クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~愛するミスティ・ローゼンブルムと共に~   作:田中_jack

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今回は、「黄金のタッグチーム」が結成して初めて、ミスティが誕生日を迎えます。
お忍びで参加したアンジュリーゼとの波乱の誕生パーティーになるのか?
また、私とミスティ、アルベルトとヒルダとの関係の進展は・・・?
次々に誕生日を迎えるタッグチーム4人の、それぞれの心境や環境の変化を描きます。



第8話 記念すべきタッグチーム4人の誕生日

 「アンジュリーゼとモニカのご一行様」が乗車し、ケマル・縁部理桜(えんぶりお)氏が運転する車が王宮に到着した。

「ようこそ、アンジュリーゼ皇女殿下。お待ちしておりました。」

ケマル・縁部理桜氏が先導して「ご一行様」を誘導し、侍女や侍従達が次々と言った。

 

「本日はご招待頂きありがとうございます。」と、アンジュリーゼは答えた。

ここで、アンジュリーゼは、本当にうっかり忘れていた。

自分より、遙かに斜め下で暴走する危険な存在、筆頭侍女のモモカ・荻野目の本性を。

そして、自分が日頃から「自称王女」などと徹底的に馬鹿にしているミスティの人気が急上昇していることを。

ミスティの大事な5月5日の誕生日が、波乱の誕生パーティーになるのか?

 

「アンジュリーゼ様に席を譲りなさい!!」

「アンジュリーゼ様がお通りです。道を開けなさい!!」

「アンジュリーゼ様に酷い扱いをしています、謝りなさい!!」

 

早速、筆頭侍女のモモカ・荻野目が会場に到着して5分も立たないうちに、誕生会パーティーの席上で暴言を吐きまくっていた。

誕生日パーティーが今、10時に開会したばかりなのに。

 

私はミスティに、

「モモカという侍女は、いつもこうなのか?」と尋ねると、

「はい、あの女は、アンジュリーゼ様の筆頭侍女という立場でして、アンジュリーゼ様よりも遙かに言動や性格が悪いのです。アンジュリーゼ様だけには笑顔を見せるジキルとハイドとか言われる程の社交界でも悪名が高いメイドです。

正にパーティーの害悪、最悪の怪獣そのものです。」と、暗にアンジュリーゼの言動や性格も問題があることを示唆するミスティ。

さすがは王女様、こういう時も言い方が上手だ。

 

「今日はミスティの大事な誕生日だよ。アンジュリーゼ様の誕生日ではないのだよ。」と、私が言うと、

「それはそうですが・・・。」と、ミスティの顔が次第に曇る。

 

 

ここで、「アンジュリーゼ皇女殿下」が、「更に火に油を注ぐ、まさかのサプライズ発言」をしてしまったのだ!!

「モモカ、もうおやめなさい。」

「しかし、アンジュリーゼ様、こいつらは・・・ノーマは本能のままに生きる好戦的で粗暴で下劣な存在、とても高貴なアンジュリーゼ様が関わったりお相手したりする者達ではございません!!」

 

「分かっているでしょう、モモカ。ここはたかだか、弱小王国で「自称王女」の誕生会パーティーと称する場なのですよ。

そもそもノーマは人間ではないのですよ。マナ使いが最高の人間なのです。それ以外は人に非ず、と言って良いのです!!

マナが使えないノーマやノーマ以下である未開発国、未開発国民共の分際で、私、アンジュリーゼ様のお目通りが出来るだけでも有難く思いなさい!!

おほほほほほほ・・・・。」

 

何だと??

モモカもアンジュリーゼも、これでも私達と同じ5歳の人間の発言かよ??

 

我が国や世界の大部分の国や地域やその国民を、未開発国や未開発国民共だと??

はっきり言おう、モモカよ、アンジュリーゼよ、この時点で地雷を踏みまくっているぞ!!

まるで、お前達の言動は全盛時代の平家が言った「平家にあらざるは人に非ず」そのものだ!!

 

さすがに、私は「お前達は既に死んでいる!!」

と激高して捨て台詞を吐きそうになった。

これから、本当に「空手」「少林寺拳法」とか、「かめはめ波」とかの何とか剣とかを学んで使おうか・・・・(怒り心頭)!!

 

ミスティは、アンジュリーゼから『「自称王女」の誕生会パーティー』『マナが使えないノーマやノーマ以下である未開発国、未開発国民共の分際』と言われて、もうさすがに耐えきれず、私に抱きついてきて「泣き顔」しながらも「怒り心頭の顔」になっていた。

 

 私とミスティ以上に頭にきているのは、アルベルトとヒルダである。

アルベルトが「こういう奴らがあの問題が極めて多い「マナ」を使えない人を「ノーマ」として迫害したり殺したりしているのか!!

