クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~愛するミスティ・ローゼンブルムと共に~ 作:田中_jack
次第に変化が加速していく世界情勢や宇宙情勢には、今後を見据えた激動の予感が・・・。
黒幕の円鰤夫(エンブリヲ)も初登場です。
また、私とミスティ、アルベルトとヒルダとのそれぞれの関係も、今回の王宮襲撃事件や大学校の進学で大きく進展していきます。
自分達の祖国であるミスルギ皇国の非道さに、アンジュリーゼとモモカ、そしてシルヴィアの運命はいかに?
そして、ミスルギ皇国近衛長官リィザ・ランドッグらは何故、自治領ローゼンブルム王国の王宮を襲撃したのか?
2110年5月5日、王宮の襲撃事件にて、私達4人の「黄金のタッグチーム」を含めて、私達「宇宙医科大学校」の同級生や警護SP、そして日本連邦軍の警備師団15000人の活躍によって、敵の攻撃を撃退し、全員を逮捕・拘束した。
正に、初陣を勝利で飾ることが出来たのだ!!
改めて、ラグナメイルや日本連邦軍の警備師団の有効性が証明された。
ラグナメイルは、人型の駆逐形態だけでなく、飛行形態も取れるので、置き場所や運用に融通が利く。
また1人でも、最悪でも無人でも運用が可能だ。
日本連邦軍の警備師団は、2016年に制式化された「機動戦闘車」の流れを汲む、8世代後の「2110式機動戦闘車」を装備する「警備偵察高射大隊」1個大隊440人の部隊が8個と、2010年に制式化された「10式戦車」の流れを汲む、8世代後の「2110式戦車」を装備する500人の「警備偵察大隊」4個を持つ、2200人の「警備偵察旅団」2個を基幹とする。
広範囲で防空から沿岸警備、対テロ、対ゲリラ、対特殊部隊対処、初動対応などに当たる師団である。
この師団は、特殊戦大隊や憲兵大隊、砲兵大隊やMLRS大隊を編成に持ち、更に2個のSAM(地対空ミサイル)群とSSM(地対地/地対艦ミサイル)連隊を持つことが大きな特徴である。
その他にも各種後方支援部隊やヘリ部隊、NBC戦大隊などの部隊を持つ。
この師団の大きな戦闘功績により、王宮や王都を完全に敵の襲撃や砲弾、ミサイルなどの攻撃を迎撃して撃墜、無力化してしまったので、私達4人のラグナメイルを含めて、専ら正面の敵への対処に集中できたのも、本当に助けられたのだ。
王宮の戦闘後は、警備師団が全兵力をもって王都と王宮の警備に当たると共に、周辺からの日本連邦軍の陸海空軍などの部隊が続々と王都やその周辺に集結・展開していた。
また、私達が既に戦闘の渦中にあった時から、宇宙医科大学校などでは予備役として武装して警備警戒にあたっていた。
後日判明したところでは、王宮を攻撃したのは、次の敵組織であった。
敵の勢力組成:
・「黒装束の集団」120人⇒全員を逮捕・拘束した。
また使用した車両や航空機などを撃破・捕獲した。
後に、この集団は、「ミスルギ皇国国内の愚連隊、ヤクザな連中の集団」であったことが判明した。
・「ミスルギ皇国近衛兵の集団」500人⇒全員が降伏、その後逮捕・拘束した。
また使用した車両や航空機などを撃破・捕獲した。
後に、この集団は全員本物のミスルギ皇国近衛兵であったことが判明した。
・ミスルギ皇国近衛長官リィザ・ランドッグ⇒私達4人が「待て、撃つぞ」と警告したら、羽根をはやして飛んで逃げようとするので、やむを得ず、捕獲・拘束した。
アンジュリーゼとモモカは、自分がいるローゼンブルム王国の王宮が、まさか自国の国民や近衛兵の集団によって襲撃されたことに、大きな衝撃を受けていた。
これはクーデターか、それとも組織的な裏切り行為なのか??
