「青葉ちゃん。今日、うちの会社に来る?」
遊陽と渇明が屋上でデュエルをやり終わった頃。
歩佳は、青葉を誘っていた。
「……行く」
「やっぱり乗り気だね!」
「社員食堂の唐揚げが美味しいから」
「そっちかい!」
食い意地だった。
群青色のショートボブでダウナー妹系の青葉だが、唐揚げが美味しければ行くのだ。
「まぁ、よかったよかった! そういえば、研究室で新しいカードを作ってるから、青葉ちゃんも見る?」
「……新しいカードねぇ」
デュエルスコアは、法人も持つことができる。
そのスコアが高ければ税制優遇すらあるほどで、会社の規模が大きくなれば、スコアを集めて、そしてそれを守るためにカードを開発することはもはや必須となる。
ライダーの変身中効果は強いので普通のデュエリストでは歯が立たないため、ライダーを雇っていることも多い。
空閑ソーラーは社長令嬢が仮面ライダーの資格者になれたため、歩佳のためのカードと言ってもいいだろう。
そんな中、新カードの開発。
「……え、私が研究室に入って大丈夫なの?」
どこからどうみてもトップシークレットのはずだ。
「大丈夫大丈夫!」
「なんで?」
「青葉ちゃんって背景がまっさらっぽいし!」
「そのデカい胸にグーパン入れるぞオイ」
「私は青葉ちゃんのちっちゃい胸は似合ってて大好きだよ! ぐえっ」
本当に巨乳にグーパンが入った。
「ライン越えたなオイ。もう一発入れたろか」
「すみません。真面目にやります……」
★
「ここが空閑ソーラーの開発室だよ! 今は里中さんが開発部長で、新しいカードを作ってるんだよ!」
「カード開発部長の里中良悟です」
「花宮青葉です」
空閑ソーラーのカード開発部。
たった一枚のカードを作る上でどのように使うのかよくわからない器材がたくさん置かれているが、カードを作っていることは間違いない。
「というか、青葉ちゃんって、会社に来るのは何回かあるけど、カード開発部に来るのは初めてだったね」
「んー。確かに、基本はここの一階にある社員食堂で歩佳に奢らせてるだけだし」
「あ、歩佳さんに、こんな親しいご友人がいたんですね……」
良悟の方はちょっと頬が引きつっている。
「どれくらい、歩佳さんとご一緒に?」
「入学してすぐからだよね。半年くらいかな」
「まぁそんな感じ」
「し、知らなかった……」
良悟はチラチラ歩佳を見つつも、機材の状態を確認している。
その、歩佳に対する視線だが。
「……」
青葉から見て、どうも、『会社の御令嬢』に向けるには、感情がある様に見えた。
ここでは、どうでもいいことだが。
「カードの製造設備……ん? 『キウル電機式プレス機』の六連レバー。これって右4つが上で、左2つが下じゃないの? 一番右も下になってるけど」
「おっ、知り合いにカードを開発してる人が?」
良悟は青葉の指摘に興味を持った。
「まぁ、うん。知り合いの大学の先生が、フィールド魔法を作ってたかな。確かそんな調整だったはず」
「フィールド魔法であれば、今の設定と同じように、一番右も下にしてみてください。劇的に変わりますよ」
「そうなの? 作ってるところを見ただけで、私も構造はわかってないんだけど」
「フフッ、騙されたと思って伝えてみてください」
「ほう……まぁ、伝えておきます」
なんかわからんがアドバイスくれた。
「あの、里中さん? そんなこと教えて大丈夫なんですか?」
「大丈夫ですよ。この程度の設定調整の十や二十、漏れたところで問題ありませんよ」
良悟は自信満々だ。
「そして、作ってるのがこのカードか」
青葉はケースの中を覗き込んだ。
中にあるのは草案と言ったところ。
「……むぅ。あの、これって、どういった目標で作ってるんですか?」
「あー、お父さんが言ってたよ。私、入学してすぐに、体育館で渇明先輩とデュエルしたんだけど、コテンパンにされてね。それで、先輩に勝つためのカードを作ってるって」
「……2年の強馬渇明さん?」
「そうだよ。私、変身したのに、デュエルで勝てなくてさ」
「変身効果があっても、勝てなかったの?」
「うん」
「……なんていうか、化け物としかいえない」
パックから引いたカードであっても、『変身しているとき限定』の追加効果をもつ物は多い。
