渇明と『ハイドロキッズ・レスキュー』を探した次の日。
日曜日の朝に、遊陽は自分のスマホを見ていた。
「……そういえば、最近、動作が遅いし、充電がなくなるのが爆速なんだよなこれ」
クリアケースが完全に黄色になったスマホ。
デュエルディスクを作っている企業、レコックス・コーポレーションが出しているモデルである。
遊陽が持っているのは『REKCOHS FIELD 17』だ。
「最新機種ってなんだっけ?」
スマホで検索してみる。
……ちょっと遅い。
「んー……え、25!? このモデルってそんなに出てたのか……」
あまりにも時代に取り残され過ぎて頬が引きつった遊陽。
8世代前のスマホ。
もはや骨董品どころではない。というかセキュリティが怪しいだろう。
「……プレミアムの特典で、スマホって多分、機種変って出来るよな。いやでも、プレミアムセンサーって店にもあるんだよな。混乱するかもしれないし……」
プレミアムセンサー。
主に、来店した人がプレミアムスコアを持っているかどうかを判断することが可能なもので、レコックス系列の店に多く採用されている。
接客に大きくかかわるスコアのため、それを識別できる装置が存在するが、遊陽が入ると確定で反応するということだ。
「……佐々木さんに電話しようか」
デュエルディスクに登録された佐々木の電話番号を見て、スマホで電話をかける。
『はい。プレミアム・メンバーズ・オフィス。佐々木です』
「あ、佐々木さん」
『おはようございます。遊陽様。本日はどうされましたか?』
「スマホの機種変をしようと思ってて……」
『ああ、あの……』
佐々木さんの言葉がちょっと詰まった。
遊陽は佐々木が家に来た時、スマホをテーブルに置いていたことを思い出した。
8世代前の年季が入ったスマホ。
忘れたくても忘れられないだろう。
『こちらで端末の候補をいくつか見繕って、ご自宅に伺うことも可能ですが……』
「んー……直営店に行こうと思ってて、店側が混乱しないかどうか心配で……」
『そういうことですか』
佐々木も、『店側の混乱をどうすればいいか』が本題であると察した様子。
『では、私の方から連絡しておきますので、お時間はどうされますか?』
「午前10時くらいで」
『午前10時くらいですね。直営店の店長と、最低限のスタッフに共有する形で連絡しておきます』
「お願いします。それでは」
『はい。また本サービスをご利用ください。失礼いたします』
通話終了。
「……よし、10時に行くか」
遊陽の用事はスマホの機種変で決定した。
★
午前10時。
遊陽は家から最寄りの、レコックス・デジタル直営店に来ていた。
スマホ、パソコン、タブレット、ウェアラブル端末など。
デュエルディスクほど特殊ではないが、数多くの電子機器が売られている。
遊陽はそんな直営店の、個室に案内されていた。
「本日はご来店ありがとうございます。店長の宮島です」
「
自己紹介を初手で済ませて、まず、店長が用意した『候補』を見比べる。
「現行モデルは『REKCOHS FIELD 25』となっていまして。その『PRO』版も出ています」
「おぉ……」
「帯包様はプレミアムポイントを保有されていますから、外装までプレミアム仕様の『REKCOHS FIELD 25PREMIUM』を選んでいただくことも可能です」
「……」
REKCOHS FIELD 25PREMIUM。
外装からして凄く高級感のあるスマホだ。
その横に高級モデルであるPROが置かれているのに、それが霞むレベルの豪華な外装となっている。
「……これ、目立ちますよね」
「ええ、とても」
遊陽の顔がちょっと歪んだ。
「最後に、こちらは、佐々木さんからの連絡で、本社から届いたものです」
「ん?」
一台のスマホがテーブルの下から出てくる。
外見としては、25PROに近いか。
「こちらは、外見は23PROと同一ですが、外装も中身もプレミアム仕様となっています」
「……23PROに偽装してるってことですか?」
「はい。目立ちたくはない。といった方に向けたモデルとなっています」
「へぇ……」
遊陽はスマホを持ってみる。
「……おおっ」
語彙力はなかった。
「外装も中身もプレミアムって、どういうことですか?」
「まず、REKCOHS FIELDシリーズは、『デュエルディスクとの同期』を優先するものになっています。カード検索やデュエルログの同期など、速度がとても速くなっていますし、保存できるデータ量も膨大です」
「おお……」
「カメラも高性能で、3キロ離れたデュエルモンスターズのカードを正確に認識できるようになっています」
「何の需要を満たしてるんですか?」
「さぁ……素材の質が良いからこうなったとしか……」
店長も歯切れが悪くなった。
「あと、なんか、触った感じ、すごく……」
「とても頑丈です。5トンの衝撃に耐えられるようになっています」
「……」
遊陽は黙った。
ライダーカードには、仮面ライダーとしてのスペックが書かれているのだ。
|仮面ライダーヘリオス
│■身長:190.2cm
│■体重:80.2kg
│■パンチ力:3t
│■キック力:5t
│■ジャンプ力:20.0m
│■走力:7.5秒
そう。
ヘリオスはパンチ力3トンで、キック力5トン。
スマホが5トンの衝撃に耐えられる場合、ヘリオスのキックを耐えられるのだ!
