クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~愛するミスティ・ローゼンブルムと共に~ 作:田中_jack
しかし、ここ近年のドイツの強大化と、ギリシャの財政破綻などを見ると、EU、ユーロの弱体化などは、「中欧連邦構想」の原点に立ち返れ、と天が言っていることの現れなのでしょうか??
物語は2120年、主人公らは20歳を迎え、大きな転機を迎えました。
「黄金のタッグチーム」の私達4人にとって、将軍になった私達に、「常勝将軍」「暴れん坊将軍」の如く、またもやの大勝利。
4月1日付けで大将に昇進。
そして、4月2日に、ローゼンブルム王国国王が、私達の弟や妹などの婚約を電撃発表しました。
またもや大波乱の中、新たなる任務を命じられ、記者会見した私達。
このままで済むはずがありません。
案の定、お忍びでジェノヴァを訪れたアーノルド英国皇太子と、その婚約者で私のいとこに当たる、キャサリン・ハートさんを狙ったテロが、なんとスペイン王室王子と、その一行60人の犯行で行われたのです。
私達や日本連邦軍、警察などは反撃、英国皇太子らを守り抜いたのでした。
そして、中欧連邦構想が現実味を帯びてきました。
ここ数日で変化する、私達とその周囲の劇的な環境変化。
これからどんな劇的な運命が待ち受けているのでしょうか??
2120年4月10日、午前10時。
エンデラント連合のアーセナル・シュワルツネッガー大統領と、彼の妻で首相兼外相のリィザ・シュワルツネッガー(旧姓ランドック)がジェノヴァを訪問した。
ローゼンブルム迎賓館にて、私の父である田中隆男大統領府主席大臣と母である田中真利愛、エマニエル・ローゼンブルム国王とグレース王妃、志木田茂雄外務大臣夫妻と、中谷元雄国防総省大臣夫妻、そして我々らも参加して、会談が開かれた。
・・・・・・・と言いたかったのだが、思わぬサプライズ出席が頻発したのだ。
まず、日本連邦の阿倍野真三大統領が、
「是非、この機会にアーセナル・シュワルツネッガー大統領と、中欧連邦構想について徹底的に議論して、方針を確定したい」
との強い方針で、強引に他の予定を切り上げて4月10日の朝5時に、あけみ夫人を伴ってジェノヴァに到着、そしてローゼンブルム王宮にて国王夫妻や私の父である田中隆男大統領府主席大臣と母である田中真利愛などの会議の出席者らと朝食を共にしたのだ。
次に、この会談に負けるものか、と、モモコ連邦のジュライ・飛鳥・ミスルギ大統領夫妻、チェコ・オーストリア連邦のエンブリヲ・フォン・フリードリッヒ首相夫妻、英国のマイケル・キャメロン首相夫妻、フランスのシャルル・ルフラン大統領夫妻、ポーランドのコシューシコ・ワレサ大統領兼国防相夫妻とベック・トッド外相夫妻、そして、マーメイア連邦の全権大使として、スウェーデン王室のグスタフ・アドルフ大将ご夫妻が当日、ジェノヴァに来訪した。
ローゼンブルム首相として「フォルツァ・ローゼンブルム」党首でアルベトの親戚でもあるピエモンテ・マンシュタイン氏が急遽、その相手をすることになった。
更に、日本連邦国内であるトルコのエルドナン・ノギ大統領とチルレル・マーガリン首相、ヨーロッパロシアのミハイル・ラグロフ大統領とエルニック・シンセキ首相も、ローゼンブルム首相を補佐した。
もちろん、『喫茶アンジュ』でのサロン会議付きで。
結論から、はっきり言いましょう。
2120年4月10日から開催された会議にて、「中欧連邦構想」の実現は、事実上決定されたのです!!
しかし、そこまで至る道は、「外交は戦場である」ことを改めて実感したのだ!!
