クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~愛するミスティ・ローゼンブルムと共に~ 作:田中_jack
元々、企画の段階で「女の子が多いロボットものアニメ」の指向があったとか。
筆者はこれに満足せず、敢えて「男女のラブラブ物語」にしたい、と願って、この作品を描いております。
物語は2120年、主人公らは20歳を迎え、大きな転機を迎えました。
「黄金のタッグチーム」の私達4人にとって、将軍になった私達に、「常勝将軍」「暴れん坊将軍」の如く、またもやの大勝利。
4月1日付けで大将に昇進。
そして、4月2日に、ローゼンブルム王国国王が、私達の弟や妹などの婚約を電撃発表しました。
またもや大波乱の中、新たなる任務を命じられ、記者会見した私達。
このままで済むはずがありません。
案の定、お忍びでジェノヴァを訪れたアーノルド英国皇太子と、その婚約者で私のいとこに当たる、キャサリン・ハートさんを狙ったテロが、なんとスペイン王室王子と、その一行60人の犯行で行われたのです。
私達や日本連邦軍、警察などは反撃、英国皇太子らを守り抜いたのでした。
そして、中欧連邦構想が現実味を帯びてきました。
2120年4月10日に開催された会議で、半ば強引に中欧連邦構想が主要関係各国で合意されたのでした。
その日の夜、マナのシステムの胴元である悪華夷がアンドロメダ星雲から大マゼラン星雲を経由して地球に向かっているとの連絡が、宇宙連合や銀河連邦から伝えられ、これを全力で迎撃、撃破しました。
4月20日に、マナのシステムの胴元である悪華夷から得られた不正蓄財などの情報を全て公開し、その対策に、その残党や手下らの掃討作戦が発動され、「グループG」として着々と成果を挙げました。
5月5日には、ミスティの20歳の誕生日パーティー後に東京に移動した私達。
ここ1ヶ月で変化する、私達とその周囲の劇的な環境変化。
2120年6月1日、エンデラント連合のドイツ連邦共和国への改名と中欧連邦の発足、その5日後の6月6日には英国のアーノルド皇太子が、大将に昇進の上、私のいとこに当たる、キャサリン・ハートさんと結婚しました。
その後も6月7日の軍人オリンピックの参加で3種目の優勝、6月8日から9日にかけての第4次ミュンヘン一揆の対テロ軍事作戦、そして6月10日には私達の記録映画の第1部と第2部が公開、7月1日には第3部の公開で、正に大忙しの私達。
これからどんな劇的な運命が待ち受けているのでしょうか??
2120年7月1日の午後1時。
私達が、私達の記録映画の第3部の宣伝や記者会見をジェノヴァ市内の大映画館で行っていた頃。
場所はジェノヴァのローゼンブルム王国王宮の会議室。
ローゼンブルム王国国王夫妻、阿倍野真三大統領夫妻、そして、私の父、田中隆男大統領府大臣と、私の母が内輪で会議をしていた。
「田中大臣には、本日付けで、私が中欧連邦大統領に推挙し、参加各国から承認されました。
おめでとうございます。
このために、敢えて大統領府の主席大臣から、最近は特命大臣として動いて頂きました。
尚、中欧連邦副大統領には、ドイツの軍人出身である、ラインハルト・フォン・マンシュタイン大統領府大臣が就任します。
彼はアルベルト・マンシュタイン大将の親戚です。」
阿倍野真三大統領が言った。
「もちろん、6月6日に、私が発言した内容も忘れてはいませんよ。
リデル・田中君を、是非、将来の日本連邦大統領にしたい、と私は強く願っております。」
「そのご意志は、今現在でもお変わりないのですね??
