クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~愛するミスティ・ローゼンブルムと共に~ 作:田中_jack
婚約発表を前に、2118年4月12日から、「黄金のタッグチーム」の4人、私とミスティ、アルベルトとヒルダが考案した2つの構想と1つの戦術の試験を行い、成功しました。した。
その最終日の4月17日、大波乱の大戦闘「地中海大海戦」が発生しました。
「黄金のタッグチーム」の4人が考案した2つの構想と1つの戦術は絶大な効果を発揮、大成功します。
今回の「地中海大海戦」での大戦果により、日本連邦軍の戦闘能力や危機管理能力の高さが、改めて実証され、「黄金のタッグチーム」の私達4人が作り出した2つの構想と1つの戦術で大成功したことも、併せて大々的に発表されたのです!!
4月27日の午前10時より、ジェノヴァにて、今回の「地中海大海戦」の戦勝を記念した大々的なその戦勝パレードが、参加部隊らの観閲行進や市中行進を交えて開催され、私ことリデルが突然、市民らの前で演説することになり、熱意ある演説で大歓声を頂きます。
その一部始終をお忍びで来られたVIPの1人が、感激してこう言ったのです。
「素晴らしい、素晴らしい演説だった。
彼こそ、日本を、そして世界をリードできる逸材に違いない!!
すぐにでも、彼の政治家への道を探らなければ!!」
そのVIPとは、日本連邦の阿倍野真三大統領でありました。
今回は、いよいよ婚約と将来の夢について、描きます。
どんな波乱があるか??
2118年4月28日。
戦勝パレードと、その演説から一夜明けた午前6時。
「黄金のタッグチーム」の4人、私とミスティ、アルベルトとヒルダは、徹夜明けで、宇宙医科大学校付属病院の宿直室で一緒に朝食を取りながらも、自分達を含めた環境の激変に戸惑っていた。
一言で言えば、「英雄」に祭り上げられたのだ!!
マスコミやブログ、ネットなどの反応も、「熱烈なラブコールと批評」そのものだった。
「『黄金のタッグチーム』発案の構想や戦術で戦闘方法すら劇的な変化のきざし 変化に対応出来ない国家や地域はフランスやヴェルダ王朝のように壊滅する!!」
「フランス軍やヴェルダ王朝軍は役に立たない!!
存在そのものを無視しよう!!」
「リデル・田中大尉の演説に感激!!」
「宇宙医科大学校の卒業生や在校生はどのような生活や活躍をしているのか??
卒業生の1人、有名プロデューサーのケマル・縁部理桜(えんぶりお)氏にインタビューを決行!!」
「フランスで劇的な政権交代後、極めて不穏な情勢 第二次フランス革命が起きなければよいが??」
「またもや歴史が動き出すのか??
ヴェルダ王朝政権崩壊後、長年の反仏感情がまたもや吹き出す!!
今後のヴェルダ政府は反フランス政策の推進をするのか??」
「次の崩壊する国や地域は、ガリア帝国&マーメリア共和国か??」
また、私達などのプライベートな話題も広く掲載されるようになった。
「既に結婚している??
『黄金のタッグチーム』の2組のカップルの日常!!」
「ミスティ王女様は既にリデル君を尻に敷いている??」
「ヒルダさんは結婚したらすぐにアルベルト君の財布のヒモを握るだろう。」
「リデル・田中大尉はそのままローゼンブルム王室に婿入りか??」
「5月5日に結婚式や婚約発表する宇宙医科大学校関係のカップルは粒ぞろい!!
有名プロデューサーのケマル・縁部理桜(えんぶりお)氏が描く、宇宙医科大学校やその関係者すら取り込む宇宙時代を先取りする世界の芸能界大再編!!
平行世界や異星を巻き込む大芸能集団構想とは??」
はあ、この手の記事やブログ、批評などは笑えるものあり、的確なものあり、皮肉あり、と、読み疲れますねえ。
ミスティやヒルダは笑っているけれども、私やアルベルトにとっては、本当に重荷に感じるのだ。
性格の違いとか、男性と女性の違いとかが、責任感の違いや感じ方に大きな差異がでるのだろうか??
