沢渡ココは告げられる
「あてぃしの配信にようこそ〜
今日は………なーんか、変じゃね?」
スマホのインカメで配信を始めたネコ耳ヘッドホンを着けた少女、沢渡ココは違和感と嫌な予感をひしひしと感じていた。
あてぃしがあてぃしを見つめてました。
そんなアニメの歌詞みたいなフレーズが頭に過ぎる。
そして
@万年筆 さんからスーパーチャットが送られました!
「わ、スパチャありがとうござ……」
@万年筆 さんからスーパーチャットが送られました!@万年筆 さんからスーパーチャットが送られました!@万年筆 さんからスーパーチャットが送られました!@万年筆 さんからスーパーチャットが送られました!@万年筆 さんからスーパーチャットが送られました!
「にっににっ!?虹スパ!?」
コメント欄に突如として飛んできた虹スパに沢渡ココは驚き、飛び跳ねた。
【お金付きコメントがスーパーチャット、通称スパチャ。虹スパはそのスパチャの金額で色が変わる仕様を使った金持ちの遊びである。】
そして、その送り主のユーザー名を見て、先程の嫌な予感が正しかったと悟り。反射的に中指を立てていた。
「うげ〜キモっ!幽霊っちじゃんー!またぁ!?この前タコパで呼び出したばっかじゃんかよぉ〜…」
ココの牢屋敷での記憶はまだまだ新しく、苦い思い出も良き思い出も沢山ある
が。
それはそれとして消えたはずの大魔女ユキは当たり前のように配信コメント、視聴者として現れていた。
毎度焼き直しされる思い出でココの感情はぐちゃぐちゃである。
『酷い言われようですね、スパチャ送ったのに』
「えへへ、スパチャありがとうございマース!幽霊っち次は何する〜?」
どこから発生しているか不明なスパチャだが、ココの手元には配信元の運営を通してお金が来るため、少なくとも貰えるお金はクリーンである。
あといちいち考えないことにした。頻度がおおいから。
『次はエマ×ヒロの結婚式を見たいです。各々準備をしてくださいね』
「おー……遂に結婚式かぁ〜エマっちもヒロっちもメデタイネー」
沢渡ココは文面を理解するのを放棄した。
何度か経験した結論からして、沢渡ココの配信は仲間への連絡網のようなものだ、つまりココが理解する必要はない。
そんなことより貰ったスパチャで推しのおじいちゃんへのプレゼントを考えた方がよっぽど有意義な時間なのだから。
悲しいことに普段よりも視聴者が多いことから、みんなへの連絡網としては機能していることだろう。
『……幽霊っちは、牢屋敷でパソコン、うわっ俯瞰視点と目ぇ合わせんなよな、キモぉー……
お、メルちゃんもいるし』
『ナノカとお姉ちゃんは二人で見ててー』
『お嬢は目ぇ輝かしてる』
少しの間目を瞑り、魔法のコントロールをしていく。
かつて情報過多で半泣きになったのも、今ではいい思い出だ。
「よしっ
じゃあ幽霊っち、詳細教えてよ」
『ふふふ、今回も楽しみですね。』
「あー、既に心配になってきたぁぁ〜〜……」
沢渡ココはとてもいい笑顔で配信を再開するのだった。