阿倍野真三大統領閣下。」
エマニエル・ローゼンブルム国王が念を押して質問した。
「もちろんですよ、エマニエル・ローゼンブルム国王陛下。
現時点で、私が考えている『リデル・田中君を日本連邦大統領への道』は、このようなスケジュールになっています。
彼は選挙権を既に持っていますので、政治的な発言は可能な年齢です。
あとは、被選挙権を持つ年になった時点で、どのように動くか、ですね。
1 リデル君とミスティ王女との結婚式、結婚披露宴や新婚旅行での宇宙旅行など、派手な広報宣伝活動を、縁部理桜氏のプロデュースを中心に「私的な広報」を次々に実施する。
2 22歳で下院議員の被選挙権を得た時点で、中欧連邦の要職か、日本連邦の議会議員、または日本連邦大統領府に引き上げる。
3 25歳で上院議員や首長などの被選挙権を得た時点までに、新鋭の政治家になって頂く。
4 30歳までに、大統領選挙に出馬、当選して頂く。
5 私生活では、話題を多く発信するためにも子供をある程度多いことが望ましく、ローゼンブルム国王ご夫妻のような家庭が望ましい。
調整とタイミングを見計らうことが必要なのは、私の引退の時期と、その後継者、そしてリデル君が何時、どのような形で大統領になるか、ですな。
これで如何でしょうか??」
阿倍野真三大統領は、自信たっぷりに案を提示して言った。
「阿倍野真三大統領閣下のスケジュールで宜しいかと。
そうですよねえ、田中隆男大統領閣下??」
エマニエル・ローゼンブルム国王は、私の父、田中隆男中欧連邦大統領、兼大統領府大臣に
畳みかけた。
なにしろ、うまく事が運べば、自分の三女のミスティ王女が日本連邦大統領の夫人、文字通り「ファースト・レディー」になるのだから。
「はい。その通りです。
私も阿倍野真三大統領のスケジュールで基本的には宜しいかと。
あとは、我が息子のリデルと、ミスティ王女様の本気度ですね。」
私の父、田中隆男中欧連邦大統領、兼日本連邦大統領府大臣が言った。
「三男のリデルは、政治や軍事には医療や学術同様、強い興味と能力があります。
我が長男や次男は、長女や次女と同様に実務者タイプで、政治への意欲は高くありません。
末の息子である由紀夫は、末の娘の愛美と同じく少々変わり者でして、学者タイプとか、評論家タイプですね。
ですから、由紀夫はジュライ大統領の末娘であるシルヴィアさんと、愛美は高垣楓大将の弟である高垣巌君と婚約したのでしょうか。(笑い)
我が娘達も、政治に関心があるのは三女の由美子だけですが、ハレー王子と結婚しますので、どちらかと言えば広報宣伝向きでしょう。」
「では、このスケジュール案はご了解頂いた、ということで。
後は、同様のスケジュールで各地域にも「政治家の友達の輪」を拡げましょう!!
例えば、アルベルト君は中欧連邦の大統領に、衛宮士郎君は日本の大統領に、ギルガメッシュ君はトルコの大統領に、東郷ヤコブレフ君はヨーロッパロシアの大統領に、アーチャー君はシベリアロシアの大統領に、と、それぞれ就任頂くことで決まりましたな。」
阿倍野真三大統領が、この件を締めた。
「ついでに、タスク君はモモコ連邦の大統領に、チトー君はバルカン半島地域の大統領にも。」
エマニエル・ローゼンブルム国王が、さらっと、本音を話し、皆が笑った。
その直後、緊急連絡が入った!!!
「阿倍野大統領、緊急事態です!!
グループGの12人などが、重大なテロの攻撃に遭いました!!」
側近が真っ青な顔で報告した。
結論から言えば、私達が受けた「重大なテロの攻撃」そのものは重大だったが、被害はたいした事は無かった。
しかし、設備の破壊や、それ以上に世界に与えた衝撃と国際政治環境ですら激変する衝撃を与えた点では、「重大なテロ事件」であった。