いろいろ4人で話し合いながら、食事を終了した午前6時30分過ぎ。
そろそろ、帰ってゆっくり午前中はお互いに寝ようか。
今日から同期生は全員非番だし。
その時、非情にも、突然、部屋の電話が鳴った。
「もしもし、宿直室にいますリデル・田中です。」
私が電話を取った。
「東京の国防総省、最高司令部の佐藤大助です。」
とたんに、私の心臓がどきどきした。
「いやーあ、大活躍しているね。リデル君。
元気かね?」
やはり、東京の最高司令部の、本土統合軍司令官になられた、「ヒゲの司令」こと、佐藤大助司令の声だった。
現在の階級は4大元帥、つまり、星が9つ。
最高司令官は星が10個であるから、事実上、最高司令官副司令のお立場である。
「はい、私を含めて、『黄金のタッグチーム』の4人とも、毎日元気でやっております。
司令もお元気そうで何よりです。」
私は、緊張した声で答えた。
「ははは、元気でいいね。
ところで、先日のいわゆる「地中海大海戦」の功績での「政治的判断」により、君達に朗報だ。
付属病院長などよりこれから話があるが、君達とその同期生ら宇宙医科大学校の卒業生、研修生、在校生らは、全員、5月1日付けで2階級の特進だよ。
戦闘に参加などをした全軍の将兵は現役、予備役などを問わず、昇進が決定しているから安心してくれたまえ。」
がーん、と頭を殴られたような衝撃を受けた。
とても、安心出来ません!!
そもそも幹部学校などを卒業しないと、大佐以上の出世は難しい。
幹部学校とは、その名の通り、「高級将校や指揮官などを養成する学校」である。
ちなみに、幹部学校で指揮幕僚課程を履修、その後幹部高級課程、技術高級課程を履修すれば、大佐までの出世は確実、将クラスも狙えるが、指揮幕僚課程の入学試験を受けられる階級は基本的に大尉か、少佐だけだ。
試験も4回まで、と限られている。
指揮幕僚課程を修了後、出世や実務経験を経て、試験や選抜を受け、幹部高級課程、技術高級課程を履修することになるのだ。
当然、選抜あり、重い学科や実習あり、の何でもありのコースだ。
あーあ、私達も、とうとう中佐で出世は停まり、「営門大佐」で軍をおさらば、か。
まだ18歳前後の私達「若者」が、こんな事で悩むとは、世の中は何と世知辛いことか。
私達の教官で、恩師でもある蝶野亜美陸軍中佐と末次一郎宇宙軍中佐と同じ運命か??
そう言えば、蝶野亜美陸軍中佐と末次一郎宇宙軍中佐は、5月5日の「合同結婚式」で結婚するけれども、この頃、「いつ頃に退役しようか??」とか話し合っているようだしな。
私達4人も、そろそろ退役の時期などを考える時が来たのだろうか。
「そこで、だ。
ジェノヴァには、幹部学校ジェノヴァ分校が、宇宙医科大学校の付属施設として開校されることになった。
初代教官主事は、あの蝶野亜美陸軍中佐と末次一郎宇宙軍中佐だ。
彼ら2人も、2階級特進するがね。
また、初代分校校長は、今まで宇宙医科大学校の校長をされていたシルヴィオ・ベルルスコーニ氏だ。
階級は元帥から3大元帥に3階級の大特進をされるのだ。
宇宙医科大学校の校長には、後任としてウラジミール・ロンメル大元帥が就任される。」
宇宙医科大学校なら理解出来るが、分校やごときで元帥以上の階級の軍人が校長??
我が国は、あさっての方向に進んでいませんか??
「開校日は書類上、本日ですか??」
「その通り、さすがはリデル君!!
