クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~愛するミスティ・ローゼンブルムと共に~ 作:田中_jack
但し、政府広報の仕事なども続き、次第に変化が加速していく世界情勢や宇宙情勢には、激動の予感が・・・。
また、私とミスティ、アルベルトとヒルダとのそれぞれの関係も進展していきます。
第9話 宇宙医科大学校に入学とラグナメイルで初出撃
2110年3月、私達4人の「黄金のタッグチーム」は、共に国立ローゼンブルム大学付属小学校を卒業、翌月の2110年4月、飛び級で「宇宙医科大学校」に入学した。
また、幸運にも私達4人は特待生扱いで「国立ローゼンブルム大学」への入学と「宇宙医科大学校」の学業単位の自動的取得と振替などにて単位取得、そして卒業も約束された。
つまり、私達4人は、「大学に2校入学」することが出来たのだ。
これが、後々に私達4人にとって、非常に有利な立場になる最初の条件だった。
宇宙医科大学校は、軌道エレベーターが世界各地に建設されるなど、宇宙時代を迎えた21世紀、全く新しいタイプの人材の発掘と教育を進めなければならないとして創立された大学校である。
創立は2035年であるので、私達4人が入学したのは、創立から満75周年であった。
宇宙医科大学校は、その名の通り、「宇宙飛行士」や「航空宇宙関係の医療人材養成」だけではなく、「全く新しいタイプの人材発掘」も目指しているので、実践教育が徹底していた。
更に、日本連邦宇宙軍の支援機関であるので、防衛医科大学校のように、軍事教育も実施され、入学と同時に軍の予備役として「入隊」することになる。
2110年4月8日、私達4人の「黄金のタッグチーム」は共に、宇宙医科大学校に入学した。
実は、1日前の4月7日には、国立ローゼンブルム大学の入学式があり、私達4人はそこにも出席したので、2日連続しての「入学式」であった。
人生にとって、2日連続して入学式を体験出来ることは、教育関係者でなければめったにないので良い経験になった。
もっとも、国立ローゼンブルム大学の入学式では「来賓」扱いされていたが。
宇宙医科大学校の入学式では、やはり一般の学校とは違うことを数多く行っていた。
まずは、「宣誓式」である。
クラス代表や学科代表らと共に、スカイブルーが基調の制服に制帽を着用、両手に白手袋をして、軍隊式で宣誓書を読み上げ、宣誓を行う。
これにより、全員が予備役の下士官として任命されることになる。
次に、宣誓式直後、校庭のグラウンドにて、全員が隊列を組んで校庭を一周、その後、ブルーインパルスやラグナメイル、各種の宇宙往復機などの展示飛行も見ることが出来た。
そして、入学式の最後に、「入学式での脱帽」を行うのである。「脱帽」は卒業式だけではないところが面白い。
これには、これまでの感謝と、今後の学業への誓いを立てる意味があるという。
早速、宇宙医科大学校の授業が入学式直後に始まった。
この学校では、医師を養成するだけではなく、多くの分野の教育も広く実践教育をすることでも有名だ。
スポーツや資格取得でも例外ではなく、特例として、通常は年齢制限のある各種の運転免許や操縦免許等の年齢制限が入学と同時に外されて取得が可能になるので、本当に有り難い。
小学校の同窓生などからは、非常に羨ましがられたものだ。
全員が最初に行うのは、自動車と自動二輪の運転免許の取得である。
私達4人の「黄金のタッグチーム」も、自動車と自動二輪の運転免許を最初に取得した。
しかし、ミスティが、おそらく家庭内ですら重い荷物をろくに扱わなかったためであろうか、自動二輪の運転教育では苦労していた。
自動二輪の運転で苦労するのは、「重いオートバイの起こし」と「アクセル・ブレーキの方法」であり、それに慣れるには、てこの原理を使う、前輪を起こしにうまく使う、ギアチェンジのタイミング、後輪ロックで緊急停止、などのコツを頭と身体で理解する必要があるのだ。
