掛ける。

 

 

最後抜け出したのはブラストワンピース。

 

上位の五人は展開一つで入れ替わる。

そんな混戦を制し、ブラストワンピースが有馬記念以来の勝利を挙げた。

 

───

 

「やったぞー!」

 

全身で喜びを爆発させた彼女は天に指を一本突き立て、

 

「エポカ! 行ってくるぞ!」

 

友への決意を宣言した。

 

 

 

───

 

4. 夏のクロスロード

 

「それじゃ、ブーたちは行くぞ」

「…ワグもがんばって」

 

 

「…うん」

「いってらっしゃい」

 

「日本代表、がんばって!」

「キセキのことも頼んだわよ!」

 

 

「ワグ! ペルちゃん! またな!」

 

「…バイバイ」

 

道はここで分かたれた。

でもまた巡り会う。

そんな夏のクロスロード。

 

 

 

───

 

おまけ:エポカぬい

 

 

「ワグ、その話本当なんだよな?」

 

トレセン学園に戻ったワグネリアンは、ペルちゃんぬいぐるみのことをダノンプレミアムに話していた。

 

「…うん、かわいくできてた」

 

ワグネリアンはエポカドーロのぬいぐるみを作ってブラストワンピースたちに届けたいようだ。

 

「…どう、かな?」

 

「そうだね、ボク達の思いも一緒に走ってもらえたら素敵だと思うよ」

 

 

というわけで、ボク達は今、ペルシアンナイトさんとアルアインさんの部屋を訪ねている。

 

ワグネリアンが先に相談したところ二つ返事で了承。

そこからボクも参加させてもらった流れだ。

 

 

「ワグちゃん! ダノンちゃん!

いらっしゃい!」

 

「今日は講師役がんばるわ。

二人ともよろしくね」

 

 

そうして始まったぬいぐるみの会。

 

 

「それでは参考にこの間のアルちゃんぬいぐるみよ」

 

アルアインさんが持ってきたそれを見て、ボクは軽く固まった。

 

…でかくない?

 

ワグの話を聞いた時は十センチより小さいくらいのイメージだった。

 

今、目の前にあるのは三十センチくらいには見える。

 

 

「これはねー、ここ押すと声が出るようにユニット仕込んであるのよー」

「ソウダネ ペルチャン」

 

いや、なんでだよ!

でかいだけでもアレなのに、ほんとなんで!?

 

三人とも何も気にしてる様子はない。

…ボクがおかしいのか?

 

 

「あとはね、DXぬいぐるみだと、光る! 回る! 音が鳴る!

ってのもできるわ!」

 

「すごい…!」

 

もうそれはぬいぐるみじゃないと思うんだが!?

ダメだ、ワグが目をキラキラさせてる。

 

その後ボクはワグを説得し、小さめのぬいぐるみにしてもらった。

 

ワグは裁縫スキルも高く、どんどん形になっていく。

ときどきお嬢様に戻るのずるいぞコイツ。

 

 

ある程度形になったところで解散となった。

 

あとはクラスでみんなにひと針ずつ縫ってもらう。

 

みんなの思いのこもった、ちびエポカ。

ロンシャンの二人に勇気を届けておくれ。

 

友の健闘と健康を祈った。

ーーそんな一日だった。

 

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