月曜日に佐々木に電話して、集まれるのは土曜日となった。
どちらかと言うと、三社を集める遊陽が高校生のため、土日のどちらかに調整すると言った形になっている。
集まったのは、『レコックス・デュエルラボ・ミナモ支部』だ。
「……ここがデュエルラボか。デカいな」
佐々木の運転で到着した遊陽だが、施設を見上げて驚いた。
「皆さん、すでに奥の実験室でお待ちのようですね」
「あ、そうなんですね。なら、施設の細かいことはいいか」
ハイドロキッズたちが、三社のカードで遊んだらどうなるのか。
それぞれの会社からカードを調達するのではなく、人まで呼べるのがレコックスのプレミアム特典の異常性でもあるが、それはそれ。
施設の中に入って、廊下を歩いて、一番奥まで進む。
佐々木が入り口のスキャナーにカードを差し込むと、開錠された。
「……広いな」
学校の体育館よりも広い空間があった。
床も壁も天井も白く、センサーと思われる光が隙間からところどころ出ている。
ドアが開いた音を聞いて、近くにいた六人が、遊陽の方を見た。
眼鏡をかけた長身の男。
筋骨隆々の大男。
小柄な女性。
スーツを着た男性が二人と、白衣を着た女性が一人。
「今日はありがとうございます。帯包遊陽と言います」
遊陽は軽く頭を下げた。
「……こ、高校生?」
遊陽は水面高校の制服を着ている。
その姿を見た小柄な女性……
「はい。水面高校に通ってる一年生です」
「水面高校……仮面ライダーソーラーと強馬渇明がいる学校か」
「そうですね」
眼鏡をかけた長身の男。紫雲一輝は『水面市において有名なこと』の代表例が頭に浮かんだようだ。
「……少々驚きだが、話を進めましょう。エーサーバー・クリエイション代表の
スーツを着た四十代後半の男が名刺を取り出した。
遊陽は受け取って確認する。
「こちらは、仮面ライダーナユタに変身する紫雲一輝君で、我が社の専属ライダーでもある」
「よろしくお願いします」
「はい。お願いします」
遊陽は一輝を見上げた。
身長、高い。180センチはありそう。
「ワシは
「よろしく」
「よろしくお願いします」
三隅開発。
トレーニングマシンを開発している企業だが。
三隅剛志、おそらく60歳くらいだと思うのだが、息子以上に筋骨隆々だ。
おそらくオーダーメイドと思われるスーツを着ているが、なかなか筋肉が凄い。
「私は水垣瑠々。アトリエ・ルルリキッドの代表で、仮面ライダールルもやってます。こっちは
「よろしくお願いします」
横に大きな人がいるからだろうか。
おそらく155センチくらいと思われる水垣瑠々が非常に小さく見える。
その隣で、白衣を着たクールな女性が頭を下げた。
六枚の名刺を受け取って、遊陽はポケットから取り出した名刺ケースに入れる。
「集まってくれてありがとうございます。今日、皆さんとやりたいのは、俺のデッキの子供たちと遊んでほしいんです」
「遊ぶとは?」
「モンスターを実体化させないと、感情は出てこないよね。ってことは……」
「その通りです」
遊陽は左腕のデュエルディスクを、腰に装着する。
ベルトが一周して固定された。
『DUEL DRIVER』
次に、ライダーカードを取り出す。
「ライダーカード……」
「そういうことです」
『Your name is……』
「変身」
『KAMEN RIDER HELIOS!』
ベルトから炎が溢れて、アーマーを形成。
遊陽に装着されて、仮面ライダーになった。
「仮面ライダーヘリオス」
「ネジ怪人をソーラーと倒したライダーと聞いている。まさか、同じ学校の同年代に、仮面ライダーが二人いるとは……すごい偶然だね」
「そうですね。凄い偶然です」
遊陽は苦笑した。
「とはいえ、モンスターを実体化させるなら、変身するだけじゃなくてデュエル中にする必要があるな」
三人とも、デュエルディスクを腕から外して、腰に付けた。
「というわけで」
「ああ」
「そうね」
「「「変身」」」
