クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~愛するミスティ・ローゼンブルムと共に~   作:田中_jack

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今回は、主人公のリデル・田中とミスティ・ローゼンブルムを襲った大事故の後編を描きます。
この大事故にて、その後、私とミスティの運命、そして世界の動きが急速に変化していきます。



第3話 私とミスティを襲った大事故 後編

スケベビッチ・アル・ガッポリーネの命令で、ドラム缶と火の海攻撃の点火スイッチが押され、LPGタンクローリーの遠隔操作が開始された!!

 

その狙いは、ミスティ・ローゼンブルムと、私ことリデル・田中、そしてSPや侍女達全員の命であった。

 

ここで、朝に父親に渡された「特殊な傘」が、テロ対策用品としての本領を発揮してくれたことに気付いたのだ!!

 

 私が、周囲を見回すと、倒れているSPや侍女には、爆弾テロ事件で凄惨な被害をもたらす、爆風で破壊され吹き飛んだガラスの破片などの「鋭利な凶器」による被害がなかった。

また、「特殊な傘」が、私の両親が設定してくれたお陰で、自動的に私の家や両親の携帯電話、消防、警察に連絡が入ったのだ。

 

「リデル、大丈夫?」とミスティが大声で話しかけた。

「僕は大丈夫、ミスティも怪我はなかったようだね。立てる?」と私が返事すると、ミスティは何が何だか解らない、本当に怯えた顔をしていたが「うん。」とうなずくことは出来た。

 

周囲を見回すと、侍女やSPの方々は事故の衝撃振動や爆風の被害で倒れ、怪我などの痛みに苦しみ、うなっていた。

「ミスティは王宮へ連絡をして。僕は自分の家に電話するから。」

「うん、わかったわ。」

 

 私が家に居た母親に電話をかけて救助を頼み、ミスティが王宮に電話をかけて、現在の非常事態を告げ終わった頃には、警察や消防のサイレンと赤色灯が現場に迫っていた。

助かった、と思った瞬間に、立て続けて爆発音や異常な事故の音が周囲に鳴り響いたのだ!!

 

まず、大型ロケット花火が付いたドラム缶が何個かこちらの方向へ飛んできて、次々に落下、炎上するものもある中で、オイル、ガソリンなどの有機溶剤の匂いや薬臭い匂いがドラム缶から流れ出して立ちこめた。そして炎の勢いがどんどん増してきた。

 

次に、運転手の姿が見えないLPGを積んだタンクローリー車がこちらの方向へ突っ込んできたのだ。

 

最後に、私とミスティの背後の方向にある、通学路に面する一番高いビルの1階で爆発する音が鳴り響いたのだ。

 

 もう、選択の余地はなかった。

できる限り速やかに、動ける人だけでも、ここから逃げるしかない。

しかもこの時、SPの方と侍女の方で、なんとか歩いても動ける方は1人ずつしかいなかった。

それでも、ミスティを守る為には、私が盾になってもいいから、無事に王宮まで連れて行かなければならない。

 

辛うじてなんとか歩けるSPの1人と侍女の1人は、苦しそうに息も切れそうな中で、悲痛な叫び声で私にこう言った。

SP「君しかミスティ様を守れる人はいないのだ!!申し訳ないが、ミスティ様と早くこの場から逃げろ!!」

侍女「坊ちゃん、ミスティ様を何とか守って下さい!!」

 

この時、私に向かって初めてミスティが涙声になって「ごめんなさい」と言っているのを聞いたのだ。

「泣くことはないよ、僕が君を守ってみせる。」と私ははっきりとミスティに宣言した。

後で気付いたのだが、私は頭と腕、足を負傷し、血を流していたのだ・・・。

 

私は左手で「特殊な傘」を開いたまま、右手でミスティの手をしっかり握って、裂け目や落下物が散乱している道路を駆け足で王宮の方向へ進んでいった。

 

 

この「大事故」を発生させた張本人であるスケベビッチ・アル・ガッポリーネは、その効果があまり芳しくないのを確認すると、癇癪を起こした。

「おい、ミスティとその取り巻きが死んでねえ!!さっさと殺せ!!」

 

この時、スケベビッチ・アル・ガッポリーネは、ミスルギ皇国での恩赦後、近衛長官のリィザ・ランドッグらの乗った特別車に乗せられ、皇帝の宮殿に連れて行かれた時のことを思い出していた。

 

―――――――― 回想 ――――――――――

 

