希望を抱いた者の軌跡   作:kame040831

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こんにちは!寒くなってきましたね…体調管理に気を付けないと!


今回脳みそが働かなくて、かなりおかしい部分があるかもしれませんが軽く流しといてください!
一年生、二年生の日常パートは大体四話ほどで終わらせたく思います!

今回もよろしくお願いします!


第五話 ハリス中学校での日常 1

「リリスちょっといいかな?」

 

入学式から翌日の今日は、戦闘試験を行う日だ。思えば私は今まで銃とか扱ったことがなくて、体術ぐらいしか極めてこなかった。大体のことは、組み伏せるだけで終わってしまうからだ。

 

「どうしたの?」

 

父がいる、たくさんの銃器が並べられたケースの前へと行く。

 

「今日は戦闘試験があるんだろう?銃がないと困るだろう。早めの誕生日プレゼントとしては何だが、好きな武器を持って行ってくれ」

 

「プレゼント…」

 

プレゼント。相手に喜んでもらうために気持ちを込めて贈るものだ。父からは与えられてばかりだったが、しっかりとした形として与えられるのは初めてだ。

 

「…嫌だったか?やっぱり今のはなs」

「嫌じゃないよ」

 

弾けるような笑顔を父へと向ける。

 

「初めてのことでびっくりしただけだよ。本当に嬉しい!」

 

心配そうな顔から安心した顔となった。何の心配をしてるんだか。私が拒絶すると思ったのだろうか。

 

「ふふっ。私が嫌だというとでも思ったの?その考えは、私に失礼じゃない?」

 

「…はは。ごめんな、もしかしたらを考えてしまったんだ。実の娘を軽んずるとはね」

 

どういう意味か分からないけど、わかってもらえたのかな?学校の時間もあるし、早めに選んじゃおう。

 

「お父さんは何かおすすめの銃とかある?一度も触ったことないからさ」

 

「うーん。どんな戦い方がしたいのかによるね」

 

「私はねー…銃で牽制しながら、すぐに接近して体術で倒す感じで行きたいな」

 

「ふむ、激しく動いても邪魔にならないものに、多少威力のある銃か…リリスは力が強いからな。お前ならあれが扱いきれるか?」

 

父は奥のケースから何だかゴツイ拳銃を取り出してきた。

 

「デザートイーグルだ。まずは一番小さい口径(9.1ミリ)から試してみよう」

 

すぐ隣にある小さめの試射場にて撃つことになった。重たい…これが銃なんだって感じ。しっくりくる重さだ。

 

「あの的が見えるか?両手で構えて、あの真ん中の赤いところに照準を合わせて…」

パァン!

 

「あ、出た」

 

軽く引き金を引いたら簡単に撃ててしまった。引き金、軽くないかな?

隣では父が耳を抑えて蹲っていた。

 

「…うう、耳がぁ…」

 

「あ!?ごめんねお父さん、大丈夫?」

 

「…大丈夫大丈夫。次からは撃っていいというまで、引き金に指をかけないでね」

 

「ごめんなさい、わかったよ。お父さん」

 

まずいまずい…。初めて銃を握って調子乗っちゃったかな?落ち着こう落ち着こう…

 

「よし、じゃあもっかい狙って…撃ってよし!」

パァン!

 

う~ん?やっぱり物足りない感じ。

 

「!?(なぜ少しも腕が動いていない…!?)」

 

「お父さ~ん、もっと威力あるやつないの?」

 

「あ、あるが…腕の痺れだとかはないのか?」

 

「痺れはないよ。う~ん、なんか威力が物足りない…。もうちょっと強いのが欲しい!」

 

「…そうか(普通は少しぐらいあるだろうが!?…ここまで筋肉バカだったか?)」

 

父はまたケースの部屋まで戻って、少ししてからまた同じ銃を持ってきた。

 

「…同じ銃?何か違うの?」

 

「弾の大きさが違うんだよ。一番大きい(12.7ミリ)のを持ってきた。これを使ってみろ」

 

さっきのより少し重いかな。こんなので変わるのかな?

 

「さっきより威力と反動が大きいからな。しっかり構えろよ」

 

「うん」

 

「じゃあ、狙って……撃て!」

 

バァン!!!

