クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~愛するミスティ・ローゼンブルムと共に~ 作:田中_jack
逆に言えば、「クロスアンジュ」の世界での考え方が、いかに実現してはいけない、誤った価値観に基づいているかを証明したかったのです。
やはり、アンジュやサラ、ミスティやヒルダなどの登場人物には、「世界を壊して私は生きる」のではなく、「世界を救って私も生きる」方向で生きて欲しいのです。
そんな思いで、本作を描いています。
制作スタッフも、福田 己津央氏が「新世紀GPXサイバーフォーミュラとGEAR戦士電童について、クロスアンジュもガンダムSEEDも原点はやっぱりこの2つだと思う。」との主旨を言っていますしね。
原点に返った視点も大事ですね。
さて、2120年7月7日、主人公達はようやく結婚しました。
結婚直後の7月11日からの宇宙旅行では大きな成果を挙げ、大マゼラン星雲のガミラス星で、対テロ対応の功績により「大ガミラス最高勲章」を授与されました。
2120年8月10日に地球に帰還した私達。
その日の夜の会議にて、旧ミスルギ皇国と旧エンデラント連合との間で懸案となっていた「例の100京円」の件と、宇宙医科大学校の真の目的である『新人類や新文明の創造』の着手についての宇宙発展の件を、事実上解決したのでした。
2120年10月1日、政治的意図から、私達はいきなり「元帥」に昇進しました。
私達の新婚旅行が「公的なスケジュール」で決定され、2回目の新婚旅行では12月13日
に、マナシステムの全ての闇が公表されました。
私達の新婚旅行は、このための入念な「世論形成」の一環だったのです。
これからどんな劇的な運命が待ち受けているのでしょうか??
2120年12月20日。
アルベルトの誕生日パーティーがジェノバで開催された後、私達75期と76期全員が東京にむかった。
「3回目の新婚旅行」だ!!
ここで、私が日本連邦大統領に就任するための力になった、運命的な出来事が立て続けに待っていた。
午後3時、東京駅。
「東郷先生、田中先生、マンシュタイン(満朱田院)先生、衛宮先生、秋月先生など宇宙医科大学校のご一行様のご到着を歓迎します!!
ご到着万歳!!」
宇宙医科大学校の私の恩師である、陳練光先生が代表して歓迎の挨拶をされた。
「万歳、万歳、万歳!!」
周囲にいた方々も、一斉に万歳を三唱された。
その手元の垂れ幕やタベストリーには、私達一人一人の名前などが「漢字の当て字と本名などで」書かれていた。
例えば、リデル(理照瑠)とか、ミスティ(御須茶)とか、ヒルダ(丘田)とか、アンジュ(安寿)とかは、笑ってしまう当て字だ。
うーん、やはり台湾出身の陳練光先生らしい。
恩師からこのような大歓迎を受けるとは、もう、嬉しさを通り越して、気恥ずかしさすらします、はい。
私達は、東京駅から真っ直ぐに大統領官邸に向かった。
午後3時30分。
大統領官邸にて、阿倍野真三大統領から祝福と歓迎の挨拶を受けた。
そこで、阿倍野真三大統領より、次の重大な発表を頂いた。
1.20人の「グループG拡大チーム」を含む、日本連邦ならびに英国、英国連邦、全般支援を主担当する75期、76期生は、12月20日付けで「大ガミラス最高勲章」を授与され、日本連邦大統領府直属で、中欧連邦と日本連邦の大統領を補佐する『大統領特別補佐官』に任命された。
2.その他の75期、76期生も、同様の待遇や「大ガミラス最高勲章」を授与される。
この理由は、12月1日に中欧連邦にアイルランドやデンマーク、ノルウェー、アイスランド、ベネルクス3ヶ国が加盟することになり、かつ、平行世界であるドラゴンの世界が、日本連邦に世界を超えて加盟することになったため、留学生とか、外国人などの垣根が事実上無くなったからである。
3.軍の人事異動が来年1月に発表され、大きな刷新がはかられる。
また、これと併せて大統領府などの人事異動も予定されている。
最後に、阿倍野真三大統領は、こう締めくくったことを、今でも鮮明に覚えている。
「マナシステムの全ての闇が公表されました。
皆さんの日頃からのご活躍や広報活動、そしてこの新婚旅行は、このための入念な「世論形成」に多大な貢献をして頂きました。
このご恩と成果に、私を含めて、日本連邦、そして世界中が感謝と恩返しをするでしょう。」
事実として、この時から、私を含めて大きな転機を得たのだ!!