まるで、1914年6月28日にオーストリア=ハンガリー帝国の皇帝・国王の継承者フランツ・フェルディナント夫妻が、サラエボ(当時オーストリア領、現ボスニア・ヘルツェゴビナ領)を視察中、ボスニア出身のボスニア系セルビア人の青年ガヴリロ・プリンツィプによって暗殺され、これがきっかけとなって、第一次世界大戦が開戦した時のように。
テロは次のような経緯と時系列で発生した。
発生時間は午後1時。
私達の記録映画の第3部の宣伝や記者会見をジェノヴァ市内の大映画館で行っていた頃、突然の銃撃や手榴弾などの攻撃を受けた。
しかし、「大映画館の防御システムやラグナメイル等からの防御戦闘」、「周囲の警備の防御」、そして、同行していた善永さゆり記者らを含めた、私達の防御戦闘で、わずか1分で制圧された。
もっとも、縁部理桜ホテル系列の大映画館であったのだが。
テロの主犯格は2人、側に居たテロ参加者は22人、合計24人であった。
主犯格の一人は、朝鮮半島南部、いわゆる南朝鮮で発行されている新聞メディア、「東特亜三国日報」の悪名高き芸能などのスキャンダルを扱う、「悪徳記者」のあだ名(通名??)で有名(??)な金迎利氏である。
彼は、私達と親しい、大手インターネット紙「JU-CAST」の女性記者、善永さゆり記者だけではなく、彼女の同僚で恋人である高田純次記者、有名芸能スポーツ紙「ザンスポ」の高橋大輔記者と、その同僚で恋人の林めぐみ記者、英国の有名芸能新聞「サンデー・ミラー」のマイケル・ジョーダン記者とその恋人、スザンヌ・ロレーヌ記者、JUFNNの笹井レポーターとその撮影スタッフなどの腕利きの記者やメディア関係者らを憎んでおり、特に善永さゆり記者とその恋人の高田純次記者を徹底的に扱き下ろしていた。
彼は、実に鬼畜な性格をしており、芸能人や有名人に記事の内容と引き替えに、多額の賄賂や金品などの利益を得ていたのだ。
主犯格のもう一人は、スペイン、イベリア半島の大手新聞のオーナー、マネーロンダリング・アルスキー・ゴールドマン氏である。
電子マネーの詐欺疑惑などのスキャンダルが絶えない彼も、金迎利氏と同様に鬼畜な性格をしており、芸能人や有名人に記事の内容と引き替えに、多額の賄賂や金品などの利益を得ていたのだ。
彼らは、お互いの祖国の外務省から、正式な外交官として11人ずつのヒットマンを「護衛」として得ており、「グループG」の我々にテロ攻撃をして、その直後か直前にテロ情報やその記事などを「スクープ記事」として自作自演の内容を流し、多額の利益を得つつ、祖国や郷里から「義士」として祀られる、そして社会的な成功を手にする、という常軌を逸した、気が狂った思考をしていた。
主犯格2人の名前からして、金が好きな腐った連中だ!!
そして彼らは心の奥底、魂まで腐っている、本当に偏狭的なテロリストの思考そのものだ!!
我々は、彼らに気付かれないように、テロ実行直前の5分前に「超能力」によってツイッター等でテロ発生の情報を彼らのスマホなどでわざと正式に発信させた。
これが、動かぬ証拠の一つとなった。
この時点で、午後1時5分前。
その後は記者会見で、彼ら2人と、双方の祖国からの11人ずつ、合計24人を「あらゆる攻撃からの包囲」を行っていた。
午後1時。
そして、彼らが突然、短機関銃や拳銃などを構えた!!
銃撃と手榴弾、対戦車ロケット弾も彼らは打った!!
防護バリアや防護反撃で彼らを追い詰めつつ、私達も反撃!!
記者会見場の宙づりの天井が吹っ飛ぶ!!
敵の周囲にいたヒットマン達が制圧されていく。
主犯格の金迎利氏とマネーロンダリング・アルスキー・ゴールドマン氏が逃走を開始、劇場にたまたま居た、幼い人質を取ろうとした瞬間、私達の銃撃や電撃で制圧された。
これだけでも、誘拐未遂のおまけが付いたのだ。
愚か者めが!!