また、自分達の祖国であるミスルギ皇国の非道さに、祖国や家族そのものにすら、否応なしに大きな疑問を持たずにはいられなくなっていった。
アンジュリーゼは、泣きながらこう言い放った。
「そう、全ては嘘っぱちなのよ、友情とか、家族とか、絆とか。
あ~あ、今までその素晴らしさを人前で平気で言っていた自分を殴りたくなってきたわ!!
世界は、腐っている!!」
「ばーか」と、ヒルダが同意する。
「でも、皇女殿下、痛姫様にしては、正しいご意見ですこと。」と、皮肉りながらも、ヒルダはアンジュリーゼを褒めた。
「それはともかく、今後の事はよく考えてから行動するべきですわ。」と、ミスティは言った。
「急いては事をし損じる、と言います。
また、かの「戦争論」の著者であるクラウゼビッツは『軍事は政治の延長である。』と喝破しています。
現時点では政治的にも軍事的にも難しい局面であることは確かですが、妹のシルヴィア様の治療をこちらで開始しつつ、最悪の状況を改善する手立てを講じることが必要です。」
「さすがはミスティ王女様だ。」と私は紅茶を周囲の全員に煎れた後、ミスティを褒めた。
「うふふ、リデル、もっと褒めてもいいのよ」と、ミスティは笑って、甘えたように私に抱きついてきた。
私もしっかりと、ミスティを受け止め、抱きしめた。
ミスティがひどく緊張しているのは、心臓の鼓動が早くなっていることが否応なしに感じられたことでわかる。私も同じだった。
ミスティが人前で大胆な行動をするとは、それだけ大きなストレスを感じていることでもあるのだ。
何とか、この局面を打開しなければ。
「ヒルダにしては、しっかり言うことは言うじゃないか。偉いぞ。」と、アルベルトはヒルダを褒めた。
「ヘヘーん、良いでしょう??もっと褒めてもいいのよ」と、ヒルダは、ミスティに対抗するかの如く、笑顔でアルベルトに抱きついてきた。
「キスしても良いわよ。」
私に比べて少々お堅いアルベルトは、その言葉にちょっと驚いたものの、しっかりとヒルダを抱きしめた。
この局面で大変面白くないのはアンジュリーゼである。
「何よ、ミスティもヒルダも見せつけてくれて!!」
そして、もう1人、アンジュリーゼの世話役であるタスク(本名タスク・マインコフ・真田)も、「はーあ」とため息をついていた。
「ちょっと部屋を替わりましょうか、アンジュリーゼ様?」と、タスクがアンジュリーゼを誘って部屋の外へ移動した。
ちょうどその頃。
自治領ローゼンブルム王国国王は、日本連邦政府の阿倍野真三大統領、志木田茂雄外務大臣、マイク・ジャクソン広報大臣、私の父である田中隆男大臣、そして国防総省大臣で安全保障担当主席補佐でもある中谷元雄大臣と3DTVで緊急会議をしていた。
「正に非常事態です。阿倍野真三大統領閣下。」と ローゼンブルム王国国王は訴えた。
「ご安心下さい。国王陛下。
連邦政府でも責任ある行動と処置、対抗手段を進めます。
天皇皇后両陛下より、ローゼンブルム王国国王陛下や王国に対して、お見舞いの御伝言と、ご支援の金品等を賜りましたので、日本連邦政府の各種緊急支援と併せてお送り申し上げます。」と、阿倍野真三大統領が答えた。
「既に、ローゼンブルム方面を含めた地域に展開配備している統合軍即応軍より、警備師団3個と水陸両用師団1個などを増派しました。
アルゼナル周辺やローゼンブルム王国周辺でのミスルギ皇国などの潜水艦や無人機等の活動は活発化していますが、我が連邦軍が領土から200海里の範囲を中心に「撃沈」や「撃墜」を行っています。
これまでに、潜水艦は1ダース以上、少なくとも16隻の撃沈を確認しております。
また、無人機等は、武装機だけでもこれまでに40機を撃墜しております。
工作船や、漁船や避難を装った船、民間機を装った航空機や宇宙往復機なども、停船や強制着陸に応じないもの、照会に応じないものなども含めて、片っ端から対艦ミサイルや対空ミサイルなどを駆使して撃沈や拿捕、撃墜などをしております。
