クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~愛するミスティ・ローゼンブルムと共に~   作:田中_jack

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 クロスアンジュの再放送開始、そしてヴィルキスの変形が可能な模型やゲームも販売決定、着々とサンライズ殿は実績を挙げています。
こちらも頑張らなければ。

フランス革命から330周年記念日の2119年7月14日、2ヶ月前に政権内クーデターで実権を握ったフランス大統領の愚策と愚考により、ついに第二次フランス革命が勃発しました。

その対応として、「黄金のタッグチーム」の私達4人は、佐藤大助日本連邦軍統合最高司令官より演説やTV出演などで革命を沈静化させる命令を受け、フランスの首都パリに乗り込み、沈静化に成功します。

今回は、そのような中で、第二次フランス革命を沈静化させた私達4人を含めた活躍を描きます。
既に第二次フランス革命により、軍事バランスや国際情勢が崩れ、変化する、更なる動きが始まっていた中で、どんな波乱や成果など、劇的な運命が待ち受けているのでしょうか??



第42話 マーメイア共和国動乱

 

 2119年7月21日。

7月14日にフランスで発生した「第二次フランス革命」の勃発からわずか2日で沈静化したため、「黄金のタッグチーム」の私達4人を含む日本連邦や英国軍などの全軍はこの日、革命勃発から1週間で撤収した。

 

同日、日本連邦政府は英国政府、フランス政府と共に共同声明を発表し、パリ解放への作戦「シャンゼリゼ作戦」の終了を宣言すると共に、過去のマナ使用やそのシステムに関する全ての疑惑などの徹底捜査や徹底検証を共同で開始し、定期的にその結果を公表すること、フランスの経済対策で一番問題になっている通貨問題を解決するため、現状ではハイパーインフレで事実上使用出来ないフランスフランを停止、円を臨時に使用することを確認した。

 

同日、午後6時。

ジェノヴァの宇宙医科大学校付属病院の隣にある、日本連邦宇宙軍欧州司令部にて、1本のTV電話が、「黄金のタッグチーム」の私達4人宛てに、東京の国防総省より、また掛かってきた。

 

「こちら、日本連邦軍統合最高司令官の佐藤大助です。

フランスでの活躍、本当に見事だったよ。

お疲れのところだろうが、元気かね??」

佐藤大助日本連邦軍統合最高司令官は、いつものように、にこやかに言った。

 

「はい、こちらも無事帰還して書類や経理の処理をしておりますが、私達4人を含めて、皆、元気です。

佐藤大助日本連邦軍統合最高司令官、シャンゼリゼ作戦の無事成功をお祝い申し上げます。」

私が、代表して返事した。

 

「まあ、フランスやヴェルダ連邦(旧ヴェルダ王朝)が敵対しなくなっただけでも、大助かりだよ。」

佐藤大助日本連邦軍統合最高司令官は、ほっとした表情で言った。

 

「しかしねえ、予測した通り、また北欧や東欧が騒がしくなってきたよ。

マーメイア共和国やポーランド、ガリア帝国などが騒ぎ出して、お互いに昔の大帝国の夢よ、もう一度、と政府首脳が声高に叫んでいる。

 

デンマークやノルウェーが文字通り戦々恐々の状態だ。

我が日本連邦やエンデラント連合、チェコ・オーストリア連邦、モモコ連邦、英国は既に覚悟を決めているのだけれどもね。

アルゼンチンなど、反米反英国家や地域の動きも活発化している。

世界中、要注意だ。

 

もっとも、異星や平行世界では、友好星や同盟星、ドラゴンの世界などのご支援、ご協力のお陰で、そちらの方は大丈夫だ。

これも、君達の日本連邦軍タスクフォースの華々しい活躍を、異星や平行世界などでも高く評価して頂いたからなのだがね。

 

既に、ノルウェーには、ノルウェー政府からの要請で欧州に展開している地域統合軍より、海兵隊1個軍、36万人を首都オスロ周辺に展開、1個師団が常に戦闘態勢を維持して警戒中だ。