最大の問題は、「誰が中欧連邦構想のスポンサーになるか」と、「中欧連邦の首都はどこにするか」であった。
スポンサーについては、これまでの最大の出資国が日本連邦である以上、エンデラント連合以外の国は日本連邦が引き続きスポンサーとして面倒を見るべきだ、と主張した。
阿倍野真三大統領も、これに答えて、
「ADB、アジア開発銀行を通して、我が日本連邦は250京円を即日提供します。」
と、誇らしげに宣言した。
それに対して、アーセナル・シュワルツネッガー大統領が、対抗心丸出しで、こう言い放った。
「プロイセン以来の伝統を誇る我が国こそ、今年6月に『ドイツ連邦共和国』として生まれ変わる我が国こそ、中欧連邦の中心国になりますので、今後のスポンサーとして頼って下さい!!」
「お金はあるのですか??」
志木田茂雄外務大臣が、極めてきつい一言を言い放った。
「老婆心ながら、貴国が2015年に財政破綻した、当時のギリシャの二の舞になりかねない、とご心配申し上げているのですが。」
「・・・・・・。(冷や汗)
我が国は、20世紀末の東西ドイツ統一で4兆ユーロ、500兆円の投資を実施しました。
現在の金額に直せば、50京円規模の投資ですぞ!!」
アーセナル・シュワルツネッガー大統領が、こう反論した。
「当時と今では規模も技術的インフラも、余りにもレベルが違い過ぎますので、比較にすらなりません!!」
志木田茂雄外務大臣が、更なる、きつい一言で反論した。
「現在、貴国が中欧連邦構想に出費できる金額をお教え下さい。
我が国の麻生次郎副大統領兼財務相が報告した試算では、500京円の費用がかかる、とされています。」
「本日は10京円を提供、今月中に追加で10京円、です。
国名変更後の新規インフラ整備などがあり、この金額が限界です。」
アーセナル・シュワルツネッガー大統領が、厳しい懐具合を暴露してしまった。
「少なくとも、貴国が今すぐに50京円とか100京円とか、巨額の資金を出費出来なければ、とても中欧連邦の首都をベルリンにすることに、賛成は出来ませんな。」
志木田茂雄外務大臣が、はっきりと言った。
「我が国が、中欧連邦構想だけではなく、全世界にどれ位の投資や支援をしているか、ご存じでしょう??
阿倍野大統領が決定した今年の4月に実施開始した直近の経済支援だけでも、世界の10地域毎に40京円も投じているのですよ。
これだけでも、総額400京円ですよ!!
また、貴国を含め、今回のご参加国やウクライナなど32ヶ国には別途に2京円を、今年の4月に実施開始した政府投資や慰労金などとして分配しているではありませんか。
本日中に10京円とか、今月中の出資を含めて20京円では、とてもとても足りません!!
我が国が提唱した中欧連邦構想は、21世紀前半に計画倒れになったAIIB、アジアインフラ投資銀行とは違うのですぞ!!」
志木田茂雄外務大臣が、ここぞ、とばかりに燃えて、燃えまくる発言を繰り返した。
外交は、「武器を使用しない戦争」なのだから、必死になるのも当然か。
「ドラク族からの資金を当てます!!」
首相兼外相のリィザ・シュワルツネッガー(旧姓ランドック)が、固い決意をした表情で言った。
例の、『エンデラント連合のリィザ・シュワルツネッガー(旧姓ランドック)首相兼外務大臣が旧ミスルギ皇国の近衛長官時代に行った100京円横流し事件に関しての100京円』が執行された件の事を言っているのかな??
これについては、補填資金100京円の執行や使用が私に一任されている。
「本日中に50京円、明日までに合計100京円を出します!!
