白髪赤目巨乳に腰ヘコ夜這いされながらも閉鎖空間から脱出するために推理する話   作:ぽぶきち

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第7話

 

 

 

 

 暗い廊下を抜けると、階段があった。

 

 階段を降りると、またそこにスペースが。

 

 ダンボールなどが積まれている。

 大きめの倉庫として使用しているのだろうか?

 

 奥に進めば、また階段があり、

 

 そこを降りると、

 

 外だった。

 

 

 ‐‐‐

 

 

 明るい。

 

 

 予想通り、曇りだ。

 だが、それでも室内よりはずっと明るかった。

 

 外から見てわかったが、

 俺たちは実際に塔に閉じ込められていたらしい。

 

 塔には、外から見えるレバーのようなものがあった。

 

 おそらく、あの円卓を回して階層を下げたときに、あのレバーも連動して動くのだろう。

 

 お面をつけた女たちは、レバーの動きを感知して俺たちを攻撃してきたのだ。

 

「ここから先はなにがあるかわからない。十分に気をつけろ」

「はい…………」

 

 道は舗装されていた。

 どこかへ導くように。

 

 いや、舗装されすぎている。

 

 丁寧に突き固められた道。

 隠された建物というわけではなさそうだ。

 

 

 ‐‐‐

 

 

 俺たちは、人をみつけた。

 

 少し古めの服を着た、人だ。

 

 それも一人ではない。

 大勢いた。

 

 村人、と呼称するのがいいだろう。

 彼女らの行き交う日常のような光景が広がり、

 

 その一人が、俺たちを見つけて声を上げた。

 

 襲われるかと思った。

 だが、違った。

 

 頭を下げられた。

 お辞儀だ。

 

 老婆に至っては、地に這いつくばって頭を垂れていた。

 

 男子たちへの礼なのだろう。

 

 しばらくすると、

 責任者らしき人がやってきた。

 額から玉のように汗を流しながら、ぺこぺこと頭を下げてこちらの機嫌を伺ってくる。

 

「なんぞ、失礼がありましたでしょうか?」

「失礼?」

「いえ、祭りの間、塔にご宿泊していただく予定でしたが…………」

 

 なにやら、認識の齟齬があるみたいだった。

 ハートが、おいおい、とアキの肩に突っ伏して嘆いていた。

 ……ちょっとアキがにやけている。ナツみたいだ。

 

 クラブが、彼らに話す。

 

 記憶喪失について、

 脱出したことについて、

 襲われたことについて、

 ────死体について。

 

「あなたたち以外に、オコト様は…………」

「オコト……?」

「い、いえ、あなたたち以外に、男子様はいらっしゃりませんでしたか?」

「いたけど、それが死体なんだ」

 

 その女性────村長らしい──は、顔を青ざめさせた。

 

 すぐに、近くのものを呼び、塔に確認に向かわせた。

 白衣に着替えたものたちが、俺たちが来た道を逆らって進んでいく。

 

 

 それから、

 

 死体が運び出された。

 

 

 

 ‐‐‐

 

 

「オコト様………………」

 

 村は、祭りの日らしかった。

 

 だが、中止となった。

 この村唯一の男子であった、オコト様が死体で発見されたからだ。

 

 村の全員が泣いていた。

 いくら村唯一の男子の死だとしても、ここまで手厚く、子どもさえ泣きじゃくる葬式は見たことがない。

 

 きっと、慕われていたのだろう。

 

 三人の巫女服の女子が、棺にすがりついて哭泣していた。

 

 人は、本当に大事な人間を失ったとき、あのように泣くのか。

 自分にも、あのように誰かを想えるのだろうか。

 

 葬式の日であっても、

 俺たちには豪勢な食事が振る舞われた。

 

 といっても、クラブが村民の意を汲んで控えめなものにしてもらったが、それでも塔での少し質素なものと比べれば豪勢だ。

 

「御前、良いですかな」

 

 一人の糸目の女性が、

 俺たちの前に座り込んだ。

 

 その隣には、さきほど棺にすがりついて泣いていた三人の少女たちがいた。

 巫女服。だが、ところどころ切り取られて踊り子のようでもある。口半分を隠す面布までつけていた。

 この村の、儀礼的に重要な存在なのだろう。

 

「この村で教師をしている、カサネというものです。

 ご事情、村長から聞きました。

 我々が至らぬばかりに、申し訳ない」

「気にすることでは、ないです」

 

 クラブが沈痛な面持ちで返す。

 

「手帳には、何者かに、オコト様は……。

 あなた達も、記憶を失ったのですね」

「ああ。それにこれを見ろ」

 

 俺は、手帳を差し出した。

 

 1ページ目を開いて。

 

「聞いております。不可思議なことが書いてあったと……」

 

 カサネという女性は、しげしげとページを眺める。

 

『呪い。忘却させる呪い、心を彁化する呪い、言葉を彁化する呪い、結界を生み出す呪い』

 

「一つなら、知っています」

 