また、ノルウェーやデンマーク、そしてマーメイア共和国、ポーランド、ガリア帝国との国境付近やその周辺では、日本連邦軍などをふくめて同盟国や友好国の軍隊なども警戒を強化している。」

 

「デンマーク政府は、日本連邦などへの派兵要請はしていないのですか?」

シルヴィオ・ベルルスコーニ3大元帥が尋ねた。

 

「それがね、表向きには派兵要請はないが、非公式に派兵要請が政府首脳には届いているようなのだ。それでも、首都コペンハーゲンの防衛はかなり難しいがね。

更に厄介なのは、北欧のマーメイア共和国の中心国家はスウェーデンであり、その王家はフランスのベルナドット将軍の家系であることだよ。

フランスが絡むと、いろいろ厄介だ。」

本当に、フランスが絡むと厄介なのは、私も身を以て知っている。

 

 

「実は、君達の隣にいる幹部学校ジェノヴァ分校校長、シルヴィオ・ベルルスコーニ3大元帥と、宇宙医科大学校の校長、ウラジミール・ロンメル2大元帥にもお聞き頂きたいのだが、デンマークをどうやって防衛しようか??

 

かつての冷戦時代の発想だけでは不十分なのは分かっている。

しかし、マーメイア共和国が単独で動くとは考えにくい。

ハンガリー、スロバキア、ウクライナを領有しているガリア帝国が、マーメイア共和国と連動して動くなら、一気に大動乱、大戦争だ。」

 

「フランス救国会議のメンバー、ボルタ・リエーヌ氏と、その恋人で婚約者のフランソワ・ブルボン女史をマーメイア共和国に派遣してはどうでしょうか??

フランスとは、腐れ縁があるようですから。」

シルヴィオ・ベルルスコーニ3大元帥が提案した。

 

「なるほど、彼らにも貸しがある。

こちらも連絡を取ってすぐに彼らと交渉してみよう。」

 

「マーメイア共和国の軍や情報機関などの裏ルートで連絡は取れないのですか??」

ウラジミール・ロンメル2大元帥は尋ねた。

 

「連絡は取れている。

日本連邦の軍や情報機関が、外務省と共に接触を続けているが、マーメイア共和国の軍も情報機関も、政府の方針があちこち飛ぶようでは、適当な落とし所を探すことすら難しい旨の返答をしてきている。

軍や警察などは、最早政府首脳の言うことを信用出来ないと、不満が限界に達しているようだ。

まったく、もう、いらいらする状況だ。」

佐藤大助日本連邦軍統合最高司令官にしては珍しく、あせりを感じさせる返答だった。

 

 

「軍事的には、マーメイア共和国の首都、ストックホルムの攻略は比較的短期間で可能です。

ノルウェーからの地上侵攻や空挺侵攻、海上からの揚陸作戦が主力になるでしょう。」

ウラジミール・ロンメル2大元帥は、電撃作戦を得意とするロンメル家出身の将軍らしく、熱く語った。

 

「問題は、ノルウェーやデンマーク、そしてマーメイア共和国、ポーランド、ガリア帝国の、それぞれの思惑が違った方向に動く時、だ。

我が国の安全保障に直接関わるのだから、最悪中の最悪、彼らが秘密同盟を結んでいることを前提に考えなければならない。」

シルヴィオ・ベルルスコーニ3大元帥が、厳しく言った。

やっぱりイタリア人、欧州の列強に翻弄されてきたイタリアの歴史を直視した視点は鋭い。

 

「日本連邦の飛び地カリーニングラード、旧ソ連時代の遺構のような飛び地ではありますが、ここの防衛を考えるのであれば、マーメイア共和国への対応を優先させるべきであるかと、本職は愚考します。」

私が、提案した。

 

