クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~愛するミスティ・ローゼンブルムと共に~ 作:田中_jack
勿論、主役は私ことリデル・田中と、ミスティですが。
それ故に、アンジュの影が薄いのは、ご了承下さい。
2121年1月31日付けで、私達、20人の「グループG拡大チーム」、つまり、「菊の旭日旗グループ」「暴れん坊将軍とその仲間達」は、「機動任務対処集団」として、大統領直轄の運用部隊に任命されました。
これは、大統領主席補佐官や大統領府大臣と同等以上の格別な待遇です。
2121年2月3日、天の川銀河の中心にある銀河連邦本部やアンドロメダ星雲にある宇宙連合への会議に出席するため、日本連邦の首脳らと同行し、宇宙の各地を訪問しましたが、2月27日にアンドロメダ星雲を出発、周辺を訪問すべく帰途の際に大宇宙の境界部分に跳ばされ遭難、最大の危機を迎えました
そこで、私達は以前にも行った「異次元空間の移動計算を自分の暗算や脳の計算能力などを駆使して見出す」作戦手法で、大宇宙の根本仏からの支援を頂く幸運で、この危機を切り抜け、2月28日にガミラス星に到着、「大ガミラス最高勲章」を頂く栄誉を受けました。
3月10日に私達は、大きな外交の成果などと共に、地球に帰還しました。
そして、大きな大躍進の機会が訪れようとしていました。
2121年3月10日、私達は地球に帰還した。
一時は、「日本連邦の首脳ら一行、アンドロメダを出発後、遭難して行方不明」の報道がされていた関係で、私やミスティの家族を含めて、多くの方々にご心配をおかけしてしまった。
それでも、無事に帰還出来たのだから、結果オーライ、という事で。
後で、各方面などに挨拶回りをしなければならないなあ。
帰還した場所は、やはり東京であった。
阿倍野真三大統領らを含めた全員が帰還後、検査入院して人間ドックに速やかに入ることになっていたためだ。
そのために、帰還記念式典は、質素で簡潔に行われただけであった。
「今回の各銀河や各星雲系などの訪問で、大きな外交成果や国防の成果を上げただけではなく、銀河連邦経済パートナーシップ協定の調印にもこぎつけたことは、正に歴史的な成果でもあります。
この成果を生かし、またもう一段の発展繁栄に向けて、政策決定に当たる所存であります。」
阿倍野真三大統領は、このように述べて、今回の宇宙外遊の成果を強調した。
首脳らを含めて、今回の宇宙外遊一行全員の検査入院は東京の国防総省中央付属病院で行われた。
そして、私達を含めた一行や、同行した護衛の宇宙軍関係者らも一緒に検査入院した。
もっとも、帰路で増援護衛に当たった地球などの「護衛艦隊集団」は、すぐに補給や休養を取ったので別行動となったのだが。
私を含めた75期、76期などの宇宙医科大学校関係者らにとって、「検査入院」とは、とてもとても複雑な気分になっていた。
正直に言おう。
首脳らを含めて、私達一行全員は本当にこの時、本当に身心共に疲労困憊していたのだ!!
だから、検査入院も良いが、気分転換に温泉浴とか、ショッピングや食事でもしたい気分であった。
それでも、私達は「公的な立場と使命」がある。
また、ミスティやヒルダを含めて、多くのカップルの女性が既に妊娠しており、おなかの中の子供の育成を第一に考えなければならない立場にもあった。
そのために、この時の検査入院の名目での休養は、2130年現在の今の立場で思えば、仕方が無かったのかも知れない。
それでも、一緒に入院した政府広報関係者や報道関係者らは、それなりに楽しんでいたが。
例えば、入院しているJUFNNの笹井レポーターとその撮影スタッフ達にお見舞いをするという形で、「とくダネNEWS!!」の大倉キャスターと中田レポーターが病院を訪れ、私達とも面談やインタビューをしてくれたことは特筆すべき事であった。
もっとも、それ以外の方法で私達にはインタビューが出来なかったからだそうだ。
大統領府が混乱を避けるために他のメディア等からの取材はこの時は一切お断りをさせて頂いていたとの事だったので、このインタビューは、「とくダネNEWS!!」の番組と、大倉キャスターと中田レポーターの人気を急上昇させた大きな転機となった。
3月15日。
検査の結果、政府首脳や私達を含めた「大統領府の補佐官達」には異常なし、との判定を受けたので、即日、退院した。
しかし、護衛にあたり共に遭難した宇宙軍関係者の約90%は、引き続き治療が必要と判断され、その多くの方が入院や転院して治療に専念することになった。
これに関連して同日、日本連邦政府は阿倍野真三大統領の名にて緊急声明を発表した。
それによれば、今回の宇宙外遊での怪我などをされた方を含む参加者全員に宇宙従軍名誉勲章を授与すると共に、身心に傷を負った全ての方に戦傷保険の適用と、戦傷年金、戦傷恩給の支給を決定した。
我々は、ここ1ヶ月程の大きな試練の経験で、かつて、ドイツを支配したホーエンツォレルン家の標語「神は我等と共に(Gott mit uns)」の心境になった。
それはそうだ。
大宇宙の根本仏までもがご支援して頂いたこの奇跡と守られた我々の命、この尊い奇跡に守られた意義を考えずにはいられなかった。
もう、何も恐れない!!
