ぼっち女子高生と千年悪魔   作:Revak

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第19話

 

 レオンに憑いている悪魔の名はカールという悪魔だ。

 レベルは四十の中位悪魔。クラス構成は魔法戦士の物だ。

 

 故に──千穂は圧倒されていた。

 

「刀が!」

 

 数度の攻防の末、千穂の刀がぽっきりと折れた。

 退魔師は悪魔やアンデッドに対しダメージボーナスが着く。それは相手が悪魔憑きでも同じだ。

 だが、身体能力という部分では悪魔憑きに劣るのだ。

 

「さぁ、大人しく私たちに着け」

 

 そうレオンは魔剣リーブスを振るいながら言った。

 

「サタニストの仲間になんかなりません!」

 

 その言葉にレオンはやれやれ、と肩を竦めた。

 

「確かに今はいいだろう。だが──この先数百年も同じことが言えるかな?」

「すう、百年?」

 

 千穂はその言葉に嫌な予感を覚えた。

 

「そうだ。我々悪魔憑きは人間ではなく、悪魔に近い存在になる……故に不老なのだ。不死ではないがな。私は既に三百年の時を生きて居る」

「さん、百年? 不老?」

「そうだ。人間は長く生きても百二十年程度……そのあとお前はどうする? 友も家族も老いで亡くした後、一人戦い続けるのが? 意味も意義も無く?」

「そんな……あ、悪魔さん、不老って──」

 

 パトリツィアが頬に口を生成して言う。

 

「奴の言う事は本当だ。というか既に排泄飲食不要の異形になってるのに気づかなかったのか?」

 

 肯定され、千穂はそんな……と絶望した表情を見せた。

 パトリツィアにとって見れば不老とは喜ぶべきことなので不老になったことに絶望している千穂を見て人間はわからん、と疑問を抱いていた。

 

「そうだ。人の組織は長くても二百年程度……だが我々サタニストは違う。トップである私が生き続ける限り永遠に君臨し続けられる。さぁ、私と共に来るんだ、佐野千穂」

 

 レオンはそう左手を差し出す。まるで迷子の子供を手招くように。

 

「……私は──」

 

 そこで異変が起こった。

 大きな地震が起こったのだ。体がふらつくような地震である。

 

「なんだ?」

 

 レオンがそのことに疑問を感じる。

 単なる自然災害ならいいが、今は儀式の最中。何かあっては困るとカプリコルヌスの方を見た。

 

 途端、熱が生じた。

 

「なんだ?!」

 

 まるで砂漠の中にいるかのような焦熱だ。汗がとめどなく溢れてくる。

 

 玉座に座らせていた人形──儀式の核である悪魔の死体が燃え盛り、形を徐々に変えていった。

 

 それは最上位の悪魔だ。

 両目は縫い付けられ閉じられ、額には縫い目があり王冠のようにも見える。

 赤い公爵でも着てそうな宝石のついた豪華絢爛な服を着用した。

 その手に持つのはこぶし大のルビーが先端に着いた王酌。

 

「馬鹿な、バァル・ゼブルだと?!」

 

 パトリツィアが思わず叫んだ。

 

「な、魔界の王だと?!」

 

 レオンも驚愕し、魔剣を構えた。

 

 そのことにバァル・ゼブルは苛つき、声を発した。

 

「不敬である」

 

 トン、とバァル・ゼブルは地面を王酌でついた。

 瞬間レオンの足元から業火が登り、レオンの体を焼き尽くした。

 黒い焼死体──それこそ骨も焼かれ多少の原形を残した程度にまで焼かれ、レオンはあっけなく死んだ。

 

「な、何故魔界の王がここに?!」

 

 カプリコルヌスが絶叫するように問いかけた。

 

「ふむ。最近魔界に異変が起こりつつある。その原因を探った結果──ここに行きついたのだ」

「な、なんという……」

 

 カプリコルヌスの顔からサーと血の気が引いて行った。

 

