原初の因縁 〜Nostalgia Paradise〜 作:いつも活き活きと
あの『時の加速』から十数年後、幻想郷は変わり始めていた。博麗の巫女は次代の育成に取り掛かるようになった。人里の子どもは大人になり寺子屋には新しい子どもが通う。だが変わらないこともある。紅い悪魔の館は今も紅く天狗の新聞は窓拭きなどにしか使われない。そんな幻想郷の地面深くには『旧地獄』と呼ばれる場所があった。そこには昔地上から消えた鬼がいる恐ろしい場所だった。そんな場所に住んでいる妖怪たちでも近づかない建物が旧地獄にはある。そこには心を読む妖怪と記憶を操作する人間がいるという噂があった。この物語はそんな恐ろしい場所、『地霊殿』から始まるのである。
「………さい。…きなさい。起きなさい!」
「わッ!!」
ドサッ
突然大きな声を出されベッドで寝ていた少年は転げ落ちてしまった。
「イテテ……おはよう、母さん。」
「おはよう、ねぼすけさん。ほら!早く顔を洗ってご飯を食べなさい。今日から寺子屋でしょ?」
「そうだった!」
少年は急いで出ていき部屋には母親だけが取り残された。
「まったく…誰に似たんだか………私も『あの人』も朝に強いのに。お空かしら?」
そのつぶやきは誰にも届かずに消えていくだけだった。
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少年は母親に言われたように顔を洗ったあとご飯を食べるために食堂に行った。そこには既にご飯を食べてる人物がいた。
「あ!父さん、おはよう。」
「おはよう、懐古。今日は早起きだな。」
「今日は寺子屋に行くんだ!」
「そういえば、昨夜そんな事を言っていたな。不安かもしれないが頑張るんだぞ。」
「うん!」
少年は父親との会話が終わった後ご飯を急いで食べる。
「ごちそうさま!!」
「……私も子供の時はあんな感じだったのだろうか。」
父親のつぶやきもまた虚空に消えるのであった。
そして慌ただしく準備をしながら少年はサードアイのコードを伸縮させることでなんとか支度を済ませたらしい。その背にはサイズがぴったりの鞄があった。
「それじゃあ気をつけていくのよ。怪しい妖怪には近づいちゃあダメよ。」
「分かってるよ。」
「何かあったらすぐにこの道具で伝えなさい。」
「うん、じゃあ行ってくるね!!」
そうして少年は少し大きな玄関から元気よく家を出ていった。
「………心配だな。」
「流石にもう大丈夫なはずですよ。あの子も十歳を超えましたし。」
「そうだな……どれ、私もそろそろ準備をするとするかな。」
「楽しみだな〜寺子屋。」
「(形だけで一切機能してないサードアイがあるけどそれ以外は外見上は人間と大差ないし沢山友達作れるよね。最近はさとり妖怪に対する風当たりが良くなってるってお母さんも言ってたし。けど、やっぱり不安だなあ。けーね先生は笑顔で『一緒に学ぼうな!』って言ってくれたけど………)」
懐古が物思いにふけりながら歩いていると人里の入口が見えてきた。
「(……グダグダ考えてもしょうがないか。)」
「よしッ!友達をたくさん作るぞ!!」
少年は決意を固め門をくぐっていった。
古明地 懐古(こめいじ かいこ) 〜記憶の管理人〜
能力:記憶を引き出す程度の能力
特徴:見た目は小学校低学年から中学年の姿であり、機能していないサードアイを身に着けている。一応コードを伸び縮みさせたりすることは出来る。性格は見た目相応、つまり子供っぽい。しかし変な所で勘が働く時がある。