「現状では、ノルウェーは日本連邦に派兵を要請しています。

また、デンマークは独力で国土を防衛出来ず、我が国や、ドイツなどを含むエンデラント連合に支援を求めてくるでしょう。

ポーランドの大国構想に一番邪魔なのは、ハンガリー、スロバキア、ウクライナを領有しているガリア帝国です。

 

また、マーメイア共和国内でも、バルト三国やフィンランドでは、首都ストックホルムのあるスウェーデンとは歴史的な対立もあります。

ですから、マーメイア共和国は外交などでの攻勢をかけるのが、最善かと。」

私はこの案に、やる気満々だったが、私の側にいた他の3人、ミスティ、アルベルト、ヒルダは、困った顔になっていた。

確かに、フランスとは違う地域だからな。

 

 

「うーん、指摘の通り、北欧や東欧には多くの不確定要因や歴史的な問題、不安要因もあるね。

こちらでも幹部学校などを交えて図上演習やシミュレーション中だ。

 

ところで、志木田茂雄外務大臣が、大統領府の主席担当大臣でもある田中隆男大臣と共に欧州を歴訪する。

あさっての23日にはフランス、24日には英国、25日にはエンデラント連合、26日にはデンマーク、27日にはノルウェー、28日から3日間、マーメイア共和国の首都、ストックホルム、そして31日には、日本連邦へ代表権付きの完全加入に向けて、引き続き協議を進めているチェコ・オーストリア連邦の首都ウィーンを訪問する。

 

ジェノヴァには翌日の22日に立ち寄り、8月1日にはジェノヴァに戻る予定だ。

君達も、大臣の欧州歴訪の旅に、帰国されるまで同行して欲しい。

もちろん、パリに派遣された時と同様に、警備や医療の名目で宇宙医科大学校の同期生や特殊機動部隊もね。

軍のタスクフォースの指揮権限も、引き続きシルヴィオ・ベルルスコーニ3大元帥がお持ち頂きたい。

連中が何かやらかすのは確実なのでね。」

私は、この欧州歴訪は、非常に裏のある訪問になる、と感づいていた。

私の父の田中隆男大臣が外遊する時は、重大な内容があり、大統領の代行として動く時なのだから。

 

 

 

 7月22日。

ジェノヴァに到着した志木田茂雄外務大臣と、私の父の田中隆男大臣、ローゼンブルム王国国王夫妻、ローゼンブルム王国首相夫妻らを交えて、王宮にて私達は「会談」した。

志木田茂雄外務大臣からは、「第二次フランス革命をあっという間に沈静化させてくれて、本当にありがとう。

もう、この大功績のお陰で、私を含めた日本連邦政府の立場と評価がどんなに高くなったか。

関係者全員の秋の園遊会の出席や叙勲も決定したから、楽しみにしていて下さい。」

と、大絶賛のお褒めを頂いた。

 

 

 翌日の7月23日。

フランスの首都パリにて、シャルル大統領、ドロール外相との会談に臨んだ。

ここからは、同行する私達を含めた宇宙医科大学校や「特殊機動部隊」など、宇宙軍と空軍を中心に移動した。

当然、ラグナメイルやその支援航空機なども一緒だ。

我が一行はパリ市民などの大歓迎を受けて、こちらも本当に感激した。

 

会談で出た主な議題は、やはり、フランス政府の一番の悩み事である経済産業分野と社会の再建についてであった。

志木田茂雄外務大臣と田中隆男大臣は、フランス政府に対して、愚かな前政権が円借款などを反古にした際に取り立てた、総額3兆円+制裁利子30兆円分を、「気前良く」フランス政府に返還の形で援助することを示し、大感謝された。

また、日本連邦軍とフランス軍との合同演習や、周辺諸国との共同作戦演習などの実施も決定された。

フランスは、あの革命動乱の際とは打って変わって、本来のフランス文化やフランス本来の良い気質を取り戻そうと頑張っている姿に、大きく関わった者の一人として、感動を覚えた。

 

 