更に、テロ、ゲリラや特殊部隊、NBC戦への対処なども、情報・医療関係の部隊である、統合医療機動情報師団1個を、ローゼンブルム方面を中心に展開しております。」と、中谷元雄大臣がこれまでの成果を報告した。
「外務省としては、外交チャンネルを通してミスルギ皇国と交渉中です。
どうも、ミスルギ皇国で経済不振から社会不安、そして権力基盤構造そのものまでもが揺らぎ始めているようです。
まるで1980年代後半の旧ソ連や、2010年代の米国のような状態になりつつあります。
アンジュリーゼ皇女殿下の妹のシルヴィア様については、ジュライ・飛鳥・ミスルギ皇帝陛下とソフィア・斑鳩・ミスルギ皇后陛下に直接コンタクトを取っているのですが、どうもミスルギ皇国の皇太子、ジュリオ・飛鳥・ミスルギ殿下がローゼンブルム王国への移送や治療には反対の立場だそうです。
ローゼンブルム王国国王陛下のご助力、ご説得をお願い申し上げます。」と、志木田茂雄大臣が現状の交渉状況を報告した。
「わかりました。志木田外務大臣。
ジュライ・飛鳥・ミスルギ皇帝陛下とソフィア・斑鳩・ミスルギ皇后陛下は家族思いでもあります。私がなんとか説得しましょう。」と ローゼンブルム王国国王は答えた。
マイク・ジャクソン広報大臣が、以下の提案を行った。
「今回の戦闘で功績のあった、警備師団や王宮のSP、「黄金のタッグチーム」などの宇宙医科大学校やその生徒達の表彰をしましょう。
勲一等瑞宝章などを与えては如何でしょうか?」
「いいですね。中谷元雄大臣のご報告にあった、潜水艦戦や航空戦などの功績者や功績部隊にも同様に表彰することで、ある種のカモフラージュにもなります。」と、田中隆男大臣は賛成した。
「私も賛成だ。早速準備をしよう。」と阿倍野真三大統領も賛成した。
「話題は変わるが、残された大きな問題は、逮捕したミスルギ皇国の近衛長官らだな。
正直、頭が痛い問題だ。
田中大臣、何か妙案はあるだろうか?」と阿倍野真三大統領が田中隆男大臣に尋ねた。
「とりあえずは、全員、異世界に送りましょう。
それだけでも、政治的な言い訳は出来ます。
ミスルギ皇国の近衛長官1人だけでも警備が大変です。
それに加えてミスルギ皇国の愚連隊120人と、正規の近衛兵が500人もいるのです。
ノーマを迫害してきた立場の人間であった彼らが、すぐに心から過ちを反省できるとは限りません。
徹底した追跡調査や尋問もしましょう。
その後、反省度や貢献度に応じた待遇を与えましょう。
凶悪犯や確信犯は最優先に反省してもらいましょうか、ドラゴンの世界などで。」
5月5日の夕方。
大統領官邸にて、警備師団や王宮のSP、私達4人の「黄金のタッグチーム」などの宇宙医科大学校やその生徒達、そして、「大きな功績のあった」日本連邦軍の軍部隊の代表者らが集まった。
その中には、ミスティの誕生日パーティーに出席していたケマル・縁部理桜(えんぶりお)氏や、彼にお世話になっている出演者や関係者、そして宇宙医科大学校の同期生らも同席していた。
阿倍野真三大統領が閣僚や出席者らを前に、始めに挨拶を行った。
「今回の戦闘で功績のあった全ての方々に対して、心からその栄誉と功績を称えます。
今後とも努力精進されますよう、ここに表彰をさせて頂きます。」
戦闘に功績のあった連邦軍部隊の部隊長や王宮のSP代表者(例によって加藤さんだった)らには次々に表彰状や記念品などが手渡され、負傷者や損害などについては、大統領名のお見舞いの勲章や表彰、治療や損害回復の国家負担などを明記、今後とも継続した各種補償などが与えられた。
勿論、ケマル・縁部理桜氏や、彼にお世話になっている出演者や関係者、そして宇宙医科大学校の同期生らも同様の表彰などを与えられた。
そして、私達4人の「黄金のタッグチーム」には、「黄金のダイヤモンド・タッグ」の称号を授与されたのだ!!