午後4時。
宇宙医科大学校の私の恩師である、陳練光先生主催の歓迎会が、大統領府近くの九段会館で開催された。
ここは、皇居や官庁街の近くでもあり、日本武道館や靖国神社からもそれ程離れてはいない。
「宇宙医科大学校の75期、76期生の今後の更なるご活躍と、ご発展を祈念して、乾杯!!」
陳練光先生が代表して乾杯の音頭を取って頂いた。
「リデル君、ミスティ君と良くやっているようだね。」
陳練光先生が私とミスティに話しかけて頂いた。
「はい、お陰様で元気にやっております。」
「私も元気です。」
私とミスティが、交互に挨拶を返した。
「今日は、すごい来賓をお連れした。
満州国の陳練文大統領と台湾の陳清州総統だ。
お二人共に、私の親戚だがねえ。」
陳練光先生が、ニヤリ、と笑った顔で言った。
「さ、さすがは我が恩師、陳練光先生!!」
私は、驚いてこう言った。
「陳先生がいつも言われていた、八紘一宇(はっこういちう)の精神の大切さが、今ほど強く感じたことはありません!!」
私は、陳練光先生がいつも言われていた「世界は一家、人類、皆兄弟!!」の標語と共に、全ての国家や民族が大家族のように繁栄する「八紘一宇(はっこういちう)」の精神の大切さを、今更ながらに感じていた。
「本当にそうですわ。
ますます陳練光先生のご威光を強く感じます。」
ミスティも、感謝の言葉を述べた。
「満州国の陳練文大統領、台湾の陳清州総統。
リデル・田中氏とその細君のミスティ王女は、やはり、噂通りの好人物でしょう??」
陳練光先生が念を押すように、満州国の陳練文大統領と台湾の陳清州総統に問いかけた。
満州国は旧満州国にモンゴル地域を統合した国家である。
台湾は、台湾本島に福建省などを加えた、東アジアと東南アジアの架け橋とも言える地域国家になっている。
「うん、確かに噂通りの好人物で間違いはありません。
リデル君こそ、将来の日本連邦と世界を背負って立てる人材です!!」
満州国の陳練文大統領は、はっきりと言った。
「このような光を放つ人材こそ、ますます頑張って頂きたいと思います。
日本連邦の大統領になっても、台湾や満州国の事を宜しくお願いしますよ。」
台湾の陳清州総統は、にこやかに、こう言った。
さすがは、陳練光先生。
人脈すらも尋常なレベルではないな。
この人のご指導のお陰で、私やアルベルトを含めて、宇宙医科大学校にも関わらず、物理や量子力学などへの深い知識と薫陶を頂き、才能を発揮することが出来たのだ。
後に我々がノーベル物理学賞などを受賞するきっかけを作った恩師でもある。
午後5時45分。
宿泊先の秋葉原ワシントンホテルに到着、チェックインする。
やっと休める。
食事して、その後はショッピングでもしてからゆっくり風呂でも入れるかな、と思ったその時。
非情にも、私の特殊携帯電話が鳴った。
冗談だろう、非常事態でも発生か!?
「ああ、すまないね、リデル・田中元帥。」
阿倍野真三大統領から直々に電話だ。
どうして、私に直接電話を掛けられたのだろうか??
非常事態とか、緊急事態ではないようだが。
「いやーねえ。
ちょっとしたもめ事が発生してねえ。
君達20人の「グループG拡大チーム」、つまり、「菊の旭日旗グループ」「暴れん坊将軍とその仲間達」に、すぐに大統領府に来て貰いたいのだよ。
VIPらがお待ちだ。」
また、とてつもない話のようだ。
午後6時15分。
大統領府の大統領官邸の中にある、大統領執務室。
私達20人の「グループG拡大チーム」が入り、阿倍野真三大統領と改めて面談した。
そこに、何故か、アーセナル・シュワルツネッガー大統領、その夫人であるリィザ首相兼外相が、子供4人と共におられた。
大統領執務室にこれだけの人員が入る事自体、大変珍しい、と阿倍野真三大統領の秘書から耳打ちされた。
そりゃ、そうでしょうね。
「ご命令により、皆を引き連れて参上しました。」
私が敬礼の上、阿倍野真三大統領に報告した。
「ご休憩中のところ、済まないねえ。
実は、ドイツ国内での動きに対応して貰いたいのだ。
例の『100京円問題』で、だ。」
「まさか、第5次ミュンヘン一揆の動きがあるのではないでしょうか??」
私は思わず、そのようにお尋ねした。
半年前の「第4次ミュンヘン一揆」が、記憶に新しかったからである。
「その可能性があるのだ。」
阿倍野真三大統領とアーセナル・シュワルツネッガー大統領が言った。
「例の100京円をリィザが隠し持っているとか、ドイツに裏金がある、とか言って騒ぐ連中がいるのだ。
移民排撃論者とか、極左過激派とか、だ。」
アーセナル・シュワルツネッガー大統領は、うんざりした表情で言った。
全く、何かの埋蔵金の話じゃあるまいし。
スペインや南朝鮮のような国家ではないのにねえ。
迷惑千万な話だ。
「本職としましては、この問題、特に100京円のお金の面では、既に解決済みのはずかと認識しておりますが??
