ブルーアーカイブ -蒼宙に刻まれた異端- 作:カメオ >o-o<
今回もよろしくお願いします!
あたしは今、先輩に組み伏せられて動けない状態になっている。
「私の勝ち。…ふふっ、やっぱり楽しいね!」
この状況に反して、先輩は心底楽しそうに声を弾ませた。
いくら本気じゃない模擬戦だとしても、なんで疲れた様子すら見せねえんだ…?
「…やっぱり先輩、あんた異常だぞ。なんでそんなに強くなるのが早い…?」
いくら何でも成長スピードが速すぎる。そんな簡単に身につけられるような動きじゃねえ。
あたしがそれをできるようになるまで、どんだけかかったと思ってやがる…。
「強くなれてるのはタキナ、あなたのおかげだよ?あなたが私を誘ってくれたから、こうやって学ぶことが出来るんだよ」
…先輩って変な奴だよ。いきなりこういうことを言ってきやがる。
それに惑わされるあたしもどうかと思うけどな。
「…そうかよ」
先輩が拘束を解いて、あたしに手を差し出してくる。その手を取って立ち上がった。
…先輩の一つ一つの行動に、優しさを感じてしまう。戦ってる最中には全くと言っていいほど感じることはないんだが…。
「ねえねえ、タキナ。ちょっと気になることがあるんだけど、いい?」
公園のベンチに並んで座ったところであたしに話しかけてくる。
さっきの弾けるような笑顔とは打って変わって、かなり真面目な表情をしている。表情の移り変わりがすごいんだよ。
「…あたしでも答えられることなら」
「よかった!前の戦闘試験のとき、タキナの攻撃が私の翼の鱗を砕いたんだよね。でも、今日はそんなことなかった。お互いに本気でやらないとは言ったけどさ、あの時何か使ってたの?」
キヴォトスにいる奴なら誰しもが持っている力について言っているのか?
「ああ、使ってたぞ。先輩はそれに心当たりがないのか?」
「う~ん、私なりに考えてみたんだけど、自分でもよくわかってないんだよね。だからこれについて詳しそうなタキナに聞いてみたの」
…てっきりあたしの方からしか頼ることがないと思っていたが、逆もあるのか。なんだか不思議な感覚だな。
力について詳しいのは本当だが、あたしの場合は経験から得た感覚で使っている感じだ。言葉で表しにくいな。
「…感覚で説明するぞ。自分の中にある力を動かして、いろんなことに応用するんだ。あの日のあたしは、その力を体全体だけじゃなくて、銃にまで送って撃ってたんだ。
…なんて言うんだろうな、銃も体の一部みたいに血を巡らせる、感じか?」
「あ~、つまり力を込めてたから私の鱗を砕くことが出来たってこと?今日なんともなかったのは、力を使っていなかったから。これで合ってる?」
「…ああ、それで大体合ってる」
あたしの下手な説明を簡単に理解した。あたしと違って理解力が高いみたいだな。
「じゃあさ、翼にも力を巡らせられるようになれば、タキナのあの攻撃にも耐えられるようになるってこと?」
「そういうことだな。てっきり、わかっててやってないのかと勘違いしてたぜ」
あの日の先輩は、翼以外なら力を完璧に扱えていたように見えたからな。使い捨ての盾みたいにわざとやってるのかと思ってたよ。
「そのタキナの言う力ってさ、体に巡らせるだけでも強くなれるの?」
「ちょっと違うな。巡らせるというか纏う感じだな。確かに強くなれるが消耗が激しいし、力を込めた攻撃を受ければ、こっちの力も削られることになる。まさに諸刃の剣だな。
先輩の時は、銃弾は普通だったが、拳にはとてつもない力が込められていたな」
あれは痛かったし、驚いた。殴られた部位からごっそりと力が抜ける感覚はひどく不快だったが、先輩が負傷している左腕で殴ってきたことに意識が向いちまったな。
普通さ、怪我した方の腕を使おうなんて思わねえだろ。先輩は、あたしが想像もしないような行動を平気でしてくる。それもあの強さの秘訣かもな。
「ふむふむ、なるほどねぇ。私はここからまだ強くなれるんだ…」
「…」
…流れで教えちまったが、これで先輩が成長したら、越えるのがもっと難しくなるじゃねえか。やっちまった。
「私の疑問に答えてくれてありがとう、タキナ!これからもよろしくね?」
「…!」
でも、悪い気はしない。いつもなら自分を責めるもんだが、今はなぜか自分を褒めてやりたい。
…なんでだろうな。
「…ああ、よろしくな」
この人の温かさに、甘えてしまってもいいのだろうか…?