「……これにします」
「あ、あの、大丈夫ですか? 凄く顔が苦々しいですが……」
「大丈夫です。これにしますっ」
謎の敗北感がある遊陽であった。
★
まぁ、心にちょっとしたダメージがあったようだが。
新しいスマホを手に入れるというのは、高校生からすると世界が変わって見えるものだ。
「凄いな。カメラがめっちゃ見える」
人通りの少ない道でスマホカメラを手に周囲を見渡す遊陽。
「……まぁ、あんまり見すぎると不審者と思われるか。これくらいにしよう」
急に冷静になった。
……厳密に言えば、カメラがめっちゃ遠くまで見えるというのは、それまでカメラにこだわっていなかった高校生からすれば、『おお! 綺麗! すごい!』で終わる話である。
凄いと思えるかどうかと、興味が続くかどうかは別の話だ。
スマホ君は泣いていい。液漏れはダメだけど。
そう、スマホカメラと言えどそんなものだ。
家に帰って、『自分が買ってきたカードを机の上に並べて、一気に登録!』みたいな識別が出来そうなのでその点は便利だが、別に遠くが見えることへの感動など薄い。
遊陽はあくまでも、そんな感じの高校生だ。
「……えっ」
そんな感じの高校生だが。
「今の、怪人カード……」
カメラから画面を戻そうとした。
そのカメラの、遠くの人の手に。
怪人カードが写りこんでいた。
自動認識で、カード候補がスマホの画面に出てきて、そこにははっきりと、『怪人』と書かれている。
その人物はもう、裏路地に入っていったようで、遊陽からは見えない。
「……チッ」
遊陽は走り出した。
遠くのカードすら識別する。
その話に嘘偽りはない。
裏路地の入り口は数百メートル先だ。
そのまま裏路地にたどり着いて、中に入っていくだけでも、そこそこ時間がかかる。
「はぁ、はぁ、何やってんだ俺は、クソッ」
悪態をつきながらも、裏路地に入っていく。
裏路地の中を走って走って……。
少し、開けた場所に出た。
「ここか……なっ」
思わず、遊陽は驚いた。
「くたばれやゴルア!」
「ぐっ、がああああああああっ!」
雑草の怪人が地面に倒れて、怪人の光が失われて、人間に戻る。
「クククッ、ポイントありがとよ」
「ぐっ、くそぉ……」
「ったく、『ウィード』なんて雑魚怪人が一人でうろうろしてるのが悪いんだぜ? ……あ、プレミアムセンサーに反応だと?」
サイの怪人が振り向いて、遊陽を見る。
「みねぇ顔だな。だがっ!」
デュエルディスクを起動する。
遊陽のデュエルディスクに、オールベットが強制された。
「……やっぱこうなるよな」
「なんだ? 分かってて飛び込んできたのか?」
「自分でも知らん!」
デュエルディスクが展開して、デッキがシャッフルされる。
「クククッ、で、わざわざ飛び込んでくるんだ。怪人カードくらい持ってんだろ?」
「……そんな、簡単に、手に入るものなのか?」
「ハッ、ディーラーに接触できれば、25万も出せばウィードくらい買えるんだよ」
サイが突撃してきた。
遊陽は横に飛んで、突進を回避する。
「ククッ、さっさと怪人カードを出せよ。生身のままでボロボロになりたいなら構わねえぜ」
「……」
遊陽は、デュエルディスクを左手から外して、腰に当てた。
ベルトが出て、腰を一周して、固定される。
『DUEL DRIVER』
「はっ? 何してんだお前」
遊陽は、スイッチを押した。
『Your name is……』
「変身!」
カードを取り出して、ベルトに入れる。
『KAMEN RIDER HELIOS!』
ベルトが高らかに叫んだ。