阿倍野真三大統領閣下。」
私は、先日合意した、200京円をジュライ大統領に「立て替えて」支払ったことで金銭面は解決したと認識していた。
「確かに、その通りだよ、リデル・田中元帥。
しかしねえ、12月1日に中欧連邦にアイルランドやデンマーク、ノルウェー、アイスランド、ベネルクス3ヶ国が加盟することになり、かつ、平行世界であるドラゴンの世界が、日本連邦と中欧連邦に世界を超えて加盟することになったために、その中欧連邦加盟金を我が日本連邦が立て替えているのだ。
その金額だけでも、1ヶ国150京円で、合計1200京円だよ!!
一応、アジア開発銀行に1垓円があり、マナシステムの違法没収金100垓円もあるから、大丈夫なのだがねえ。
中欧連邦設立で捻出用にと特別会計を組んだ国家予算4000京円でも厳しい金額なのだ。」
阿倍野真三大統領が、苦しい胸の内を打ち明けた。
確かに、辛いよなあ。
昔、東海道新幹線の建設費が当初の3倍以上にもなって、当時の国鉄総裁が開業前に辞任したこともあった。
中欧連邦も、私を含めて日本連邦が必死で検討した結果のものだが、必要な資金の総額が計画の2~3倍になったことは認めなければならない。
しかし、現代は宇宙ステーションとか、宇宙往復システムとか、宇宙空港とか、異次元交通道路とかは標準インフラだから、建設費や維持費を考えれば、1000兆円とか10京円とかはすぐにかかるのだ。
そして、欧州は日本やアジアに比べて相対的に整備が遅れている。
全てのインフラを作り直す覚悟で望まなければならないので、中欧連邦の加盟金150京円は高額だが、それだけではとても、とても、足りないのだ!!
「厳しい現状を公表して説明するのが一番だ、と思いますが。」
私は提案した。
「それしかないね。」
阿倍野真三大統領が同意した。
「この点をどのように説明すれば宜しいのでしょうか??」
後から入室した、中欧連邦大統領である私の父、田中隆男大統領府大臣が尋ねた。
「要するに、100京円は使いました、もうありません、とリィザ首相兼外相が記者会見でも開いて言えば良いのですよ。
それに、旧ミスルギ皇国のクーデターを阻止したのだから、その点も堂々と言えば宜しいのではないでしょうか。
もっとも、そのとばっちりを私やミスティもテロ攻撃や王宮襲撃などで受けたのですがね。」
私は、半分開き直って答えた。
私やミスティも、5歳の時のテロ事件を含めて、マナシステムの負の部分から被害を受けていたのだから。
午後6時45分。
大統領府の定例記者会見。
阿倍野真三大統領をはじめ、先程まで大統領執務室に居た全員が出席した。
取材陣らも、今回の登場人物に驚いた表情をしていた。
取材陣の中に、善永さゆりさんなどの姿もあった。
さすがに、今は声を掛けられないなあ。
「私が100京円の裏金を持っているとか、ドイツに100京円の裏金があるとか、まことしやかにデマや憶測が流れていますが、それは、事実に反します。
私自身、ドラゴンの世界のドゴン族の出身であり、過去に高額な送金をしてきており、現在もその関係を維持していることは確かですが、私の夫で大統領であるアーセナル・シュワルツネッガーは実業家でして、既に貴金属や農林水産業の投資をドラゴンの世界で行っております。
また、ドラクニウムの回収や無害化も行っており、私達夫婦にとっては100京円の裏金を持つ必要などはないのです。
勿論、ドイツ連邦共和国に100京円の裏金などはありません。」
ドイツ連邦共和国のリィザ首相兼外相が、はっきりと言った。
付け加えるならば、資源や貴金属のレート比がその種類によって、地球と異星、ドラゴンの世界では極端な差異があるので、うまく立ち回れば、膨大な利益を得ることも可能なのだ。
だから、アーセナル・シュワルツネッガー大統領の個人名義の資産だけでも、優に100京円を超えているのだ。
正に、「黄金の国ジパング」の現代版だな。
A記者が質問した。
「金がありません、では良く分かりませんが。
確か、リィザ首相兼外相は旧エンデラント連合時代、中欧連邦への加盟金としてドラク族から100京円を持ってこさせましたが、あのように投資していたのですか??」
「その通りです。」
リイザ首相兼外相は答えた。
B記者が質問した。
「田中隆男大統領府大臣、中欧連邦の大統領として加盟国が増えましたが、名称や対象範囲の変更はお考えでしょうか??」