動物ですらそこまでしない!!本当に人間の屑以下、鬼畜生以下だ!!」と激高していた。

 

ヒルダは、「あんな奴らのせいで、私は逮捕されて、家族や友人らから引き離されて、祖国を追われたの??

豚よ!!あんなやつらは皆!!

マナを使用する国や国民が、マナを使えない人をノーマとして迫害する全ての人は皆、豚よ。言葉の通じない、醜くて無能な豚共よ!!

あんな連中を生かすために、私達ノーマやドラゴン世界の人達などは苦しんでいるの??

偏見と差別に凝り固まった愚民共!!」

 

ヒルダは、涙を流しながら、もう、モモカやアンジュリーゼに突撃する覚悟と準備を整えていた。

死すら覚悟している顔だった。まずい、非常にまずい!!

 

 

「私が収めましょう。リデル様、ミスティ様、アルベルト様、ヒルダ様。」と、図太い男性の声が背後からした。

ふと、振り返ると、「加藤」と胸にネームプレートを付けた、SPの男性であった。

私は、彼には見覚えがあった。

4月27日のテロ事件の際、私に「君しかミスティ様を守れる人はいないのだ!!申し訳ないが、ミスティ様と早くこの場から逃げろ!!」と言ってくれたSPの人だ。

 

「加藤さん、お身体はもう大丈夫なのですか?」と我に返って私が尋ねると、

「いや、今でも毎日病院に通院する日々ですよ。」と苦笑いしたが、私には心からの人間的な暖かい笑いに見えた。

「最終的な手段は、お任せします。」と、私は返事をした。

「しかし、その前に一度だけ、やらせて下さい。」

 

この時私に、インスピレーションが降りたのだ。

「家紋を使え」と。

私はミスティ、アルベルト、そしてヒルダに言った。

「そうだ、皆、家紋を持っているよね。あの二人に見せつけるんだ!!」

 

私の家紋は、田中家の家紋である有名な「左右より稲の頭を垂れた姿」に、親戚であるイギリスのハート家から受けた家紋である「アーサー王とエスクカリバーの剣」の合同の家紋である。

ミスティの家紋は、愛を示す「赤いバラ」である。

アルベルトの家紋は、「古代ゲルマン神話の英雄ジークフリートとその剣」である。

ヒルダの家紋は、「リンゴを雷(いかづち)の矢で射る姿」である。

 

そして、私達4人がモモカとアンジジュリ-ゼの前に立ち、「ダイヤモンド・フォーメーション」を取って一斉に家紋を見せると、そこに奇跡が起こったのだ!!

 

突然、家紋から出る黄金の光に周囲は包まれ、天にも昇る光と高貴な雰囲気が辺りを包む。

邪悪な心ややましい意思は吹き飛び、残るは唯々、天使が喜ぶ清らかな心だけだ。

この時、私達4人が「黄金のタッグチーム」と呼ばれるエピソードになる奇跡を、周囲の人達と共に目の当たりにしたのだ。

 

誕生会パーティーの会場内には、私達4人の親族、同級生、サラの母であるレモディーネ、サラ、ヴィヴィアンなどのドラゴンの世界の住人やジャスミン、タスクやその両親、ゾーラ・アクスバリなどの「ノーマ解放戦線」や「古の民」、そして、異星人らも混じっていた。

そして、例によってローゼンブルム国王とケマル・縁部理桜氏の計らいで、誕生日パーティーの一部始終はインターネット生中継を含めて、報道陣の取材もあったのだ。

多数の方々が、この現象の目撃者になったのだ。

 

2105年5月5日、午前10時過ぎのこの時が、「黄金のタッグチーム」の私達4人にとって、「記念すべきタッグチーム4人全員の誕生日」となった。

 

 

 モモカとアンジジュリーゼは、この奇跡の前に、何も言えなくなり、何も出来なくなっていた。

最早、茫然自失の状態であった。

そこへ、ケマル・縁部理桜氏が来て「お二人とも大変お疲れの様ですね。別室でお休み下さい。」と言いつつ、会場からSP達と共にモモカとアンジジュリ-ゼを強引に担ぎ出した。

その指揮をしたのはSPの加藤さんで、嬉々として作業をこなしていた。

 

その後すぐに、ミスティから私に感謝の言葉を言われたのは、本当に今でも忘れられない。

「リデル、本当に有難う。貴方の英断が、私達の奇跡を生んだのよ。」

 