テロ制圧後、直ちに阿倍野真三大統領に連絡を取りつつ、私達らは調査と医療支援を開始した。
一応、私達などは、「宇宙医科大学校に搬送された」ことにして、阿倍野真三大統領などの最高首脳部は、「その対応とテロ被害者らのお見舞い」に対応している、とメディアを通じて発表された。
テロ事件に関する調査の結果、主犯格の金迎利氏とマネーロンダリング・アルスキー・ゴールドマン氏以外の「ヒットマン」は、朝鮮半島南部地域、いわゆる南朝鮮の外交官11人、スペインの外交官が11人で、正式な外交ビザを取得していた。
そして、使用した武器は、実行直前にすべて外交行嚢で持ち込まれたものであることも判明した。
これにより、今回のテロは南朝鮮とスペインの両政府が、外交官を使って行ったテロであることが判明した。
テロ制圧後、7月1日午後3時に、日本連邦政府、中欧連邦、英国及び英国連邦は共同声明で、次の最後通牒をスペイン、並びに朝鮮半島南部地域、いわゆる南朝鮮に対して行った。
『我々は、スペイン、並びに朝鮮半島南部地域、いわゆる南朝鮮に対して、以下の要求を行う。
1.我々の連邦政府ならびに地方政府の体制や政策、歴史、文化、技術、伝統、教育などあらゆる政策や資産、国民の安全と財産に対する、あらゆる憎悪・軽蔑を扇動するすべての出版や宣伝、メディア行為、デモ、インターネット、サイバーテロを含むあらゆる交通通信手段や破壊妨害活動を禁止すること。
2.欧州統一戦線の分派組織や民族主義的な国家主義者組織などと称する組織を解散させ宣伝、資産、指揮命令系統、その他の手段を没収し、我々の連邦政府ならびに地方政府に対するプロパガンダを行う他の組織も同様にすること。
3. 我々の連邦政府ならびに地方政府に対するプロパガンダを助長しているもしくは助長する恐れのある全てを(教師も教材を含めて)公教育、私教育を問わず、あらゆる教育機関や教育教材から遅滞なく削除すること。
4. 我々の連邦政府ならびに地方政府に対するプロパガンダを行った罪で、我々の連邦政府ならびに地方政府が一覧にした全ての軍関係者と政府職員、地方職員を含む警察官、弁護士、検察官などの司法関係者、諜報関係者を懲戒解雇・罷免、関係機関からの追放をすること。
5.領土保全に反する破壊分子の運動の抑圧のために、我々の連邦政府ならびに地方政府に対する関係機関との協力を受け入れること。
6. スペイン、並びに朝鮮半島南部地域、いわゆる南朝鮮を含む地域で見つけられる可能性のある、ジェノヴァなどでの一連のテロ事件などの共犯者を法廷尋問するとともに、我々の連邦政府ならびに地方政府に対する関係機関をこの手続きに参加させること。
7. 我々の連邦政府ならびに地方政府が行った予備捜査によって浮かび上がった指名手配犯やプロパガンダを行った者などのあらゆる個人や組織、グループ、企業、団体などを直ちに逮捕し、または活動を禁止すること。
8.あらゆる種類の武器と爆発物の違法売買の流通を効果的な方法によって防ぐこと。
9.国内国外を問わず、我々の連邦政府ならびに地方政府に敵意を示した首脳、国会議員を含む政府高官の陳述書や上申書を届けること。
10.全てについて実行する手段を、遅滞なく我々の連邦政府ならびに地方政府に知らせること。
少なくとも7月2日の午後6時までは待つ。』
この文面は、そう、1914年のサラエボ事件後、1914年7月23日にオーストリア・ハンガリー帝国からセルビア王国に出された回答までに48時間しか与えられなかった最後通牒、いわゆる「オーストリア最後通牒」の文面を現代風にアレンジしただけの、極めて厳しいものであった。
この文面に最初に同調したのは、意外にも、朝鮮半島北部、いわゆる北朝鮮であった。
その日の夕方5時に、日本連邦政府が手配した宇宙往復機で東京を訪れた北朝鮮の首相、朴正恩(パク ジョンウン)氏は、テロ事件に対処するためジェノヴァに滞在していた阿倍野真三大統領の代理である、麻生次郎副大統領に土下座して頭を下げ、次のように懇願した。
「是非、是非、日本連邦に我々北朝鮮の完全加盟を実現して併合して頂きたく、心からお願い申し上げます。」
麻生次郎副大統領は、さすがに悪いと、自らも正座して朴正恩首相と目線を合わせ、次のように質問した。
「我が国などがスペインと南朝鮮に出している最後通牒を、北朝鮮は支持しますか??」
「はい、心から、心から日本連邦政府などの立場をご支持申し上げます。
その証拠として、南朝鮮に対する制裁実行役に、我が北朝鮮を加えて頂けますよう、心からお願い申し上げます。
軍隊でも、医療支援部隊でも、何でも送り込みます。」
朴正恩首相は、何度も頭を下げながら、涙ながらに誓った。
「朴正恩首相閣下の誠実な態度は、正に国の首脳のあるべき姿、鑑そのものです。」