 魔界の王、悪魔王バァル・ゼブル。

 レベルはパトリツィアと同じ百だが、そのステータスは違う。

 炎系に特化したエレメンタリストで火力が非常に高い。

 広範囲殲滅能力に長けており、一夜でアメリカぐらいなら滅ぼせる文字通りの化け物である。

 

 だが、今ここにいるバァル・ゼブルはそれほどの力を持っていない──いわば分霊だ。

 本体から存在を別けて作り出した分身体であり、本体の半分程度の戦闘力しか持たない。

 その代わり独立して存在、動くことが可能であるうえ本体は何のリソースも消費しないというぶっ壊れである。

 ただ本体と分身が同じ世界に存在する事は出来ないが。

 

 勿論そんなことバァル・ゼブル以外知る訳が無いので全員に絶望が流れる。勿論パトリツィアもだ。

 

 バァル・ゼブルは序列一位の大悪魔の中の大悪魔。戦って勝てる相手なんかではない。

 

 パトリツィアは千穂の体を乗っ取り、両手を上げ降参のポーズを取った。

 

「あー、バァル・ゼブル……様。どうかここは穏便に行きませんか?」

 

 そうへへへと諦めら様な笑いを漏らしながらパトリツィアは言った。

 

「ふむ。同胞か……余は魔界に最近多く生成されている亀裂を無くす為に来ている。それさえ解決すれば帰ろう」

 

 そのことに更にカプリコルヌスは絶望した表情を浮かべた。

 それの原因はサタニストである。つまり自分たちが殺される。

 

「それならそこの奴らが原因なんで、そいつらぶっ殺して帰りましょうやへへへ」

「……ふむ。なるほど、事実のようだが──<魔法探知>(マジック・ディテクション)」

 

 バァル・ゼブルは何かしらの高位魔法を唱えた。

 

「なるほど、この世界の問題を解決するためにゲートを……なるほどな。根本的に解決する必要があるようだ。故に──」

 

 バァル・ゼブルはそういうと超高速移動を成した。

 それによりパトリツィアは頭を掴まれたまま壁をぶち壊しながら外に放り出された。

 

 落下する前にパトリツィアは飛行する。

 

「まずは其方を殺すとしよう」

「……簡単にやれる程、俺は弱くねぇぞ、悪魔の王様!」

 

 魔界の王との戦いが始まる──

 

 

 

 

 ■

 

 

「こ、こりゃえらいことになった……」

 

 カプリコルヌスはひえぇ、と情けない悲鳴を漏らしながら言った。

 トップであるレオンがあっけなく死んだ。だが、その意思は次ぐべきだとカプリコルヌスは考える。

 故に優先すべきは儀式の進行。カプリコルヌスは玉座に座り魔法的な儀式をする。

 

「あれ?」

 

 だが、既に儀式はカプリコルヌスの手を離れていた。もはや制御不能である。

 儀式を強制中断させるようプロンプトを送るも、却下された。

 

「こ、こりゃ不味い!」

 

 この儀式そのものを悪魔の王、バァル・ゼブルに乗っ取られた。

 そう判断したカプリコルヌスは恥も外聞も投げ捨ててその場から逃走を開始した。

 

 それは結果的には正しかった。

 カプリコルヌスが去った途端、亀裂が大きくなり──そこから無数に悪魔とアンデッドが湧いて出て来たのだから。

 

 

 

 

「ん、なんだ?」

 

 タウルスは戦闘中でありながら意識を反らした。

 それを好機と見た蓮司が剣で斬りかかるもその剣を素手で受け止められた。

 

 吸血鬼は種族的に生命力に敏感だ。それは生命の数を感知する特殊能力(スキル)と言ってもいい。

 その力に無数の生命反応が現れた。大本は塔の頂上。

 

 タウルスが空を見上げるとつられて対峙する三人も空を見る。

 

 そこには激烈な魔法戦を繰り広げるパトリツィアとバァル・ゼブルの姿があった。

 

 タウルスは知らぬ悪魔を見て誰だあいつ、と考えようとするがそれより早く塔が揺れた。

 