私がそれをフォローするために先に運転免許を取得後、ミスティに1週間みっちり自動二輪の操作方法を教えて何とか4月25日までには4人とも揃って自動車と自動二輪の運転免許を取得することが出来た。
私達4人が運転免許を取得するまでの様子や経緯も、例によって撮影やレポートも常に行い、「教育番組」とか「政府広報」の放送ネタにしっかり使われるので、せっかく大学に入学したのに、因果な立場は変わらないのは頭が痛い。
これでは、下手な失敗も出来ないよ。
もっとも、「お兄さんお姉さんといっしょ」の番組では、私達4人の出演は小学校卒業を機に抑えられ、新人のココ・リーブ、ミランダ・キャンベルの2人の女の子に、ジュン・鈴木、マイク・本田の2人の男の子の、合わせて4人が新たなタッグチームを組んで番組を盛り上げていた。この4人の新人は、私達4人より4歳年下である。
そして、番組のゲストにドラゴンの世界より、女の子のミイ(ヴィヴィアン)と、男の子のミハイル・プーチンが招かれる形になっていた。
宇宙医科大学校では、担当教官も多才であり、また多くの分野のエキスパートを講師や教官などに招いている。
現在は更に人員や規模も拡充されたが、私達4人が入学した頃でも、どうしてこれ程の異分野を含めて教官も生徒も人材が多いのだろうかと強く感じていたものだ。
例えば、医療教官には、アルゼナルでの勤務経験もある医師のマギー教官(本名マギー・ヒイラギ)、ドラゴンの世界からは遺伝子治療に詳しい宮廷医師ドクター・ゲッコー教官、異星人からはプレデアス星系よりジョロイ・タツナミ教官、アンドロメダよりマルチ・ルリュイ教官など、文字通り多才な方々が多かった。
更に、生徒も多才だ。
私達4人の同期生には、後に「第二のケマル・縁部理桜氏」とも呼ばれることになるエンターテイナーの大室哲也氏や龍川秀明氏、科学の分野で非凡な成果を挙げノーベル章を受賞したドラゴーニュ・江崎氏や陳文傑氏などもいる。
また、アルゼナルでの勤務経験もある、私達より6歳年上で私達4人のクラスのクラス長をしている(クラス長は男女各1人ずつ選ばれる体制になっている)、ゾーラ・アクスバリ女史と、後に彼女と結婚することになるオスプレイ・山田氏、そして、古の民出身のタスク(本名タスク・マインコフ・真田)など、これまでの人生経験も、出身地も様々な人達がいた。
私達4人が宇宙医科大学校に入学して初めての、定例になっている5月5日のミスティの誕生日パーティーが、王宮で開催された。
私達4人の「黄金のタッグチーム」をはじめ、ケマル・縁部理桜氏にお世話になっている出演者や関係者、そして初めて宇宙医科大学校の同期生らも招かれた。
いつもの如く、ミスルギ皇国からはアンジュリーゼ皇女殿下とその筆頭侍女のモモカも招待されて出席していたのだが、いつもの勝ち気な顔とは違い、どう見ても疲れが酷く、憔悴していたお顔だった。
どう見ても、おかしい。
私はミスティに「アンジュリーゼ皇女殿下らの様子がおかしいよ。」と伝えると、
ミスティは「何か深い悩み事もあるのでしょうか?それとも具合が悪いのでしょうか?別室を用意してお話を伺いましょう。」と応じてくれた。
「出席者のマギー教官とドクター・ゲッコー教官らの医療専門家を呼んでね。あと、警戒の強化も。
私達4人のラグナメイルも待機させる必要があるね。」
私はいつもお世話になっているSP隊長の加藤さんに王宮の警戒強化を、クラス長のゾーラ・アクスバリ女史と、オスプレイ・山田氏にはラグナメイルの待機を、その他のドラゴンの世界の住人や異星人の方々には、それぞれの特性を生かした警備や警戒強化を、お願いした。
更に、念のため私の父親に連絡し、現在警戒、警備出動している日本連邦軍のローゼンブルム自治領駐屯部隊の警備出動を大統領と国王陛下を通じて要請、即応体制で出動して頂いた。