麻生次郎副大統領は朴正恩首相を褒めた。
「いいでしょう、朴正恩首相閣下。」
東京の大統領府に戻ってきた阿倍野真三大統領が、会談の経緯の報告を受けた上で、重要場面で応接室に入り、朴正恩首相に答えた。
「但し、朴正恩首相閣下の言われた通り、全て進めて頂きますよ。
新型のMERSコロナウイルスや、新型のエボラ出血熱とコレラの感染がある南朝鮮での活動です。
ある意味で、戦闘よりも困難な任務です。」
この一連の会談に関する夕方の食事時の報道に、最も恐怖を感じたのは南朝鮮であったことは言うまでも無い。
「日本の倭奴(ウェルノム)だけではなく、北朝鮮までもが同じ民族としての立場を裏切って、我が国に攻めてくる!!」
「我が国は新型のMERSコロナウイルスに加えて、新型のエボラ出血熱とコレラの感染で苦しんでいるのに、まともな反撃すら不可能だ!!」
「もう駄目だ、正に我が国は『ヘル朝鮮』だ!!」
「歴代の大統領や首相などの政治家が無能であったツケが回ったのだ!!」
市民の怨嗟と政府への批判の声は高まる一方だった。
南朝鮮は、長年の政治や行政の腐敗、経済の不振と無為無策で過去の三国時代の地域主義すらも台頭しており、更なる困難と混乱が生じていた。
阿倍野真三大統領に、かつて頭を下げた李明白首相も、今回のテロ事件で外相と外務省の「クーデター行動」に対する処断対処以外に為す術もなく、日本連邦政府などとの交渉の指針すら提示できなかった。
外務省そのものの報告や行動が信用出来ないのであれば、当然の結果だが。
それに加えて、厳しい取引停止やテロ地域指定などで、只でさえ苦しい経済状況が、時間が経過するごとに悪化していった。
株式も大暴落で取引停止、為替も信用度ゼロで交換停止となった。
そのため、最後通牒に対応出来る極めて重要で国の運命を決めるわずかな時間の余裕であるはずの、7月1日は瞬く間に過ぎていった。
そして、政府内の議論が白熱し、済州島などの朝鮮半島周辺地域の日本連邦への割譲譲渡なども議論されていた。
わずかな希望は、阿倍野真三大統領と李明白首相との間の良好な人間関係だけだった。
阿倍野真三大統領への李明白首相の電話が7月1日の成果の全てであり、事態打開への努力は確認されたものの、お互いの国家間の立場の原理原則論に終始しただけの電話会談の内容だった。
阿倍野真三大統領は、南朝鮮の外務省などを全く信用しておらず、7月1日の段階で妥協するつもりもなかった。
妥協するのであれば、そもそも、このような強硬な最後通牒などを突きつけていない。
一方、スペインはどうだったか。
こちらは、第2次フランス革命前後のフランスのように、既に「スペイン救国会議」が発足していた。
しかし、肝心のスペイン政府が、南朝鮮政府と同様に、無為無策、無用の長物と化していたことは、スペインの国民にとっても不幸な出来事であった。
「もう、こんな無能な政府などはいらない!!」
「我々にはまともな政治しか興味はない!!」
スペイン国民の不満も怒りも、今、正に大爆発を開始した!!
スペインも、長年の政治や行政の腐敗、経済の不振と無為無策でバスク地方やカタロニア地方の民族分裂問題や、ジブラルタル問題、移民問題などを抱えている。
それらがまたしても表面化し、スペインにも更なる困難と混乱が生じていた。
スペイン政府も、大統領や首相、外相以下、もうどうして良いかも分からず、右往左往しており、スペインでも南朝鮮同様に、最後通牒に対応出来る極めて重要で国の運命を決めるわずかな時間の余裕であるはずの、7月1日は瞬く間に過ぎていった。
そして、政府内の議論が白熱し、日本連邦海軍の寄港地で防備隊が配備されているジブラルタル地域の日本連邦への割譲譲渡なども議論されていた。
わずかな希望は、「スペイン救国会議」が必死でローゼンブルム国王などと連絡や接触を続けていることだけだった。
また、スペインの軍が日本連邦軍や英国軍などと良好な関係を維持している点も南朝鮮とは違う点であり、軍の高官などを通じての公式、非公式な接触や連絡なども頻繁に行われていた。
7月2日朝8時。
JUFNNの「とくダネNEWS!!」に「グループG」の私達12人などの関係者はTVに生出演していた。
大倉キャスターが、私にこのように質問してきた。
「リデル・田中大将、今回のテロ事件で狙われた点を、被害者としてとしてどう思いますか??」
「どんな卑劣なテロ攻撃や悪辣な誹謗中傷も私達の愛と希望と夢を妨げることは出来ないのです!!」
私は、今回のテロ事件に関する感想の質問に対して、このように答えた。
「今回のテロは、実に卑劣で悪辣です。
被害者として、そしてテロへ対処した者の一人として、強く非難します。
今回のテロは民間人などを巻き込む、極悪非道な連中が引き起こしたものです!!