炎が勢いよく噴射して、装甲となって体に装着される。
燃え上がるようなアーマーが瞬時に完成して、仮面が光った。
「て、てめぇ、仮面ライダーだったのか!」
「そういうことだ。簡単に狩れると思ったら大間違いだ!」
「舐めてんじゃねえ!」
ライノが突撃してくる。
遊陽は横に飛びつつ、ベルトの傍に実体化した5枚の中から、1枚のカードを使う。
「うおっ、『ハイドロキッズ・スプラ』召喚!」
ハイドロキッズ・スプラ ATK1200 ☆4
水鉄砲を持った子供が出現。
『よっしゃー!』
「スプラの召喚時効果で、デッキからハイドロキッズ・サーフを手札に。変身中なら、手札から無条件で特殊召喚だ!」
ハイドロキッズ・サーフ ATK1000 ☆4
『やっほーい!』
「スプラとサーフでオーバーレイ!」
『『いっくぜー!』』
水鉄砲を持った子供と、サーフボードに乗った子供が、光の弾となって空中で炸裂した。
「エクシーズ召喚! ランク4。へリオ・スライサー!」
ヘリオ・スライサー ATK2500→2700 ★4
「いきなりエースのご登場ってわけか」
「そういうこった」
「ただ、立ち姿に隙があるぜ?」
「よく見てるな……」
ただ、へリオ・スライサーの変身中効果は『剣術センスを得る』であって、『格闘センス』ではない。
このままだと、運動不足の高校生の肉弾戦になる。
「ぶっ飛べええええええええっ!」
「うおおっ! 手札から永続魔法、『ハイドロキッズ・ソード』を発動!」
水色のオーラを放つ剣が出現して、ヘリオスの手が柄を握った。
そのまま、サイの突進を剣で受け止める。
「ぐおおおおおっ!」
「ハッハッハ! サイの突進を止められると思ってんのか?」
「ハイドロキッズ・ソードの……変身中効果発動! 『プロミネンス・ソード』をエクストラデッキからエクシーズ召喚扱いで特殊召喚して、ハイドロキッズ・ソードを素材にする!」
「一体どういう……」
次の瞬間、ハイドロキッズ・ソードが燃え上がって、プロミネンス・ソードになった。
「あっづううううっ!」
ライノが思わず離れて、そのまま尻もちをついた。
「ふぅ……あ、ドロー可能なのか。ドロー!」
遊陽の手札が一枚増える。
「や、やりやがったなテメェ……手札から『ランページ・バッファロー』を召喚!」
ランページ・バッファロー ATK1900 ☆4
大きな角を持つ牛が出現。
「召喚時、デッキから同名を特殊召喚だ!」
ランページ・バッファロー ATK1900 ☆4
「れ、レベル4が……」
「お前と同じじゃねえよ。手札の『ランページ・ボア』は、変身中なら特殊召喚できる!」
ランページ・ボア ATK100 ☆1
「ボアの特殊召喚成功時、デッキから『ランページ』魔法……『ランページ・ストライク』を手札に」
モンスターがフィールドに並ぶ。
そして、これらのモンスターはすべて、実体化していて、行動可能だ。
ヘリオスの隣で、へリオ・スライサーが剣を構える。
「クククッ……『ランページ・ストライク』を発動! 変身中なら、このターン、俺と、俺のランページモンスターの突進に触れたら、ダウンは免れねえ!」
「ダウンは免れない……」
遊陽は脳裏に、これまで自分が格闘中にドローしたタイミングを思い出した。
「攻撃に当たったら、ドロー確定か!」
「そういうこった! 行くぞテメエら!」
ライノも、モンスターたちも突進開始。
「うおおおっ!」
あたったらドロー確定。
武器で受けていいのか不明なので、横に飛んで回避する。
へリオ・スライサーはランページ・バッファローの突進を剣で受けて……膝をつかない!
