評価されるように頑張ります!
※『神秘』について独自解釈が入ります
「ただいま、お父さん…」
まだ完全に考えがまとまらないまま、家についてしまった。父は少し喜色の浮かんだ顔でひょっこり、と顔をのぞかせてきた。
「おかえり、リリス。私はお前に今日のあったことをたくさん聞きたいんだ。なんたって一人娘の初めての学校なんだからね!」
期待に満ちた顔でそう言ってくる。…残念だけど、そんな楽しそうな話をすることはできない。私はとてつもなく不安なのだ。
「…」
「荷物を置いてきなさい。私はリビングで待ってるからね」
私の様子に気づいているのか、気づいてないのかわからないが、そそくさといなくなる父。私は期待を裏切る形で、不信感からくるこの疑念を父に伝えていいのか、迷い始めていた。
(本当にいいの?このことを伝えて…お父さんを困らせるようなことを…)
それでも…聞くしかない。現状維持だなんて…この不安を抱え続けるなんて、私にはとても難しいことだった。
(…お父さんは、頼ってくれていいって言ってたじゃん。ここで頼らなくていつ頼るのよ…)
自問自答しながら思考を続ける。
数分経っても、答えは出なかった。やっぱり自分だけじゃどうしようもない、未知のことだった。
(…お父さんを待たせるのも悪いね。どうせいつか聞かなきゃいけないことなんだよ。それが少し早まるだけ…)
自分に言い聞かせながら、リビングへと向かう。
父はすでに椅子に座り待っていた。
「来たね、座ってくれ。たくさん聞かせておくれよ。私は楽しみにしていたんだ、この時…を…?」
変わらず機嫌よさげに話しかけてくる父。でも、私の思い詰めたかのような顔を見たのか、言葉を続けることはなかった。
「…何かあったのかい?リリス。どうしてそんな顔を」
「お父さん」
言葉を被せるように話しかける。
「…なんだい?」
「私ね、たぶん不安を感じてるんだと思う」
「…どんなことに、不安を感じてるんだい?」
「私自身に」
言ってしまった。そこから堰を切ったかのように言葉を続ける。
「私ね、友達と会話してるときに気づいたの。私の生まれがおかしいって。まだ一年ぐらいしかたってない。生き物ってのは年を重ねるものなんでしょ?本当は、まだ赤ん坊のはずなんだよ。なのに、目覚めた時点で体も大きかったし、異常な速度で知識も得た。傍から見たら、ただの中等部1年にしか見えないぐらいに」
「…私って何なの?私って何者なの?普通の人間じゃないの?自分のことなのに、自分のことが何もわからない。それに、…自分の存在についてお父さんは教えてくれなかった。だから、不信感を感じちゃったの。この感情は普通なの?お父さんが悪いの!?私がおかしいの!!?何にもわからないよ!!!」
「…」
お父さんはただ静かに聞いていた。その姿を見て、私は少し冷静になる。
「…私はね。知らない、わからないってのが怖く感じたの。こんなことを言いたかったんじゃないの。…ただ知りたかっただけなの。…ごめんなさい、こんなひどい言い方しちゃって…」
父は何を言うか考えているのか俯いていたが、すぐに私にやさしく話しかける。
「お前の言いたいことはわかった、全面的に私が悪い。知らないのが怖いのは当たり前だ。それが自分についてなら、猶更だ。私に不信感を感じるのも当然のことだね」
父は、全部自分が悪いと言い切った。…私はあんなひどいこと言ったのに。
「大丈夫、安心しなさい。その不安は解消できる。…教えてあげよう。お前の存在について」
「!!!」
こんなに簡単に教えてくれるのか、信じられないと思った。確かに、初めてのことで思い詰めすぎていたのかもしれない。強くぶつかりすぎた。
「まず最初に、お前が生まれた要因としては、私のとある
「実験…」
「わたしはその実験で、体という『器』に私の『神秘』を注ぐことで、新たな生命の誕生を画策したんだ」
「『器』?」
「いわば私のクローンだ。ある人物と協力して作ったんだ」
クローン。そんなことが可能だなんて…、でも父ならできるか。
「すごいね…あんまりイメージできないけど。あと、『神秘』って何?」
「イメージはなんとなくで大丈夫。あと…『神秘』の説明か」
少し考えてから、私の頭上に指をさす。
「ヘイローについては知っているだろう?」
「うん。人によって違うけどうっすらしか見えないし、触ることもできないって」
「合ってるぞ。そのヘイローが神秘の源だと、私は思っている」
「お前の『神秘』の本質は、『希望』をもとにしている。自分と、周りの人間の『希望』を利用して
「『神秘』は基本的に身体強化の類に利用される。知識の吸収スピードが速いのは完全にお前自身の才能。というか、普通の人は身体強化ぐらいしかできない。ここ、学園都市・キヴォトスではヘイロー持ちの生徒は、私とか普通の人間と違って体がとても丈夫で、銃弾程度では肌に軽く傷が付くくらいしかダメージが入らない。だからみんな銃を持ち歩く。銃の強力さを正しく理解していないから。喧嘩になったら銃撃を始めることがざらにあるくらいだ」
「うぅ…」
すごい情報の奔流だ。頭がこんがらがる。
「余計なことを言ったな。…まとめると、お前の生まれは普通ではない。持つ力も特別だ。これからの生活で、お前はたくさんの希望を見出し、それに比例して力も大きく増幅していくだろう。その力を制御するのが急務だ」
「…だからあの時、みんなプレッシャー何たらって」
「ほお…もう影響が出てるのか。『神秘』の制御の仕方は人それぞれだ。手探りで何とかしていくしかないな」