 カサネは、隣の少女をちらりと見た。

 

「この子が、結界を張ることができます」

「結界?」

「ええ。この村には、巫女の力で結界が張り巡らされている」

 

 ハートは、何も言わなかった。

 スペードは、目を細めた。

 

 俺は、聞き返した。

 

「超常、ということか?」

「そうですね。村人もしくは男性、その同伴者一名のみが通れる結界を張ることができるのです」

 

 脳内で、カチリ、となにかが嵌った気がした。

 

「……まず、仮定する、それが事実だと」

「ええ、ありがとうございます」

「俺たち男子はどうみても村の人間じゃない。この村の男子は、あの男だけだった。そうだな?」

「オコト様ですね。そうです」

「ということは、俺たちは外から、何らかの理由でここにやってきた」

 

 だいたい、予想はついていた。

 

 俺、クラブ、ハート、スペード。

 

「外の人間は、この村に入ってこれない。男子だけがなぜか入れる。だから、それに興味をもった数名の男子が、この村にやってきた」

「……驚いた、本当に記憶喪失ですか?」

「でなければこんなまどろっこしい推測はしない」

 

 どうやら当たっているようだった。

 そして、もう一つ考えるべきことがある。

 

「なぜ、そんな結界を張ったのかだ。もちろん、男子を集めたいのは、どの自治体でも同じだろうが、他にも理由があるとみている」

「………………」

 

 教師、カサネは、沈黙した。

 その額から汗が一滴落ちたのを、見逃さなかった。

 

「この村には、彼女のように、巫女が存在します。

 巫女には、役目の代わりに、代償がございます」

「代償……」

「男子様の精を胎内に定期的に受けねば、眠りから覚めなくなるのです」

「…………」

「数年前までは、巫女は不在だったのですが」

「最近、巫女になったものが現れた?」

「ええ」

 

 俺は、巫女服を着た三人の少女を見た。

 

 巫女の特性を持つものが、急に現れた。

 

 だから、

 男子の精が足りなくなった。

 

 だから、

 結界を張って、男子をおびき出そうとした。

 

 結界だけでなく、いくつかの工作を行ったのだろう。

 

「オレたちは、出られるのかよ……?」

 

 ハートが尋ねた。

 結界が男子を通すなら、物理的な障壁はない。

 

「お望みになるなら、いつでも。

 すでに、お情けはいただいております」

「お情け……?」

「はい、あの塔、我々は "神輿" と呼んでいるのですが、あの場所に男子様それぞれがお入りになる前日に、源液のご提供をいただいております」

 

 なるほど。

 器具を使ったのかどうかは知らないが、俺たちは、それぞれ提供を終えた順にあの塔に入った。

 だから、大部屋に出てきた日付がズレていた。

 

「私たちを襲った、女二人は?」

 

 スペードがそう尋ねた。

 

 重要なことだ。

 

「残念ながら、それらしい者は見つかりません。襲撃者が付けていたお面は、おそらく祭りで売られるものでしょう。この村の誰であっても買うことができた」

「…………」

 

 カサネが、震えた。

 外からやってきた男子たちにこの村の誰かが危害を加えて起こる災禍に、恐怖してるのだろうか。

 

「先生!」

 

 誰かが、俺たちのいる座敷に乱入してきた。

 少女だ。

 幼い。まだ、小学生程度だろうか。

 

「こ、こらっ……!」

 

 カサネが慌てて叱りつける。

 が、それを止めたのは意外にも、ハートだった。

 

「勉強か?」

 

 そうハートは問うた。

 

 視線は、少女の持っていたドリル帳に注がれている。

 使い古されたドリルだった。

 

 この村を見る限り、文明的なものはあれど、基本的に前時代的だ。

 村人は着物を着て往来しているし、水も基本的には井戸から汲んでいる。

 だが、村人それぞれは理性的。

 

「ああ、これは…………」

 

 カサネが、ハートの意を汲み取って、

 そのドリル帳を少女から預かり、開いた。

 

「この村には、元村人の行商人によって運ばれてきた膨大な書籍が存在するのです」

「…………それで、知識を?」

「ええ。電気こそ通らないような村ですが、人々は学びを楽しんでいます」

 

 ハートの目が細まった。

 懐疑ではない。関心と共感のようだった。

 

「いい村だな。ここァ」

「…………恐縮です」

 

 一旦、俺たちは、戻ることにした。

 

 とりあえず、宿は決まった。

 しばらく、村を探索して、調べる必要がある。

 

 色々と、

 わかっていないことが多すぎる。

 

 

「せんせい、ここ!」

「ああ、そこはね…………」

 

 語り合う生徒と教師の声を背後に、

 俺たちは、宴会所から退室した。

 

 

 

 

「ここわかる?」

 

「ホシューホー? なんだっけな~」

 

「そう。水に溶けにくい気体の捕集法。」

 

「うーん、覚えてない……」

 

「そっか、じゃあ覚えよう、

 これは──────

 

 

 

 

 

 

 

 水上彁化法。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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