そして、正規の外交官が事件を主導した点でも卑劣です。
我が国などは、南朝鮮とスペインの外交特権を剥奪しました。
このままでは、両国は世界から断絶され、孤立してしまうでしょう。
それでも、敢えて言いましょう。
特に、南朝鮮とスペインの政府と市民の皆様にはっきりと言いましょう。
これが最後の更正の機会である、と。
あなた方は、アラビア半島やソマリア半島と同じように、新型のMERSコロナウイルスに加えて、新型のエボラ出血熱とコレラの感染で苦しんでいることを知っています。
我が国も、病院船や輸送機などで医療支援や人道支援を感染地域に対して行っています。
それでも、我が国を信頼出来ないのですか??
私は医者の端くれの一人として、はっきり申し上げます。
あなた方は、このままでは死亡宣告される以外の選択はありません!!
仮に我が国や中欧連邦、英国や英国連邦などが厳しい軍事制裁や経済制裁をしなくても、あなた方は、放置されたならば滅亡する以外の選択肢は無いのです!!
新型のMERSコロナウイルスに加えて、新型のエボラ出血熱とコレラの感染は、アラビア半島やソマリア半島ではようやく押さえ込む事が出来増ましたが、朝鮮半島南部やスペインでは、政府の無為無策などの悪影響で感染は拡大する一方で、周辺各国は人や物資の流入を検疫の強化などで抑制しています。
あなた方は、このまま何もせずにいたら、自分や親兄弟、親戚縁者、夫や妻、子供や友人、大切な恋人や仲間、恩師などが、次々と倒れて死んでいくしかないのですよ。
そのような地獄絵図を間近で見たいのですか??
体験したいのですか??
我が国や中欧連邦、英国や英国連邦などが厳しい軍事制裁や経済制裁を実施するならば、私も軍人の一人として、政府関係者の一人として参加します。
当然の事です。
しかし、今回の作戦は、私達の私怨や国家の面子で実施されるものではありません。
テロリストやテロ組織、テロを支援企業、そしてそれを利用する国家などへの制裁するためのものです。
ましてや、外交特権などを利用した卑劣な攻撃やテロは絶対に許さない、悪を実施させない、悪には神の御心である徹底した正義の鉄槌が下ることを示すものです。
最後通牒の回答期限まで、あと、10時間を切りました。
皆様、良く考えて下さい。」
私は、涙すら浮かべて、力説した。
後に知ったのだが、私のこの発言は、意外な効果を生んだ。
東京の迎賓館で、阿倍野真三大統領と共に私の発言を聞いていた北朝鮮の朴正恩首相が、私を賞賛して、日本連邦や北朝鮮を含む政府や軍高官らの前でこう言ったのだ。
「リデル・田中大将の私怨をここまで押し殺して発言する力量、本当にたいしたものです!!
私は、彼がいる日本連邦軍は信用するに値する、と賞賛し、かつ、判断します!!
彼らの愛と希望と夢を、私達の手でかなえてあげようではありませんか!!
日本連邦軍の1個陸軍方面集団の120万人には届かないが、医療支援部隊とその護衛の軍部隊、総勢100万人規模で投入しましょう!!
南部の国境地帯に集結だ!!
私は直ちに北朝鮮に戻り、陣頭指揮を執ります!!
阿倍野真三大統領閣下、今後とも宜しくご支援をお願い申し上げます。」
「わかりました、朴正恩首相閣下。
こちらも臨戦態勢を整えております。
徹底したご支援をさせて頂きますので、宜しくお願い申し上げます。」
阿倍野真三大統領も、固い握手を交わして協力を約束した。
午前11時までには北朝鮮軍が、朴正恩首相の言う通りに本当に南進の体制を整えたのだ。
一方、スペインでも私の発言を聞いていた「スペイン救国会議」が必死でローゼンブルム国王などと連絡や接触を続けた成果を、午前10時に次のように発表した。
「スペイン政府の首脳部は全員辞職し、マドリーネ軍最高司令官が大統領に就任します。
そして、我が救国委員会10人全員が入閣します。
軍関係者は、大統領、副大統領、国防相、外相に就任して頂き、その他の大臣は我が救国委員会で分担します。
そして、日本連邦政府、中欧連邦、英国及び英国連邦が我が国に対して出している最後通牒を全て受け入れます。
彼らとの愛と希望と夢を、共にかなえてあげようではありませんか!!