7月24日。

英国の首都、ロンドンを訪問した。

英国とは、個人的にも国家としても、パリの防衛、そして第二次フランス革命の沈静化に関して共同作戦で共に戦い、仕事をしてきた国である。

また、私の親族で英国王室に縁のあるハート家は、英国の出身である。

本当に縁のある国だ。

 

2110年11月14日のパリ攻防戦で共に戦った、英国の日英連合部隊の司令官、リデル・ロンドン元大将が、今年7月の第二次フランス革命の人道支援などにも、英国軍最高司令官の三大元帥として総指揮を取られた。

 

今回の機会にと、リデル・ロンドン英国軍最高司令官を表敬訪問させて頂いた。

リデル・ロンドン英国軍最高司令官は、非常に喜ばれ、特に「黄金のタッグチーム」である私達4人などの戦歴などの活躍や、第二次フランス革命を沈静化させた演説、地道な広報宣伝活動などに深く感銘した、とのお話を頂いた。

 

また、英国王室より一行が表敬を頂き、本当に感激した。

特に、「黄金のタッグチーム」である私達4人などには、結婚や婚約をお祝いする旨のメッセージや、王室に少しでもご縁のある方や、大きな功績のある方には家紋ののれん分けや貴族に取り立てますよ、などのご勧誘も頂いた。

ローゼンブルム王室と、考えもやり方も同じだなあ。

 

 

 7月25日。

エンデラント連合の首都ベルリンを訪問し、エンデラント連合のアーセナル・シュワルツネッガー大統領と、その妻で首相を兼任するリィザ・ランドック外務大臣らと会談した。

 

その席で、アーセナル・シュワルツネッガー大統領より、近々、国名を「ドイツ連邦共和国」に変更することを検討中であり、今年か来年には、国民投票や国会決議を経て変更することを明らかにした。

また、デンマークやノルウェーの支援も、軍事的支援を含めて行うことを約束した。

 

現在、アーセナル・シュワルツネッガー政権は2期目であり、3期目を検討中、との事であった。

大統領ご夫妻も仲が良いなあ。

もう、子供が4人もいるのだ。

タスクやアンジュリーゼですらも、羨ましがっていた。

 

 

 7月26日。

デンマークの首都コペンハーゲンを訪問し、デンマーク国王夫妻、デンマーク首相、エンデラント連合のリィザ・ランドック外務大臣らも同席して会談した。

デンマークの首相や外相は、正式に日本連邦やエンデラント連合に派兵を要請し、日本連邦側、エンデラント連合側も了承した。

また、デンマーク政府は日本連邦並びにエンデラント国籍の航空機や船舶、軍隊や警察などの政府の組織や車両等が、バルト海と北海とを結ぶ海峡やデンマークの領土、領空、領海の自由通過、そして飛行場や港湾、軍事施設の使用、補給・整備行為とその支援を認めることを表明した。

これらは格別の優遇処置であることは間違いな

 

更に、万一の場合には、ジェノヴァにデンマーク亡命政府を設立することも決定された。

これで、デンマーク防衛は文字通り「鉄壁の体制」が整った。

 

デンマークは、世界的なバラのブランドなど、農林水産業に力を入れている。

ミスティにとっても、デンマーク産のバラはお気に入りの一つだ。

何としても、守らなければ。

 

ここで、妙な情報を入手した。

エンデラント政府、並びにデンマーク政府の情報から、マーメイア共和国の書記長が密かにポーランド、ガリア帝国と同盟を結んでいる、というのだ。

なんでも、経済連携協定の秘密議定書に書かれていた、というのだ。

そして、軍や情報機関、警察などと政府首脳が、その秘密同盟を巡って厳しく対立している、との事である。

 

我が日本連邦でも、その手の情報は入手していた。

しかし、マーメイア共和国の軍や情報機関はその秘密同盟には反対していることも掴んでいた。

そこで、今回、マーメイア共和国を訪問する日程を組んだのだが、下手をすると、志木田茂雄外務大臣や田中隆男大臣らにも危険が及ぶ可能性がある。

 