チームを代表して、私が感謝の言葉を述べた。
「私達4人、リデル・田中、ミスティ・ローゼンブルム、アルベルト・マンシュタイン、ヒルデガルト・シュリーフォークトの「黄金のタッグチーム」は、「黄金のダイヤモンド・タッグ」の称号を頂く栄誉を受け、これからも一層精進し、国防と宇宙医療などの分野で国家と社会に貢献して参ります。」
私は本当に、この時は最高度に緊張した。
緊張度に関しては、戦闘時の方がまだましだった。
そして、その後、大統領官邸などに出入りする機会が増え、最終的には自分が大統領に当選して大統領官邸の主になろうとは、この時は考えもしなかった。
5月5日の夜。
王宮に戻った私達に、ケマル・縁部理桜氏が「明日の8時からの「とくダネNEWS!」にみんなで生出演するからよろしく。」と、さらりとした口調で言った。
「警備などは大丈夫なのですか?」と私が尋ねると、
「戦闘に参加した警備師団が交代の為と称して、私達を警備することになった。」とケマル・縁部理桜氏が答えた。
「その通りだ。正式に交代と警備の命令が来たのだ。」と、警備師団の佐藤師団長が念を押して答えてくれた。
私達4人など宇宙医科大学校の生徒らは、あわてて敬礼をした。
佐藤師団長も敬礼を返した。
私達は、宇宙医科大学校に、現状と明日の予定を連絡し、了承を得た。
授業は、とりあえず軍や政治の状況次第で行い、それまでは軍関係の教育を優先して行うこと、交代で大学校に来ても良いし、王宮などの警備でも構わないとの連絡も受けた。
非常時であるので、当然の対応であろう。
運転免許も取得しているので、私達の移動の幅も拡がっていた。
5月5日の深夜。
3つの場所で、影の動き、闇の動きが始まっていた。
「困ったことをしてくれましたねえ、ジュライ・飛鳥・ミスルギ皇帝陛下。」
自治領ローゼンブルム王国国王は、ミスルギ皇国のジュライ皇帝に3DTV電話でこう切り出した。
「うー。私の与り知らぬところで全てが発生してしまったのだ。」
ジュライ皇帝は言い訳した。
本当は、自ら作戦計画を熟知して行動を承認したのだが。
「ミスルギ皇国の正式な近衛兵が1個大隊、500人が何故、我が王宮を襲撃したのです?
我が国には近衛兵などはいませんし、必要などはないのです!!
全ての国民は我が近衛兵の如く、信頼の下で王族や王宮を守ってくれているからなのです!!