先輩にいっつも引っ付いているあの二人のように、一緒にいてもいいのだろうか?
…訳がわからない。本当に最近は、わからないことばかりだ。
でも、不安じゃない。今は、あの時と同じように支えてくれる人たちがいるから。
「話は変わるけどさ、なにか目標とか決めたの?」
「ああ、決めたぞ」
「本当!?教えて教えて!」
「人に教えるようなことじゃないだろ。これは、あたしだけの目標なんだ」
「ふ~ん?タキナ、いい目してるじゃん。そんなに熱くなれることを見つけたんだね!」
あんたのことだよ、そんなことは絶対に言わない。これはあたしだけ知ってればいい。
「先輩、もう一回だ。もう一回やろう」
「いいよ!力の使い方を教わったばっかりだから、実践してみたかったんだ!」
あの時のような弾けるような笑顔でそう言う。違うのは今回は戦いに関してじゃなくて、自分の成長の可能性に対してだろう。先輩はすぐにでも強くなってしまうだろうな。
でも絶対に諦めない。どれだけ高くなる壁であろうとも、絶対に越えてみせてやる。
この温かさは、もう二度と失わせない。
「しゃあ、行くぞ!!」
「おお!」
だから、それまで――いや、それからも。
あたしのことを、ずっと見ていてくれよ。
あたしは目の前の背中を追いながら、胸の奥に生まれた小さな感情を、まだ名前もつけられないまま抱えていた。
「楷出タキナ、彼女は『本質』を強く露呈させていた。だが、その形が変わろうとしてる。根元にある信念は変わらないが、その矛先がリリスへと向いた。…彼女の在り方すら変えてしまおうとするとは…、私はかなりあいつを侮っていたようだ。興味深い…。彼女の入学を許可してやって正解だったな」
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温かいです…。ずっとこうしていたいです…。
今、私はリリス様とハグをしています。これだけの情報で十分でしょう。
他の下らないことを考えるくらいなら、逃さないように体全体でリリス様の温もりを感じていたいです。
私の我儘を何でも聞いてくれるリリス様。一緒にいられる私は幸せです。
「ねえねえニア、毎日こんなことやってて飽きないの?」
「飽きるわけないじゃないですか。リリス様は、ただ私とハグをすることに集中していればいいのです」
「…そう?ならいいけど」
私はずっと一緒にいたいと思っていますが、リリス様はそうは思っていないのでしょうか?
…確かに我儘が過ぎたのかもしれません。ずっと自分勝手なことしかしてないような気がします。
「…リリス様、私と一緒にいると迷惑ですか?」
「えぇ?そんなわけないじゃん!私はニアと一緒にいれて幸せだよ?」
リリス様は純粋にそう言っているのでしょう。私の本音など知らずに。
「…そうですか。幸せなんですね」
「うん!ニアだけじゃなくて、ユメちゃんとかタキナと一緒に生活できる今はとても充実してると思うよ!」
…またあの人たちが出てくるんですか。私と二人っきりの時ぐらい、あの人たちについて喋ってほしくないです。
今は、私だけを見ていてほしいです。
「リリス様、私言いましたよね?今は私とハグするのに集中してくださいと」
「あ、そうだったね。ごめんごめん」
強く抱きしめてくれる。痛みを感じているのかもしれません。ですが、それすらもリリス様の優しさだと思えます。
あの苦しかっただけの日常とは打って変わって、リリス様に出会ってからすべてが変わりました。
居場所が出来て、一緒にいたい存在もできて、温かさも知ることができました。
…ずっと貰ってばかりですね。
「…リリス様、私が初めて貴方に話しかけた時、どうして私の話を聞いてくれたんですか?」
「いきなりの質問だね。…う~んと、あの時のニアが昔の私みたいだったのと、なんだか苦しそうな表情をしていたからかな?」
私は立場を失うのが怖いからと、自分勝手にリリス様を傷つけた。
それなのに、貴方は私の話を聞いて、手を取って、慰めてくれた。あの温かさは、本当に当時の私にとって、一番欲しかったものでした。
どうしてこんなに与えてくれるんですか…?