 

「!?」

 

びっくりした。威力も音も反動も、すべてが大きい。でも…

 

「大丈夫か?やっぱり、いきなり50は…」

 

「これにする!」

 

「…ん?」

 

これだ!この反動!威力!私が求めていた最高の銃!

 

「…本気か?さっきより装填数も少ないし、」

 

「じゃあ、二丁持てば解決じゃない?」

 

「…(もう、何言っても無駄かな?思考がクレイジーすぎる)」

 

二丁拳銃!今はまだ慣れてないからできないけれど、いつかできるようになりたい!

 

「もう一丁頂戴?おとうさん」

 

「…はあ。わかった、やるよ。銃、替えたくなったらいつでもいいから言ってくれよ?」

 

「替えるわけないじゃん!お父さんが初めて、私のためにくれたプレゼントだよ?」

 

何の冗談だろうか。父からの初めてのプレゼントなのに、そんなことして何のメリットがあるのだろうか。

 

「…好きにしなさい」

 

「うん!大事にするね!」

 

大事にしていこう。銃は一生の『相棒』になると前に父が言っていた。父のプレゼントとして、私の『相棒』として大切にしよう。

 

「じゃあ、学校行ってくるね!」

 

「ああ、気を付けて行ってらっしゃい」

 

結構時間を使ってしまった。足早に学校へと向かう。

 

「楽しみだなぁ…」

 

どんな生活が待っているのだろう。ユメちゃん以外に友達はできるだろうか。そんなことをずっと考えている。

 

「まずは戦闘試験を経て、いろんな人とつながりを持とう」

 

思考しながら足を進めた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

教室に入って、真っ先にユメのところへ向かう。

 

「おはようユメちゃん」

 

「おはよう、リリスちゃん!昨日は大丈夫だった?」

 

「うん。解決したから大丈夫だよ。また別の問題ができたけどね…」

 

「別の問題?」

 

「なんか、私の力を制御できるようにしなきゅいけないみたい。誰か傷つける前に何とかしなきゃいけないんだけど…」

 

「あらら、タイミングが悪いね。いきなり戦わなきゃいけないじゃん」

 

「そうなんだよね。誰か傷つけちゃわないか心配なんだよ」

 

ユメとの会話はすらすらと進めることができて、とても会話していて気分がいい。言葉の節々から優しさを感じる。

 

「安心できるかわかんないけど、初戦は私とリリスちゃんだからさ、私相手で力の調整してみてよ!」

 

「え?ユメちゃんが初戦の相手?」

 

戦闘試験はスイスドロー式になっていて最低三回、最大五回戦うことになるようだ。

 

「…ユメちゃんが一番危ないんだよ?分かって言ってるの?」

 

「もちろん?一応、私タンク職なんだ!体の丈夫さには自信あるんだよ?」

 

そういう問題じゃなくない?

 

「銃の扱いはどうなの?」

 

「…多少は使えるけど、人を撃つようなことしたくない。体力試験と併合だなんて…、なんでそんな感じにしたんだろ?」

 

まあ、人を撃ちたくない者は一定数いるだろう。でも、この世界では甘いんじゃないかな。

 

「みんな銃を持ってるこの世界だからこそ、人に銃を向ける機会を作ることで、もしものために自分を守ることができるようにするためじゃないかな?」

 

「…なるほどー。リリスちゃん頭いいね!」

 

⋯父以外から褒められたの初めてかも。

 

「えへへ、そんなことないよお」

 

「⋯(翼パタパタしてる。かわいい⋯!)」

 

ユメはニヤニヤしながらこちらを見ていた。なんだかこちらを見る目が温かい気がする。

 

「何その顔?」

 

「いや?かわいいなって思っただけだよ?」

 

「そう?ありがとう!」

 

「⋯?」

 

ユメは今度は不思議そうな顔で見てきた。コロコロ表情が変わって見ていて面白い。

 

「どうしたの?」

 

「⋯なんでもない!(鈍感なのかな?)」

 

機能の時もそうだったがユメが何を思っているのか、時々よくわからなくなることがある。⋯まだ出会って二日だし、これからゆっくり知っていけばいいか。

教室の扉が開いて、ここのクラスの担任が入ってきた。

 

「みなさん、おはようございます。本日は予定通り戦闘試験を行いますので、戦闘ができる服装に着替えてグラウンドに集合してください。」

 

『は〜い』

 