そうしたカードの中には強力な効果を持つものも多く存在し、『常識的』に、ライダーとデュエリストがデュエルした場合、ライダーが勝つ。
しかし、中には、ライダーを、デュエルだけで倒す傑物がいるのだ。
「言われてみれば、この学校、多分どこかのスカウトかなって思う車が駐車場に止まってることがあるけど、あれは渇明先輩が目当てだったんだね」
「観客が多かったからねぇ」
「この部屋も、その知り合いの先生が『取り寄せる時にめっちゃ高かった』って言ってる器材が多いし、それだけ、カード開発に力を入れてるってこと?」
「そういうこと!」
「……なるほど」
青葉が頷いた時だった。
歩佳のお腹から、『くぅ~……』と音が鳴った。
「青葉ちゃん。お腹すいた」
「……食堂、行こうか」
青葉としては『渇明ってヤベェ』と思っていたが、歩佳の方がもっとヤバい気がしてきた。
「里中さん。お邪魔しました」
「いえいえ、またお待ちしていますよ」
★
「ご馳走様! この社員食堂のピザは絶品だね! 毎日食べても飽きない!」
「……そんなカロリーが凄いもの食べて、なんで私より腰が細いの?」
「体質!」
「ぶん殴んぞオイ」
食堂でご飯を済ませて、廊下を歩く二人。
そんな歩佳のポケットから、着信音が鳴った。
『Dies irae, dies illa!』
「なんでモーツァルトの『怒りの日』?」
「お父さんからの着信音はこれにしてる」
「疑問が増えた」
歩佳がスマホに触れて、耳にあてる。
「あ、もしもし、お父さんどうしたの? ……うんうん、わかった! 今、食堂から出たばかりだから、すぐに行くね」
「どういう内容?」
「地下のデュエルスペースに、取引先の人がいるみたい。仮面ライダーソーラーのファンみたいで、会ってみたいって」
「そういう付き合いもあるんだ」
「あと、私、可愛いからね!」
「……」
「ごめんなさい。真面目にやります……」
ちょっと目が怖くなってきたので降参することにした歩佳であった。
「ところで、取引先の人と会うんだよね。私は帰った方がいいかな?」
「青葉ちゃんも来るんだよ!」
「……あっそう」
というわけで、二人で、地下のデュエルスペースに移動する。
中では、40代後半の男性二人が待っていた。
「歩佳……と、青葉さんか。こちらは
「初めまして! 空閑歩佳です!」
「友人の花宮青葉です」
「塔野建設の久木です。テレビで何度も拝見していますよ。歩佳さん」
久木、というらしい男だが、物腰柔らかい。
「仮面ライダーソーラーとしてもなかなかの強者とか」
「あはは、褒めてもスマイルくらいしか出ませんよ!」
歩佳は『ニパッ!』と微笑んだ。
一応、十六歳のはずなのだが、もっと幼く見える。
青葉のような顔立ちが幼いというわけではない。ただ、こう、とても無邪気だ。
「仮面ライダーソーラーとしての力、是非、生で見てみたいものですね」
「デュエルですか? もちろん構いませんよ!」
「取引先の専務を虐殺する気?」
青葉はため息交じりに言った。
「あ、そっか……どうしようかな」
デュエルモンスターズのデッキなど、誰もが持っている。
久木もそうだろう。
ただ、ライダーではない者がライダーに挑むというのは、普通、ただ蹂躙する結果にしかならない。
「はぁ、私がやるよ」
「えっ、いいの! 青葉ちゃん大好き~!」
歩佳が青葉に飛びついて抱きしめた。
その大きな胸が青葉の小顔を覆いつくして、そのままギュウッ! と圧迫される。
「最近デュエルしてなかったもんね~! 私も楽しみだよ!」
(く、くるしいっ! LPじゃなくてHPを0にする気かコイツっ)
LPとHPでは何が違うのかはともかく、息が出来なくて青葉が痙攣してきた。
「……あ、ごめんね!」
パッと離れた。
「ぜーっ! はーっ! ぜーっ! はーっ!」
見たことない勢いで深呼吸している。
数秒後、ちょっと落ち着いて、青葉はデュエルディスクを腕に付ける。
そして、可愛らしい形相で歩佳を見る。
「……あの、青葉ちゃん?」
「……コロス」
「すみませんでしたあああっ!」
取引先の専務がいるとは思えない空気である。
「……あの、いつも、こんな感じなんですか?」