更に、日本連邦政府、中欧連邦、英国及び英国連邦の軍部隊の領土、領海、領空から宇宙領域、そして経済水域での無制限の通過や活動を認めます。
ジブラルタル地域の譲渡も、日本連邦政府と交渉を開始します。」
これにより、スペインは今回のテロ事件で被る壊滅的な軍事制裁や経済制裁を回避して、事態を打開することが出来たのだ。
一方、南朝鮮はどうしたか??
スペインが最後通牒を受け入れたとの情報と、北朝鮮の「南進の体制を整えた」との情報に驚き、政府も軍も国民も、ビビってしまったのだ!!
本当に、情けない!!
肝心の時期に返事すらしないのは、破滅への道だ!!
もう、南朝鮮の李明白首相は、阿倍野真三大統領に電話するしか手がなかった。
「阿倍野真三大統領閣下、どうか北朝鮮の南進を止めて下さい!!」
李明白首相は懇願した。
「北朝鮮の朴正恩首相は、やる気満々ですよ。
本当に止めて欲しいのであれば、東京に来て下さいよ。」
阿倍野真三大統領は答えた。
「それにね、スペインが最後通牒を受け入れて、日本連邦政府、中欧連邦、英国及び英国連邦の軍部隊の領土、領海、領空から宇宙領域、そして経済水域での無制限の通過や活動を認めます、と言っているのですよ。
少なくとも、同じ条件でなければねえ。」
「・・・・・。」
「黙っていても、交渉は進みません。
今は午前11時45分。
そろそろ、お昼時ですねえ。
これで失礼しますよ、李明白首相閣下。」
「あああ、待って下さい。
受け入れます、最後通牒を受け入れ、日本連邦政府、中欧連邦、英国及び英国連邦の軍部隊の領土、領海、領空から宇宙領域、そして経済水域での無制限の通過や活動を認めます!!
すぐに東京に行きますので、宜しくお願いします!!」
李明白首相は、本当に慌てて最後通牒の受け入れと、軍の無制限の通過を認めたのであった。
午後1時30分。
日本連邦政府が手配した宇宙往復機で東京を訪れた南朝鮮の李明白首相は、最後通牒の受け入れと、日本連邦政府、中欧連邦、英国及び英国連邦の軍部隊の領土、領海、領空から宇宙領域、そして経済水域での無制限の通過や活動を認めたのであった。
そして、済州島などの朝鮮半島周辺地域の日本連邦への割譲譲渡交渉を開始する、と宣言し、今年10月までに交渉を終了、譲渡を完了させることを明らかにした。
午後2時。
日本連邦政府、中欧連邦、英国及び英国連邦は連名で、スペイン政府と南朝鮮への最後通牒が受け入れられたことを明らかにすると共に、周辺諸国の軍や医療支援部隊が、この2ヶ国への移動や支援の指揮を執ることを明らかにした。
そして各国の軍の臨戦態勢も、発表と同時に解除された。
7月2日の夕方4時。
私達はジェノヴァに戻り、ようやく王宮で夕食を摂る時間が取れた。
本当に、激動の日々であった。
今回は、中欧連邦成立後の急速な動きと、南朝鮮とスペインが策略したテロとその対処を中心に述べました。
私達4人を含めて宇宙医科大学校の同期生らは、結婚の時期に来ました
そこで、阿倍野真三大統領から、大統領への打診を受けました!!
それらへの対応は??
どのように今後、私達は結婚して発展していくのか??
宇宙医科大学校の真の目的が『新人類や新文明の創造』であったことが判明しました。
私達は今後、どうなるのか??
新婚旅行に宇宙旅行を加える時期は??
『喫茶アンジュ』と併せて私達に対する期待もますます膨らむ中、今後、何を求められ、成果を挙げるのか??
次回をお楽しみに。