朝の出来事でかなり遅くに投稿したようだ。みんな各々持ってきた服に着替えるために制服を脱いでいく。そして私の眼の前では巨大なものが姿を現そうとしていた。

 

「ヨイショッと」

 

ブルンッ

 

「うお」

 

本当に中等部一年とは思えない体つきだ。筋肉があるわけではないが余分な脂肪もそれほどなく、スラッとした体型をしている。

 

「⋯」

 

それに比べて私は平坦とまではいかないが、比べるのもおこがましいぐらい小さい。身長も負けてるし。悲しいなぁ。

 

「⋯どこ見てるの?」

 

「ユメちゃんは胸が大きくていいなって」

 

「ん!?大きくていいことなんてないよ!!重たいし邪魔くさいしで⋯⋯あ」

 

ユメが顔を赤らめながら大声を上げたことで、クラスメートの視線が突き刺さる。

 

「これから戦うってのに、何いちゃついてんだろ。あの人達」

「リリスさん、あんなすごいこと言うんだね」

「尊い⋯!」

 

私はいちゃついたつもりなどないし、すごいことってのが何なのかわからなかった。でも、ユメの顔をより赤くさせるのには十分だったようだ。

 

「ん゛〜〜!もう!先に行ってるからね!」

 

「あ、行っちゃった⋯」

 

すごい勢いで着替えて出ていってしまった。よくわからないけど謝ったほうがいいのかな?私も足早に着替えを済ませてユメの跡を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全員集まりましたね。それでは今回の試験でのルール等を説明します。」

 

曰く、この試験は体力測定と射撃精度の良さを判別するためのものである。

計100人の生徒を屋外と屋内に分けて試合を進行する。

成績上位者は上の学年に挑戦することができる。

試験中の注意事項は爆発物や煙幕などを使う際には事前に相手側に申告すること。

降参、または戦闘不能になるまで試合は継続する。

 

「以上です。何か質問は?⋯ないようですね。それでは10分後に試合開始といたしますので、各々移動して準備してください」

 

説明が終わりぞろぞろと移動を開始する。ちなみに私の初戦は屋外で行う。

 

「ちょっと緊張するなぁ」

 

私はみんなの未来の希望であるために強くあらなければならない、という勝手な使命感に駆られていた。

 

「まあまあ、そんな気を張らないでいこうよ〜。リラックスリラックス〜」

 

「やるからには全力でやってよ?ユメちゃん」

 

「もちろん!全部勝って驚かせてやるんだから!」

 

随分と大きな自信があるようだ。こう見えて、意外と強かったりするのかもしれない。タンク職だと言っていたが、見た感じカバンのようなものしか持っていない。盾とか使わないのだろうか?

 

『設備点検が終わりました。準備でき次第入場して試合を開始してください』

 

そんな事を考えているうちに時間になったようだ。まずは力の制御を目標に頑張ろう。

 

「じゃあ、頑張ろうね!リリスちゃん!」

 

「お互い頑張ろうね、ユメちゃん」

 

軽く握手を交わして、対戦するために配置に向かう。

 

会場は50m四方の区画であり、木箱やドラム缶などの遮蔽物が至る所にあった。そのほかにも柱のようなものがあり等間隔にあり、全体を見渡せるようにカメラが取り付けられていた。

 

(記録とかされるのかな?やっぱり多少は緊張するなあ)

 

位置について対面を見ると、ユメはカバンのようなものを組み立てたシールドと、中から拳銃を取り出して構えていた。あれ盾だったんだ。

 

体と翼の具合を確認しながら、両側のホルスターにある銃を点検する。戦闘開始が近づくにつれ、鼓動が早まり体中が煮えたぎるような感覚になる。片側の銃を取り出し構える。

 

「こっちは準備できたよ」

 

「こっちもオッケー!」

 

お互いの準備が終わり両者の間に銃を取り付けたドローンが下りてきた。

 

『これより、常光リリス/梔子ユメの試合を行います。空砲を合図に開始してください』

 

それだけ発してまた上空へと戻った。いつ始まってもいいように銃口をユメへと向ける。ユメは真面目な顔をしながら盾を構えていたが、体が大きくて盾に収まりきっていなかった。だが、今の私の腕前ではまぐれでしか当てることができないだろう。やはり予定通り一気に近づいて、体術で決めるしかないだろう。

 

方針を決めた私は、開始の合図を今か今かと待つ。そして空砲が鳴り響いた。

 

パァン!