もう、何でもやってみせる!!
チャレンジあるのみなのだ!!
2121年3月24日。
「大宇宙の境界辺境部における遭難事故検証委員会」の初会合が大統領府で開かれた。
そこで、宇宙軍や銀河連邦、宇宙連合の関係者と共に、今回の遭難事故の原因究明と対策などについて検証し、今後の遭難事故に備えることで基本合意に達した。
「今回の遭難事故では、関係者への軍法会議などの処罰や査問委員会などは一切、必要はありません!!」
阿倍野真三大統領は、銀河連邦や宇宙連邦の代表者、そして我が地球の宇宙軍関係者の前ではっきりと断言した。
「私を含め政府一行は、大統領直轄の運用部隊でリデル・田中元帥をはじめ20人が所属する『機動任務対処集団』や、彼らの同期生などで構成される大統領府『大統領特別補佐官』らの尽力で危機を脱し、帰還することが出来ました。
銀河連邦や我が宇宙軍の宇宙船乗組員の多くは、今現在も治療中であり、原因究明には時間が掛かりますが、それ以上に緊急の課題があります。
それは今回のような攻撃や遭難時への対処方法です。
また、人材の育成や訓練内容、ローテーション配置、人材の適性に応じた配置、などの向上も考えなければなりません。
その対処法が確立されるならば、私達は新たなる宇宙文明の開化、そして『新人類や新文明の創造』に向けて大きく前進出来るでしょう。」
阿倍野真三大統領の意向を受けて、早速、今回のような攻撃や遭難時への対処方法などの検討作業が3月24日より開始された。
そして、対処出来る人材の確保と教育も同時に進められることになった。
2121年4月26日。
銀河連邦や宇宙連合と我が宇宙軍の合同調査の結果が阿倍野真三大統領に報告され、驚く
べき事実が次々と判明した。
――――――――――報告の内容――――――――――
1宇宙船について
宇宙船そのものについては、地球の宇宙船は緊急時への対処法の訓練を重ね、最悪の場合は手動による操縦も可能になっていた。
通常時は自動操縦による宇宙航行を基本にしていたが、あくまでも乗組員の操縦を基本としていた。
それに対して、銀河連邦の宇宙船「ソユーズ6号」は、自動操縦やクローン生物などによる操縦や船内管理に頼っているため事実上、乗組員は離着陸を含めて「航行操縦」をしなくても良かった。
「ソユーズ6号」は地球の宇宙船同様に、手動による操縦も可能にはなっていたが、銀河連邦の宇宙軍は宇宙船航行操縦やその訓練には不熱心で、地球の宇宙軍に比べて相対的に危機対処能力が低いままであったことは否定出来ない。
今回の遭難事故で活躍し、たまたま訓練の一環として乗り合わせた、銀河連邦の宇宙船の乗組員で遭難時にまともに動くことが可能であった男性のユウヤ・ヤマトタケル大尉と、女性のミレイ・シリウス大尉の二人だけが、宇宙船の航行操縦の教育訓練を受けていた。
2敵である「異次元アメーバー怪獣集団」への攻撃対処について
遭難事件後、遭難周辺の空間地域を異次元単位で調査した結果、該当空間地域にて行方不明になっていた宇宙船や探査機が全て発見された。
発見された宇宙船の中には、残念ながら遭難死した乗組員が発見された例も多かったが、少数ながら生存者の発見例もあった。
生存者の証言や残された宇宙船や探査機などからの記録、船体状況などを分析した結果、敵である「異次元アメーバー怪獣集団」は、異次元空間跳躍を駆使した物理的攻撃や精神攻撃、そしてマイクロマシン攻撃を得意とする怪獣集団であり、SF物によく見られる「巨大怪獣を物理的な手段だけで撃滅する」パターンでは、とても対処は出来ない相手である。