「剣で受けたら当たった判定にならないのか!」
「チッ!」
ライノの突進を剣で受ける。
「ぐ、ううっ」
「このっ……ぶっとべやゴラァ!」
「うるさい!」
剣を再び燃え上がらせる。
ただ、燃える剣だともうわかっているためか、ライノは怯まない。
「炎の剣なんぞに負けるか!」
ライノがさらに押し込んでくる。
剣とツノがギリギリと押し込みあう。
「ぐっ、この……」
視線を横に向けると、へリオ・スライサーが、3体のランページ相手に剣で立ち回っている。
「そ、速攻魔法、『ハイドロキッズ・スタンプ』発動! ハイドロキッズを2体以上素材にしているエクシーズモンスターは、このターン、戦闘では破壊されない!」
へリオ・スライサーがしっかり地面を踏みしめた。
バッファローの突進をしっかり受け止めて、別のバッファローに誘導して衝突させる。
「何!?」
さらに、近くにいたボアに斬りかかった。
レベル1で攻撃力100のモンスターだ。このまま斬れば……。
「チッ、ボア! チューニングだ!」
「なぬ!?」
ランページ・ボアが、緑色の輪になって、へリオ・スライサーの斬撃を回避した。
「レベル4のバッファロー2体に、レベル1のボアをチューニング。シンクロ召喚!」
星が、調律されていく。
「レベル9、『ランページ・マンモス』!」
ランページ・マンモス ATK3200 ☆9
出現したのは、大きな角を持つマンモスだ。
「こ、攻撃力3200。強力なモンスターを……」
「オラァッ!」
「ぐっ……」
剣とツノで競り合っていたが、急にライノの勢いが強くなった。
「急に勢いが……マンモスの永続効果か!」
「あたりだぁ!」
「うおああっ!」
ヘリオスは抑えきれずに飛ばされて、そのまま地面を転がった。
まだ、『ランページ・ストライク』は効果適応中。
押し込まれたら、ダウンは免れない。
「ハッハッハ! ドロー……ほう、良いカードを引いたぜ」
「くそ……」
「ライダーとしても新人ってとこか」
マンモスがへリオ・スライサーに突進する。
「チッ……『プロミネンス・ソード』の効果を発動! エクシーズ素材を1つ使い、デッキからカードを1枚ドロー!」
ヘリオスはカードをドロー。
「さらに、『ハイドロキッズ・ソード』が墓地に置かれた場合、デッキから『ハイドロキッズ』モンスターを手札に加えられる。俺は、『ハイドロキッズ・レスキュー』を手札に!」
「随分リソースを確保してるじゃねえか」
「そりゃそうさ……俺は、『ハイドロキッズ・レスキュー』を召喚!」
ハイドロキッズ・レスキュー ATK1400 ☆4
『どこか燃えてるかー!』
消火器を持った子供が出現。
「レスキューの召喚成功時、変身中なら、デッキからハイドロキッズを特殊召喚できる! スプラ!」
『いくぞおおおっ!』
ハイドロキッズ・スプラ ATK1200 ☆4
「スプラの効果で、デッキから『ハイドロキッズ・マリン』を手札に。ハイドロキッズがいるから特殊召喚だ!」
ハイドロキッズ・マリン ATK1100 ☆4
「マリンの効果で、デッキから永続魔法、『ハイドロキッズ・シールド』を手札に!」
「シールド……だと?」
「マリン! へリオ・スライサーのエクシーズ素材に!」
『わかったぜ! おい旦那! 俺の力使ってくれ!』
「お前、へリオ・スライサーへの二人称『旦那』なの!?」
ヘリオスが驚いている間に、マリンはヘリオ・スライサーのエクシーズ素材に。
「さらに……スプラ、レスキュー、オーバーレイ!」
『『よっしゃああああっ!』』
「エクシーズ召喚! 現れろ、ランク4! 『ハイドロキッズマシン・ダブルポンプ』!」
ハイドロキッズマシン・ダブルポンプ ATK2300 ★4
『『おらおらああああっ!』』