政治的判断とはどういうものか、良く理解しているねえ。」
佐藤大助司令は喜んだ声で語った。
「君達の同期生や先輩、つまり大尉と少佐は、今日付の「幹部学校ジェノヴァ分校」への入学申込書を提出だ。
中佐や大佐以上の人も心配ご無用。
同じ扱いで頼む。
君達の後輩の中尉、少尉については、5月1日付での「幹部学校ジェノヴァ分校」への入学申込書を提出だよ。
そして、今日付で、対象者全員が、宇宙医科大学校より「医学博士」の博士号を取得する。
その後に幹部学校ジェノヴァ分校にて、指揮幕僚課程を履修、その後幹部高級課程、技術高級課程を履修するのだよ。
既に、科目の5/6は、君達は既に履修していると見做す功績や学歴があるために免除だ。
だから、9月末で3課程の履修は全て終了、あとは、君達らの着想の更なる研究開発と、教育に力を入れて貰いたい。」
「了解です。」
私は、希望が繋がった、と喜んで返事をした。
ところが、それは、単なるぬか喜びだった。
「もっとも、今回、大成功した君達らの着想や戦術や、独特の発想や成果に関しては、将校クラスだけではなく我々将軍クラスですらも未だに良く分からない人が多いのだ。
理解が進んでいない、と言って良いね。
私は、かなり正しく理解しているのだがね。
そこで、君達4人などには、幹部学校ジェノヴァ分校では生徒であるだけではなく、教官も兼任して欲しい。
教官になれば、全ての試験が100点満点だ。
私が保証するよ。
逆に、蝶野亜美陸軍中佐と末次一郎宇宙軍中佐などの教官も、「生徒」を兼任することになるのだから、その辺りは勘弁して貰いたい。
世界的な危機も迫っていることだし、人材の養成を急がなければならないのだ。
君ならば分かるだろう??
念を押すが、現在、日本連邦政府は将来に向けた大きな構想や戦略と夢に向かって、政治的判断が全てにおいて最優先されているのだ。
軍事的合理性や経済的な合理性よりも、政治的な合理性が最優先に追求されている。
それだけ、全てに余裕が出てきたのだがね。
現状では無茶は当然なのだ。
君達ならば、大丈夫だとは思うが。
それでは、5月5日に会えることを楽しみにしているよ。」
佐藤大助司令はうきうきした声で、最後まで語った。
18歳そこそこで教官すらもさせるのか、我が国の軍隊は??
私達4人は、ただただ、あきれてしまった。
この電話を受けてから30分後。
私達4人や同期生だけではなく、宇宙医科大学校付属病院に所属している全ての宇宙医科大学校の卒業生や研修生を含め、全員が集合・緊急連絡の上で佐藤大助司令の言われた「幹部学校ジェノヴァ分校」への入学申込書を提出した。
また、私達4人や、ナオミ・キャリアと、その恋人のベッカム・キングリッジ氏などの人脈を駆使して、ローゼンブルム大学より各種の博士号を取得した。
こういう時は、ローゼンブルム大学を卒業したことは、大きな力になる。
「黄金のタッグチーム」私達4人の場合は、医学博士の他に、工学と理学、軍事学の博士号を取得した。
文字通り、「超特急の博士号取得者」の続出となった。
2118年5月1日、私達4人を含め、宇宙医科大学校の同期生や先輩、後輩、教官や関係者など、全員が2階級特進した。
今まで宇宙医科大学校の校長をされていたシルヴィオ・ベルルスコーニ氏は、校長を退任される形で大元帥に昇進の上、幹部学校ジェノヴァ分校の分校校長として赴任、3大元帥に2階級特進した。
有名プロデューサーのケマル・縁部理桜氏とその婚約者で医師のマギー・ヒイラギ教官は予備中将に2階級特進した。
教官の蝶野亜美陸軍中佐と末次一郎宇宙軍中佐は准将に2階級特進した。
これにより、私達4人の場合、大尉から少佐を飛び越えて中佐に特進したことになる。
18歳前で、中佐ですよ、中佐!!
