ララと初めて会った日の夢。
俺は白い空間にいた。
そして自分の体が前世の体に戻っていた。
どういう事だ…?
なんて思っていると…
目の前にモザイクがかかっている人が居た。
一目見てヒトガミだとわかった。
「その通りだよ」
やはりヒトガミらしい。
邪神が何の用だ?
「気になって見てみたけど、君は僕の味方にはならない様だね」
不貞腐れた様にヒトガミが言う。
僕の味方…?
ヒトガミの使徒にだろうか…?
なる訳無いだろう。
「ほらね、けれど君のおかげでこの先の展開をいくつか読めたよ」
そうヒトガミが言うと消えていった。
この先の展開だと…?
一体ヒトガミには何が見えたんだ…?
ー
俺はそのままベットの上で目を覚ました。
さっきのは何だったんだ?
夢だったのか、それとも本当にヒトガミが夢に出たのか?
まあ、分からない事を考えていても意味がない。
忘れるとしよう。
なんて考えていると…
目の前にはララとレオがいた。
まだララとレオは寝ている様だ。
外を見る限り、
まだ日は出ていなく早朝だ。
何をしようか…?
こんなに早く起きてしまうと暇だな。
そうだ、剣術でもするか。
俺はそう決めると、服を着替え外に出た。
走り込みと素振りをした。
何度も剣を振っていると空が明るくなってきた。
「もう…こんな時間か」
気づけば、朝になっていた。
俺は家に戻った。
冬と言っても体を動かせば汗が出る。
俺はお湯で体を拭くことにした。
いつもは自分の部屋で拭いているがーー
「…そういえば、ララが部屋に居るんだ」
部屋にはララが居る。
流石に乙女の前で着替えたり、体を見せることは出来ない。
寒くて嫌だが、俺は仕方なく小部屋で体を拭いた。
ー
体を拭き終わってからは、リビングで朝食を食べた。
その後は部屋で、ララが起きるのを待っていた。
昨日の約束を果たす為だ。
目の前にはぐっすりとララとレオが寝ている。
また、少し経っただろうか…
「んんー…」
ララが目を擦りながら体を起こした。
「ララちゃん、おはよう」
俺はララに挨拶をする。
「おはよ…」
ララは気怠そうだが挨拶をしてくれた。
そして、ララが立ち上がる。
「ちょ!何してんの…!?」
立ち上がったララは、何の躊躇もなく服を脱ぎ始めた。
「何って…、着替えてるんだけど…?」
「まだ、僕が居るんだけど!」
俺が慌てて言うと、ララは不思議そうにこちらを見る。
そして、また一つとボタンに手をかける。
「それがどうしたの…?」
「恥ずかしくないの?」
「無くなるもんじゃないし…」
ララに羞恥心はないのだろうか?
「僕は無理だから!」
俺はそう言うと部屋から出た。
何だか、こうやって女の子の体を見るのは負けな気がする。
それに俺にだって罪悪感や羞恥心はある。
本当にあの子は危なっかしくてたまったもんじゃない。
ー
5分ほど経ち、部屋からララとレオが出てきた。
手には傲慢なる水竜王を持ち、鼠色のローブを着ている。
「じゃあ、行くよ」
ララは何事もなかったかのように言う。
「うん」
俺も立ち上がりララとレオの後ろを追う。
歩いて一時間ほどで場所に着いた。
場所は浜辺で、凍った海に向かって魔術をみせることにした。
初級と中級は飛ばして上級以上の魔術を見せた。
「他にもある?」
一通り魔術を見せると、ララに聞かれる。
「重力魔術と乱魔が出来るよ」
俺はララの質問に答える。
「乱魔はわかるけど、重力魔術って昨日の私を浮かせたやつ?」
「うん、それだよ」
「じゃあ、それもう一度見せて」
「わかったよ」
俺は近くの木を折って、浮かせて見せた。
「凄い…、私に対して出来る?」
ララが感心するように眺めている。
「昨日やったでしょ」
俺はララに言う。
「気づいたら浮いてて、あんまり覚えてない…」
「確かにそうか」
俺が急に浮かせたんだもんな。
何が何だか分からず浮いたんだろうな。
「いいけど、気をつけてよ」
俺は手をララの方に向かせ、魔力を込める。
「わっ…」
ララが声を上げる。
ララを地上2mぐらいのところに浮かせる。
しばらくすると、ララが口を開いた。
「オーディン」
「何?」
「もういいよ」
「分かった」
ララが満足したようなので、俺はゆっくりと重力を戻す。
ララの足が、再び地面に着いた。
「どうだった?」
「面白かった」
ララはそう言いながら、今度は自分の手をじっと見つめていた。
どうやら、まだ重力魔術のことを考えているらしい。
ララは数分ほど考え込み、落ち着いてから帰った。
家に帰ってからララは部屋で占命魔術や研究などをしていて、
それを俺はベットで眺めていた。
ー
ララが来てから俺の一日が変わった。
朝早く起きて、剣術の訓練をする。
ララが起きてからは、実験の手伝いついでに魔物を狩る。
家に帰ってからは魔術の訓練をした。
因みにララの実験の手伝いは護衛と雑用だ。
今までより忙しくなったのは確かだが、
同年代…ではないが、
一緒に過ごす人が出来たことで充実した一日になったと思っている。
ー
そんな日を繰り返して月日が経った。
ララは家を空ける事も多かったが、いつもケロッと帰ってくる。
最近知ったがララは俺より10歳も歳上だったらしい。
歳上なのは知っていたがそこまでとは。
そして今日は俺の15歳の誕生日だ。
ララは旅で家にいないが、オースティンとディアンはいる。
「『誕生日おめでとう』」
もう3回目の展開だ。
今回の誕生日プレゼントは何だろうか?
「誕生日プレゼントだ」
オースティンとディアンからのプレゼント箱を渡される。
さて中身は何だろうか?
箱を開けてみると…
中身はローブだった。
「父さんこれは?」
「魔術師用のローブだ」
ローブか。
まあ、確かに魔術師と言えばローブだもんな。
「父さん、ありがとうございます」
俺は早速箱から取り出して着てみた。
「似合ってるぞ」
オースティンが言う。
「ありがとうございます」
俺は自分の姿を見下ろす。
似合ってるのか…?
まあ、素直に受け取っておこう。
その後はディアンの作った料理を食べた。
ー
誕生日から三日後。
ララとレオが帰ってきた。
約一ヶ月ぶりの再会だ。
「誕生日おめでとう…」
ララが開口いちばんに祝ってくれた。
ララの手には剣がある。
「これ、プレゼント…」
ララから剣を渡される。
ララから物を貰える時が来るとは!
「何ですか、これ?」
「魔剣、確か…鳳雅龍剣だったはず…」
鳳雅龍剣か。
確か闘気を無視して切れる魔剣だ。
だが折れたはずでは?
「どんな、能力なんですか?」
一応聞いておこう。
「闘気を無視して切れる…はず」
やっぱり。
あの鳳雅龍剣だ。
なぜあるか分からないが大事にしておこう。
「ありがとうございます!」
俺は元気よくお礼をする。
「それはいい、そこで、お願いしたい」
お願い?
「どんなお願いですか?」
無理難題であったらどうしようか。
俺が身構えていると、淡々とララが口を開く。
「旅に付いて来てくれない…?」