…新たな問題が出てきてしまった。こんなの、助けたいとか言ってる場合ではないかもしれない。今後は、制御の仕方を模索していくしかないかな。周りの人たちに迷惑をかけるわけにはいかないからね。
「それと…すまなかったね、リリス。精神が未熟なまま”お前は普通じゃない”と言ったら、悪影響が出ちゃうんじゃないかって、心配して時間を置こうとしたんだ。」
「…私のことを心配してくれてたんだ。ごめんね、お父さん。私なんもわかってなかった」
「大丈夫、まだ生まれて1年ほどだ。わからないことばかりで当たり前だよ。それにこんな形になってしまったけど、頼ってくれて嬉しかったよ」
…はあ、本当にお父さんはずるい。平然とこんなことを言ってくる。
「それじゃあ、この話題は終わりにしよう。今日学校であったことを教えて。友達ができたんだろう?」
「…うん!あの時、別れてからね…」
入学式でのトラブルとか、学食での出来事を楽しく話した。
「…素晴らしい…青春だなぁ」
この時の父はちょっと変な感じだった。
「?、何言ってるの?」
「初日から楽しんでるんだなって、ちょっと感動しただけさ。…それと、翼の鱗を他人に渡すときは、本当に大切に思ってる人にだけに贈りなさい。ほいほいと渡すようなことはしない方がいい」
「どうして?」
「…これに関しては、ゆっくりと知っていけばいいさ。急いで知る必要のあることでもないし、私も完全に理解してるとは言えないからね」
父が急がなくていいっていうのなら、無理に知ろうとしなくていいだろう。あの子の顔が赤くなってた原因は知りたかったけど。
「…わかった」
「できれば、その友達の名前を教えてもらえるかな」
「いいよ!その友達の名前はね、」
この時の父の反応は、おかしかった。
「梔子ユメっていうの!」
「!!!…フフフっ」
「っっ!?」
…なんだかぞわっとした。笑っただけなのに、何かにまとわりつかれたような感覚だった。
「ユメね…いいことを聞けたよ。…さてさて、だいぶいい時間になったな。今日はお祝いとして行きつけのところに外食でも行こうか。準備してきなさい」
そんな空気はすぐに霧散して、元の喜びに満ちた笑顔の父に戻った。
「…わかった!」
…あの雰囲気は何というか、本能的に忌避したくなるようなものだった。私の求めるものとは真逆の。父には、何か重大な何かがあるのかもしれない。でも今は聞かなくていい。私の人生はこれからなのだから。
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リリスのいなくなったリビングでは、リュウが一人息をついていた。
「ふうぅぅぅ…いい感じに収まったか?まさか、こんな早い段階で、自ら自分の存在について疑念を抱くだなんて…」
先ほどのやり取りを思い出して、独り言ちる。その顔は心配するかのような顔だった。
「まだ1年だ。勝手に私のやりたいことに巻き込んでしまったが、あんな辛そうな顔をさせてしまうとは…」
リリスの顔を思い出して、少し後悔するかのように言った。だが、少しずつ口角が上がっていく。また嫌な雰囲気が漏れ出始める。
「いつも笑顔を振りまいてる優しい子に育ったリリス。そんな子があの表情をするのは、見てて辛くもある。だが、それ以上にぃ…」
より一層雰囲気が濃くなる。一緒にいるだけで狂乱してしまうほどの、恐ろしい空気となって抑えるように呟く。
「あの思い詰めたかのような顔もぉ、最高に゛ぃ、最高だぁ゛…!」
狂ってる。リリスにとって最高の自慢の父だが、その裏の顔は人の負の感情に喜びの声を上げる狂人だった。
「日頃の正の感情もいいが、不意打ちの負の感情はなかなかに来るな。あの顔であんなこと言われて耐えた自分を褒めてやりたい」
あの時、リリスには考えているように見えていたが、実は感情の開放を堪えていただけだった。
「成長スピードも速い。12年間・・・・『神秘』を注ぎ続けて、いきなり目覚めたかと思えばあれだからな。驚きもする」
「そして…オシリス。奴があそこに来ることは知ってはいたが、まさかいきなり接触してくるとは…、そして関係は良好と来た。奴はどこにいても静かに生きることができないようだな」
考えをまとめるかのように、言葉を続ける。その姿は、本業の研究職としての姿だった。
「…少し開発を巻きで行くか。
来るべき時。その時には、絶対に
「フフっ、こんなに楽しみにさせてくれるとはな。オシリスには感謝してもしきれない」
「もちろん、リリスにもだ。この世界の完全なる
彼にしかわからないことばかり喋り続ける。理解してもらう必要などないが。
「目覚める前からずっとずっっっと期待してるぞ。君の未来へと向かう姿を私に魅せてくれ、リリス。いや、エルピスにオイジュスよ」
リュウは
「お父さ~ん?準備できたよ~?」
「ああ。すぐ行く」
自分の正体など知られる必要などない。このことはよっぽどのことがない限り、バレないし教えることはないだろう。墓場まで持ってくつもりだ。
「もう、遅いよお父さん。早く行こう?」
「悪い。せっかくだ。今日は好きなだけ食べろよ?」
気の遠くなるほどの回数を
「もちろん!いっぱい食べるね!」
言ってないことしかないが、大丈夫だ。伝えるタイミングなどいくらでもある。彼女が望み続ける限り、何度だってやってやろう。
未来の構想を描きながら、リリスの頭を撫でた。
キャラ設定組むのも楽しいです!
次回は六日を予定しております!
キャラモチーフ
ギリシャ神話より
表・常光リリス…エルピス
裏・常光リリス?…繧ェ繧、繧ク繝・繧ケ
常光リュウ…???