青峰大輝 in ブルーロック 作:AIで小説を上手く書きたい!
扉が閉まると、正面の画面に制限時間が出た。
九十分。その間に、百ゴール。
左右と背後の供給口から出てくるボールを処理し、目の前のゴールへ入れる。青い光で描かれたゴールキーパーの名は、BLUE LOCK MAN。実際のキーパーの動きを基にした人工の守備役だという。
青峰は説明の終わる前にバッグを置いた。
今度は味方が持つのを待たなくていい。自分へ来た球を、自分で全部撃つ。それだけなら、こんな施設に呼ばれる前からやっている。
「始めろよ」
最初のボールは右から来た。
青峰はゴールへ向かって走り、右足で斜め前へ置いた。キーパーはゴール中央。右へ運ぶ青峰に合わせ、近いポストへ寄る。
青峰は右脚を大きく引かず、足の内側で左隅へ蹴った。
一。
次は左から、膝ほどの高さだった。
ボールを止めてから蹴れば、キーパーも正面へ戻れる。青峰は左足を横から振り、地面へ落ちる前に撃った。ボールは、移動を始めたキーパーの反対へ飛んだ。
二。
青峰は供給口を見た。
出る場所さえ分かれば、来る前に近づける。高い球なら落下点へ、低い球なら転がる先へ入る。蹴りやすい球が足元へ届くのを待つ必要はない。
背後から来た三球目には、振り向きながら足を出した。
ゴールの右側へ転がしたボールが、キーパーの伸ばした手を抜ける。
三。
最初の十本は、全て一度か二度触るだけでゴールへ入った。
青峰は右袖で額を拭った。供給口の音がすると、腕を下ろすより先に動いた。
*
「十一……もう十一点ですか」
監視室で、帝襟アンリが画面へ顔を近づけた。
青峰が腿でボールを浮かせ、まだ腰の高さにあるうちに右足で撃つ。着地した時には、シュートがゴールへ入っていた。
「ほとんど持ち直してませんね。右でも左でも、そのまま狙ってます」
絵心は隣の画面に、一次選考のV戦を出した。雪宮が青峰の右足へ滑り込む。青峰はボールを左へ引き、キーパーの上を越した。
「雪宮は、何を止めた?」
「右足のシュートです。あのまま振っていたら、当たっていました」
「そうだ。だが、青峰はそこで左に変えた」
映像を止めた画面で、雪宮の脚が青峰の右足へ届いていた。
「普通は、この体勢から左で撃とうとすれば、一度身体を起こす。守る方はその間に寄れる。こいつは起こさねえ。倒れかけたままでも、蹴れる足でゴールを狙う」
試験室では、次のボールが右へ跳ねた。
青峰は横へ脚を伸ばし、身体の外で蹴った。正面へ置き直さずに撃った球が、キーパーの手を抜ける。
「シュートの形が、決まってないんですね……」
「ああ。しかも曲芸で終わらず、枠へ入れる。姿勢を崩せば止まると思ってた守備者には、悪夢だろうな」
アンリは得点の表示を見た。一次選考でも四試合で十二得点。Zの十六点のうち、四分の三を一人で取っている。
「自分で決めるという点では、初めから徹底してますね」
「二人来たら二人抜く。三人来たら、そいつも抜く。こいつは本気でそれが一番点を取れると思ってるし、実際に取る」
絵心はV戦の続きを流した。
得点後の青峰が、雪宮へ何か言っている。中央へ戻る途中にも、相手の方を見ていた。
「ただ、入所前は練習にも出なくなっていた。それが今は、自分から相手を追ってる」
「雪宮くんに三点取られたから、ですか」
「三点で終わらず、最後まで来たからだろ。青峰のシュートにも戻ってきた。入れたら終わり、じゃ済まねえ相手だった」
アンリは映像の青峰を見た。楽しそうだと言えば、本人は怒るかもしれない。だが、ボールがない時にも雪宮を探す目は、入所前の試合資料に映っていた顔と違った。
「また戦いたい相手が、できたんですね」
「もっと上がいると思えば、勝手に動く。今までの相手で満足してたら、そもそもここへ来ねえよ」
青峰の十四本目が入った。腕で額を拭きながら、次の供給口へもう顔を向けている。
アンリは試験室の全景を見た。
「この課題だと、青峰くんには簡単すぎませんか。ボールが全部、自分に届くなら……」
「まだ難度も上がってねえだろ、アンリちゃん」
絵心はそう言って、ゴール前を指した。