「いつもこんな感じです」
ちょっと現実を受け入れられない久木に、空閑ソーラーの社長、空閑
で、おっさん二人が現実逃避している間に、美少女二人がデュエルスペースに立つ。
「さーて、仮面ライダーソーラーとして。だったね」
歩佳は腕からデュエルディスクを外して、腰に当てた。
ベルトが飛び出して、腰を一周する。
『DUEL DRIVER』
スイッチを押した。
『Your name is……』
「変身!」
ライダーカードを挿入する。
『KAMEN RIDER SOLAR!』
ベルトから光が溢れる。
いや、溢れたというよりは。
周囲の光を集めて、それを増幅させたのだ。
それらがアーマーを形成して、歩佳に装着される。
空閑歩佳は、仮面ライダーソーラーになった。
「おおっ、これが、仮面ライダーソーラー」
「さあ、青葉ちゃん。始めよっか!」
「……」
青葉がデュエルディスクを構えると、デッキがシャッフルされる。
ディスクからカードを5枚引く。
歩佳もデッキから5枚引くが、ドローした瞬間に消えて、黄色い光に包まれたホログラムになった。
「「デュエル!」」
歩佳 LP4000
青葉 LP4000
「先攻は私だ! 手札の『サンライズ・バリケード』は、変身中なら特殊召喚できる!」
サンライズ・バリケード DEF1300 ☆1
結晶を思わせる角柱が地面に刺さると、そこから柵が出てきた。
「バリケードの効果発動。デッキから『サンライズ』フィールド魔法を手札に加える。私は『サンライズ・ルーフトップ』を手札に! このまま発動!」
地下のデュエルスペースではあるが、どこか、明るくなった気がする。
「サンライズフィールド魔法は、発動時の効果処理として、自分フィールドの全ての『サンライズ』モンスターのレベルを1つ上げる共通効果を持ってる。バリケードのレベルが上がるよ!」
サンライズ・バリケード ☆1→2
「さらに、自分フィールドにフィールド魔法があるなら、手札の『サンライズ・フェンス』は特殊召喚できる!」
サンライズ・フェンス DEF1900 ☆3
「フェンスの特殊召喚成功時、変身中なら、デッキから『サンライズ』フィールド魔法を1枚、手札に加える。私は『サンライズ・クリスタルヤード』を手札に。このまま発動!」
フィールド魔法が張り替わった。
サンライズ・バリケード ☆2→3
サンライズ・フェンス ☆3→4
「クリスタルヤードの効果。変身中なら、1ターンに1度、デッキからサンライズ魔法を手札に加えられる。永続魔法、『サンライズ・リサイクル』を手札に加えて、発動。発動時の効果処理で、デッキから、『サンライズ・コースト』を手札に! このまま発動!」
サンライズ・バリケード ☆3→4
サンライズ・フェンス ☆4→5
どんどんフィールドのモンスターのレベルが上がっていく。
「青葉ちゃん相手ならこんな感じかな。カードを2枚セット。エンドフェイズ! 『サンライズ・コースト』の効果で、変身中なら、墓地の『サンライズ』フィールド魔法の種類の数、デッキからドローできる。私は2枚ドロー。ターンエンドだよ」
「私のターン。ドロー」
青葉は静かにカードを引いた。
「この瞬間、サンライズ・リサイクルの永続効果で、自分フィールドのサンライズモンスターは、相手ターン中、自分の墓地のサンライズフィールド魔法の種類1つにつき、レベルが1つ上がる!」
墓地にあるのは、ルーフトップとクリスタルヤード。
サンライズ・バリケード ☆4→6
サンライズ・フェンス ☆5→7
「さらに、メインデッキのサンライズたちは、レベルが6以上なら追加効果が発生! 自分フィールドのサンライズモンスターは、バリケードの効果で相手は対象に取ることはできないし、フェンスの効果で手札に戻らないよ!」
「ふむ……」
バリケードの守備力は1300。フェンスの守備力は1900。
このままなら、大した壁ではない。
「メインデッキの『サンライズ』モンスターの共通効果で、バトルフェイズの間だけ、合計レベル1につき、守備力が100上がるんだっけ?」
「そうだよ。現在は13! バリケードの守備力は2600で、フェンスの守備力は3200になるね」