『KAMEN RIDER NAYUTA!』
『KAMEN RIDER GIGANT!』
『KAMEN RIDER LULU!』
三人がライダーカードを使って、変身。
四人のライダーが揃った。
「えーと、で、遊ぶって話なんですけど……佐々木さん。説明してくれます?」
「ええ、端的に言いますと、お互いにアンティが成立しておらず、ライダーしか参加していないデュエルにおいては、双方合意でドローフェイズに入れます。別に殴り合う必要もないんですよ」
「そうなのか……」
「初めて聞いたぞ」
「ライダーの仕様確認って難しいからねぇ」
全員、カードを5枚ドローする。
全員の手札が消えて、5枚のホログラムになった。
「というわけで、『ハイドロキッズ・スクランブル』だ。スプラ、ジェット、おいで」
『うおおおおっ!』
『よっしゃああっ!』
水鉄砲を持った子供と、ジェットパックを身に着けた子供が出現した。
ハイドロキッズ・スプラ ATK1200 ☆4
ハイドロキッズ・ジェット ATK1400 ☆4
「報道に使用テーマは載ってたけど、本当にハイドロキッズなんだ」
『よろしくな! ってか広い!』
『お、ルルちゃんがいるじゃねえか!』
「ルルちゃんって……」
『おっぱい小さいな!』
「張り倒すぞ」
『でも技術統括の人は胸がでけぇ!』
『白衣の巨乳美人だあああああっ!』
「……」
来海はちょっと蔑むような視線で二人を見下ろしている。
「……えーと、次は」
「諦めてるな……」
「変身中なら、サーフは特殊召喚できる。レスキューを通常召喚。変身中にレスキューを出せば、デッキからハイドロキッズを出せるから、マリンを特殊召喚」
ハイドロキッズ・サーフ ATK1000 ☆4
ハイドロキッズ・レスキュー ATK1400 ☆4
ハイドロキッズ・マリン ATK1100 ☆4
サーフボードに乗った子供と、放水機を持った子供と、シュノーケルを付けた子供が出てきた。
『参上! ……おおっ! 筋肉すげえ!』
『仮面ライダーってこんなマッスルだったっけ!?』
『ムキムキだああああっ!』
ギガントの筋肉に大喜びである。
「……フィールドが5体で埋まっててサイダーが出せなくなるし、スプラとレスキューはダブルポンプになるか」
『よっしゃあ!』
『やってくれ!』
「じゃあ、スプラとレスキューでオーバーレイ、『ハイドロキッズマシン・ダブルポンプ』」
ハイドロキッズマシン・ダブルポンプ ATK2300 ★4
『『やっぱこれだぜえええっ!』』
「で、ドローフェイズにさせてもらって……サイダーを通常召喚!」
『出番だぜ! おお、なんかスタイリッシュなライダーがいる!』
サイダーがナユタの姿に感激している。
「フフッ、それなら、僕もモンスターを出そうか。手札から『エーアイズ・レッドクラウド』を召喚」
エーアイズ・レッドクラウド ATK1200 ☆4
出現したのは、赤い雲だ。
「召喚時の効果で、『エーアイズ・ブルークラウド』を手札に、このモンスターは、フィールドにエーアイズがいるなら特殊召喚できる」
エーアイズ・ブルークラウド ATK1900 ☆5
「ブルークラウドの特殊召喚成功時、『エーアイズ・シンギュラリティ』を手札に。変身中だから魔法も一緒だ。『エーアイズ・プロトコル』にする」
2枚のカードが手札に加わる。
「魔法カード、『エーアイズ・プロトコル』を発動。自分フィールドに『エーアイズ』モンスターが2種類いるなら、手札から『エーアイズ』モンスターを特殊召喚だ。特殊召喚するのは、『エーアイズ・シンギュラリティ』」
エーアイズ・シンギュラリティ ATK2900 ☆8
「プロトコルの追加効果で、変身中なら、デッキから『エーアイズ・フュージョン』を手札に加えられる。さらにシンギュラリティの効果で、デッキから2枚目のレッドクラウドとブルークラウドを手札に加える」
手札を補充して……。