 

ユメは隠れることなくそのまま拳銃でこちらを撃ってきた。私は翼で防ぎながら、少しずつ近づき玉切れの機会を待つ。翼は鱗があるので強力な攻撃じゃなければ傷つくことはない。

 

カチッ

 

その音合図に翼をしまい、銃で牽制しながら軽く走って近づく。大きな銃声が鳴り響きユメは体を縮こまらせて盾に隠れる。

 

7発撃ち切ってさらに足に力を込めてユメの背後に周ろうとした、が

 

バキバキッ、ゴーン!

 

私の思った以上の力が出てしまい、そのまま奥の木箱を突き抜け、柱に思いっきりぶつかりその形を大きく歪ませることで止まることができた。頭をぶつけてしまって少しくらくらする。

 

「痛たた…」

 

ユメは背後から聞こえた音で気づいてこちらを見て驚いた顔をしていたが、すぐに構えなおして発砲してきた。私も我に返り、翼で防ぎながらいったん遮蔽物の後ろに隠れる。そこでさっきの感覚を思い出す。

 

(足に何か(・・)の力がこもったような気がした。筋肉とかじゃなくて、何か別の…)

 

確か、ヘイローを持つ人間は『神秘』を使って身体強化ができる、とかなんとか父が言っていた気がする。これが『神秘』というやつなのだろうか?これを抑えればいいのだろうか。とりあえず軽く走って、もう一度さっきのを感じてみようか。

 

遮蔽物から出て弾を防ぎながら、さっきの感じを思い返すためにユメの周りを何回も何回も走り抜ける。

 

「なになに!?速すぎるよ…!」

 

ユメは私のいきなりの行動で困惑して捉えることができていないようだ。私は少しずつだがさっきの力を感じることができ始めていた。

 

(軽く走っているせいか、さっきより少ししか感じることができない。軽く走ってこれなら、いきなり本気で力を使ったら当たり前にさっきみたいになるね)

 

自分への理解を深めながら力の制御を試みる。制御の仕方は簡単だ。力まなければいいことのはずだ。慌てふためいているユメを見て、次の動きを考える。

 

(今の状態からすこ~しだけ力を込めて、また背後に周りこもう。次は成功させる)

 

力を感覚で調整して、回り込んだ。ユメはかろうじて反応して銃口をこちらに向けたが、私がその銃をはたき落として体制が崩れたところで腕をつかみ背負い投げをする。

 

「ぐえっ」

 

情けない声を上げたユメの額に銃口を突き付けて言う。

 

「お終い」

 

「…あはは、負けちゃったぁ」

 

ユメが降参を宣言したことで試合終了のブザーが鳴る。そしてまたドローンが下りてきて音が発せられる。

 

『勝者・常光リリス。対戦お疲れさまでした。速やかに退場してください』

 

それだけ発してまた戻っていった。私は倒れたままのユメに手を貸して起こす。

 

「いやあ、リリスちゃん速いねえ。全然見えなかったよ」

 

「ユメちゃん、最後は反応してきたじゃん。正直かなりびっくりしたよ」

 

「えへへ、そう言ってくれて嬉しいよ」

 

互いの健闘を称えながら会場を後にする。力の扱いも感覚でだがある程度できるようになった。今はこれで十分じゃないだろうか?

 

「私の力の扱いも少し理解できたよ。手伝ってくれてありがと」

 

「いやいや、私は本当に何もしてないよ。リリスちゃんが頑張っただけだよ」

 

付き合ってくれたのは本当なので感謝の気持を伝えたのだが、謙遜してしまった。なんとなくユメの人となりがわかった気がする。

 

「じゃあ適当に観戦したりしながらぶらぶらしよっか」

 

「さんせ〜!」

 

 

 

 

 

他の生徒やユメの試合を観戦したり、自分が試合をしたりした。他の人の戦い方には学べるところもあって見てて楽しめた。特にグレネードを使っている人は見てて面白かった。屋外ならダメージを与えながら視界を潰すこともできて、戦術の幅を広げることができそうだ。

 

私は一回別の人のグレネードをもろに受けたが、少しの間痛みが続く程度だった。複数回やられるとまずいかもしれない。

 