そして、その後に聞いた話で、「マナ」の危険性の実態が、改めて明らかになる衝撃の証言が明らかになったのだ。
アンジュリーゼ皇女殿下とその筆頭侍女のモモカは別室に案内され、私達4人の「黄金のタッグチーム」をはじめ、ケマル・縁部理桜氏やマギー教官とドクター・ゲッコー教官らの医療専門家、クラス長のゾーラ・アクスバリ女史と、オスプレイ・山田氏などが集まった。
勿論、部屋とその周辺にはSPらが即応体制で待機していた。
「私の妹、シルヴィア・斑鳩・ミスルギを助けて下さい!!」
アンジュリーゼはこう切り出した。
そして、妹の医療カルテを見せ、妹の窮状を訴えた。
彼女によると、昨年頃から急に性格が変わり始めると共に、足腰の痛みや頭痛などの体調不良を訴え始め、今では歩行にも問題がある状態だという。
そして、ミスルギ皇国や周辺の国からも名医を呼び寄せたり、医療機関での精密検査や治療を施したりしても、原因が特定されず、症状も改善されないどころか悪化の一途だという。
このままでは、あと半年から1年の命だ、というのだ。
「このままでは、あと数ヶ月で確実に廃人か、あの世行きだな。」
シルヴィアの医療カルテを見た、マギー教官とドクター・ゲッコー教官らの医療専門家は口を揃えて言った。
「どうにかならないのですか?」アンジュリーゼは半分泣きながら訴えた。
「少なくとも、ミスルギ皇国などのマナを使用した国家や地域では無理だよ。」と、私は言った。
「何故ですか?リデルさん?」
「これは、典型的な、いわゆる『マナ中毒』の症状なのだ。」
「マナ中毒?」
「マナは、どう運用されている?」
「無限のエネルギーが元だと、教えられました。」とアンジュリーゼは答えた。
「違うよ、マナのエネルギーは、ドラグニウムを超次元反応と呼ばれる反応でエネルギーにしているのだけれども、この方式自体、我が日本連邦などの研究では人体や自然に対して極めて危険であることが判明している。
また、マナの利用も、『時間と空間の富を歪めて収奪』しているので、必ず因果応報、いわゆる『「因果の理法』が働く大宇宙の理念に反するので、大きな歪みが発生する。必ず大きな因果のツケを払わせられるのだ。
その2つの理由から、『マナ中毒』の症状は、個人差も大きいが、思考能力の低下や興奮状態の持続から始まって、健忘症や認知症、脳神経細胞や脊髄などを中心にした神経疾患が多く、それが様々な他の病気を呼び寄せ、合併症を引き起こして、最後はパーキソン病やPTSDのような症状を併発して心も体もボロボロになって死に至る中毒症状なのだ。
喩えるならば、重度の危険ドラッグや麻薬、覚醒剤中毒者のようになって死んでいくのだ。」
アンジュリーゼとモモカは、初めてシルヴィアの病気の特定と、その原因に大きな衝撃を受けた。
モモカが震えながらアンジュリーゼに話しかけた。
「アンジュリーゼ様、こ、こいつらは・・・ノーマは本能のままに生きる好戦的で粗暴で下劣な存在、それ以下の連中も多数、ここにいるのです!!
とても彼らの話は信用出来ません!!
高貴なアンジュリーゼ様が関わったりお相手したりする者達ではございません!!
すぐに帰りましょう!!」
私やミスティが口を開いて反論しようとしたら、ヒルダが猛然とかみついてきた。
「おい、この馬鹿姫に馬鹿メイド!!
お前達は今まで何をしてきたのか分かっているのか??
私が家族や友人と引き離されてから5年、必死になって頑張ってきて、有名になって、故郷の母に会いたい、家族に会いたい一心で頑張ってきたけれど、それでもマナを使う国や地域でノーマの居場所なんてどこにも無いんだ!!
母は未だに私との面会を拒み続けているんだ!!
偏見と差別に凝り固まった愚民共!!
馬鹿姫の妹の病気を含めて、全てはお前達のせいだぞ!!