「どんな球でも、どんな角度でも、何本入れられるか。まずはそこを見る。飛び出してくる百球を一人でゴールに変えるだけの技術があるかどうかだ」
「その次は、生身の選手が相手になる」
「ああ。敵が供給口みたいに、都合よくこいつへ蹴ってくれるか?」
アンリはV戦の最初へ戻した。青峰へ届く前のパスを、Vの選手が狙っていた。青峰も止まって待たず、下がってマークを引き出し、また前へ走る。
「受けるところから、奪い合わなければいけないんですね」
「自分で抜いて撃ちたけりゃ、そのボールも手に入れろ。それをやるのがストライカーだ」
絵心は試験室へ目を戻した。
「世界には、こいつが持ってからでも奪う奴がいる。そこへ行っても撃ちたいか。止められても、もう一度取りに行くか。俺が見たいのは、その先だ」
アンリも画面へ向き直った。青峰がボールを追い、相手を一人抜くように方向を変えて撃つ。
次の供給口が開く前に、もう走っていた。
*
三十ゴールで、装置が止まった。
画面に、難度が上がるという案内が出る。ゴールとの間に、人の形をした障害物のパネルが立った。
青峰は一番近いパネルへ目を向けた。いままで通していた中央へのシュートは、そのままでは当たる。右側に空間があり、奥のキーパーはそちらも見られる位置へ寄っていた。
「それで?」
低いボールが左から出た。
青峰は左足で止めるふりをし、そのままパネルの右へ流した。身体も横へ出る。キーパーが動く前に撃ち、遠い隅へ入れた。
三十一。
次の球は頭より高かった。パネルの上を越え、青峰の左肩の前へ落ちてくる。
青峰は胸で横へ落とした。ボールが地面で跳ねるより先に左足を振る。パネルに当たらない高さで飛んだボールが、ゴールの右上へ入った。
通せる隙間を見つけるまで、何度も触り直す必要はなかった。ボールが来る途中で自分の立つ場所を変え、一度目に触る時には蹴る方角を決めている。
正面が塞がれば横へ。横も近ければ、ボールが下がりきる前に撃つ。
パネルの位置に合わせ、青峰のシュートの形が変わった。
四十を越えると、汗が顎から落ち始めた。
ボールは休ませてくれない。戻る距離も一定ではなく、前の一本を右端で撃てば、次は左まで走らされることもある。
青峰は息を吐きながら左へ向かった。
機械が相手なら、こっちが勝ち始めたところで諦めたりしない。それは、外でやっていた試合よりよかった。
だが、パネルは青峰を見て守り方を変える相手ではない。
一枚の横を抜け、もう一枚へボールを当てないように撃つ。さっきより速く決めても、次の供給口が開くだけだった。
雪宮は、最後に右足へ届いてきた。
あそこで一度予定を変えた。それでも入れた。ゴールの後、雪宮は惜しかったと笑って済ませず、すぐにボールを拾いに戻った。
青峰は次の球を強く叩いた。
早く、向こうへ戻りたかった。
*
六十ゴールで、もう一度案内が入った。
最高難度。
今度は障害物が動く。供給されるボールも速くなり、落ちてくる位置を追いながら、刻々と変わるシュートコースを選ばなければならなかった。
青峰の右へボールが跳ねる。
追いつく先で、一枚のパネルが中央へ動いていた。右から正面へ持ち込めば、その裏へ入れる。ただし、その間にキーパーが近いポストを塞ぐ。
青峰は中央へ持ち込まなかった。
右へ身体を倒しながら、ボールの下へ左足を入れる。パネルが横切る前にシュートが抜け、キーパーの伸ばした手の上を越した。
六十一。
次は逆から来る。青峰はすぐに走った。
パネルの進む方を先に読み、空くはずの場所へボールを置く。読みどおりなら一度で撃てた。違った時も、そこで止まらず、足裏で引いて反対の足へ変える。
七十四本目では、供給された球が思ったより外へ跳ねた。
青峰は右へ出しかけた足を戻した。左へ踏み直し、落下点まで二歩。胸で受ければ、その間にパネルが正面を横切る。
右脚を横から振った。
ボールはパネルの脇を通り、ゴールへ突き刺さった。
青峰は片足で着地し、遅れてもう片方を下ろした。
外れた予測を、反応の速さで間に合わせた。最初の読みだけなら、今の一本は外していた。
「遅えんだよ」
通り過ぎていくパネルへ言った。
すぐに次が来た。
