「旅に付いて来てくれない…?」
ララがそう言う。
「はい…?」
どういう事だ?
俺が…旅に?
「ララちゃん、どういう事?」
「私と一緒に旅をしてほしい」
「僕が?」
「うん」
ララは小さく頷く。
「でも、どうして急に?」
今までララはレオと一緒に一人で旅に出ていた。
それなのに急に俺と一緒に…?
「オーディンが必要だから」
「僕が……必要?」
その言葉に、俺は少し驚いた。
今までララの実験を手伝ったり、護衛をしたりしてきた。
だから頼られていること自体は嬉しい。
でも、旅に同行してほしいと言われるほどとは思っていなかった。
「何で僕が必要なんですか?」
実力だけでみるのなら、他にも相応しい人はいるだろう。
「次の旅は長いから、雑用が欲しい…」
雑用か…。
続けてララが口を開く。
「それにオーディンの力が必要」
「力…?」
「その魔力眼と重力魔術とか」
特にこの二つの能力が必要な旅なんだろう。
ララの役には立ちたい。
けど、長旅にか…
「長いってどのぐらいですか?」
俺はララに質問をする。
「分からない。目的を果たすまで」
「分からないか…」
それに目的って何だろうか?
「目的って何ですか」
「秘密」
間を置いてから言葉を続ける。
「付いてくるんだったら教えてあげる」
ララらしいっちゃ、ララらしい答えだ。
なんて考えている場合じゃない。
今は俺はこの先どうするかだ。
この村を出て、旅にか。
俺はこの村と両親が大好きだ。
だからこの村を離れるのを想像できない。
だからといって、この村にずっといると俺は成長出来ないだろう。
今まで剣術や魔術の訓練を続けてきた。
けれど、それはあくまで自分の知っている範囲での訓練だ。
旅をすれば、俺のまだ知らない魔術や剣術、魔物がいる。
旅に出れば、今まで知らなかったものを知ることができる。
それに、ララと一緒なら、ただの観光旅行にはならない。
実験の手伝いをしながら、実戦経験も積める。
「……どうしようか」
俺は頭を抱える。
村に残るか。
それとも――ララと一緒に旅に出るか。
どちらを選んでも、後悔するような気がした。
でもーー
俺は決めた。
ララの旅に付いて行こう!
俺はそう決意した。
村を出るのは仕方がないが、両親には数百年経っても会える。
だがララの旅には今しかついて行けない。
それに、ララは俺を信用してお願いをしてくれたんだろう。
だったらそれを踏みにじることなど俺には出来ない。
「ララちゃん、僕旅について行くよ」
俺は決意を、ララに伝えた。
ー
次の日から準備を始めた。
まずは両親に伝えるだ。
「父さん、母さん話したいことある」
と朝早く起こし伝える事にした。
少し経って、机には俺と隣にララ。
向かい合ってディアンとオースティンという形になった。
「それで話って何だ?」
オースティンが口を開く。
「話なんですけど、これからララちゃんと一緒に旅に出ようと思います」
俺は二人に対してそう伝えた。
「旅かわかった気をつけて行って来いよ」
「オーディン、ララちゃんに旅中に迷惑かけないでよ」
あれ…?
案外あっさりしているな。
「そんなあっさり許すんですか?」
「まあ、男は一度や二度ぐらい親元を離れ旅に出るべきだからな。
それに一生会えないってわけじゃないだろ」
「まあ、そうですけど」
この世界じゃ旅なんて普通なんだろう。
だから二人はこんなにあっさりとしているんだ。
めんどくさい事にならなくて良かったと思おう。
ー
ララの話から二週間ほど経った。
そして、ついに旅に出る日だ。
準備はしてきた。
鳳雅龍剣やローブに魔力回復剤、治癒魔術のスクロールなど旅に必要な物は全て揃えた。
「じゃあ行ってきます」
俺は両親にそう言った。
「気をつけて来いよ」
「ララちゃん、気をつけてね」
あんな事言って、当日は感動の別れみたいになると予想していたんだけど。
思った以上にケロッとしている。
それにディアンに関しては俺よりララの心配だ。
まあ期待の裏返しだと思っておこう。
俺はそんな事を考えているとララとレオに置いて行かれていた。
「待ってララちゃん!」
俺はそう言ってララの後ろを追いかけた。
ー
俺たちは一時間ほど転移魔法陣の場所まで歩いた。
転移魔法陣は遺跡の中にあり、光を放っていた。
「じゃあ行こう」
ララが掛け声をかけると俺とレオを引っ張り魔法陣の上に乗った。
魔法陣の上に乗ると一瞬で別の空間に居た。
記憶が切られたかのようだ。
だが目の前にはララとレオがいる。
成功でいいのだろう。
俺はララに連れられ外に出た。
初めての村の外だ。
いや、正しく言うと何度か近くの村には行ったか。
まあ、他の村も田舎だったしノーカンだろう。
そして目の前には視界がなくなる程の砂嵐だった。
急いで俺たちは中に戻った。
さてここは何処なんだろうか?
俺にそんな疑問が湧く。
砂嵐もあるしベガリットだろうか、それとも魔大陸か?
「ララちゃん、ここは何処なの?」
俺はララに質問する。
「魔大陸北部…」
ララが質問に答える。
「魔大陸か…」
それにしてもさっきの砂嵐は凄かった。
今日はここで寝泊まりするのがいいだろう。
「今日はここで寝ようか」
俺はそうララに言う。
「うん、そのつもり」
ララも同じ考えだったらしく、荷物を下に置いている。
そういえば聞くのを忘れていた事があったな。
「ララちゃん結局目的って何なの?」
ずっと聞くのを忘れていた事を聞く。
「古代龍族の遺跡の発見」
どうしてそんなものを探しているんだ?
「何でなの?」
俺は疑問を投げかける。
ララは少し考えてから、口を開く。
「うーん、簡単に説明するとーーー」
ララから説明を受けた。
簡単に要約すると、
古代龍族の遺跡にはララの研究の為に必要な資料がある可能性が高いらしい。
そして、それを世界中を回って探すんだとか。
で、俺はその雑用だとさ。
俺はそんな話をしながら眠りについた。