そこで、日本連邦政府や日本連邦軍最高司令官の佐藤大介最高司令と改めて協議し、未だに日本連邦軍の「機動集団の枠」であるタスクフォース500万人の指揮権のある、シルヴィオ・ベルルスコーニ3大元帥から、それらの部隊をデンマーク、ノルウェー、エンデラント連合に移動する命令を出して頂いた。

また、ヨーロッパロシア側の兵力の警戒体制や即応体制も強化、緊急展開部隊を中心にした即応部隊をカリーニングラード、サンクトペテルブルグ、そしてムルマンスクとその周辺に集結させた。

また、一部部隊はアジア太平洋地域から派遣することも決定され、即刻実施された。

これで、不測の事態でも、ある程度は対応出来るだろう。

 

 

 7月27日。

ノルウェーの首都オスロを訪れ、ノルウェー国王夫妻や首相夫妻、外相らと会談した。

ノルウェーは男性のみに徴兵制が敷かれていたが、女性にも2015年より徴兵制が敷かれている。

そして、その特殊な歴史や旺盛な男女平等の精神が、個室や兵舎の管理まで行き届いているので、我が国の日本連邦軍、特に宇宙軍や空軍ではノルウェー軍の考え方をかなり取り入れており、人的交流や教育の分野で関係が深い。

 

デンマーク政府の派兵要請や破格の支援優遇にノルウェー政府も本当に驚いたのであろう、現状の日本連邦政府に対する軍事協力を更に進め、デンマーク同様の支援を表明した。

ノルウェーには、既にオスロには海軍の防備隊など小規模の部隊は駐留しているが、現在は海兵隊1個軍が戦闘部隊として駐留し、各軍種の機動戦略指揮司令部も設置されている。

今後、更に強化されていくだろう。

 

 

 

 7月28日。

私達は、午前9時にオスロを発ち、政府専用機を使用しつつ、オスロからマーメイア共和国の首都ストックホルムに向かっていた。

その時、突然SAM(地対空ミサイル)とAAM(空対空ミサイル)の警報が鳴った!!

ちょうと、ノルウェーとの国境を越えようとしている直前だった。

 

政府専用機は回避行動、ECM、ECCM、そして迎撃ミサイル等を発射した。

 

護衛の戦闘機など、特に「空中空母」とも呼ばれた日本の哨戒機P―2119型、新型戦闘機FSX-2119型などが対空ミサイルやEMPパルス、迎撃レーザー砲、レールガンなどの兵器を使用、敵に向けて発射した。

 

私達は、改良に改良、新型配備を重ねたラグナメイルを呼び出し、複数のラグナメイルを無人操作と自律戦闘モード、自分自身の操縦するラグナメイルは政府専用機の護衛と敵の迎撃を指示、空間ジャンプさえお手の物の彼らも、大活躍した。

 

敵の航空機は全て撃墜され、パイロットは捕獲、拘束された。

また、無人機は、ラグナメイルの「冷凍処理」攻撃の上、物的証拠として捕獲された。

更に、遠隔操作の電波を送受信していた基地や衛星などは、宇宙軍や空軍などが「捕獲」や「破壊」を行った。

SAMを発射した基地や車両も、捕獲され、無力化された。

それらの攻撃は、マーメイア共和国、ポーランド、ガリア帝国からの攻撃だった。

但し、マーメイア共和国からと見られるものは、偵察用の無人機、それも、民間仕様の非武装無人機だけだった。

何か、おかしい。

 

「ハロー、日本連邦軍の皆さん、聞こえますか??」

交信で決められた国際周波数の無線で連絡があった。

 

「こちら、日本連邦軍宇宙軍。そちらの所属を問いたい。」

私が、無線で応答した。

 

「こちら、マーメイア共和国宇宙軍、グスタフ・アドルフ大佐だ。

我が軍は宇宙軍設立から日が浅くてね、今まで伝統ある日本連邦宇宙軍にご挨拶も出来なくて恐縮だ。」

グスタフ・アドルフ大佐??

