鳴り響くサイレンを主旋律とし、銃声と爆音、そして怒声が奏でられている。大衆が聞けば足が竦むであろう音響の中、1人の男が息絶えようとしていた。ボヤける視界、腹部を覆う生暖かさと走る激痛……。意識を保っていられるのは奇跡か、神の無慈悲な拷問か。それを知る者は居ない。
「(私の目的は……果たされた)」
男は笑っていた。己の結末を知っていた。しかし、こうして果てるに相応しい『過程』を見届けた以上、後は静かに死を受け入れるのみである。
男は、とある組織のリーダーである。彼は自身の配下達に思いを馳せた。
「(約束の時だ。共に落ちよう……我が兵士達よ)」
男は静かに目を閉じた。
場面は変わり、とある議場。この場に集まっている人間たちは、いわゆる首脳陣とも呼ばれる為政者の集まりである。彼らの目の前にある巨大モニターには、自軍の進行ルートを示す太い矢印が地図の上を進み、とある地点に到達すれば緑色の円を表示する様子が映し出されていた。太い矢印は時に細い矢印へと枝分かれし、止まればそこに緑色の円が明滅する。
『
現場の兵士から告げられた吉報に、議場は小さなどよめきが起こる。最近当選したばかりの若い某国の大統領が、素直に喜びの声を上げた。それを機に数名の国家代表が喜びの声を表す。
「よし、やったぞ! 『史上最悪のテロリスト』の最期だ!」
「トップを落とした以上、指揮系統は崩壊しているだろう。掃討も容易な筈だ!」
しかし、長く
「(馬鹿者めが……。まだ気付かぬのか。我々は奴に
「(……かつて、世界は戦火に満ちていた。分断し、核を用いて睨み合っていた筈の我々が、今はこうして1つの敵を壊滅させようと手を組んでいる。
「(そう言った意味では、これは……世界の敗北だ)」
目先の勝利に喜ぶ者と、大局の敗北に顔を顰める者。議場は綺麗に二分化していた。
そして此処から先は、散った者達の物語となる。
薄暗い路地裏。ヘイローの浮かぶ少女が1人、四つん這いの姿勢となっていた。彼女の身体は小刻みに震えている。寒さではない。歓喜でもない。
「何故だぁ!! 何故……何故だぁ!!」
悲しみと怒りであった。深緑の軍服を思わせるスーツを着た茶髪の少女。右目には黒い眼帯が掛けられており、露わになっている赤い目からは涙が溢れている。
「なぜ私は生きている!! 私はあの時死んだ筈なのだ!」
彼女が目覚めたのは薄暗い廃墟。はて、此処は死後の世界かと思いつつ、偶然視界に入った鏡に映る己の姿を見て……絶望した。
「生まれ変わったと言うのか! なぜ私が……何故だぁ!!」
絶望のままに建物から飛び出し、感情のままに身体は動いた。
「誓ったのだ!
その声量は他の者達の耳にも入り、何だ何だとヘイローを持つ野次馬達が集まってくる。
「ボス……?」
その野次馬の1人が、確かめるかのような小さな声量で、呟いた。