「既にやったことは許されないはずです。なのに、見境なく全員に寄り添おうとする。どうしてです?今年初めの、あいつの時だってーー」
「あ!ニアは他の子の話するんだ?よくないねぇ」
「っ…」
…ああ、もう。そんな顔して言わないでください。勘違いしちゃいそうになりますからぁ。
「確かにね、ニアが私を傷つけたのは本当。でも、貴方は私に謝ってくれた。他人に知られたくないようなことも全部話してくれた。だから、私は許したの。ニアが許される、許されないを判断することはできないでしょ?」
「…」
私の過去について喋ったのは、もう抱え込みたくなかったから。
誰かに無理やり押し付けて、楽になろうとした。逃げたんですよ。
これは言わなきゃいけないことかもしれません。でも、怖いんです。これで何か言われたらと思うと…
「ニア、過去に起こったことをずっと抱え込み続けることはできないよ。そんなことしたら、いつか限界が来ちゃう。自分の中で区切りをつけてもいいんだよ?わざわざ自分に厳しくする必要なんてないんだからさ」
「…区切りをつける、ですか」
それも逃げになると思ってしまいます。ですが、あの時に抱え込み過ぎて爆発してしまいました。
それすらも引きずっていたら、いつかまたより大きな爆発を起こしてしまうかもしれません。
自分に厳しくし過ぎない…。
厳しくしてるつもりはありませんし、逆に甘すぎる気がします。
どこまでが甘くて、厳しいのか。私には、わからないです。
「…もう、ニアってホントに堅いよね。今、目の前に頼れる人がいるでしょ。頼るってことを覚えたんだからさ、わからないなら聞いてみればいいじゃん?」
「…じゃあ、どうすればいいんですか?どう区切りをつければいいんですか?」
「辛いことは忘れればいい、なんてことは言わないよ。大事なのは、それをどう活用するのか。
自分の過去として抱え続けるか、経験として今に生かしていくのか。過去は変えられないから。だから、私はこれを意識してるね」
経験として生かしていく、過去は変えられない…、確かにそうですね。何事も使い方ですか…。
「…少し考えてみます」
「それでいいと思うよ!無理に答えを出さなくても大丈夫。今は、今だけのかけがえのない時間を過ごした方がいいと思うよ?」
…リリス様は思わせぶりな発言しかしませんね。反応しないのも難しいんですよ…
「リリス様は、何か私にしてほしいこととかありませんか?ずっと貰ってばっかりな気がしますので」
「してほしいこと?何があるかなぁ…」
どうせ『ニアのしたいことをしていいよ!』みたいなことを言ってくるのでしょうね。わかり切った質問過ぎましたか?
少しはリリス様が何を望んでいるのか、観察しないとーー
「私とずっと一緒にいてほしいかな?」
「…は?」
つまりはそういうことなんですか?
リリス様もそうなんですか?
私と同じ気持ちを持っているんですか?
あぁ…、もう駄目です。こんなの、我慢できません。
「おっと、どうしたの!?急に強く抱きしめて…?」
「貴方がずっとそんなことばっかり言うからですよ?今日はもうずっと放しませんからぁ…」
…温かいですね。さっきより強く存在を感じることが出来ている気がします。
甘えていいんですよね?頼ってもいいんですよね?なら、私の言うこと聞いてくださいね…?