聞いたことがある人の名前だ。

 

「こちら、日本連邦軍宇宙軍、リデル・田中大佐だ。

ご連絡が出来て本当に嬉しく思う。

このような戦闘状況下でなければ、もっと良かった。

ところで、こちらのレーダーでの情報では、マーメイア共和国宇宙軍の航空機や宇宙往復機がこちらに向けて飛行しているようだが、君達は我々にとって天使なのか、それとも死神なのか??」

私も一応は大佐だからな、堂々としていなければ。

 

「おおー、あのリデル・田中大佐か。

巡り会えて嬉しいね。

私達は、君達にとっては、天使だろうよ。

君達が良ければ、これからマーメイア共和国の首脳部、君達を攻撃したSAMや対弾道弾迎撃ミサイル基地などを攻撃する。」

グスタフ・アドルフ大佐が、提案した。

 

「実績と結果で証明して下さい。」

私は一言で答えた。

敵がうようよしている空域だ、これしか返答出来ない。

迷っている暇などは、空中戦や宇宙空間戦ではない!!

 

「ふふふ、わかった。

これから、実績と結果で証明して見せよう!!

お互いの作戦が成功したら、また会おう。」

グスタフ・アドルフ大佐が返答し、マーメイア共和国の首脳部、君達を攻撃したSAMや対弾道弾迎撃ミサイル基地などに対して攻撃を開始した。

レーダー等からの情報では、彼らは各種巡航ミサイルやJDAMなどを大量に使用しているようだ。

攻撃目標は、マーメイア共和国の首脳部の建物や非常脱出施設、ポーランドやガリア帝国のSAMや対弾道弾迎撃ミサイル基地、航空基地、長距離ミサイル発射基地などだ。

 

 

我々、マーメイア共和国の訪問団一行に対する対弾道弾迎撃ミサイルすら使用した攻撃は、明らかに宣戦布告同様のものだった。

日本連邦軍の「機動集団の枠」であるタスクフォース500万人やヨーロッパロシア駐留の部隊など、日本連邦軍もこの攻撃を受けて、即刻動き出した。

ポーランドやガリア帝国のSAMや対弾道弾迎撃ミサイル基地、航空基地、長距離ミサイル発射基地などに、陸海空、海兵隊、宇宙軍、統合軍の攻撃が開始された。

 

状況が状況なので、民間人への被害を抑制するために各種長距離砲や対地精密誘導兵器による攻撃がほとんどだったが、それでも激しい攻撃と打撃を与えた。

勿論、マーメイア共和国宇宙軍、グスタフ・アドルフ大佐の宇宙航空部隊は敵ではないことと、マーメイア共和国政府首脳部への打倒の動きが激しくなっているので、マーメイア共和国への攻撃は自粛していた。

 

 

政府専用機や私達の護衛戦闘機などは、午前10時過ぎ、予定を変更してフランスのパリ郊外の空港に緊急着陸した。

そこで、政府要人などは宇宙軍の宇宙往復機に乗り換え、補給や整備を受けた上で、改めて次の訪問地であるウィーンに向かった。

 

もう、こうなったら、外交ですら命がけ、一戦覚悟である。

特攻でも刺し違えでも、何でもしてやる!!

 

午前11時にチェコ・オーストリア連邦の首都ウィーンに到着後、円鰤夫ことエンブリヲ・フォン・フリードリッヒ首相氏とその妻である、マリアーノ・フリードリッヒ(旧姓アントワネット)広報大臣らが出迎えて頂いた。

 

「本当に、この度は大変でしたね。」

エンブリヲ・フォン・フリードリッヒ首相が、我々一行を出迎え、労ってくれた。

 

「我がチェコ、オーストリア連邦域内でも、既に臨戦態勢です。

何時でもポーランドやガリア帝国に対して戦端を開く覚悟です。

ご安心して下さい。」

 