ユメの戦い方は、まさにタンクと言った感じだ。本人が自誇するだけありとても頑丈ではあるが、決め手に欠ける。あまりにも火力が足りていないのだ。降参しなければ負けることはないが、勝つこともない。チームで組むことがあればとても強力だろう。だが今回は個人戦。決めきることができないまま多くの傷を負って、三試合全て降参により負けてしまった。

 

「ひぃん、全部負けちゃったよぉ」

 

「今回は個人戦だったせいでうまくいかなかったけど、タンクとしては完璧だったと思うよ?」

 

「そう言ってくれて嬉しいよぉ⋯。リリスちゃんはすごいね。続々と勝ち上がって次は決勝じゃない?」

 

二、三、四回戦でもユメにやったことを繰り返して、銃で気絶させたり、軽く絞めて降参させたりして勝ち進んだ。決勝の相手はグレネードを多用していた、私が観戦していた人だ。名前は傳ニア。グレネードに気を付けながら戦うことになりそうだ。

 

「そうだね。次の会場は屋内。どんな戦いができるか正直楽しみだよ」

 

「⋯リリスちゃん、意外と好戦的なんだね。ちょっとびっくり」

 

今日初めて感じたことだが、戦い方を考えてそれを実行して成功させる、といった流れが自分はたまらなく好きなようだ。

 

そんな事を考えるうちにアナウンスが鳴り響いた。

 

『決勝を行います。選手は会場に、その他の生徒は各教室に戻って観戦を行ってください』

 

時間になったようだ。

 

「じゃ、頑張ってねリリスちゃん。応援してるよ」

 

「もちろん。私の勇姿、見届けてね」

 

軽く言葉をかわして会場へと足を進める。

 

(かなりワクワクするね。力を込めすぎないように気をつけないと)

 

体の調子を確かめながら、高揚する気分のままに向かった。

 

 

 

 

 

 

対戦相手の傳ニアはすでに配置について待っていたようだ。メガネを付けていて知的な感じがする。バックを背負っていて、おそらくあの中にグレネードやら何やらが入っているのだろう。

 

「こんにちは、リリス様。私は傳ニア。あなたの対戦相手です。私は爆発物・煙幕を使用します」

 

「こんにちは。敬称はいらないよ。お互い頑張ろうね!」

 

とても堅い話し方だ。これを気に仲良くしたかったけどちょっぴり難しいかな?

 

「リリス様。首席入学の席は取られてしまいましたが、戦闘試験の一位の座は取らせるつもりはありません。私の持ちうるすべてを使って、貴方を全力で倒します。痛い思いをしたくないのであらば、直ちに降参してください。」

 

「⋯」

 

敬称はつけてくるし、私を倒すと宣言をしてきた。結構堅苦しいタイプなのかもしれない。でも嫌いじゃない。その姿は私にとってかなり好きなものだ。

 

「ふ〜ん、良い宣言だね。じゃあ、私が勝ったら友だちになってくれない?あなたと話すの楽しそう!」

 

「⋯⋯いいでしょう」

 

そう言って背中からサブマシンガンを取って構えた。会話はこれで終わりらしい。私の方針は変えない。走り続けて攻撃の隙を与えずに一気に狩る。

 

アナウンスが鳴る。

 

『これより、常光リリス/傳ニアの決勝を開始します。ブザーを合図に開始してください』

 

神経を研ぎ澄まし、足に力を込める。ブザーが鳴り響いた。

 

ピーーー!

 

「っ!」

 

そのまま周りを駆け巡る。攻撃の隙を与えないようにしながら。ニアは開始してもその場から動かずに懐から筒状のものを取り出した。そのままピンを引き抜いて地面に転がした。

 

(⋯何だあれ?)

 

駆け回りながらその筒状のものを注視する。すると突然光り輝いて視界が真っ白に染められた。

 

「眩しっ!!?」

 

何も見えなくなって足を止める。その隙を突くように銃弾を浴びせられた。

 

「くぅ⋯!」

 

銃声を感じる方向に翼を広げてかろうじて防御する。何も見えないので反撃する事ができない。

 

(何あれ!?あんなのがあるなんて⋯!)

 

視界を潰す事ができるものがあるなんて知らなかった。少しずつ白が晴れてきた目であたりを見回す。周りは濃い煙に包まれていた。そんな状況でも銃弾が飛んでくる。

 

(あっちも見えないはずなのに⋯!)

