ブルーアーカイブ -希望と絶望の軌跡- 作:kame040831
新たなオリキャラが出ます!
私は今、誰もいない教室でニアにハグを終えて、彼女の反応を注視していてわかったことをノートにまとめていた。
「…やっぱりハグしてるときはいつもより顔が赤いし、鼓動も速い。私が強く抱きしめすぎたのかな?」
「何を書いているんです?リリス様」
「ニアの反応をまとめてるんだよ。なんだかニアとかユメとか顔が赤くなる時があるじゃん?それが何なのか自分なりに理解しようと思ってね」
前に時間があるときに調べようと思っていたことだ。原因を知るためにも、まずは当人たちの反応を細かく記録することにした。そう伝えたら、ニアは取り乱して言う。
「なっ!?それは…!その…」
最後まで言い切ることが出来ず、顔を赤らめて俯いてしまう。この反応もよくある。今回は私が行動の真意を伝えた時だった。この反応についても記録しておこう。
「何また書いてるんですか…!やめてくださいよ…!」
「…やめてほしいって言うってことはさ、つまりは自覚があるってこと?」
「あ、いやその、あるにはありますけど…」
なぁんだ、自覚しているのか。ならそれを教えてくれれば、私の疑問は一気に解消されるだろう。
「じゃあ、私に教えてほしいな~?ニア?」
「…リリス様……その、ハグというものはですね、相手との距離感というものが……」
「うん!仲が良ければ、別に問題ないんでしょ?」
「そ、そういう話では……!」
「……?」
何か間違っているのだろうか?…まさかとは思うが、私はハグをし過ぎたのかもしれない。毎日やっていることだから、ニアもそろそろうんざりしているのかも?ニアの方から来ることも最近少ないし。
「もしかしてだけど、ニア、私とハグするの嫌になっちゃった?」
「…そんなわけないじゃないですか!嫌だとは一言も言ってません!」
「…よかった!」
安心してまたぎゅっとニアを抱きしめる。私よりとても小柄な体だけど、でも確かにそこに温かさを感じた。
「ひゃっ!?どうしましたリリス様!?」
「フフフ。ニア、いつもより反応がいいね?…ニアから初めて話しかけてくれた時に、私が言ったこと忘れてたよ。わざわざ意味なんてつけなくていいって。私はこんな生活が続くだけでも満足なんだ。この行為自体に、意味なんてつけなくていい。ただやりたいからやる、これだけでいいんだってわかったよ」
意味なんてなくたっていい。こんな関係が続いてくれるのなら、私はとても充実した人生を送れるだろう。ニアやユメの他にも、新しい友達もできるかもしれない。いろんな人たちと繋がって、楽しく未来へと進んでいけるのなら、本望だ。
「…そうですね。私も、強くそう思います。リリス様さえいれば、なんだってできる気がします」
私の思いに応えるように、ニアも抱きしめ返してくれる。彼女の考えが私と同じで、少しうれしく思う。
「…あと少しだけ、このままでいい?」
「もちろんです。あなたが望むのなら、いくらでも」
互いの存在を強く感じ取りながら、安心して身を預けあう。
その様子を、途中で教室に戻ってきたユメが、扉の窓越しに眺めていた。
「…リリスちゃん、優しくて、純粋で、すごくかわいいね。私もリリスちゃんのこと、大切にしたいよ」
そう呟き、二人の姿を微笑ましく見つめるユメ。ほんの少しだけ嫉妬しながらも、その表情は穏やかだった。
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いろんな楽しい出来事がありながら、私たちは二年生になった。二年生になったということは、私たちにも後輩ができるということだ。私たちは、先輩たちと学校行事以外で関わる機会がほとんどなかった。
そんな悲しいことにならないように、私は後輩と仲良くしたいと考えたのだ。同級生以外にも友達が欲しかったからね。もちろん、現状に不満があるわけではない。むしろ、とても充実しているだろう。
『新入生代表挨拶、ありがとうございました。続きまして、在校生代表挨拶・常光リリスさん。お願いします』
「はい!」
呼ばれて席を立ち、ステージへと向かう。去年と違ってトラブルもないし、ニアとユメと一緒に台詞を考えたから完璧だ。
ステージの上に立ち、考えた台詞を思い返しながら言葉を紡ぐ。
『こんにちは。皆さん、ご入学おめでとうございます』
まず最初にお祝いの言葉と、この学校で頑張ってほしいこと。