 そして──無数の悪魔とアンデッドが湧いて出て来た。

 

「なんやねん?!」

 

 蓮司もそう叫びタウルスから距離を取る。

 

「あー、こりゃやりあってる場合じゃないわ」

 

 そうタウルスは苦笑した。

 

 悪魔とアンデッドは地面に降り立ち、タウルスたちの前に聳え立つ。

 

「吸血鬼と、人間が三匹……オーこりゃ楽しめそうだ」

 

 そう下位の悪魔が嘲笑う。

 

 その数は百を優に超え、現在進行形で増え続けているだろう。

 

「わりぃな、お前ら。戦闘中断だ……こいつら潰さないと世界がヤバそうだ」

 

 そうタウルスは好戦的な笑みを浮かべた。

 そのことに悪魔は疑問を抱いた。

 

「なんだ、お前。アンデッドの癖に人類の味方するのか?」

「そうだよ。悪いか? 俺は人の世界が好きなんだ──呼んどいてなんだが悪魔が人の世界を蹂躙するんじゃねぇ。ここは人の世界だ。大人しく魔界に帰りな!」

「ムカつくなぁ。アンデッドは食えないから嫌いなんだがなぁ!」

 

 そうして悪魔とアンデッドの群れとタウルス、蓮司、マーラ、黄龍の四人の戦闘が始まった。

 

 

 

 タウルスは素手で悪魔を殴り飛ばし、蹴りでアンデッドを灰に変え、悪魔を掴みそのまま棍棒のように振り回し無双する。

 出現しているのはどれも下位の悪魔とアンデッドだ。彼らの敵ではない。

 

 蓮司たちも退魔師や呪文詠唱者(スペル・キャスター)としての力を惜しみなく使い、アンデッドや悪魔を吹き飛ばしている。

 

 だが、この中で一番消耗が激しいのはマーラだ。

 マーラは呪文詠唱者(スペル・キャスター)で戦闘力を魔力に依存している。

 召喚魔法は一度召喚すれば維持に魔力を消費することは無いが、バフ魔法や味方のダメージを治す、あるいはタウルスに大ダメージを与える為に回復魔法を何度も飛ばしている為魔力を大きく削られていた。

 

(長期戦になればマーラがやられるな)

 

 そう思いタウルスはマーラのサポートに入る様に動く。

 悪魔を殴り飛ばしアンデッドを蹴り砕き、無双ゲームもかくやと言った風に暴れまわる。

 

 四人の中でタウルスが一番強い。レベル五十を超えているのだから当たり前だが。

 タウルスが切り開いたその隙に蓮司たちが斬り込み敵陣の隙を大きくする。

 

 次から次へとアンデッドと悪魔は湧いて出てくる。

 まるで無限にいるかのようだ。

 

(……千穂、何があったんや──)

 

 蓮司はそう思い、空を見た。

 

 

 

 ■

 

 

「<魔法の光線>(マジック・レーザー)!」

 

 パトリツィアが己の魔力を込めた漆黒の極太のレーザー砲を放った。

 バァル・ゼブルはそれを受けながら魔法を唱える。

 

「<連鎖する龍炎>(チェインドラゴン・フレイム)」

 

 のたうち回る二つの炎で出来た龍がパトリツィアに向かって飛ぶ。

 パトリツィアは飛行で回避しようとするがそこにバァル・ゼブルが<魔法矢>(マジックアロー)を唱え、十の矢がパトリツィアに当たり行動を阻害する。

 それによりパトリツィアは炎の龍を喰らってしまった。

 

(くそ、格上相手に勝てるかよ!)