おまけに、貴方の国で言う特殊部隊と称する「黒装束の集団」、愚連隊が120人、そして貴方の側近中の側近である、ミスルギ皇国近衛長官リィザ・ランドッグもいました。
これでも関与していない、と言い訳するのですか!!」
ローゼンブルム王国国王は、ミスティと同様に、はっきりと言って問い詰めた。
「今は、近衛兵らにすら、支払う給与が不足しているのだ。
既に4ヶ月分の給与が遅配しているのだ。
近衛兵などには、私達皇室に対する不信感が高まっていたのも事実だ。
文句を言わないのは、アンジュリーゼの筆頭侍女のモモカだけだ。
だから、娘のアンジュリーゼですら、最近は頻繁に御国を含めて芸能活動などで動かなければならない事態に陥っているのだ。」
ジュライ皇帝は、窮状を暴露するが如く、似つかわしくない口調で言った。
皇室の窮状そのものは、本当の事であった。
だから、ジュライ皇帝は、親しいケマル・縁部理桜氏などを敵に廻すことや、縁を切ることは絶対に出来なくなっていたのも事実である。
「うーん、ジュライ皇帝陛下、アンジュリーゼ皇女殿下をこちらの宇宙医科大学校に留学させては如何でしょうか?
また、アンジュリーゼ皇女殿下の妹、シルヴィア様もこちらで治療やリハビリを受けられては如何でしょうか?
シルヴィア様の本当の病気の原因は、ジュライ皇帝陛下であれば良くご存じですよね?
そのままでは、あと数ヶ月のお命ですよ。」
ローゼンブルム王国国王は、敢えて殺し文句を口にした。
「わかった。5月6日の朝一番で、アンジュリーゼを宇宙医科大学校に留学させ、シルヴィアを治療のためとして、御国に送ろう。
2人を宜しくお願いしたい。
我が妻を病院まで付き添わせよう。」
ジュライ皇帝は、家族のために、節操もプライドも捨てて、シルヴィアの治療を選択したのだ。
一方、同時刻のミスルギ皇国の「別所」。
「ふん、どうしてこの皇国はここまで追い詰められたのか?」
ミスルギ皇国皇太子であるジュリオ・飛鳥・ミスルギは、敢えて隠し持っていた「酒」を飲みながら、愚痴をこぼしていた。
「ふふふ、皇太子殿下、お困りのようですね。何とかできる方策を考えましょうか?」
と声が高い男の声がした。
振り返ると、長身でクリーム色系統の頭の髪の毛をした「トサカ男」が立っていた。
「私は、マナが使える地域では、自由に動けるのですよ。」
その男の名は、円鰤夫(エンブリヲ)と言った。
「皇太子殿下の御父上、ジュライ皇帝が最近、失敗続きでしてねえ。私も困っているのですよ。」
「まさか、貴方様が、円鰤夫(エンブリヲ)様だったとは・・・。」
「今後とも宜しくお見知りおき下さい。」
「共に、新しい世界を作りましょう、円鰤夫(エンブリヲ)様!!」
新たなる陰謀が、開始されようとしていた。
更に、もう一つの別の場所、ここは異世界。
もう一つの地球、「ドラゴンの世界」だ。
「レモディーネ様、サラマンディーネ様、別室での準備が整いました。」と、ナーガとカナメが報告する。
「今、参ります。」と、ローゼンブルム王国から帰還したばかりの巫女でサラの母親(レモディーネ)、サラ(サラマンディーネ)が歩いて移動する。
「用事が済んだら、すぐにローゼンブルム王国に戻って、朝のTV出演ですね。サラ。」
「はい、お母様。これも戦いなのです。」と、サラが答える。
向かった別室では、ミスルギ皇国近衛長官リィザ・ランドッグが、「質問」と称する尋問を受けていた。
何しろ、レモディーネ、サラマンディーネらが集まっていた王宮を襲撃した張本人が、ミスルギ皇国近衛長官だったのだから、只では済まない。
ミスルギ皇国の特殊部隊と称する「黒装束の集団」、愚連隊が120人と、ミスルギ皇国の正式な近衛兵が1個大隊、500人、が既に「異世界」のこの地へと、送り込まれていた。
勿論、正式な日本連邦軍の憲兵隊や警察なども、交代で「警護と監視」のために付き添っている。
ここでの捜査や尋問などで、ミスルギ皇国での更なる「悲惨な実態」が明らかになったのだ。
「ミスルギ皇国近衛長官リィザ・ランドッグ。何故、ローゼンブルム王国の王宮を襲撃したのだ??」取調官や憲兵隊(MP)に混じって、ドラゴンの世界の高官や軍人らもいる。
「・・・・。言えません。何も言えません。」
「ほうー。この動画を見ても、シラを切るのかね??」
そこには、「ああー、ああー!!共に、新しい世界を作りましょう、円鰤夫(エンブリヲ)様あーー!!」と、円鰤夫(エンブリヲ)に抱かれ、ベッドインして絶叫するリィザ・ランドッグの姿があった。
また別の動画では、ミスルギ皇国の特殊部隊と称する「黒装束の集団」120人やミスルギ皇国の正式な近衛兵500人らを前にして、
「ジュライ皇帝陛下の命である。ローゼンブルム王国の王宮を襲撃せよ!!