「今回のマーメイア共和国、ポーランド、ガリア帝国の暴挙、徹底的に広報して叩きますわ。

その絶大な効果を見ていて下さい。」

マリアーノ・フリードリッヒ(旧姓アントワネット)広報大臣が、徹底的な広報活動を約束して頂いた。

 

「我が国、私達への心からのご心配、有難うございます。

ただ、マーメイア共和国への批判は、現書記長とその取り巻など、現政権だけにして下さい。

現在、政権打倒の動きが強まっていますので。」

志木田茂雄外務大臣が感謝しつつ、注文した。

 

そして、日本連邦政府の政府広報などに携わる、有名プロデューサーのケマル・縁部理桜(えんぶりお)氏などと共に、全世界、いや、平行宇宙や平行世界と共に、マーメイア共和国、ポーランド、ガリア帝国の暴挙を、「宇宙規模での発信」を、到着直後から開始した。

 

その上で、嫌みを兼ねて志木田茂雄外務大臣が、マーメイア共和国の元首である書記長に電話をして、

「ご招待された貴国に向かう途中、攻撃を受けましたので到着が何時になるのか、現時点では見通しが立っていない状態です。

ストックホルムまでの交通路が安全になるのは何時頃でしょうか??」

と言ったのだ。

いやー、すごい嫌み攻撃です。

 

これに対して、マーメイア共和国の元首である書記長は、

「・・・・。

何時でも大丈夫です。」

と、ドアホな答えをしてしまった。

元々おかしな頭が、ついに狂ったか!!

 

「それでは、何時でもそちらに行けるのでしょうか??

私を含む訪問団一行は、たった2時間前に攻撃されたのですよ、貴国とその同盟国からね!!

もし安全ならば、それを証明するためにも、そちらからすぐにウィーンに来て下さいよ!!」

志木田茂雄外務大臣も、きつい言葉を言いまくった。

 

「・・・・。

何時でも大丈夫です。

すぐにでも。」

この人、自国の立場や攻撃した自覚すらないのね。

認知症が進んだのか??

 

 

志木田茂雄外務大臣とマーメイア共和国の元首である書記長との電話のやり取りを含めて、エンブリヲ・フォン・フリードリッヒ首相と、その妻マリアーノ・フリードリッヒらは、有名プロデューサーのケマル・縁部理桜(えんぶりお)氏などと連携し、全世界、いや、平行宇宙や平行世界と共に、マーメイア共和国、ポーランド、ガリア帝国の暴挙を、徹底的に「宇宙規模での発信」を行い続けた。

その効果は、否応なしに絶大なものだった。

さすがは、ケマル・縁部理桜氏の盟友、円鰤夫(エンブリヲ)氏である。

マーメイア共和国、ポーランド、ガリア帝国国内ですらも、これらの事実を隠し切れなくなってしまった。

 

 

「もう、政府首脳の無知無能ぶりにはついて行けない!!

我が国、私達の明日の為には、今、ここで決起するしかない!!

皆、団結して頑張ろう!!」

 

ついに、この日の7月28日、グスタフ・アドルフ大佐らの部隊が首脳部の施設などを攻撃したことをきっかけに、マーメイア共和国の改革派の政治家や市民、若者、軍や政府、警察までもがマーメイア共和国の政府首脳に離反を始めた。

マーメイア動乱の始まりだった。

 

それは正に、330年前のフランス革命のような、武装蜂起そのものである!!