「リリス様も抱きしめてください。もっと、強く。私は貴方だけのものですからぁ…」
「…まあ?一緒にいてほしいって言ったの私だし?それぐらいなら…」
今までにないほど強く抱きしめてくれる。痛いかもしれない。でも、そんなことは気になりません。温かさが段違いです。熱いとまで感じます。
…これが、愛なんですかね…。
リリス様には、ずっと私だけを見ていてほしいです。
私以外の誰かに、その温かさを向けてほしくない。
これからも、ずっと私のそばにいてほしい。
…そうです。私は、リリス様を独り占めしたいんです。
だって、こんなにも幸せなのですから。
この温かさを、誰かに渡したくなんてありません。
だから、もっと私を見てください。
もっと私を甘やかしてください。
私の我儘を、これからも聞いてください。
そうすれば、きっと。
私はずっと、幸せでいられるはずですから。
…リリス様が、私のそばからいなくなりませんように。
「傅ニア、彼女の『本質』はまだ本領を発揮していない。だが、すべて条件は満たされている。かつては下らないものを失うのを恐れていたが、今では本物を見つけてそれに強く依存している。⋯自覚してるのか知らんが、何かを怖がっている様子も見られる。彼女の相手をしてやるのは大変そうだな」
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いつも通りの日常。登校して、授業を受けて、お喋りして、下校する日々。
そんな私の人生の中心には、常にあの子がいる。
「おはよう、ユメちゃん!」
「おはよう、リリスちゃん!」
リリスちゃんは誰にでも優しい。
困っている人がいれば手を差し伸べるし、誰かに頼られれば嫌な顔ひとつせず応える。
いつも周りのことをよく見ていて、私には真似できないな、なんて思うこともある。
でも、そんなリリスにも、少しだけ気の抜けた瞬間があるんだよね。
授業が終わって、私と二人で話しているとき。
何でもない話をしているだけなのに、ふっと表情が緩んだり、普段よりもずっと気楽そうに笑ってくれたり。
そんな顔を見るたび、私は少し嬉しくなっちゃう。……どうしてだろうね。
別に、私にしか見せない顔だと決まったわけじゃないのに。ほかの子と一緒にいるときだって、同じような顔をしているかもしれない。
それでも、私といるときにそんな顔をしてくれることが、なんだか嬉しい。
もう少し話していたい。もう少し、その顔を見ていたい。
…明日も、こんな時間があればいいな。
そんなリリスちゃんにも、気が緩む瞬間があります。
ある日の放課後。
いつものように二人で話していると、リリスちゃんの返事が少しずつ遅くなっていきました。
「リリスちゃん?」
「んー……なぁに、ユメちゃん……?」
返事はしてくれたけど、どこか眠たそうだった。いつもならすぐに返ってくる言葉も、今日はゆっくりでした。
「もしかして、眠いの?」
「うん…ちょっとだけ…」
そう言って、リリスちゃんは小さくあくびをしました。
……ふふっ、思わず笑みがこぼれてしまう。
普段はしっかりしていて、誰にでも優しくて、頼りになるリリスちゃん。そんなあの子が、今はこんなにも気の抜けた顔をしているから。
「眠いなら、少しお休みする?」
「うーん……でも、ユメちゃんと話してたいし……」
「…へえ?」
あまりにも自然に言われたものだから、一瞬、聞き間違いかと思いました。
リリスちゃんは特に気にした様子もなく、また小さくあくびをしました。……ずるいなぁ。
そんなことを言われたら、もっと一緒にいたくなっちゃうじゃんっ。
「……じゃあ、眠くなくなるまでお話ししようか」
「ん! そうするー……」
嬉しそうに返事をしてくれたリリスちゃんを見て、私も嬉しくなったね。
それからしばらく、私たちは他愛のない話を続けていました。けれど、少し経つとリリスちゃんの返事が途切れがちになっていきます。
「…リリスちゃん?」