「伏せ2枚で残り手札3か。まっ、突いていきますか。私は手札から、『アスフォデロス・ネームレス』を召喚」
アスフォデロス・ネームレス ATK1000 ☆4
出現したのは、人型だが、顔が見えないほどフードを深くかぶったモンスターだ。
「召喚成功時、デッキから『アスフォデロス』モンスター1体を墓地に。私は『アスフォデロス・ガーデナー』を墓地に」
「おっ」
歩佳が反応した。
見慣れたカードなのだろう。
「手札から儀式魔法、『アスフォデロス・レクイエム』を発動。手札・フィールドのモンスターをリリースして、墓地から『アスフォデロス』モンスター1体を儀式召喚する」
「ぼ、墓地限定の儀式召喚……」
久木が青葉のカードの効果に驚いた。
歩佳のカードの効果には一切驚いていなかったが、活躍はよく見ていると言っていたので、カードもそれ相応に知っているのだろう。
ただ、『アスフォデロス』を見るのは、初めてらしい。
「私は『アスフォデロス・ネームレス』をリリース。儀式召喚。『アスフォデロス・ガーデナー』」
アスフォデロス・ガーデナー ATK2000 ☆4
出現したのは、白い髪をショートボブにした、儚い美貌の少女だ。
右手に手入れ用のハサミを持って、左腕で籠を抱えている。
「来たね。ガーデナー。青葉ちゃんのエースモンスター!」
「あれが、あの子の……」
レベル4で攻撃力2000の儀式モンスター。
だが、花宮青葉の、エースモンスターらしい。
「儀式召喚成功時、相手モンスター1体を、対象を取らずに裏側守備表示にする」
「わおっ」
対象に取らないため、バリケードの対象に取られない効果をすり抜ける。
「私は『サンライズ・バリケード』を裏側守備表示に」
バリケードがセット状態になって、フィールドでは何者でもないカードになる。
これで、残るはサンライズ・フェンス1体。
もともとの守備力が1900で、現在のレベルは7。
バトルフェイズ中は2600になるため、ガーデナーでは突破できない。
しかも。
「ふむ、この盤面をどうやって……『サンライズ・リサイクル』のレベル上昇と、メインデッキの『サンライズ』モンスターの守備力上昇は永続効果。バリケードはセット状態なら1300ですが、バトルする時にリバースした瞬間、バリケードはレベル1から3になり、合計レベルは10。守備力は2300になり、ガーデナーでは突破できないはず」
久木が観客席から分析している。
「ガーデナーの2つ目の効果。1ターンに1度、相手フィールドのセットモンスター1体を対象にして、手札に戻す」
「圧倒的自己完結能力!」
セット状態のバリケードが歩佳の手札に戻った。
バリケードは変身していれば無条件で手札から出てくるモンスターだが、破壊効果を用意しないなら仕方がない。
ただし。
「フィールドのモンスターが場を離れたことで、罠カード『サンライズ・エマージェンシー』を発動! 手札からサンライズモンスターを守備表示で特殊召喚できるよ」
「うわぁ……」
青葉は嫌そうな顔になった。
手札から、またバリケードが出てくるから……ではない。
「ただし、私が変身してるなら。手札1体の代わりに、デッキから2体出せる!」
「ふざけてるとしか思えない」
「デッキから『サンライズ・スクリーン』と、『サンライズ・パーテーション』を特殊召喚!」
サンライズ・スクリーン DEF1500 ☆2→4
サンライズ・パーテーション DEF1400 ☆3→5
「おぉ……」
久木も感心している。
「速攻魔法、『皆既日蝕の書』を発動」
「げっ!? それ素引きしてたの! それは少々マズイ!」
「フィールドのすべてのモンスターを、裏側守備表示に」
サンライズの壁たちが、全て裏側守備表示に。
「墓地の『アスフォデロス・ネームレス』の効果。フィールドのモンスターが全てセット状態の時、墓地から除外することで、デッキから『アスフォデロス』モンスター1体を墓地に送る。私は『アスフォデロス・ファーマー』を墓地に」
「儀式モンスターが墓地に……」
「さらに、儀式魔法『アスフォデロス・レクイエム』は、フィールドにセット状態のモンスターが2体以上いれば、1ターンに1度手札に戻せる」