『今、皆さんは「中学校生活はどんなところだろう」「勉強についていけるかな」と、期待に胸を膨らませる一方で、大きな期待と不安を感じていることと思います。
私たち在校生も、かつては皆さんと同じように不安でいっぱいでした。
しかし、中学校には、皆さんを温かく支えてくださる先生方や、優しく頼りになる私たち先輩がいます』
そして、困ったときにどうしてほしいか伝える。
『どうか自分の力を信じて、様々なことに積極的に挑戦してください。
分からないことや困ったことがあれば、いつでも私たち先輩を頼ってくださいね。
皆さんと一緒に学校生活を送れることを、在校生一同、とても楽しみにしています。
結びに、皆さんのこれからの三年間が、笑顔と喜びにあふれる素晴らしい日々となることを祈念し、歓迎の言葉といたします。
在校生代表 常光リリス』
『一同、礼』
⋯完璧だね!詰まることなく、私の伝えたかったことをすべて伝えられた。これで後輩たちは、私たちのように寂しい思いをせずに済むだろう。
そう考えながら満足げに降壇しようとした、その時だった。
――痛い。
「っ!?⋯(なに、今の!?)」
そう感じた。
誰かに見られている。そう気づいた瞬間、背筋に冷たいものが走った。
時々父さんから向けられる、あのまとわりつくような視線とは違う。
もっと鋭くて、もっと真っ直ぐで。
まるで、こちらの存在そのものを射抜こうとするような視線だった。
思わず、足が止まりかける。
反射的に視線の主を探そうとしたけれど、壇上にはまだ先生がいる。新入生たちもこちらを見ている。
誰がこちらを見ていたのか、わからない。
それなのに、視線だけは確かに感じた。
私は小さく息を吸い、これ以上式の進行を止めないために急いで席に戻った。
「リリスちゃん?何かあったの?」
「…どっかから痛い視線を感じてさ、少し考え込んじゃってたんだ」
「⋯大丈夫?一体誰がそんなことを⋯」
珍しくユメが怒りを含んだ声でそう言った。そんなに私の反応がおかしかったのか、かなり心配をかけてしまったらしい。
「大丈夫大丈夫!ちょっとびっくりしただけだから、そんなに心配しないで!」
「ならいいけど⋯、困ったらいつでも頼ってくれていいからね?」
「もちろん、わかってるよ!」
そう答えて式の進行を横目に、また思考に耽る。まさかとは思うが新入生、後輩たちから?なにか不快にさせてしまうことでも言ってしまったのだろうか⋯
私は式が終了したあとも、自分の行動を思い返して一人反省会をするのだった。
――あいつが、ここでかなり強いって噂のやつか。
式典が終わり、人のまばらになった校庭。
あたしは、遠ざかっていく少女の背中を見つめていた。
壇上で新入生たちに向かって笑っていた、常光リリス。
あの神秘は、隠しきれていなかった。
いや、正確には違う。
隠しているつもりなのかもしれない。けれど、それでもなお、あふれ出す力がある。
――ぞくり。
思い出しただけで、背筋が震えた。
あの時、あいつの動きが一瞬だけ止まった。
気のせいかもしれない。
けれど、もしあたしの視線に気づいたのだとしたら?
「……ははっ」
気づけば、笑っていた。
まだ、こちらの姿を見つけたわけじゃない。
それでも、あれだけの力を持つ相手が、あたしの視線に何かを感じ取ったのだとしたら。
――面白い。
怖いからじゃない。
あいつが、自分よりも強いかもしれないからだ。
…今まで、どれだけの相手を見てきただろう。
自分より弱い相手には、興味なんてなかった。自分より強い相手からは、何かを盗んで、いつか追い越してやろうと思った。
けれど、あいつは違う。
まだ戦ってもいないのに、考えるだけで胸が熱くなる。
明日の実技試験。
そこで、あいつの実力を確かめる。
どれだけ強いのか。どんな技を使うのか。何をすれば、あいつを超えられるのか。
「待ってろよ、常光リリス」
あたしは、誰に聞かせるでもなく呟いた。
「絶対に、あたしがお前を超えてやる」
その言葉に、迷いはなかった。
――だって、強くならなきゃ。
誰よりも、強くないといけないんだ。
「おっはよう!」
今日という日を楽しみにしていた私は、元気よくクラスに挨拶をした。楽しみにしていたのは、今年も戦闘試験があるからだ。ニアにリベンジを申し込まれたのもあるけど、単純にどんな戦いができるのか、どんな戦いが見られるのか、ワクワクしているからだ。
しかし、そんな私の気持ちに反してクラスの空気はあまり良くなかった。みんな挨拶は返してくれたけど、どこか不安げな表情をしていた。何かあったのだろうか?