「ご指摘の通り、名称や対象範囲の変更を、そろそろ考える時期に入ったと認識しております。
また、拡大するためには、行政組織などの変更や改編、増員なども必要でして、参加各国などとの調整も必要になろうか、と考えております。」
中欧連邦大統領である私の父、田中隆男大統領府大臣が答えた。
確かに、その時期に差し掛かったと思う。
C記者が質問した。
「阿倍野真三大統領、特別会計予算4000京円を事実上、使い切りました。
来年度予算案と特別会計予算について、何か一言。」
「今年度は、本当に波乱含みでしたが、お陰様で経済成長も順調で、失業者は事実上、根絶しました。
そのために犯罪の激減や子供が親を殺すなどの悲惨な事例も減っておりますが、まだまだ、私達や世間の目の届かない所で苦しんでいる人もいます。
給付金の充実も行いましたし、更なる飛躍のため、平均50%増加の来年度予算の概算要求額を満額回答、更に今年度並みの特別会計予算を計上した次第であります。」
阿倍野真三大統領は、正に政治家の本領を発揮する、という雰囲気で質問に答えた。
午後7時。
記者会見は終了した。
私達、20人の「グループG拡大チーム」、つまり、「菊の旭日旗グループ」「暴れん坊将軍とその仲間達」は、これにて大統領府をお暇出来ることになった。
そこで、お世話になっている方々とまたお会いした。
私達と親しい、大手インターネット紙「JU-CAST」の女性記者、善永さゆり記者、彼女の同僚で恋人である高田純次記者、有名芸能スポーツ紙「ザンスポ」の高橋大輔記者と、その同僚で恋人の林めぐみ記者、英国の有名芸能新聞「サンデー・ミラー」のマイケル・ジョーダン記者とその恋人、スザンヌ・ロレーヌ記者、JUFNNの笹井レポーターとその撮影スタッフだ。
もちろん、プロデューサーのケマル・縁部理桜(えんぶりお)氏夫妻と、縁部理桜氏と懇意の写真家、篠原紀信氏とそのスタッフ、いつもお世話になっている観光庁などの政府広報撮影記録関係者も一緒だ。
「ふーん。
リデル君も出世したわよねえ。
大統領府での記者会見に出るようになったのね。」
善永さゆり記者から、そんな事を言われた。
「それでは、皆様と秋葉原ワシントンホテルで、ゆっくりと食事しませんか??」
意外にもミスティがそんな提案をして、撮影スタッフなどと共に、その後で秋葉原ワシントンホテルで食事をすることになったのだ。
そして、2120年はクリスマス、大晦日を迎えた。
この間には、ひさしぶりに、「μ’s」や「WUG」とのグループコンサートへの参加や支援出演、駐屯地や基地、各種施設の慰問を行い、多くの方との交流も行えた。
そして、2121年の年が明けて1月1日。
実に、「21」が2つも並ぶ年。
私もミスティも21歳を迎える年になった。
私達は大統領の補佐官として本格的に動き出した。
台湾や満州、シベリア、加州、そして、加盟申請している北朝鮮にも出張する機会が増えてきた。
中欧連邦も正月早々、名称の変更や拡大組織の対応などに追われることになり、私達の仕事も増えてきた。
それだけではなく、この年末年始には東京を活動拠点にして、非公式的な行事、例えば天皇皇后両陛下への謁見や定期の会談、伊織の実家や私の実家や親族などへの関係者への親類縁者の挨拶や会談なども行った。
だから、全国津々浦々、例えば仙台市や京都市、沖縄の那覇市も訪れた。
2121年1月31日付けで、私達、20人の「グループG拡大チーム」、つまり、「菊の旭日旗グループ」「暴れん坊将軍とその仲間達」は、「機動任務対処集団」として、大統領直轄の運用部隊に任命された。
これは、大統領主席補佐官や大統領府大臣と同等以上の格別な待遇である。
私の父、田中隆男と同じレベルになってしまったのだ!!
責任が重いなあ。
私達に、大きな転機が、また訪れようとしていた。
今回は、3回目の新婚旅行が運命的な転機になる、初めの動きを描きました。
案外、転機とは、後になって「あの時は転機だった」と知るものなのです。
主人公達は、2121年以降、どのように今後、私達は結婚後、発展繁栄への道に進んでいくのか??
宇宙医科大学校の真の目的が『新人類や新文明の創造』であったことが判明しました。
私達は今後、どのように実行していくのか??
「新婚旅行の成功」で、私達に対する期待もますます膨らむ中、今後、何を求められ、成果を挙げるのか??
次回は私達の新婚生活やちょっとコーヒーブレイクを交えて描きます。
次回をお楽しみに。