中佐とは、陸軍や海兵隊で言えば大隊長クラス、海軍では艦長クラス、空軍や宇宙軍では飛行隊長クラスだ。
中佐の階級とは、現場指揮官として生きるか、出世を目指すか、研究職などの専門家になるか、そして現場指揮官などをいつ辞めるかを考えなければならない。
いつ退役するか、今後どう生きるか、後進の育成をどうするか、などで大きく悩む立場に立たされる階級なのだ。
今でこそ宇宙軍があるが、昔、F-15戦闘機などを操縦したテストパイロットが空自の2佐で退職してJAXAの宇宙飛行士になったり、飛行隊長を引退しなければならない立場に立たされ、どうしても空から離れたくないので曲芸飛行士として転身、有名になったりした方もおられる。
私達4人も、18歳前の婚約発表直前で、将来への夢と展望を真剣に構想しなければならない立場に立たされたのだ。
更に、同日、「幹部学校ジェノヴァ分校」への入学式が行われた。
入学した生徒の中には、私達4人が同時卒業したローゼンブルグ大学医学部の同期生で、研修医時代に「特殊機動部隊」に入隊の形で宇宙医科大学校に縁を持った、ナムコプロ所属でモデル、アイドルとしてデビューした高垣楓さん、そして彼女の恋人で今年、婚約したローゼンブルグ大学医学部の同期生で、同じく研修医時代に「特殊機動部隊」に入隊の形で宇宙医科大学校に縁を持った、東郷ヤコブレフ氏の姿もあった。
私達よりも年上の方で、三浦あずささんと同じ年齢(?)である。
政治的な判断により、相当な「マンモス入学式」になったのは言うまでも無い。
入学と同時に、生徒が教官としての業務を行うことも開始された。
例えば、次のような内容だ。
「黄金のタッグチーム」の4人、私とミスティ、アルベルトとヒルダは、異次元や平行世界の探知計算システムや攻撃システムを構築し、その理論と実際の経験を基に新たなる「ワープ理論」や「ワームホール」の形成理論に関する講義や、「空陸両用師団」構想と実際の運用、「紛争予知予防システム」の構想と実際の運用、「ローゼンブルム戦法」とも「愛のクロスミスティ戦法」とも呼ばれる戦法戦術などに関しての講義を担当した。
大室哲也氏とその恋人、エレノア・ルイス、龍川秀明氏とその恋人、アン・霧島の4人が、何と「タッグを組んで」、ケマル・縁部理桜(えんぶりお)氏の補助的なプロデュース
関係の講義を担当した。
ドラゴーニュ・江崎氏とその恋人、メイ・シュタイナーと、陳文傑氏とその恋人、林美玲が、何と、別の分野で「タッグを組んで」、多次元宇宙の新理論や平行世界論を構築した関係の講義を担当した。
秋月涼と水瀬伊織などの「特殊機動部隊」出身者は、それぞれの得意分野での講義を担当した。
特に、秋月涼と水瀬伊織の「宇宙理論と宇宙飛行、富の増産」講義、萩原雪歩の「土建業や建設業、民間軍事会社などの総合コンサルタント、萩原組」「萩原組の建設と陣地構築スピードUP術」講義、如月千早の「歌と慰安力」講義、水谷絵理の「IT能力駆使とネットアイドルの実際」講義など、はっきり言えば、大々的に発展している新興宗教の講義や研修項目の如き、斬新な内容である。
更に、ラグナメイルを操縦している衛宮士郎や遠坂凛、アーチャーやセイバー、ギルガメッシュとバゼット・フラガ・マクレミッツらの「異能集団」は、我々4人同様に、それぞれの「魔法」を操縦しながら攻撃する術に関しての講義も担当したのだ。
もう、名実共に「幹部学校ジェノヴァ分校」は、世界にただ1つの最先端講義内容を持つ学校と言えよう。
2118年5月5日。
ミスティの18歳の誕生日。
5月5日の午前9時に、私達4人を含む宇宙医科大学校の同期生である、1組から4組の元クラス長以外の婚約と、5組全員の婚約が発表され、合同でお披露目された。
もちろん、日本連邦、佐藤大助司令をはじめ軍関係者、周辺各国やドラゴン世界などの平行世界や異星を含めたVIP、関係者の家族なども出席した。
そしておめでたい事に、有名プロデューサーで、宇宙医科大学校の教官でもある、ケマル・縁部理桜(えんぶりお)氏と婚約者のマギー・ヒイラギ教官、蝶野亜美陸軍准将と末次一郎宇宙軍准将、宇宙医科大学校の私達4人とその同期生(第75期)である、1組から4組の元クラス長の結婚式と結婚披露宴も、合同で行われた。
また、ジュリオ元皇太子とドクター・ゲッコー教官の結婚式も同時に行われた。
王室には「結婚の儀」と「婚約の儀」があり、どちらかに参加した時点で、王室の縁者だけではなく、今回、結婚や婚約を発表した全ての家に「ローゼンブルム王家家紋」が与えられた。
これで、全員、ローゼンブルム王室・王家に縁ある人物となった。
めでたし、めでたし。
何故ならば、ここ数年、平穏なパーティーなどがなく、「珍しく何も無い」パーティーだったのだから!!