「魔法カード『エーアイズ・フュージョン』を発動。レッドクラウドとブルークラウドをそれぞれ2体ずつ素材として、融合召喚! 『エーアイズ・ギガクラウド』!」
エーアイズ・ギガクラウド ATK0 ☆8
紫色の雲が出現した。
「ギガクラウドの融合召喚成功時、このカードをフィールド魔法扱いで、自分のフィールドゾーンに置く」
ギガクラウドが上空に移動した。
『おおっ! あれが、頭が良くなりそうな雨雲だな!』
「……」
一輝はこけそうになった。
「はははっ! 流石に子供たちにクラウドサーバーはわからんだろう。と言うわけで、俺は『パワーデモンズ・アシュラ』を妥協召喚。『パワーデモンズ・ダンベル』を装備させて、ステータスを元々の攻撃力にしよう」
パワーデモンズ・アシュラ ATK3000→1800→3000 ☆8
『ダンベル重そうだぜ!』
『六本の腕に一個ずつ持ってるけど、一個がどれくらいの重さなんだ?』
「開発部は40キロと言っていたな」
『俺の倍はあるぜ!』
『おもすぎぃ!』
「……はぁ」
騒ぐ子供たちに、ルルはちょっと呆れた様子。
「グロウドラゴン・キッドを召喚」
グロウドラゴン・キッド ATK1000 ☆4
全長一メートルで水色のドラゴンが出現。
「効果で『パワフル・グロウポーション』を手札に。キッドを対象に発動するよ。攻撃力が1000上がる」
ポーションが出現して、キッドがゴクゴク飲んでいる。
『おお、キッド。そのポーション美味いのか?』
『……ぴうぅ!』
グロウドラゴン・キッド ATK1000→2000
『お、美味いみたいだな!』
『え、そうなのか?』
『いや俺もドラゴンの言葉はわからん!』
『適当に言いすぎだろお前!』
ハイドロキッズたちはマスコットキャラのような等身の子供たちであり、人語を話せる。
ただし、モンスターは誰もかれもが人語を話せるわけではない。
もちろん、デュエリストの指示を理解できないモンスターはいないので人語を理解することは可能だ。
とはいえ、ハイドロキッズたちも、竜の鳴き声ではわからない。
……まぁ、美味しそうに飲んでいるのも事実だが。
『てか、ダンベル、40キロか。俺って持ち上げられるかな』
スプラがアシュラに近づいた。
「さすがに無理だと思うが、子供用には作っていないからな……」
『レッツトライだ! アシュラ、一個貸してくれ!』
というわけで、アシュラはダンベルを一つ置いた。
『よっしゃいくぜ! おりゃああああっ!』
スプラはダンベルを持って頑張って持ち上げようとして……。
『……ダンベル持ち上がらねえんだけど!』
『グロウポーションを飲んだら持ち上がるんじゃねえか?』
サイダーが提案した。
『それだ! おーいルルちゃん。ポーションをもう一本出してくれ!』
「えぇ……はぁ、『パワフル・グロウポーション』をもう1枚発動」
効果としてはキッドの傍に出現するポーション。
サイダーはそれを手に取って、栓を開ける。
『クンクン……なんだこのにおい。まぁいいか』
『サイダー! そいつを俺に寄こせ!』
サイダーは瓶をスプラに渡す。
スプラはそのまま飲み始めた。
『ゴクゴクゴクゴク……』
『美味いか?』
ジェットが興味を持ったようだ。
『ブドウジュースみたいな味だ!』
『みたいなってなんだよ。ブドウジュースじゃねえのか?』
『だったらレスキューも飲んでみろよ!』
『わかった。ごくごく……ブドウジュースみたいな味だ!』
『だろ! というわけでダンベルを。おりゃああああっ!』
サーフがダンベルを見る。
『5ミリ浮いたぞ!』
『浮いたうちに入ると思ってんのか!?』
もっと思いっきり上げられると思っていたようだが、上がったのは五ミリのようだ。
それを見かねたマリンが提案する。
『クッソ仕方がねぇ。じゃあ雲の下に行って、雨を浴びてみようぜ!』
『なんでだ?』
『頭が良くなるんだったら体の使い方がわかるはずだ!』
『確かに!』
喜んでいるスプラたちだが……。