その時、皇帝であるジュライ・飛鳥・ミスルギより直接、こう言われたのだ。

殺人の依頼をしている皇帝の顔は鬼気としており、言葉も甲高く、とても厳格ながら公正な統治を行っている皇帝の顔と言葉とは思えなかった。

 

「ローゼンブルム王国の第三王女、ミスティを事故にみせかけて殺せ。取り巻きや護衛などもいくらでも殺して構わん。」

「すぐにテロとは気付けなければ、それで良い。」

「ミスルギ皇国にとって、日本連邦に吸収された小賢しいローゼンブルム王国、特にその王室は、邪魔だ。」

「報酬は、日本の10万円金貨1000枚だ。前金と準備金に10万円金貨200枚を渡そう。」

「もし失敗しても、インターネットなどでの誹謗中傷で、確実に社会的な死を与えるのだ!!」

「あくまでも、皇室や王室のトップアイドルでファッションリーダー、社交界の花は、我が娘のアンジュリーゼでなければならないのだ!!」

 

―――――――― 回想おわり ――――――――――

 

 

スケベビッチ・アル・ガッポリーネは、この後のことを考えていると、子分の返事が次と帰ってきた。

 

子分Aは「あっしの仕掛けは全て使い尽くしやした。」と答えた。

子分Bは「残りのドラム缶や大型花火などを打ち込んで殺しましょう。」と提案し、

子分Cは「遠隔操作で動かしたLPGを積んだタンクローリー車が、別のタンクローリー車と衝突して動けません。」と報告した。

また、周辺を監視している子分Dからは、「今ならば十分に逃げられます。ネットでの攻撃の内容も作成中です。」との報告があった。

 

そこで、スケベビッチ・アル・ガッポリーネは、こう言った。

「この足元のヤクザな廃棄物処理業者の設備を含めて、責任者は俺のダチ公だ。花火でも廃油でもやばい品物でも、何でも隠してあるのさ。

だから後から何が出てきても構わないさ。俺たちはさっさと逃げるからな。

てめえら、ミスティは、連れのガキと一緒にガキの家や王宮の方向に逃げているぞ。

ここにある全ての物を使って王宮などを攻撃、ミスティを血祭りに上げろ!!」

「へい、親分!!」と、子分達は応じ、対戦車ロケット弾や、それを上回る大型花火や過酸化水素を入れたドラム缶などを次々と王宮などへ「発射」の準備を始めた。

 

ここで、スケベビッチ・アル・ガッポリーネとその子分らは冷静さを完全に失っていた。

依頼主から一応、禁止されていたはずの「テロ行為」を堂々と始めたのだから。

 

「めんどうくせえ、全て打ち込め!!」

と、子分Bが起爆スイッチを全部ONにしてしまったその瞬間、大音響と共に、アジトにしていた廃棄物処理業者の設備敷地から、およそ2ダースの過酸化水素を入れたドラム缶が飛んでいった。

 

そして、ついでに改造した「大型花火」なども全て王宮の方向へ発射して、廃棄物処理業者の設備や建物を、あくまでも事故災害を装いつつ、着火・小爆発させてから、護身用の小銃や機関銃などを持ち、スケベビッチ・アル・ガッポリーネとその子分らは乗用車でアジトから逃げ出した。

 

 

 そこで、「大ブーメラン効果」「因果応報」がスケベビッチ・アル・ガッポリーネとその子分らを襲ったのだ!!

 

子分Cがセットした、別のタンクローリー車と衝突していたはずの遠隔操作で動かしたLPGを積んだタンクローリー車が、衝突したタンクローリー車をなぎ倒して火災を発生させた上に、逃走中の乗用車に向かって突っ込んできたのだ!!

 

「もっと早く逃げろ!!」と親分のスケベビッチ・アル・ガッポリーネは叫んだが、既に遅し。

逃走中の乗用車は追突され、し尿処理を終えて輸送中のバキュームカーに向かって突進していく。

「大事故」のテロ実行中の周囲監視を担当し、今は乗用車を運転中の子分Dは「このままでは突っ込みます、くそ、対戦車ロケット弾発射!!」と、し尿処理を終えて輸送中のバキュームカーに対戦車ロケット弾を発射、バキュームカーに命中して大爆発し、文字通り「黄金の雨」を周囲に降らせた。

そして、遠隔操作で動かしたLPGを積んだタンクローリー車が、その場に突っ込んで、なんとか停止した。

 