皆既日蝕の書を1枚発動しただけで、リソースが伸びていく。
「『アスフォデロス・レクイエム』を発動。私は、フィールドのガーデナーをリリース」
「エースを……」
「墓地から、『アスフォデロス・ファーマー』を儀式召喚」
儚い美貌を持ち、鍬を握る少女が出現した。
アスフォデロス・ファーマー ATK2000 ☆4
「ファーマーの儀式召喚成功時、相手フィールドのセット状態のモンスター全て、手札に戻す」
「うへっ」
フィールドの3体が、全て、歩佳の手札に戻った。
「あ、歩佳さんのフィールドが、がら空きに……」
久木も驚いている。
「手札から魔法カード、『アスフォデロス・ケア』を発動。墓地の『アスフォデロス』儀式モンスターを特殊召喚する。『アスフォデロス・ガーデナー』を特殊召喚」
アスフォデロス・ガーデナー ATK2000 ☆4
再び、ハサミを持った少女が出現。
「歩佳のフィールドは伏せカード1枚だけど、モンスターはいない。私のフィールドには、攻撃力2000のモンスターが2体」
「うへぇ、本当に油断できないね。青葉ちゃんは」
歩佳もどこか呆れた様子。
「え、あ、歩佳さんが……仮面ライダーソーラーが……」
久木は少し、現実が受け入れられない様子。
「バトルフェイズ、アスフォデロス・ファーマーで、ダイレクトアタック」
「残念だけど通さないんだなこれが。リバースカードオープン! 『サンライズ・ラッシュジョブ』! 相手モンスターの直接攻撃を無効にする!」
「むっ……」
オーラに阻まれて、鍬が弾かれる。
「さらに……変身中なら、手札・墓地のサンライズモンスターを、好きな数、守備表示で特殊召喚できる!」
「やってられるか!」
「手札から特殊召喚!」
サンライズ・バリケード DEF1300→3000 ☆1→3
サンライズ・フェンス DEF1900→3600 ☆3→5
サンライズ・スクリーン DEF1500→3200 ☆2→4
サンライズ・パーテーション DEF1400→3100 ☆3→5
「合計レベルは17か……」
バトルフェイズ中なら守備力が1700も上がる。
守備力が1300だったバリケードすら、今は3000だ。
「……カードを2枚セット。ターンエンド」
残り手札はない。
伏せたカードが全てだ。
サンライズ・バリケード DEF3000→1300 ☆3→1
サンライズ・フェンス DEF3600→1900 ☆5→3
サンライズ・スクリーン DEF3200→1500 ☆4→2
サンライズ・パーテーション DEF3100→1400 ☆5→3
「私のターン。ドロー!」
歩佳はカードをドロー。
「魔法カード『サンライズ・コンストラクション』を発動。デッキからサンライズモンスターを手札に。私はチューナーモンスター。『サンライズ・アサルトバリア』を手札に! このまま通常召喚!」
サンライズ・アサルトバリア ATK1000 ☆1
コードを何本も束ねて作ったような柵だ。
「アサルトバリアの召喚時効果発動。デッキから『サンライズ』魔法カードを手札に、私は『サンライズ・サンシャインライト』を手札に加えて、発動! 墓地の『サンライズ』フィールド魔法の同名カード1枚をデッキから手札に加えるよ」
現在は、ルーフトップとクリスタルヤードが墓地にある。
発動中のコーストはフィールドカードゾーンにあるので、これは対象に取れない。
はずだが。
「変身中なら、代わりに、フィールドと墓地に存在する同名フィールド魔法を1枚ずつ手札に加える!」
「えぇ……」
「ルーフトップ。クリスタルヤード。コーストを手札に! 一気に張り替えて行くよ!」
次々とフィールド魔法を張り替えていく。
サンライズ・バリケード DEF1300 ☆1→2→3→4
サンライズ・フェンス DEF1900 ☆3→4→5→6
サンライズ・スクリーン DEF1500 ☆2→3→4→5
サンライズ・パーテーション DEF1400 ☆3→4→5→6
サンライズ・アサルトバリア ATK1000 ☆1→2→3→4
「準備万端! レベル6のフェンスに、レベル4のアサルトバリアをチューニング! レベル10『サンライズ・プリズムランチャー』!」