今すぐに、3DTV電話を!!」
おおー、と会場全体からどよめきと驚嘆の声が出た。
ところが、3DTV電話でドラク族を呼び出したところ、
「今すぐに出せる資金は30京円、明日まで出せる金額は追加で20京円しかありません。残りの50京円は今週中になんとか出来るかどうか分かりません。」との返事が返ってきた。
怒り狂ったリィザ・シュワルツネッガー首相兼外務大臣が、
「今すぐに100京円、全部持ってこい!!」
と、命令したので、彼らもあわててドラゴンや輸送機で資金を持ってきた。
ここで、エンデラント連合の「中欧連邦を牛耳る計画や目論見」は破綻してしまったものの、何とか面子を保てたのも事実だ。
これでエンデラント連合は当初の20京円の出費は帳消しにして、ドラク族からの100京円の出資を当てることになった。
まあ、1日で100京円をすぐに手元に持って来る力だけでも、たいしたものだが。
更に、モモコ連邦のジュライ・飛鳥・ミスルギ大統領、チェコ・オーストリア連邦のエンブリヲ・フォン・フリードリッヒ首相、マーメイア連邦の全権大使として、スウェーデン王室のグスタフ・アドルフ大将ご夫妻が、それぞれ10京円の出資予定を、急遽オークションの入札のように競争して金額をつり上げ、最終的には3ヶ国がそれぞれ40京円を即日、出資金として用立てて頂いたのだ。
これにより、各国間の事前の協議で10京円以上の資金を提供した国や地域が、「中欧連邦構想の首都誘致参加国」と決まっていたので、ポーランドとフランスの表明した出資金は1京円、英国は2京円であり、当日の出資可能金はゼロ円であった以上、この3ヶ国に首都は誘致されないことになった。
但し、この話にはとんでもない落ちと、どんでん返しがあった。
何と、英国のマイケル・キャメロン首相、フランスのシャルル・ルフラン大統領、ポーランドのコシューシコ・ワレサ大統領兼国防相とベック・トッド外相が、阿倍野真三大統領に泣きついてきたのだ!!
「どうか、我が国を、英国をお助け下さい。
阿倍野真三大統領閣下!!」
英国のマイケル・キャメロン首相が、ロンドン戦争以来の低姿勢で懇願した。
「フランスは、中欧です!!
グリーンランドのような辺境の地ではないのですから、どうか、どうか、ご支援を!!」
フランスのシャルル・ルフラン大統領が、「フランスらしいプライド」を言いつつ、懇願した。
「辺境の地ではない」という言い方は、グリーンランドのような辺境の地に住む人に対しては失礼ではないのかな??
「このままでは、我がポーランドは、列強に併合されて消滅してしまいます。
何とか、副首都だけでも誘致頂けませんか??」
ポーランドのコシューシコ・ワレサ大統領兼国防相が、懇願した。
その「列強」には、我が日本連邦も入っていますよね、コシューシコ・ワレサ大統領兼国防相??
もし、そうであれば敵対する国、仮想敵国の一つである我が国に援助を要請されているのですか??
真意が分かりかねます。
理解し難いのですが。
「このままでは我がポーランドは成果が全く無く、中欧連邦への加入すらも出来ません。
中欧連邦の副首都でも拠点都市でも何でも良いので、都市を一つ、英国とフランス、そして我がポーランドに誘致して下さい!!
何卒、お力添えを!!」
ポーランドのベック・トッド外相が、以前にもさんざん行った、「土下座外交」までして懇願した。
もう、この人は・・・・。
いつもこうなのか??
はっきり言うのですが、呆れます。
「全く、金が無いので今度は泣き落としですか??
いい加減にして下さいよ!!」
志木田茂雄外務大臣が、またもやきつい一言を、はっきりと言った。
「全く、根性の無い人達だ。
かっこ悪い!!」
エンデラント連合のリィザ・シュワルツネッガー首相兼外務大臣も、きつい一言を浴びせた。
「あんた達は、今日は帰りなさいよ。
シッシッ。
金が無ければ、領土を我が国に差し出したら如何??