今回、珍しいお客さんが見えられた。
先月に、我々「黄金のタッグチーム」の4人、私とミスティ、アルベルトとヒルダがお会いした、フランスから来た2人の医者で私達4人と同じ年齢の、ボルタ・リエーヌ氏と、その恋人で婚約者のフランソワ・ブルボン女史である。
現在も、モモコ連邦の首都モモコにて、ローゼンブルム大学医学部付属病院とモモコ大学医学部付属病院との兼任勤務をされていた。
今回は、フランス新政府の代表に付き添いとして来られたのだ。
「またお会い出来て光栄です。
ボルタ・リエーヌさん、フランソワ・ブルボンさん。」
私が、やや緊張して挨拶した。
「こちらこそ、またお会い出来て光栄です。
皆様の中佐へのご昇進、誠におめでとうございます。」
ボルタ・リエーヌ氏も挨拶を返した。
「皆様のご婚約、おめでとうございます。
また、先月の地中海大海戦、本当にご活躍されて、我々が勤務する都市を含めて守って頂き、有難うございます。」
フランソワ・ブルボン女史も丁重に挨拶した。
「現在のフランスの状況はどうでしょうか?」
私が尋ねる前に、ミスティが率直に尋ねた。
「本当に、バラバラです。
政党の各会派は勝手な扇動的な言動をして国民を更なる混乱を招いています。
私自身、先月の地中海大海戦と、その後の政府やフランス軍の無知無能さを目の当たりにするまで、我がフランスがここまで堕落して腐っていたとは知りませんでした。
以前から、何とか改善しなければ、とは思っていたのですが、我が国の政府や社会の現状では、とても自己改革は不可能です。
フランスやヴェルダ王朝がバイオテクノロジーの大成果による巨大怪獣や大型人造人間を大量量産した金や力を、どうしてもっと建設的な方向に回せなかったのでしょうか?
お陰で、我がフランスは、ヴェルダ王朝政権同様に政権が崩壊し、巨大怪獣や大型人造人間の暴走による深刻な被害も受け、ゼロからの立て直しを強いられています。
もう情けない、としか言えません。
今はまるで、フランス革命の前夜のような状態です。」
ボルタ・リエーヌ氏が、もう泣き出しそうな顔で言った。
「フランス政府は、日本連邦などから経済援助や技術援助をしてくれるように要請していますね。」
私の父、田中隆男大臣は言った。
「しかし、経済援助を行っても、一時は危機を打開してしのげますが、自己改革を進めないとね。
ヨーロッパでは、21世紀に大問題になったギリシャやスペインなどのEURO通貨危機や経済社会危機を招いた実例もあります。
歴史が証明していますが、長年の経済援助を受けてきた国だけが通貨危機や経済危機を招いたのです。」
さすがは私の父親、はっきりと言いにくいことも言う。
関心、関心。
「それは分かっています。
しかし、何とかしなければ・・・。」
フランソワ・ブルボン女史も、悲痛な声で言った。
「援助を申請する前に、私の父などへの謝罪もするのね!!」
アンジュリーゼが、ここぞとばかりに婚約者のタスクと一緒に来て、発言した。
「私の父、ジュライはもともと、フランスの現状を憂いて旧ミスルギ皇国を建国したのよ!!