サンライズ・プリズムランチャー ATK3300 ☆10
「アサルトバリアは、変身中にシンクロ素材になったら、墓地から特殊召喚できる!」
「無法すぎる」
「二つだけ制約があるよ。アサルトバリアをシンクロ素材とする場合、他の素材にシンクロモンスターを含めることはできないことと、出す先が『サンライズ』シンクロモンスターに限られるんだよ」
「それでも十分無法」
「否定はしない!」
サンライズ・アサルトバリア ATK1000 ☆1
「この方法で特殊召喚した場合、墓地に存在するサンライズフィールド魔法の種類の数まで、レベルを上げられる! 3つ上げるよ!」
現在、発動中なのは、2枚目のコースト。
墓地には、ルーフトップ2枚、クリスタルヤード2枚、コースト1枚だ。
今なら三種類のため、3つまで上げられる。
サンライズ・アサルトバリア ☆1→4
「レベル4のバリケードにレベル4のアサルトバリアをチューニング、シンクロ召喚! レベル8、『サンライズ・レールガンナー』!」
サンライズ・レールガンナー ATK2800 ☆8
「アサルトバリアを3つ上げて特殊召喚! それを、レベル5のスクリーンにチューニング! シンクロ召喚! レベル9、『サンライズ・パルスガトリング』!」
サンライズ・パルスガトリング ATK3000 ☆9
「アサルトバリアを3つ上げて特殊召喚! それを、レベル6のパーテーションにチューニング! シンクロ召喚! レベル10、『サンライズ・ビッグカノン』!」
サンライズ・ビッグカノン ATK3200 ☆10
歩佳のとても大味な連続シンクロが炸裂した。
「青葉ちゃん。これが、仮面ライダーソーラーの力だよ!」
「え、えぇ……」
サンライズ・プリズムランチャー ATK3300 ☆10
サンライズ・レールガンナー ATK2800 ☆8
サンライズ・パルスガトリング ATK3000 ☆9
サンライズ・ビッグカノン ATK3200 ☆10
大型シンクロモンスターが、一気にずらりと並ぶ。
まさしく圧巻だ。
「……罠カード、『アスフォデロス・イントルード』を発動。自分フィールドに『アスフォデロス』儀式モンスターが2体以上存在する場合、相手モンスター全てを裏側守備表示にする」
「プリズムランチャーの効果発動。1ターンに1度、相手のカード効果を無効にして破壊するよ」
「あっ」
ランチャーからミサイルが飛んできて、罠カードが粉砕された。
「なら、速攻魔法、『アスフォデロス・スキア』を発動。自分フィールドにアスフォデロス儀式モンスターが存在する場合、このターン、私のモンスターは戦闘で破壊されず、私への戦闘ダメージも0になる」
「レールガンナーの効果。1ターンに1度、魔法、罠の発動を無効にして破壊」
レールガンのような勢いで電気の塊が飛んできて、速攻魔法も粉砕。
「バトルフェイズ! プリズムランチャーで、アスフォデロス・ファーマーを攻撃!」
「うわっ!」
青葉 LP4000→2700
「ビッグカノンで、アスフォデロス・ガーデナーを攻撃!」
「うおおっ!」
青葉 LP2700→1500
「これで終わり! レールガンナーで、ダイレクトアタック!」
「……うわああああああああああああああああああっ!」
青葉 LP1500→0
★
「加減とかないんか」
「あはは……」
デュエル終了後。
歩佳は変身を解除して、二人でスペースの横のベンチに座った。
「いやぁ、お見事です。ここまで……ここまで強いとは」
「ありがとうございます!」
「それに、青葉さんのタクティクスも確かでしたよ」
「ありがとうございます」
「フフッ、義春さん。空閑ソーラーの法人ポイントも安泰ですねぇ。塔野建設にもお抱えのライダーがいますが、ここまでは……ああ、すみません。今日は本当に良いものを見せてもらいました。今後の取引も、お願いしますよ」
「……ええ、お願いします」
久木は、歩佳の仮面ライダーソーラーとしての実力と、その対戦相手となった青葉に対しては確かに褒めた。
「……」
……ただし。
空閑ソーラーの技術力に関しては、ほとんど褒めることはなく。
そこが褒められないことに、義春が少し、思うところがあることを。
青葉は、感じていた。