 

 バァル・ゼブルとパトリツィアはお互いにレベル百だが、そのステータスには大きな開きがある。

 更に言えばパトリツィアは遊びを含んだクラス構成に対しバァル・ゼブルはガチ構成なのだ。

 

 しかし勝機が無いかと言えば、そうでもない。

 何故なら今のバァル・ゼブルは本体の半分程度のステータスしかないし、装備も整っていない。

 今のバァル・ゼブルは外見こそ立派な装備を着ているように見えるがその実魔法で作り出しただけの物なのでステータス増強の効果はない。

 

 それにパトリツィアの体──千穂は退魔師であり悪魔に対するダメージボーナスが付いている。

 先ほどの魔法もパトリツィアが唱えるよりダメージ量があった。

 

『ねぇ、これ勝てるの?!』

 

 脳内で千穂が叫んだ。

 

「この世界滅んでもいいなら逃げてもいいが、そういう訳にはいかんだろ!」

 

 そう。逃げようと思えばパトリツィアは別に逃げられる。

 ここは上海なので日本にでも北海道にでも転移魔法で逃げればいい。そうなればバァル・ゼブルは追ってこれない。

 だが、そうなるとバァル・ゼブルが世界を焼き尽くすだろう。

 魔界へのゲートも開いたままで無数の悪魔が地上を蔓延り人類が玩具にされる世界が待ち受けている。

 それはパトリツィアの望むところではない。だから千穂を失うのが惜しいのにこうして戦っているのだ。

 

「<紅蓮の焔>(クリムゾン・フレイム)」

「<黒穴>(ブラックホール)」

 

 バァル・ゼブルが炎の魔法を唱え、パトリツィアの体が大きく燃え上がり、防御力が低い霊装が溶けてなくなってしまった。

 しかし代わりにバァル・ゼブルの体に風穴が開いた。ブラックホールの魔法の力だ。

 

「ふむ──<追尾する炎>(トラッキングフレイム)」

 

 バァル・ゼブルが唱えたのは追尾する炎の魔法だ。

 

「ちぃ! <上位魔法解除>(スペリア・ディスエンチャントメント)!」

 

 対しパトリツィアは解呪魔法を唱えた。それにより炎の魔法は解除された。

 

「<熱死光線>(ヒートデスビーム)」

「<魔法の光線>(マジック・レーザー)!」

 

 極太の黒い魔力のレーザーと赤い炎のレーザーがぶつかり合う。

 数秒の鍔競り合いののち、バァル・ゼブルの魔法の方が勝った。

 

 それによりパトリツィアの体が焼かれ、火傷になる。

 

「<自動回復>(リジェネ)!」

 

 魔力系でも唱えられる数少ない回復魔法を使い、体を徐々に治していく。

 だが再生速度は微々たるモノだ。

 

「来い、悪魔!」

 

 パトリツィアはそう叫び眷属創造の特殊能力(スキル)で呼び出せる最強の悪魔を創造した。

 赤黒の悪魔(レッドブラックデーモン)という悪魔だ。

 黒い体には赤いラインがあり赤く輝き脈打っている。

 顔つきは恐ろしいが優れていると言えるだろう。恐怖の中に美がある。

 黒い一対の角に蝙蝠の翼に蜥蜴の尻尾を持つ。

 レベルは高く七十もある。

 

 赤黒の悪魔(レッドブラックデーモン)を前衛としてバァル・ゼブルと戦わせ、パトリツィアはバフ魔法をありったけ唱え始める。

 

「<無限の壁>(インフィニティ・ウォール)<呪文詠唱者の祝福>(ザ・スペルキャスター・ブレッシング)<上位全能力強化>(マスターフルポテンシャル)──」

 

 バァル・ゼブルはその間王酌を炎の斧に変え、炎魔法を幾つか唱えながら戦う。

 そのことにパトリツィアは疑問を抱いた。

 

(何故同じように眷属を創造しない?)