前へ、左へ、また右へ。身体の重さを片脚で受け、蹴り、着地して次へ向かう。供給口から出る音のたびに、青峰の足が床を蹴った。
九十九の表示で顔を上げると、最後のボールが右から出た。
中央へ運ぶ道にはパネルが一枚。その左が空くのを待てば、キーパーも中央へ戻る。
青峰は右側から直接撃つように身体を開いた。
キーパーが近いポストへ寄る。青峰は振りかけた右足をボールの横へ下ろし、左足の外側で遠い隅へ蹴った。
百。
装置が止まった。
青峰はゴールを見たまま、息を整えた。まだ残り時間はある。足は熱く、シャツは背中へ張りついていた。
百点取った。
出口が開く音で、顔を向けた。
表示されたのは、二次選考の第一段階を通過したという案内だった。その下に、次の指示が続いた。
次は三人一組。ここから出た通過者同士でチームを作り、三人揃って次の部屋へ進め。
「三人かよ」
青峰はバッグを拾った。
石狩の高さ。氷織のパス。さっきまで一緒に蹴った十人から選ぶなら、その二人だった。
*
出口の先には、長いベンチと何本かの通路があった。
先に終えた選手たちが、そこでチームを探していた。三人で次の扉へ向かう組もあれば、一人ずつ声を掛けて回る者もいる。
「青峰。まだ決まってないだろ」
二人組の一人が近づいてきた。
「俺らと来いよ。お前が前にいれば、すぐ三人だ」
「お前ら、何できんだよ」
「俺はドリブルで運べる。こいつは後ろで取る。最後はお前に出すから」
男は隣を指した。もう一人も頷く。
青峰はバッグを下ろさなかった。
「先に組みたい奴がいる」
「そいつら、まだ終わってないんじゃねえの」
「だったら待つ」
男は少し黙り、別の選手へ向かった。待っていてくれと頼むつもりはなかったし、向こうも青峰一人の返事で止まっているつもりはないらしい。
青峰は壁際に立った。
氷織のパスは、青峰が相手を引き離した瞬間に入る。もう一度止め直さずに、そのまま抜ける足へ来た。V戦では、低いパスが通らないと見ると、身体を入れられる側へ浮かせた。
誰でもあれが蹴れるなら、今ここにいる二人でよかった。
石狩は高い球へ相手より先に触れる。自分へ来なかったクロスも、空中で争う限りは石狩の武器だった。その後ろからこぼれ球を取ることもできる。
ただ三人揃えればいいとは思わなかった。
少しして、別の扉から石狩が出てきた。
「おい、こっちだ」
青峰が呼ぶと、石狩はすぐに来た。
「一人?」
「お前で二人。氷織、待ってる」
「俺も、氷織がいい」
石狩はボトルを出し、水を飲んだ。
「高い球、欲しいから」
「俺のとこに来たら俺が撃つぞ」
「こっちに来たら俺が撃つ」
石狩は座らず、出口へ顔を向けた。
青峰は横へバッグを置いた。前のチームでは、初めから誰がFWをやるかで揉めていた。今は、自分からこの相手と組むと決められる。
決めたところで、ボールを譲り合う気になるわけではなかった。
*
氷織が出てきた時、青峰は手を上げた。
「氷織。お前で三人だ」
氷織はこちらへ歩いてきたが、石狩の隣には並ばなかった。
「僕、そっちは行かへんよ」
「あ?」
「組みたい人、おるから」
氷織が目を向けた先に、黒名蘭世がいた。赤い髪の一部を編み、壁際で靴紐を結んでいる。チームYで、短いパスを何度も受け直して二点を取った選手だった。
「何であいつだよ」
青峰が聞く。
「僕が前へ走っても、返してくれるから」
「俺が前にいりゃ入るだろ」
「君の点は入るな」
氷織はそう答え、黒名を見た。
「黒名くんとは、ボールを持つ役を途中で変えられる。僕が出した後にゴール前へ走って、そこへ返してもらう攻撃もやりたい」
「俺が戻さねえからか」
「それもある。君がどう撃つかだけで、僕の動く場所を決めたくない」
青峰の眉が寄った。
氷織は続けた。
「君に出せば勝ちやすいのは知ってる。でも、別の三人でどこまで勝てるか、試してみる」
「こっちに勝つつもりで言ってんのかよ」
「そのつもりやで」
氷織は青峰の横を通った。
引き止めようとは思わなかった。来たくない相手に頼むくらいなら、別の奴と組む。
それでも腹は立った。出し先を変えられた時とは違う。氷織は青峰が十二点取るところを見た上で、向こうから勝つつもりで離れたのだ。