う、う、うわああああん!!!」
ヒルダは、アルベルトに抱きついて大声で泣き出した。
アンジュリーゼとモモカは、この時初めて、マナを使う自分達の社会そのものに疑問を持ち始めたのだ。
シルヴィアの医療カルテを見ながら治療の開始時期や治療場所について医療関係者が話を始めた時、
「警報です。怪しい集団が王宮に接近中!!」との緊急連絡がもたらされた。
「ラグナメイル、出動、搭乗!!」
と私達4人の「黄金のタッグチーム」は、それぞれ腕時計に付けた指令用家紋に命令、家紋はたちまち黄金色に光り輝く御札のような状態になった。
私達が使う日本連邦製のラグナメイルは無人運用や遠隔運用も可能だ。
単なるAI(人工知能)だけではなく、自分の魂の分身が操作するように操縦が可能なのだ。
勿論、搭乗操作も可能だ。
「戦隊番組」のようなやり方で搭乗や離脱が可能なので、場所を選ばない。
私こと、リデルのラグナメイルは「栄光」、
ミスティのラグナメイルは「東京ローズ」、
アルベルトのラグナメイルは「ジークフリート線」、
ヒルダのラグナメイルは「アップル雷神」、
の名前が付いている。
私達4人の初出撃だ!!
「戦闘開始!!発砲自由!!」
SP達らの射撃と怒号が飛び交う。
たちまちのうちに、王宮周辺は銃撃戦、ロケット弾や短距離ミサイルなどが飛び交う戦場のような状況になった。
ラグナメイルは「建前上、自衛と反撃のために」小銃弾や短距離ミサイルなどで「敵に深刻な懲罰」を与え始めた。
敵の銃弾やミサイル、砲弾などを防御や撃墜しつつ、進撃していったのだ。
その中には、日本連邦軍の警備師団15000人の活躍もあった。
彼らは1個大隊440人の部隊を、1個師団あたり8個大隊を持ち各地に配置しており、王宮や王都を完全に敵の襲撃や砲弾、ミサイルなどの攻撃を迎撃して撃墜、無力化してしまったので、私達4人のラグナメイルは、正面の敵への対処に集中できたのも有り難かった。
王宮の攻防戦は、防御障壁や「イージス」関連の遠隔防御を使用しつつ、SPらは優勢でたちまちのうちに「黒装束の集団」120人全員を逮捕・拘束した。
また使用した車両や航空機などを撃破・捕獲した。
その時だった。
古風の服装をして、古いカービン銃を構えたミスルギ皇国近衛兵の集団が、一斉に突撃してきたのだ!!
そこで私達4人が、「凍結バレット」を近衛兵の前に撃ち込み、周囲を「微少規模で凍結」させる。
その上で、レールガンやビーム砲、火炎放射弾を撃ち込み、彼らの車両やミサイル、銃器などの火器を破壊した。
そして拡声器で「冷凍人間になって死ぬか、ひき殺されるか、祖国に帰って打ち首になるか、ここで降伏して幸福になるか、好きな方を選べ!!」と叫んだ。
こうなれば、皆、最後の「ここで降伏して幸福になる」道を選択し、戦闘は終了した。
だが、最後のあがきとして、突然、1人の女性が逃げ出した。
その名はリィザ・ランドッグ。ミスルギ皇国近衛長官である。
私達4人が「待て、撃つぞ」と警告したら、羽根をはやして飛んで逃げようとするので、やむを得ず、捕獲した。
アンジュリーゼとモモカは、この時初めて、自分達の祖国であるミスルギ皇国の非道さに、祖国や家族そのものにすら、大きな疑問を持たずにはいられなくなっていった。
ラグナメイルの初出撃、いかがだったでしょうか。
家紋とどのように整合性を持たせるか、各4人のラグナメイルの名前も必死で考えました。
自分達の祖国であるミスルギ皇国の非道さに、アンジュリーゼとモモカ、そしてシルヴィアの運命はいかに?
そして、ミスルギ皇国近衛長官リィザ・ランドッグらは何故、自治領ローゼンブルム王国の王宮を襲撃したのか?
次回をお楽しみに。