我が方の戦闘方法は、『機動任務対処集団』が手動操縦をしながら宇宙船が装備する「物理的攻撃」「化学的攻撃」「誘導弾攻撃」の他に、「指向性兵器攻撃」や「ガント攻撃」「エクスカリバー攻撃」「ローゼンブルムバラ攻撃(異次元攻撃などを含む)」など多種にわたる攻撃であったために、極めて有効であった、と考えられる。
更に、大宇宙の根本仏のご支援による銀河レベルの巨大攻撃は、その戦闘を終結させるには十分過ぎる程の攻撃であった。
精神攻撃への対処については、疲労を貯めないこと、自分の想いや、恋人、友人、職場、家族や親族などの人間関係などにも配慮した環境整備が極めて重要である。
精神攻撃を受けて重体に陥った乗組員は、全てこの点に問題があり、特に艦長や副長ら航行を指揮する将校や幹部などにはほとんどの場合には持病を抱えていたり、過度の疲労やストレス、人間関係などの深刻な悩みや苦しみを抱えたりしていた。
これでは、敵の悪想念の攻撃に対応出来る訳がない。
今更ながらの言葉ではあるが、宇宙航行においても部隊の団結の強化、個人の充実、上下関係を円滑かつ明るい関係を築くことが、極めて重要である。
3今回の遭難時のような宇宙船の危機対処法について
今回の遭難事件に対処出来たのは、危機対処して、脱出への道を開いた人材の存在が大きかった。
その為に緊急かつ最優先に行わなければならないのは、人材の育成である。
銀河連邦、宇宙連合、そして我が宇宙軍は、今回の遭難時の対処法に学び、この種の意表を突く攻撃にも対応出来るようにしていかなければならない。
――――――――――報告の内容 おわり――――――――――
「うーん。
実に厳しい内容だ。
しかし、この報告に従ってすぐに対処しなければならない!!」
阿倍野真三大統領は、報告の内容に、このように評価した。
「中谷元雄国防総省大臣、すぐにこの報告に従い、対処するように願います。」
「はい、分かりました。
大統領閣下。
ただ、この報告に従って行動するには、いくつかの問題がございます。
人員の増加や訓練、保養対応などの人員増加や、宇宙船の改造や建造などによる予算の増額、そして人材の確保や教育の問題があります。」
中谷元雄国防総省大臣が、かなり深刻な顔をして答えた。
「予算は予備費と補正予算、特別会計で出そう。
多少の金額増加はやむを得ないから、費用に関しては心配ご無用です。
それにしても、人材の確保や教育には、そんなに問題があるのですか??」
阿倍野真三大統領は、尋ねた。
「今回の遭難事件や、その報告でも改めて痛感したのですが、我々にはリデル・田中元帥やアルベルト・マンシュタイン元帥のような人材が多数、必要なのです。
このような人材の確保や教育には、現在の人材の募集の面から大きな変革を求められます。
また、宇宙船の艦長や副長以下、乗組員のほとんどが敵の一撃による負傷や精神攻撃で戦闘不能になった事実も見過ごせません。
医学的な見地などの多方面からの更なる検証や対策を考え、採用しなければなりません。」
「有能な人材の募集やその確保、教育、そして不測の事態への対処法か。
つまり、宇宙医科大学校のような教育で人材を育成するしかないのですね。
中谷元雄国防総省大臣??」
「その通りです。
しかし、軍人出身の私が申し上げるのも如何なものかとは存じますが、宇宙医科大学校の教育について行ける人材は、そんなに多いとは思えません。
また、リデル・田中元帥やアルベルト・マンシュタイン元帥などと共に仕事をしている関係で痛感するのですが、彼らは宇宙医科大学校の真の目的である『新人類や新文明の創造』、そのものの人材です。
人材の育成とは言え、彼らに教官として後進の指導だけに仕事を割り振る訳にはまいりません。
宇宙医科大学校の別口の入学制度、「特殊機動部隊」などの方法を駆使することや、軍全体からの有望な人材の引き抜きも考えるべきではないでしょうか?」