そこに、隣のクラスから深刻そうな顔をしたニアがやって来た。
「おはようございます。リリス様」
「あ、おはよう!ニア、何かあったの?ニアまでみんなと同じような顔をして…」
「昨日は一年生の戦闘試験がありましたね?そこで問題が起こったのです」
「問題?」
「ある生徒が、対戦相手が気絶するまで攻撃を続けたのですよ。それも全員に」
…気絶するまで?どうして?なんでそんなひどいことを…
「もちろん、何回も注意を受けていたようですが、当人は『死んでるわけではないから問題ない』と、気にもしなかったようで…」
「…確かにそうかもしれないけど、でもそれは…」
明らかにやり過ぎだろう。死んでないから大丈夫だなんて、あまりにも自分勝手だ。中には途中で降参しようとした子もいたかもしれないのに…。ひどい、ひどすぎる。
「私としてはそこで終わればよかったのですが、まだありまして…」
「…それは?」
「その生徒がリリス様に挑戦すると言っているのです。試験のルールでは問題ありませんが、彼女の素行は目に余ります。…なぜかはわかりませんが、彼女は貴方に強い執着を見せているんですよ」
私に強い執着を見せている?この前の入学式で感じた、あの視線を送ってきたのはもしかしたらその子だったりするのかもしれない。
「学校側はリリス様に判断を委ねるようです。…私が言えたことではありませんが、私はもう貴方に傷ついてほしくありません。あの危険な生徒と、無理に向き合わなくてもいいんですよ…?」
…ニアの言いたいことは分かった。かつて、私のことを傷つけたニアにとっては耐えられないことなのだろう。
「ニア、その子の名前は?」
「…楷出タキナ。百鬼夜行の獣人です」
「タキナね…。ニアの気持ちもわかるよ。私だって友達が傷つく姿は見たくない。でもね、その気持ちを押し付けるのはよくないことだと思う」
でも、私は思ったのだ。それはニアの過去が要因で起こったことだ。彼女が言う危険な生徒も、何か抱えているのかもしれない。私は一概にその子が悪い奴だと決めつけたくないのだ。
「っ…」
「私はね、タキナがしたことはよくないとしても、それだけでどんな子なのかまで決めつけたくないんだ」
「……」
「だから、まずは本人と話してみたい。どうしてあんなことをしたのか、知りたいの」
「…そうですか。ここまで言っても、あの生徒に寄り添おうとするのですね…。はぁ、もう止めませんよ」
少しだけ意外だった。もうちょっと食い下がってくるものだと思ったのだが…。
「わかってくれてうれしいよ!ありがとう、ニア!」
「一つだけ条件があります。もし万が一、貴方が倒れでもして私を心配させたら、その時はしばらくの間一緒に居てくださいね?」
…そう思っていた時が私にもありました。まあ、ニアらしいね。その条件を守れるかはわからないけど、頑張ろうか。
「いいよ!その条件、飲んであげる。じゃあ、私も条件つけるね!私がタキナって子と仲良くできたら、ニアもその娘と仲良くすること!」
「…そんなの、ほぼ確定事項じゃないですか。…いいですね。私も、友達が増えるのはいいことだって理解しましたから」
「いいねいいね!ニアもわかってきたじゃん!」
かなり重い信頼だね。その信頼に応えられるように、本気でタキナに向き合おう。
(楷出タキナ…。あなたは、どんな子なの?)
タキナがこちらに興味があるのなら好都合だ。私もタキナに興味が湧いたからね。
仲良くなりたいと思う一方で、なぜ私と戦うためだけに同級生にひどいことをしたのかという疑問も持ち合わせて、楷出タキナと会うために歩を進めた。
ニアの時は、恥ずかしいことに間に合わせで作ったキャラでした。
タキナはそんなことにならないように、しっかりと考えて書きたいです。
次回で中学校での日常が終わって、そのあとEx話と次の展開へと繋げていく予定です!
次の予定日は24日です!