「ちょっと待て、ギガクラウドに雨を降らせる機能はなかったはず……」
クラウドサーバーなのだ。雨を降らせる機能など搭載する必要性はない。
ただ、ハイドロキッズたちには関係ないようで……。
『おーい! こっちこっち~!』
『雨雲が自分でこっちに来るか! お前が行けよ!』
『そりゃそうだ!』
スプラがギガクラウドの真下に来た。
すると……ぽつぽつと、雨が降ってきた。
「なっ……し、信じられん……」
増村が驚愕している。
『うおおおっ! いい感じに頭が良くなってきた気がするぜええっ! プラシーボフィーバーーーッ!』
『バカじゃねえの?』
『やかましいわ!』
サイダーから突っ込まれて言い返すスプラだが、ダンベルの近くに行った。
『これでダンベルを持ち上げてやるぜ! うおおおおおっ!』
『3ミリ浮いたぞ!』
『意味ねえどころかポーションの効果が切れてんじゃねえか!』
スプラはチクショウ! と残念そうである。
サイダーは首を傾げた。
『ん? 薄めた奴を渡したのが悪かったのか?』
『いつ薄めたんだよ! 原液よこせや! ていうかデュエルモンスターズのカードで出せるポーションに濃度って概念あんのかよ!?』
『俺の炭酸で割ってみるか?』
『よし、寄こせ! 混ぜてっと……ゴクゴク』
『どうだ?』
『ゼラチンが欲しい!』
『ゼリーを作ろうとするんじゃねえ!』
ブドウジュースとサイダーを混ぜた炭酸ゼリー。
普通においしそうではあるが、あいにくここにはない。
で、スプラが瓶を置いてダンベルに向かっていると、グロウドラゴン・キッドが、とことこ歩いて瓶に近づいた。
スンスン、とにおいを嗅いで……。
『……きゅうっ! ゴクゴクゴクゴク……』
『炭酸で割ったやつを何がぶ飲みしてんだお前は!?』
一心不乱に飲み始めた。
「ちょ、キッド!? それ炭酸で割った奴だよ!?」
グロウドラゴン・キッド ATK2000→3200
「上昇値が200上がってる!?」
「はあっ!?」
何故か、キッドの攻撃力が3200まで上がった。
パワフル・グロウポーションは攻撃力を1000上げるので、本来なら2000から3000になるはずである。
これには、来海も驚愕した。
『だったらなんで俺の攻撃力は上がってねえの?』
『いや知らんな』
スプラもさっきから結構飲んでいる。
今のスプラは『ハイドロキッズマシン・ダブルポンプ』のエクシーズ素材ではあるが、彼自身が『マシンの操縦者』なので、こうして公転するオーバーレイユニットにならずフィールドにいるわけだ。
とはいえ、ダブルポンプの2300から1たりとも上がっていないのは事実である。
『ただ、効果時間は短いんだ! とりあえずダンベル上げてやるぜ! うおおおおおっ!』
『5ミリ上がったぞ!』
『炭酸意味ねぇ!』
『じゃあなんでキッドの攻撃力は本来より上がってんだよ!?』
『俺が知るか!』
スプラはブチ切れた。
が、アシュラを見る。
今も、五つの腕にはダンベルがある。
『なあ、ポーションをアシュラが飲んだらどうなるんだろ』
『さあ?』
『よっしゃ! キッド、お前が飲んでるそれを……』
スプラはキッドの方を振り向いた。
『……けふっ、ぴうぅ?』
『すでに飲みほしてやがる』
『あー、ルルちゃん。ポーションお代わり』
「……3枚目の『パワフル・グロウポーション』を発動」
ルルは疲れたようだ。
『えーと、ポーションと炭酸を混ぜて、コップに注いでと』
『その新品のボトルと紙コップ。どこから出したんだ?』
『まあこまけえことは置いとけよ。アシュラ、出来たぜ!』
アシュラは紙コップ三つを受け取ると、三つの顔で飲み始めた。
『なんかすごくシュールだな』
『冷静になってどうすんだ! ギガント! もっと重いダンベル出せるか?』
「重いダンベルはないが……魔法カード『パワーデモンズ・ウェイトアップ』を発動だ。これで、『パワーデモンズ』装備魔法を装備しているモンスターの攻撃力は、さらに500上がる」