放水機が二門備わった四輪マシンに、スプラとレスキューが乗り込んでいる。
「チッ……ガキが遊んでんじゃねえ!」
ライノが突進してきた。
「『ハイドロキッズ・シールド』を発動し、そのまま効果発動! 『プロミネンス・シールド』をエクシーズ召喚して、素材にする!」
ヘリオスの左手に、炎の盾が出現。
プロミネンス・シールド DEF2500 ★4
ライノの突進をしっかり受け止めた。
先ほどは飛ばされたが、盾をしっかり構えれば、止められる。
「ぐっ、づぅ……」
「ライダーとしても素人の癖に、あらがってんじゃねえ! 家畜は大人しく踏みつぶされろ!」
「家畜だからってまな板の上に自分で行くと思ってんのか! 自分でつかんで置いてみろ!」
「チッ、生意気言ってんじゃねえ!」
視界の端で、マンモスがへリオ・スライサーに突撃している。
『『ローション発射!』』
スプラとレスキューが放水機から液体を発射!
マンモスの進行方向がローションまみれになる。
「ちょ、おい! マンモス! 止まれえええええええっ!」
ライノの静止を聞けるはずもなく、マンモスはローション地帯に足を踏み入れ……。
『パオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』
めっちゃ派手に転んで……。
ッドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!!
「うおっ!」
「おわっ!」
天地がひっくり返ったのかと思うほどの衝撃が発生し、ヘリオスとライノも体がグラつく。
「今だ!」
燃え上がる剣で、ライノを袈裟切りにする。
「ぐっ、ああっ!」
「プロミネンス・ソードは、変身中で、プロミネンス・シールドがフィールドにあるなら、攻撃力が上がる!」
「く、クソッ!」
ヘリオスは、盾に備わっている溝に剣を差し込んで、ベルトのスイッチを押す。
『LETHAL PHASE』
ヘリオスが盾から剣を引き抜くと、これまで以上に炎が集まり始めた。
ヘリオ・スライサーも剣の炎を熱くして、ダブルポンプは放水機をチャージする。
「ぐっ、くそっ……」
「……1つ、聞いていいか?」
「なんだ!」
「……プレミアムスコアを手に入れたら、お前は何がしたいんだ?」
それを問うヘリオスの声は、とても、静かだった。
「ハッ、会社にウゼェ上司がいてな。そいつがタワマンの低階層に住んでるって言うからよぉ、そのタワマンの最上階に住んで見下すんだよ!」
「……そうか」
ヘリオスは、ライノに斬りかかった。
ヘリオ・スライサーも飛び出す。
「おりゃああああああああああああっ!」
ライノに急接近して、剣を振り下ろす。
爆炎が、サイの体を焼いた。
ダブルポンプが放水機から膨大な水を発射して、ヘリオ・スライサーがマンモスの体を切り裂く。
「ぐっ、がっ、ああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
マンモスと共に、ライノの体が爆発した。
★
オールベットデュエルの判定は絶対だ。
『デュエルスコア。+52,800』
ライノ怪人が持っていたスコアが全て、遊陽のものになった。
「……っ! 足音……爆発音で誰かが」
遊陽は、人間に戻った怪人二人をその場に残して、走り去った。
走りながら……。
「俺たちが生きてる日常の裏に、こんな世界があったなんて……」
ライノは言った。
ディーラーに接触して25万も出せば、ウィードの怪人カードが手に入ると。
「……なんで、わざわざ、雑草になりたがるんだよ。理由はあるんだろうけど、分かんねぇ」
飛び込んでしまってすぐに、怪人たちの社会。
そこにはまだ、遊陽が知らないことが、たくさんあるのだ。