このような状況でも、まだ分からないのね。
あなた方の最大の問題は、その自己中心主義にあることをね!!」
アンジュリーゼは、実にきつい目付きで、ガンガン言いまくった。
「ほう、痛姫様も言うじゃないか。」
アルベルトが言った。
「確かに、フランスは、「西洋の中華思想」を持っています。
フランス革命の申し子であるナポレオンが活躍したので、その想いが強くなったのも事実ですが、22世紀のフランスには、ナポレオンの後継者がおりません。
政治の腐敗と指導力の不足。
一言で言えば、これが現在のフランスの危機を招きました。」
「フランスやヴェルダ王朝が破綻した理由は、それだけではないでしょう。」
ヒルダが言った。
「ヴェルダ王朝などマナを使用した市民の堕落や、マナのシステムを高額で販売して荒稼ぎをしたフランス。
当然、利権に群がった連中は、腐敗して地下経済を作るわね。
まるで旧ソ連が崩壊した直後のロシアのように。
そして、いつの間にか地下経済が実体経済を握り支配、脱税は当たり前の、21世紀に財政破綻したギリシャのようになってしまったのよ。」
「フランスを再生させるには、まず、地下経済の壊滅や政府や行政の腐敗一掃が先決でしょう。」
私が、これまでの発言をまとめる形で言った。
「そして、旧ミスルギ皇国や我が国に対する攻撃への反省と謝罪、事実関係を全て明らかにすることです。
そうすれば、ゼロからの出発でも、前進と発展繁栄への道が拓けます。」
「全ての政策には、愛の心が必要ですわ。」
ミスティが言った。
「不正蓄財や資金洗浄、脱税などの摘発を進めて、国庫の救済を進めることが先決です。
国民への負担増加や外国からの援助に頼ると、今度こそフランスは、国家ごと崩壊しますよ!!」
「実に正当なご意見の数々だ。」
阿倍野真三大統領が言った。
私達は、あわてて敬礼した。
「フランスの暫定政権のクレゴール大統領やジュール外相とも会談した。
皆さんと同じ指摘をしたところ、現政権は誠実に対応する、と返事したのだ。
だから、ある程度の援助をする事に決定した。
金額は、第1段階の人道援助で1兆円、円借款で2兆円、総額で3兆円になる。
だから、ボルタ・リエーヌさん、フランソワ・ブルボンさん、安心して下さい。」
「国防関係もしっかり援助するからね。」
佐藤大助司令も、彼らを励ました。
「はい、有難うございます。
フランス国民は、このご恩を忘れないでしょう。」
ボルタ・リエーヌ氏と、フランソワ・ブルボン女史は、泣いて感謝した。
2118年9月30日で、私達4人を含む同期生などは、「幹部学校ジャノヴァ分校」の1期生として卒業した。
指揮幕僚課程を履修後、その後幹部高級課程、技術高級課程を履修した。
そして、全員が卒業時にまた1階級昇進したので、「黄金のタッグチーム」の私達4人ら宇宙医科大学校の同期生は全員、大佐になった。
2118年10月、モモコ連邦で、ジュライ大統領が再選された。
この成果を手土産に、ジュライ大統領は、フランスとの再統合をフランス政府に公式に打診したが、あまり良い前向きな返事を得ることが出来なかった。
事実として、フランスは、外交で成果を挙げるほどの体力すら、残っていなかったのだ。
更に、ガリア帝国とマーメリア共和国では、かつてのミスルギ皇国のように、経済や社会が破綻寸前のところまで進んでいた。
冬に大寒波が訪れ、防寒用のガスヒーターの燃料にも事欠く有様。
さすがに、日本連邦などでも人道援助などを進めたが、飢餓状態の国や地域同様に、政府や行政が腐敗していれば、社会も腐敗している影響で、十分な援助が一般市民には届かなかった。
大動乱、大戦争への道を、世界はひた走っていたのだ。
今回は婚約発表した「黄金のタッグチーム」らの大成功と、幹部学校への入学と卒業を描きました。
婚約の正式発表で私達4人を含めて、宇宙医科大学校の同期生らは、どのように今後発展していくのか??
大動乱、大戦争への道を、世界はひた走る中、今後の情勢の変化は??
私達に益々大きな発展と大波乱の予感です。
フランスは、日本を含めた世界はどうなるの??
私達に対する期待も膨らむ中、今後、何を求められ、成果を挙げるのか??
次回をお楽しみに。