そうすれば金品や食料はお望み次第だぞ!!」と煽り立てて絶叫するリィザ・ランドッグの姿があった。
「確か、君はドラゴンの世界の出身ではかったのかね??」
「はい。」
「実に、レベルの低い動画での絶叫内容だったが??」
「・・・。仕方がなかったのです。私も、部下達も、本当に金品や食料の欠乏で苦しんでいたのですから。数ヶ月も飲まず食わずの生活で、近衛兵らの士気も最低水準です。
そこへ、私の前に円鰤夫(エンブリヲ)様が現れたのです。新しい世界を作るために力を貸して欲しい、と。」
「5年前のミスティ王女を狙ったテロ事件にも、君は関与したのか?」
「犯人グループの送迎には関与はしましたが、命令や報酬などは直接ジュライ皇帝陛下が、犯行グループにしたはずです。」
「マナを使用することで金品も食料品の欠乏もなく、理想郷の世界だ、という宣伝文句があったが??」
「そんなのは、嘘です。どこかで因果の辻褄を合わせなければ、社会は維持も出来ないのです!!」
「何故、マナの世界はおかしくなったか、貴方なら分かるでしょう??」と、レモディーネが、リィザ・ランドッグに言った。
「はい、便利だと貨幣経済を捨て、皆怠惰になってしまい、熱心に働かなくなってしまったことが大きな原因です。
まず、食料品や加工品、農林水産業や鉱工業といった基本産業の地盤沈下から始まり、社会全体に怠惰感が拡がっていきました。
不満はノーマの迫害や身体障害者、少数民族などへの社会的な弱者差別などで晴らす、歪みきった社会になっていきました。」
「そして、日本連邦との為替インフレが進み、毎年1000%を超える通貨の下落が続いたことも、追い打ちを掛けた訳ですね?」と、サラマンディーネが質問する。
「はい、その通りです。ミスルギ皇国の国民は、もうマナなどの価値は信用しておりません。
既に、日本連邦の製品や10万円金貨、5万円銀貨、各種の紙幣や貨幣などが、正式の通貨の如く流通しているのです。」
「つまり、マナによる決済や物流は、信用を失い始めている、と??」と、サラマンディーネが確認する。
「はい、その通りです。」リィザ・ランドッグは、はっきりと言った。
マナは一番大切な「信用」を失い始めていた。
リィザ・ランドッグを、原作以上にもっと活用する方法があるのでは、と考え、今回は敢えてこのような構成にしました。
信用を失えば、世界的な通貨であろうと、世界一の大国であろうと、衰退の道は避けがたいものがあります。
今の社会の問題の根本原因を追及すると、「信用」は大きなキーポイントでしょう。
事実上、自分達の祖国であるミスルギ皇国から引き離されることになったアンジュリーゼとモモカ、そしてシルヴィアの運命はいかに?
円鰤夫(エンブリヲ)にそそのかされたミスルギ皇国皇太子であるジュリオ・飛鳥・ミスルギの陰謀は?
そして、「黄金のダイヤモンド・タッグ」の称号を授与された、私達4人の「黄金のタッグチーム」には、更なる発展が??
次回をお楽しみに。