 

 何かできない理由でもあるのか? とパトリツィアは疑問を抱くもその答えは返ってこない。

 

 そうしてパトリツィアがバフ魔法を唱え終えるのと同時で赤黒の悪魔(レッドブラックデーモン)がやられた。

 

「<空間斬>(スペーススラッシュ)!」

「<炎の波>(フレイムウェーブ)」

 

 空間を斬り裂く魔法によって炎の波が斬り裂かれる。

 空間斬によりバァル・ゼブルの胸が大きく斬られるも、血は流れなかった。

 

「──依り代に依存している?」

 

 それを見てパトリツィアはそう考えた。

 悪魔だってギリ生物なので血は流れる。だというのに今のバァル・ゼブルから血は流れなかった。

 ならば今のバァル・ゼブルは生物ではないのでは──と考えるのは自然な事だろう。

 

 そうして再び魔法合戦が起こる。

 

 パトリツィアは雷、冷気、土などの多種多様な属性で。

 対するバァル・ゼブルは炎魔法一つで攻撃してくる。

 

 炎の槍、剣、ハンマー。龍の形をした炎など多数の炎魔法が飛んでくる。

 

 パトリツィアはそれを防御魔法で防御したり必死に飛んで回避したり、迎撃したりする。

 だがすべてを防ぐことは出来ず。いくつかは受けてHPが大きく削られていく。

 

「──<生命力看破>(ヴァイタリティ・シースルー)」

 

 パトリツィアが唱えたのは相手のHPを見破る魔法だ。

 その魔法で見れば、バァル・ゼブルのHPは残りわずかに見えた。

 

(偽装魔法でも使ってるのか?)

 

 パトリツィアはすぐにそう考えた。

 相手のHPを見る魔法があるならば、それを偽装する魔法も当然ある。パトリツィアも習得している。

 だが、バァル・ゼブルは炎系特化の呪文詠唱者(スペル・キャスター)──余分な魔法はあまり覚えられない。

 それに偽装系の魔法は維持にも魔力を消費する。そして呪文詠唱者(スペル・キャスター)は専門の魔法以外は消費魔力が肥大化する。

 それを考えれば偽装している線は薄いだろう。

 

 そこまで考え、パトリツィアはこのままなら勝てる──そう一瞬油断した。

 

 格上相手にそれは命取りだ。

 

 バァル・ゼブルは転移魔法でパトリツィアの背後に移動し、素手でパトリツィアの心臓を貫いた。

 

「がぁ……?!」

 

 パトリツィアはすぐ素手で後ろをぶん殴ろうとするも、既にバァル・ゼブルは再度転移しそこにはいなかった。

 

(まずい──死ぬ!)

 

 今のパトリツィアは肉体にある程度依存している。

 いわば千穂の体を使っているので、千穂の体が死ねばパトリツィアも死ぬ。

 

 千穂が無理矢理──魂が傷つくのも恐れず体の捜査権を奪った。

 

『お前、何を?!』

「こう、すれば、死ぬのは私で、しょ? だから……あとは、悪魔さんに、任せるね」

 

 そうして千穂は死亡した。人間である以上心臓を失えば死ぬのである。

 

 千穂が死んだことで完全に千穂の体が悪魔の物になり、千穂の魂が体から抜け落ちた。

 

「──ぶっころしてやる」

 

 パトリツィアはそう漆黒の殺意を込めて言い放ち、魔法を唱えた。

 

「<魔闘転生>(ウォーリア・リバース)」

 

 唱えたのは呪文詠唱者(スペル・キャスター)としての能力をすべて戦士に置換する魔法だ。

 維持に魔力を消費するタイプである。レベル百の呪文詠唱者(スペル・キャスター)であるパトリツィアが唱えればそのステータスは当然レベル百戦士の物になる。

 欠点としては戦士としての技量や特殊能力(スキル)までは手に入らないところだろう。

 

 パトリツィアは音速を超えた速度で移動した。

 それによる余波でソニックブームが生じ地上に被害が出るがパトリツィアは気にしなかった。

 

 全力でバァル・ゼブルの顔面をぶん殴り、地面に叩きつけた。

 

 空から急降下し、かかと落としを放ちバァル・ゼブルをさらに地面に陥没させた。

 

「止めだぁぁぁぁ!」

 

 そうしてダブルスレッジハンマーを放ち、バァル・ゼブルの依り代を完全に破壊し──バァル・ゼブルは魔界に送還された。

 一瞬、最後の時バァル・ゼブルが笑みを浮かべたことにパトリツィアは気づけなかった。

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