スケベビッチ・アル・ガッポリーネとその子分らは、乗っていた乗用車は運転出来なくなり、その場に乗り捨てて、「黄金の雨」の中を走って逃げたが、その異様な姿と小銃や機関銃などを持ちながらの逃走の姿に、住民からは怪しいやつだと、たちまち警察に通報され、逃走の末に命からがらミスルギ皇国に逃げた。

 

 

少々時間を戻して私とミスティの話の続きを語ろう。

 

 私とミスティは、王宮に近づいた時、ドラム缶や大きな3尺玉などの大型花火、ロケット弾などが次々と王宮や自分達の方向へ飛んで来たのを見た。

有り難い事に、「特殊な傘」のお陰で、自分達の方向へ飛んで来たドラム缶などについては、反発する、軌道を逸れるなどの防御効果で直接の被害を受けることはなかった。

 

後から聞いた話では、「電磁装甲」に「電磁攻撃」「イオナー効果による反発」「反重力パルス波」「プラズマ防御」などの防御作用だそうだ。

 

王宮の入り口付近まで、私とミスティが辿り着くと、そこは先程の「大事故」現場のような惨状であった。

王宮内にあったそれぞれ16台の防弾装甲車両エアカー、エアバイクが、全て使用出来ない状態になった上に、SPや侍女達の多くが骨折や打撲などの怪我を負い、王宮のあちこちにも被害が出ていた。建屋の見えない部分でも何らかの損傷や汚染などの被害を受けたようだった。

 

「ミスティ、一度僕の家に行こう」と、私は提案し、ミスティはSPや侍女にその旨を話した上で、私の家に一旦待機することになった。

 

 

 私の家に着くと、医者で私の母親が出迎えてくれた。

すぐに怪我の応急処置や診察をしてもらった上で近くの救急病院に手配してもらい、私とミスティは精密検査をしてもらった。

 

幸い、身心共に異常はなく、すぐに2人揃って私の家に戻ることが出来た。

勿論、私の父が連邦政府の要職にあるので、護衛付きではあったが。

 

その後、私の部屋に入ったミスティは「これ、何?」と、左手にバラを模した造花がついた2つのウサギのぬいぐるみに、興味津々な目を向けていた。

ローゼンブルム王国の家紋は「バラ」だ。

 

「これは、先週、ゲームセンターで貰った商品と景品だよ。」

「ゲームセンター??」

「クレーンでいろいろな商品や景品を有料で取れるゲームとか、太鼓を叩くゲームとか、いろいろあるところだよ。」

「この近くにあるの?遊園地のような大きい所?」

「遊園地のように大きくはないけど、何カ所かあるよ。」

 

この時、何故か、突然ミスティは泣き出した。

今までの緊張が解けたのだろう、寂しかったのだろう、全てが一気に崩れたかのように泣き出した。

 

 私は、この時、ミスティが来週の5月5日に誕生日を迎えることを思い出した。

「この左手にバラを模した造花がついた2つのウサギのぬいぐるみ、君にあげよう。

ミスティ、今日はいろいろ大変な事があったけれど、僕は君を守り切れた。

これからも、僕は君を守る。

そのためならば、僕は医者だろうが、大統領だろうが、何にでもなってあげる。

だから、もう泣かないで。

誕生日おめでとう。」

 

 私は、この時、ミスティに「医者だろうが、大統領だろうが、何にでもなってあげる。」と重大な人生の決意を固め、覚悟を伝えたのだ。

ミスティは泣くのを止めて、明るくこう言ってくれた。

「ありがとう。私もリデルと同じ気持ちよ。」

 

こうして、私とミスティは、共に同じ道を歩むことを決意したのだった。

 




地下のガス管や側溝の爆発、ドラム缶に入った過酸化水素水が吹き出して飛んでいく、大型花火の被害、バキュームカーの爆発事故などは、全て日本を含めた過去の事故事例を参考にしております。

例えば、2009年には京都府内でドラム缶に入った過酸化水素水が吹き出して東海道新幹線を飛び越え、100m以上飛んでいく事故が発生しております。
また、2014年12月には、中国でバキュームカーの爆発事故が発生、「商店街に黄金の雨が降る」大惨事になりました。

単なる事故でも大きな被害が出るのです。
これらの事例が、そのまま「事故を装ったテロ」に使用されたらと思うと、第2話と第3話のお話以上の被害もあり得ます。

次回、主人公の私とミスティが「大事故」に巻き込まれた後、2人を取り巻く環境は大きく変化することになります。

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