中谷元雄国防総省大臣は、このように提案した。
「その提案で行きましょう。
今回の遭難事件で活躍した英雄達には、広告塔になってもらうしかないでしょうね。」
阿倍野真三大統領は、笑いながら、これで新たなる策が見つかった、という顔をした。
2121年4月より、大きな動きが始まった。
今回の遭難事件で活躍した英雄達、つまり私ことリデル・田中元帥をはじめ20人が所属する『機動任務対処集団』や、彼らの同期生などで構成される大統領府『大統領特別補佐官』、そして、活躍した我が宇宙軍や銀河連邦の宇宙軍で、男性のユウヤ・ヤマトタケル大尉と、女性のミレイ・シリウス大尉の二人が、人材の募集と採用などの広告塔として活躍を始めた。
連日の広報活動と宇宙医科大学校での「研究生活」や教育も担当した。
だから、大学の教官にアイドル活動を加えたような生活が始まった。
そのためか、「サイン下さい」と言われる事が多くなったのだ。
もう、日々が大躍進、大活躍の日々だ!!
軍の宣伝をしているのか、自分の宣伝をしているのか区別がつかない程の、大反響の日々だった。
ちょうど、ミスティやヒルダなど、同期生らの女性陣がそろそろ出産に備える時期に来ていたこともあり、大助かりの処置でもあった。
まあ、私達の上官に当たる、「名物大元帥コンビ」の末次夫妻には、募集の強化という、更なるご苦労をかけることにはなったのだが。
2121年7月1日。
待望の子供が、私とミスティ、アルベルトとヒルダとの間に生まれた。
共に、長男と長女の双子だ。
いくら「黄金のタッグチーム」の4人が兄弟同様の仲とは言え、その子らの誕生日も一緒になったとは。
面白い運命のいたずらか。
こうして、7月7日の私の誕生日、11月11日のヒルダの誕生日は、子供と共に祝う誕生日パーティーとなった。
同期生らも、次々とおめでたの連絡が舞い込む、連日の祝福のメッセージで溢れた。
親になった、と実感する日々。
これが、家族の幸せなんだと今更ながらに実感する。
思えば、私もミスティも、生まれた家庭はとても普通の環境ではなかった。
アルベルトもヒルダも同様だ。
そのような環境の中で育った同期生や同窓生は私の周りには非常に多く、「普通の環境」にあこがれすら抱いていた。
私達はやっと、家庭とは何かを考える余裕が生まれたのだろうか。
2121年11月22日。
全ての日が「1」と「2」で示される日。
その日は文字通り、「大転換の日」となった。
朝6時、1本の連絡が、私の特殊携帯電話に入った。
電話の相手は、阿倍野真三大統領だった。
「リデル君。
極めて重大な話がある。
大統領府執務室に来て欲しい。」
阿倍野真三大統領は、こう言った。
朝7時。
大統領府の大統領執務室に私は呼ばれ、入室した。
その後すぐに、アルベルトも執務室に入ってきた。
「朝早くから呼び出して済まないねえ。
実は、リデル君やアルベルト君に言いたい事があってねえ。」
阿倍野真三大統領は、何か言いにくそうな口調だった。
「リデル君、アルベルト君。
君達は来年度で22歳、被選挙権を得るのだ。
そこで、2123年春に初めて実施される、中欧連邦の中欧議会選挙に立候補して欲しい。
比例で構わない。」
新たなる政治の季節が、開始されようとしていた。
今回は、大宇宙の境界部分で遭難しかかった事件のその後の展開について描きました。
宇宙医科大学校の真の目的が『新人類や新文明の創造』であったことが判明しました。
私達は地球に帰還後、選挙に出馬してどのように実行していくのか??
私達に対する期待もますます膨らむ中、大統領就任に向けて、何を求められ、成果を挙げるのか??
次回は私達の夫婦生活や、選挙への出馬とその後などを交えて描きます。
次回をお楽しみに。