そうすれば、万事解決しますわよ。」
「そうそう、フランスは、我がモモコ連邦に併合されて同一統合国家になるべきなのですよ。」
モモコ連邦のジュライ・飛鳥・ミスルギ大統領が、リィザ・シュワルツネッガー首相兼外務大臣の意見に賛成して言った。
「ジュライ・飛鳥・ミスルギ大統領も、素晴らしいご提案をされますなあ。」
ェコ・オーストリア連邦のエンブリヲ・フォン・フリードリッヒ首相が、余裕の表情で言った。
「ポーランドも、我が国に領土を割譲するべきですよ。」
エンブリヲ首相の妻である、マリアーノ・フリードリッヒ(旧姓アントワネット)広報大臣兼外務大臣が、きつい一言を言った。
もう、皆様、言いたい放題ですね。
本当に、ポーランドが列強によって分割、消滅するかも知れないですね。
阿倍野真三大統領は、ほんの10秒ほど考えた。
そして、決意して、何と私に尋ねた
「リデル・田中大将。
戦略的な視点から、君は英国、フランス、ポーランド3ヶ国の意見は正しいと思うかね??」
「戦略的視点から見れば、実に正直で正しい意見である、と本職は考えます。」
と、私は答えた。
「例えば、副首都や拠点都市をワルシャワ、ロンドン、パリに設置したとすれば、拠点都市を結ぶ交通通信のインフラ整備を推進出来ます。
これは、エンデラント連合や日本連邦、チェコ・オーストリア連邦など周辺諸国へも好影響を与えることになり、かつ、安全保障体制の強化にも結びつくかと存じます。
更に、英国やフランス、ポーランドも中欧連邦加盟には、かつてのEU以上に期待を寄せており、その意向は無視出来ないものかと。」
私としては、少々リップサービスもあったが、大筋では真面な意見を述べた。
「うむ、分かった。
至極真っ当な意見だ。
ADB、アジア投資銀行を通じて、ポーランドと英国、フランスに、10京円ずつ包んで渡します。
これらは、貴国らからの出資金とします。
後日の出資金は、エンデラント連合と同じく、帳消しにして構いません。」
こうして、阿倍野真三大統領の英断が下ったために、ポーランドと英国、フランスは救われたのだ。
会議の結果、中欧連邦構想の筆頭スポンサーは日本連邦、次席スポンサーはエンデラント連合、と決定された。
エンデラント連合としても、首の皮一枚で、何とか国家の面子は保てたのだ。
次に、中欧連邦の首都をどこに設置するか、の問題があった。
「中欧連邦構想の首都誘致参加国」は、自国以外の国や地域が全ての誘致参加国に隣接する国は無く、首都機能やその拡張性が重視された結果、ジェノヴァに本首都、つまり第1首都を設置することが決定された。
また、第2首都は、ベルリンに決定した。
尚、副首都はモナコ(モモコより名称を2120年1月1日に変更済み)、ウィーン、ストックホルム、ワルシャワ、ロンドン、パリ、モスクワ、サンクトペテルブルグ、キエフ、ベオグラード、そしてイスタンブールに決定した
そして地域のバランスや危機管理体制強化を考えて配置されるサブ機能を持つ拠点都市を、グラスゴー、マルセイユ、ミュンヘン、フランクフルト、ローマ、イエーデボリ、プラハ、ブダペスト、ブカレスト、ソフィア、アテネに設置することになった。
更に、会議の決定により、ウクライナは阿倍野真三大統領の目論見通り、「他国の影響が及ぶ地域の範囲外」となり、日本連邦に帰属することが正式に決定された。
こうして、事前の予定では3日間の会談が、たった1日、実質半日で終了した。
短くも長い会議だった。
2120年4月10日、午後4時。
会議での合意内容が発表され、合同記者会見が開催された。
夕方6時。
ローゼンブルム王国国王夫妻主催の晩餐会が開催された。
夜7時。
スウィートルームで、日本連邦とエンデラント連合の首脳夫妻は、熱心に話し合っていた。
「貴国の国歌1番にある、『マース川からメーメル川まで、エッチュ川からベルト海峡まで』を目指すのですか??
アーセナル・シュワルツネッガー大統領閣下。」
阿倍野真三大統領が、ワイングラスを傾けて、ワインを飲みながら尋ねた。
「是非、そうしたいですね。
しかし、中欧連邦でそれは実現しそうです。」
アーセナル・シュワルツネッガー大統領は返答した。
今回は、昨今の情勢、特にギリシャの経済危機の逆提案をしております。
私達4人を含めて宇宙医科大学校の同期生らは、結婚準備の時期に来ましたが、エマニエル・ローゼンブルム国王が、またまた爆発的な嵐を巻き起こしてくれた波紋が、テロ事件やその後の国際情勢の混乱などに拡がっています。
どのように今後、私達は結婚して発展していくのか??
宇宙医科大学校の真の目的が『新人類や新文明の創造』であったことが判明しました。
私達はどうなるのか??
「中欧連邦構想」の実現に向けて、今後の情勢の変化は??
日本、エンデラント連合を含めた世界はどうなるの??
『喫茶アンジュ』と併せて大将に昇進した私達に対する期待もますます膨らむ中、今後、何を求められ、成果を挙げるのか??
次回をお楽しみに。