 

撃ってくる方向を予測しながら銃をがむしゃらに撃つ。何も見えないのであたってるかどうかは如何せんわからなかった。

 

(翼でこの煙を払えば⋯!)

 

翼を大きく羽ばたかせることで煙を晴らすことに成功した。が、晴らした段階で私の周りには十数個のグレネードが中に浮かんでいた。

 

「う⋯!?」

 

回避することは不可能だと分かった。翼で自分自身を覆いかぶせるようにして防御体制をとったが、そのまま爆風に飲み込まれてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

傳ニアは爆風に飲み込まれたリリスを見てため息をついた。

 

(リリス様が圧倒的に強いから仕方がなかったとして、こんな方法取りたくなかったのですが⋯)

 

閃光弾で視界を潰し冷静さを失わせ、煙幕で周りを見えなくし、一気に手榴弾を使って吹き飛ばす。あまりにも褒められた行為ではない。

 

(…仕方がなかったんです。私のプライドを守るためにもここで負けるわけにはいかなかったんです)

 

誰かにとって価値のある人間でないと、誰かの記憶に残るような人間でないといけない。そんなことばかり考えて思いついた方法はこれしかなかった。

 

私は誰かと楽しく会話できるような人間でない。こんな堅い喋り方しかできない残念な人間なのだ。こんな人間が仲良くできるわけがない。

 

(これで、私の在り方は確立できました。決勝であのリリス様に勝った唯一の一人として)

 

勝利の余韻につかることなくその場を離れようと踵を返す。そのせいで煙の中で立ち上がる陰に気づくことができなかった。

 

ニアの左肩を銃弾が穿つ。

 

「うっ…っ!?」

 

振り返り驚愕する。そこには、ボロボロになり血を流すリリスがいた。しかし、しっかりとこちらを見据えて銃を力強く構えていた。

 

「…何帰ろうとしてるのさ。もう終わりなの?私はまだ立ってるよ」

 

「ッ…!」

 

とっさに右腕だけで銃口を向けようとしたが、放たれた銃弾によって弾かれてしまった。

 

もう私には何も攻撃する手段を持ち合わせていない。もう何もできない。

 

「…もう勝てないとでも思ってるわけ?さっきまでの勢いはどこに行ったの?」

 

煽られている。

 

「全力でやるんでしょ?まだその拳が残ってるじゃん」

 

「っ…!」

 

…何なんだこの人は。もう立っているだけで精一杯のはずなのに、その銃で私を撃てばいいのに。銃をホルスターに仕舞い、両手を広げてこちらを挑発する。

 

「来なよ。少し相手になってあげる」

 

「…」

 

無言でカバンを放り捨てる。今の相手の温情に頼らずにどこで勝つというのだ。痛む左肩を無理やり動かし、走りながら拳を振るう。

 

「やあっ!」

 

避けられる。走った勢いのまま地面を転ぶ。また立ち上がり、拳を振るう。

 

「ぐっ…!!?…おえっ」

 

今度は片手で受け止められて、鳩尾にカウンターを受ける。肺の中の空気が一気に抜け、強烈な吐き気に襲われる。顔を上げたところを今度は裏拳で殴られた。

 

「うぅ…ぐぅ゛」

 

もう…立てない。直接的な戦闘での私はあまりにも弱く、脆い。

 

「…」

 

リリス様はそんな私の姿をただ無表情で、無言で見下ろしていた。ボロボロになってまでそこに立ち続ける、勝者としての姿がそこにあった。

 

「ゔぅ゙…ゔぅ゙ぅ゙ぅ゙」

 

涙が溢れてくる。完全に負けたことを理解して、でも少し気持ちが楽になった気がした。そのまま嗚咽を含んだ声で言う。

 

「私の゙…負げでずぅ」

 

その声を聞いて微笑むような顔になったリリス様はこう言った。

 

「…私の勝ち。これで…、私の友達になってくれるね…」

 

そう言い切った後、糸が切れた人形のように倒れこんでしまった。救急班が近づいてくる中、アナウンスが鳴った。

 

『勝者・常光リリス。対戦お疲れさまでした』

 

 

 

 

 

 




なんてこったなんてこった!9000文字オーバーだ!
長く書きすぎたせいで執筆がギリギリだった!とてもびっくり!

こんな感じの内容になってしまいましたが、これ日常といえるのでしょうか?
次回は確実に短くなります

次回は10日を予定しております!
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