青峰は、黒名へ話しかける氷織を見ていた。
口だけなら、すぐ分かる。
*
「二人、空いてる?」
氷織が聞くと、黒名は立ち上がった。
「まだ俺だけ」
「なら、組まへん?」
黒名は青峰の方を見た。
「あっちと組むと思った」
「君から返してもらって、僕も前へ行きたい。Y戦でやってたみたいに」
「短く、速く。出したら次の場所へ動いてくれ」
「うん。止めんと返せる距離に行く」
黒名は頷いた。
「それなら、俺も走れる」
氷織は、奥で一人立っている清羅刃を呼んだ。清羅はこちらへ歩いてきて、二人の顔を順に見た。
「三人目?」
「空いてるで。前へ出る場所は、三人で変えていきたい」
「抜けるところがあったら、俺はそのまま行く」
清羅の返事に、黒名が頷いた。
「止めない。こぼれたら俺が取る」
氷織は二人を見た。ここでも自分の得点を譲ってもらえるわけではない。それでも、ボールを出した後に自分が走る場所はつくれる。
青峰の前で一本撃ったからといって、毎回同じことができるとは思わなかった。今の三人なら、前に出て撃つ機会を増やせるかもしれない。その選択が正しいかどうかは、まだ何も決まっていない。
青峰の隣で石狩が立っていた。
あの二人と組めば、残りやすい。その安心を手放すのは怖かった。家へ帰りたいわけではない。けれど青峰が全部決めてくれることだけを当てにすれば、青峰を止める相手が来た時、自分は何で残るのか。
黒名と短くつなぎ、清羅が抜ける方も使う。自分も前へ出て、空けば撃つ。一次選考で実際に見た二人となら、そういう勝ち方も試せると思った。
青峰と石狩を見て、氷織は一度だけ唇を結んだ。負ければ、強い方についていけばよかったと思うかもしれない。それでも、いま戻るとは言いたくなかった。
三人で登録し、次の扉へ進んだ。
*
「向こう、三人になったな」
石狩が言った。
「見えてる」
青峰は出口へ顔を戻した。
組む相手が一人足りない。だが、さっき断った二人を探しに行く気にはならなかった。
七星なら、右からクロスを上げるだけではない。V戦の最後、こちらが走り出した瞬間に、中央へ通した。相手に追いつかれる前の速い球だった。
左でも一点取っている。ボールを拾った時に必ず持ち替えるのなら、三人でやる試合では遅い。だが、持ち替えずに撃てるところも見た。
石狩が口を開いた。
「七星、待つ?」
「ああ」
「俺も、あのクロスなら欲しい」
青峰は返事をせず、開いた扉へ目を向けた。
出てきたのは、知らない選手だった。
次も違った。石狩はその間に靴紐を締め直した。青峰は壁から背を離し、通路の先を見た。
もし来なければ、ここにいる中から選ぶ。百点を取り終わった者しか組めないのだから、それは仕方がない。
だが、先ほど七星の扉が閉まった時の顔を思い返すと、出てこないとは考えにくかった。左でも入ったと何度も確かめていた奴が、百本必要と言われて途中で蹴るのをやめるとは思わなかった。
もう一度、扉が開いた。
「七星!」
息を切らした顔が上がった。
「こっち来い。お前で三人だ」
七星は水を飲んでから近づいてきた。青峰と石狩を見て、周りも確かめる。
「氷織さんは?」
「黒名と清羅のとこ行った」
「そうなんすか」
七星は少し黙ったが、すぐに青峰へ向き直った。
「俺、この二人と組みたいっす」
「だから呼んでんだろ」
「氷織さんの代わりに、後ろから出すだけならやりません」
青峰の目が細くなった。
七星は引かなかった。
「クロスは上げるし、青峰さんにも出します。でも、俺が撃てる時は撃つ。それで三人っす」
「撃つななんて言ったかよ。入れられんなら入れてみろ」
七星が頷いた。
石狩は先に登録へ向かった。青峰も歩きながら言う。
「Vの最後みてえなの、遅れず寄越せよ」
「走ってくれたら、出すっす」
七星の返事は、まだ少し息が荒かった。
*
三人の登録が終わると、奥の部屋へ通された。
壁の大きな画面が点く。絵心が映った。
「ここからは、奪敵決戦だ」
青峰は立ったまま画面を見た。
最初は三対三。五点を先に取った側が勝つ。ゴールキーパーは先ほどのBLUE LOCK MANが務め、フィールドの三人で得点を競う。