パワーデモンズ・アシュラ ATK3000→3500
アシュラのダンベルが重くなった。
というか、ダンベルに『50』という数字が表れた。
そして……その状態で、ブオンブオンと振り回す。
『うおおおおっ! 50キロのダンベルを六個も振り回してるううううっ!』
『すげええええええっ!』
子供たちは大喜びである。
ただ、キッドがポーションを飲んだり、アシュラはダンベルを持ち上げたりといろいろやっているが、一応、フィールドに出てきているエーアイズ・シンギュラリティはちょっと手持ち無沙汰になっている。
そんな彼のところに、マリンが近づいた。
『なあシンちゃん。これ、ユーヒのスマホなんだけどさ』
「おい! いつ俺のポケットから抜いたんだ!?」
『外装だけ23PROなんだけど、中身はプレミアム仕様なんだぜ。ぶっちゃけどう思う?』
『……』
シンちゃんはスマホを覗き込む。
『活用率、3%』
「うっせえな!」
『ユーヒ、全然使ってねえ!』
『3%! 3%だってよ!』
『ギャハハハハハッ!』
大盛り上がりである。
ただ……。
「シンギュラリティが、喋った」
「今まで、こんなことは……」
増村と一輝が驚愕している。
「シンちゃんって、呼ばれてるね」
「……そうですね」
自分が使うモンスターの、新しい一面を見れたようだ。
★
ギャーギャー騒ぐ子供たちの体力は凄まじい。
ただ同時に、疲れたら一瞬だ。
『『『『『『すぴー、ぐがー、ぐごごごごごごご……』』』』』』
「寝息ヤベェなこいつら」
床で寝始めたハイドロキッズたちの寝息にドン引きしつつ、ライダーたちを見た。
「さて、今日はこれくらいでお開きにしますか」
「……そうね。来海、レポートはできてる?」
「はい」
「実際どう?」
「流石、プレミアム用の実験室と言いますか、高品質な計測器が並んでました。それらを使ってレポートを作れたのは、非常に価値があります」
「なら、よかった」
増村はギガクラウドを見上げた。
「今日は非常に有意義でした。性能が高いカードを開発することは今までずっと続けてましたが、デュエル中の楽しい発想が、もっと大きな力に繋がる。これを間近で見て、レポートに残せるのは非常に大きい」
「ええ、それに……エースに名前が付いた。それだけでも、来た甲斐があります」
剛志はアシュラを見る。
「トレーニングマシンばかり作っていたが、それだけだと、アシュラは楽しくないのかもしれんな」
「親父……」
「モンスターも一緒に楽しく。か……」
剛志は遊陽を見る。
「このメンバーを集めたということは、先週の企業対抗戦で、君はあのスタジアムにいたんだろう?」
「……そうですね」
「こう言っては何だが、勝ったバテリーではなく、我々を集めた理由も、よくわかる」
「……そうですかね」
遊陽は、ぐっすり寝ているハイドロキッズたちを見る。
「……モンスターってさ。こんな、幸せそうに寝るんだね。初めて見た」
ルルはしゃがんで、子供たちの頬を指で突いた。
『ううん……ルルちゃーん。それは食べられない冷蔵庫だぞぉ』
「どんな夢見てるの?」
「社長のことを冷蔵庫を食べる人だと思ってるのでは?」
「来海ちゃんってそんなキャラだっけ?」
ルルはツッコんだが、その後、フフッと微笑んだ。
「はぁ、カードは盗まれるわ、バテリーにボコられるわで、なんか散々な目にあってたけど、今日は来て良かったよ」
ルルは立ち上がった。
「美味しいポーションを作っておくから、機会があればまた誘ってね」
「ワシらも、子供が持ち上げられるダンベルを用意しておくか」
「水属性の子供たちが浴びることで賢くなれそうな雨。ですか……考えたこともなかったな」
三社の社長たちだが、いろいろ、『作りたいもの』が出来たようだ。
勝つためでも、負けないためでもない。
元気に騒いで遊ぶ、子供たちのために。
遊陽は、フフッと微笑んで……。
「今日は、時間を作っていただき、ありがとうございました。また、遊んでくれると嬉しいです」