「んー……」
返事はありました。でも、目はもうほとんど閉じちゃってる。
「……もしかして、寝ちゃいそう?」
「……ねてないよぉ……」
そう言いながら、リリスちゃんは小さくあくびをしました。……ふふっ。
「もう。眠いなら寝てもいいんだよ?」
「……でも、ユメちゃんと……」
そこまで言って、リリスの声がだんだん小さくなっていきました。やがて、その頭がこくりと傾いた。
「…リリスちゃん?」
今度は返事がありませんでした。
そっと顔を覗き込むと、リリスちゃんは静かな寝息を立てていました。……寝ちゃった。
いつもはしっかりしていて、誰にでも優しくて。困っている人がいれば手を差し伸べて、私たちの前では頼りになるリリスちゃん。
そんなあの子が、今はこんなにも無防備に眠っています。思わず、じっと見つめてしまいました。
起こしてしまわないように、声を出すのもやめます。……こんな顔もするんだ。
知っているつもりだったリリスちゃんのことを、まだ知らなかったんだなぁ。そう思うと、胸の奥が少しだけくすぐったくなりました。
ただ二人で話していて、リリスが眠ってしまった。それだけのこと。
それなのに、この時間が終わってしまうのが、少し惜しく感じました。
……もう少しだけ、このままでいよう。
私は眠るリリスちゃんを起こさないように、静かに隣にいました。
こんな日が、もっと増えたらいいなあ。
もっと、リリスちゃんのことを知りたい。
「もっと一緒にいようね?リリスちゃん?」
気持ちよさそうに寝るリリスちゃんの頭を撫でて、そっと本音をこぼしました。
「梔子ユメ、正真正銘この世界の住人。本当なら孤独に中学校生活を営み、アビドス高校へ一人で入学するはずだった。だが、そこにイレギュラーであるリリスが入り込んだ。彼女自身でアイデンティティを形成していくはずだったが、彼女はリリスを見て多くのことを学び、本来とは違ったものを得た。そしてあいつに純粋な想いを寄せている。…はぁ」
なんなんだ一体…。なぜだ?
ニア、タキナは『本質』的に惹かれ合う存在だから仕方がないとして、なぜ奴までも魅入られている?
「…ああもう、こんなことになるなんてな」
本来なら軽く接点を得るだけだったはずだ。なぜ、こんなにも深くのめり込んでいる?わからない。
「まったく、どいつもこいつも…」
あいつの周りにいる連中は、揃いも揃ってリリスに夢中だ。
あいつは昔からそうだ。本人にそのつもりがあるのかもわからないくせに、いつの間にか人の心に入り込んでいる。
いくらあいつの『本質』が強くなっていると言っても、ここまでにはならないはずだ。どうして?
「…こんなんじゃ、人のことを言えないな。すべてが想定外で、驚きに満ちている」
余りにも輝かしい。眩しすぎる。
私が体験することが出来なかった世界が、想像を超えた規模で広がっている。それを、リリスが成し遂げたのだ。
だからこそ、迷う。
「あいつらを裏切るようなことをして、それでいいのだろうか?」
迷う必要なんてないだろう。これは、私が考え、実行に移したことだ。私が始めたことなのだ。
…私は、どうして躊躇いを見せている?
なぜどうやってわからないどうして理解できない何が起こっている?
「…フハッ」
…私の目指すものは変わらない。すでに運命は定まっているのだ。もう、止まれない。
「すべては、私の望む『崇高』のため。更なる高みへと至るためだ」
もうぶれない。迷わない。躊躇わない。
途中で立ち止まってはいけない。進み続けろ。
「フフフっ、楽しみだなぁ。お前がどこまで行けるのか、わからないからこそ楽しみだ」
荒れ狂う内心を殺すように『恐怖』を露呈させて、口角が裂けそうになるほど笑みを深めた。
「リリス、運命に向き合え。お前は、逃げられない」
予定通り、明日に投稿します!
第九話 日常が壊れた日 『なんで教えてくれないの!?』
『…すべては、お前のためだ』
楽しみにして欲しいですね!