そして勝者は、負かした三人の中から一人を選んで、自分たちのチームへ加える。
「勝てば四人。次の四対四にも勝って、五人揃えればクリアだ」
七星が横の石狩を見た。
「負けたら?」
その問いへ答えるように、絵心が続けた。
「一人を奪われた二人は、下の段階へ落ちる。そこで二対二に勝てば、相手から一人を奪って三人に戻れる」
画面の図で、三つあった人影が二つになる。
「二対二で負けて、勝者にも選ばれず、一人残った奴は脱落だ」
七星の指がボトルを握った。
三人組で負けたら、誰か一人だけが上へ行く。同じ相手と組み直せる保証はない。敗者が、残す二人を選ぶ仕組みでもなかった。
石狩が画面を見たまま言った。
「相手、誰でもいいのか」
各段階にいる同じ人数のチームと、互いの合意があれば対戦できる。絵心はそれを説明し、最後に選手たちを見渡した。
「勝てると思う相手を選べ。欲しい人間がいるなら、奪ってこい」
青峰は顔を上げた。
さっき向こうへ行った氷織を、勝てばこちらへ連れてこられる。
誘って断られたところで終わりではなかった。
自分が撃つ場所も欲しいと言った相手に、五点を先に取って勝つ。あの三人の攻撃がどれだけ続くかは、こっちが止めれば分かる。
青峰は横の二人を見た。
「氷織のとことやるぞ」
石狩はすぐ頷いた。
「清羅にも勝ちたい。今度は、俺が上で取る」
七星は青峰を見てから、相手の一覧へ目を戻した。
「黒名さん、俺が見るっす。Y戦みたいに、出した後を見失わない」
それで決まった。
*
待機室には、氷織たちもいた。
青峰が近づくと、黒名が立った。氷織は三人揃ったこちらを見て、清羅と短く言葉を交わす。
「俺らとやれ」
青峰が言うと、氷織は頷いた。
「こっちも、そのつもりやった」
黒名は七星を見た。
「次も、ついてくる?」
「最後まで追うっすよ」
「じゃあ、最後まで走る」
七星の口が少し開き、それから閉じた。言い返すより、ピッチで追いつかなければ意味がないと思ったのだろう。
対戦を登録すると、ピッチの案内が出た。
縦四十メートル、横三十メートル。十一人で戦った時より狭く、ゴールも小さい。この試合ではタッチラインを出たボールを、キックインで戻す。七星はその位置を確かめ、石狩はクロスを上げられる距離を見た。
青峰は氷織へ顔を向けた。
「勝ったら、お前を指名する」
「まだ誰を取るか、三人で話してないっすよ」
七星が口を挟む。
「俺が欲しい奴を言ってんだよ」
青峰は氷織から目を離さなかった。
「そっちが誰を選ぶか悩む必要はねえ。俺らが勝つからな」
「勝つ前に決めんといて」
氷織も視線を逸らさなかった。
「僕らが五点取ったら、選ぶのはこっちや」
青峰は鼻を鳴らした。
その言い方が、まだ面白くない。だが、来る前に望んでいたのは、こっちに従う相手ではなかった。
自分に勝てるつもりでいる。しかも、どう攻めるかを三人で決めている。
だったら、実際にやらせればいい。
黒名へ渡る球を取る。清羅が狭いところへ持ち込む前に詰める。氷織が撃ちに来るなら、その足元から奪う。どれも思いどおりになるとは限らないが、百個の数字を増やす時より、試したいことがあった。
「青峰さん、最初どっちへ行くっすか」
七星が聞いた。
「前。通る方へ動くから見とけ」
「ずっと同じとこにいると思わない方がいいっすね」
「当たり前だろ」
石狩が二人の間へ入った。
「青峰が前へ出たら、俺が後ろを見る。俺がクロスへ入る時は、七星、残って」
「分かったっす。俺が持って上がったら、石狩さん、呼びます」
青峰は話を聞きながら、氷織の方を見ていた。
同じチームだった時には、見えなかった守り方をするかもしれない。自分が撃った直後、すぐ黒名へ返すかもしれない。なら、シュートを止めた後まで休ませる気はなかった。
自分で全部決めるつもりは、ここへ来る前から変わらない。
変わったのは、そう言っても相手が次の準備をやめないことだった。
案内の扉が開いた。
青峰はバッグを持ち、先に歩いた。氷織たちも反対側の通路へ入っていく。
五点先に取る。
雪宮との続きへ行く前に、まずこいつらだった。