ほとんどの軍、警察、政府機関や行政機関、一般の市民らが街頭に繰り出し、武装行進して政府首脳の区域など重要施設や重要地域を制圧、占領したのだ。

抵抗したのは、ポーランドやガリア帝国から派遣された少数の部隊だけだった。

その日の夕方までには書記長ら首脳部が逮捕され、政権の座から引き摺り下ろされた上で、軍事法廷で起訴され、裁判が開始された。

 

日本連邦政府は、マーメイア共和国の軍、情報機関、警察、政府機関などと連絡を取り合いつつ、邦人救出の名目でマーメイア共和国に、ささやかな「進駐」「部隊展開」を開始した。

 

 

7月28日夜、午後7時。

マーメイア共和国では、軍が臨時政府の設立と、日本連邦軍の進駐と支援を発表した。

 

 7月29日。

エンデラント連合のアーセナル・シュワルツネッガー大統領が、早朝の5時に声明を発表し、

「我が国の東部国境は、オーデル・ナイセ線であることを、この発表の時を以て、放棄する。

ポーランドは、我が国の領土を全て返還せよ!!」

と強烈なメッセージを発信した。

 

 我々は、ウィーンにて臨戦態勢の下、外交日程をこなしつつ、マーメイア共和国の新政権に対して訪問する時期などを探っていた。

これには、フランス救国会議のメンバー、ボルタ・リエーヌ氏と、その恋人で婚約者のフランソワ・ブルボン女史も関わってくれていた。

本当に、大助かりだ。

 

また、この日の午前11時、ポーランドやガリア帝国から停戦の申し入れがあった。

停戦、と言っても、交戦は最初の2時間程度で、後は我が方の一方的な攻撃だけ、それも相当手加減した攻撃だけではあったのだが。

彼らも、このままでは領土すら失いかねない状況に、ようやく気付いたのだろうか??

 

午後0時をもって、停戦となった。

 

7月30日。

ウィーンにて、正式に停戦協定が発効した。

停戦発効後、我々、マーメイア共和国の訪問団一行は、改めてマーメイア共和国を訪問、

首都ストックホルムに到着した。

 

到着後、直ちにマーメイア共和国宇宙軍のグスタフ・アドルフ大佐ら軍幹部、軍が主導した臨時政府の首脳らと会談、日本連邦政府が支援や援助を約束した。

この会談で初めてお会いしたグスタフ・アドルフ大佐は、何とスウェーデン王家の方であることを知った。

「類は友を呼ぶ」とは、この事だ。

 

マーメイア共和国臨時政府は、日本連邦の政治体制に倣って連邦化することを明らかにした上で、書記長を元首にするのではなく、連邦大統領を元首にすることを決定した。

その上で、王家は存続させることも、併せて決定した。

 

 7月31日。

我々はスウェーデン王室主催の昼食会に出席した。

もちろん、グスタフ・アドルフ大佐とその夫人も出席した。

特に、ミスティやアンジュ、モモカ、サラ、アレクトラ、水瀬伊織はスウェーデンでも、もてた。

うーん、王家やその血筋系などとは、こういうものなのか??

 

そして、ついでにと、ケマル・縁部理桜氏が、何とスウェーデン王室を交えた撮影会を同時に行ったのだ!!

スウェーデン王室は美人揃いだから、と行動したこのお方は考えることが非凡過ぎる。

 

 

 8月1日。

ようやく帰国、ジェノヴァに生きて戻ることが出来た。

別れ際に、志木田茂雄外務大臣が、私達にこう言った。

「外交も、君達が戦闘やその訓練、戦略を練ることで苦労しているのと同様に、戦いなのだよ。」、と。

全く、その通りだ。

今回の外遊で、心の底から本当に理解出来た。

 




 今回は、北欧の歴史などを綿密に調べ、考え抜いた上で、ストーリーを描きました。
婚約発表した「黄金のタッグチーム」らの、マーメイア共和国を巡る、更なる大成功になり、ほっと、一息です。
地中海沿岸とはまた違った意味で、北欧は難しい地域なのですね。

私達4人を含めて宇宙医科大学校の同期生らは、どのように今後発展していくのか??

ガリア帝国やポーランドなどを含めて、大動乱、大戦争への道を、世界はひた走る中、今後の情勢の変化は??

日本を含めた世界はどうなるの??
私達に対する期待も膨らむ中、今後、何を求められ、成果を挙げるのか??

次回をお楽しみに。
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