ミスティの誕生会パーティーは、その後は順調に進み、11時30分頃でお開きになった。

その後は、ミスティを囲み、内輪で昼食会を兼ねた二次会を開催した。

当然、この中にはSPの加藤さんを含めた、誕生会パーティーのスタッフや4月27日のテロ事件の際に怪我を負った方々への慰労会も兼ねていた。

 

 

 ミスティの誕生会パーティーの翌日の5月6日。

JUFNNが朝8時から放送している「とくダネNEWS!」では、昨日の「奇跡の事件」についての特集を組みたいと、TV局側からケマル・縁部理桜氏に向けてまさかの突然の番組出演依頼が舞い込み、大倉キャスターの肝煎りで、番組出演と生のインタビューなどの番組枠を全て使う異例の放送が実現した。

この裏には私の父や、大倉キャスターと長年親しい私の母親の斡旋や依頼もあった。

また、この日は学校が振替休日であったことも幸いであった。

 

番組には、「黄金のタッグチーム」と呼ばれることになった、私と、ミスティ、アルベルト、ヒルダの4人と、プロデューサーとしてケマル・縁部理桜氏も出演していた。

4月28日の私とミスティの記者会見後の報道でお世話になり、後日、何か言い訳でも作って、私とミスティで会いに行かなければ、と思っていた矢先に番組出演とは本当に嬉しい、と私は思った。

 

 

番組の冒頭、大倉キャスターが、

「自治国家ローゼンブルム王国の王都王宮で、昨日の午前10時より開催された、ミスティ・ローゼンブルム王女の誕生会パーティーにて、インターネット中継でもご存じの方も多いかと存じますが、『ミスルギ皇国のアンジュリーゼ皇女殿下とその筆頭侍女モモカの政治的・社会的な暴言事件』に関連して、正に奇跡的な出来事が起き、事態は収拾されました。

 

本日は、予定を大幅に変更して、「黄金のタッグチーム」と呼ばれることになった、ケマル君、ミスティ王女、アルベルト君、ヒルダさんの4人と、有名なプロデューサーとして、この4人の出演する教育番組「お兄さんお姉さんといっしょ」の総指揮を執られているケマル・縁部理桜さんにもお越し頂き、本番組独占のロングインタビューを行います。」と述べた。

 

「笹井君、インタビューの前に整理したいのだけれども、ミスルギ皇国は、4月27日のテロ事件に関しても関与が疑われているとの報道も多くなっているけれども、政府や当局はそのように断定したの?」

 

「その通りです。まず、事件についてですが、先日も度々お伝えした通り、4月27日の事件発生当時の映像解析や遺留品などから、産業廃棄物の爆発事故を装った王宮などを狙ったテロであると捜査当局や情報機関は断定しております。

 

そして、犯人グループの逃亡方法、テロの手口、犯行の背景などを捜査したところ、極めて計画的な犯行であっただけではなく、犯行の実行の際に多額の資金、2千万円クラスの金が使われた模様です。

更に犯人と見られる5人のグループがミスルギ皇国へ逃げ込んでいるにも関わらず、ミスルギ皇国が外交ルートを通じて日本連邦政府が要請している犯人逮捕への協力に極めて非協力的であることや、犯行グループが、その後もインターネットや宣伝ビラなどの手段により、ミスティ王女や我が国を誹謗中傷している犯行を重ねているとの情報があり、連邦政府当局はミスルギ皇国の事件への関与が濃厚だ、と断定した模様です。」

 

「犯行に2千万円の金を使うとは、とても普通のテロ事件どころの犯行ではないよね。中田君、犯行グループらの顔は割れているの?」

 

「はい、大倉さん。捜査などの結果、テロ事件の犯人グループは5人、首謀者と見られる男は、スケベビッチ・アル・ガッポリーネという男でして、彼とその子分4人のグループであることが判明致しました。

実は、彼らはミスルギ皇国でも札付きのワルでして、いわゆる職業的なテロリストとして、有名人や企業に対するゆすりや脅迫、金銭的な要求などで何度も警察に逮捕されております。

彼らは事件発生の数日前に突然、皇帝であるジュライ・飛鳥・ミスルギによって、「恩赦」されて釈放されております。

この点だけでも、ミスルギ皇国が関与していると言えそうですね。」

 

 

 大倉キャスターが話題を昨日のミスティの誕生会パーティーに切り替えた。

 

大倉キャスター:

「さて、昨日5月5日に開催されたミスティ・ローゼンブルム王女の誕生会パーティーにて、『ミスルギ皇国のアンジュリーゼ皇女殿下とその筆頭侍女モモカの政治的・社会的な暴言事件』に関連して、正に奇跡的な出来事が起きました。

縁部理桜さんにまずお尋ねしたいのですが、昨日の誕生会パーティーは、国王主催ではなく、縁部理桜さんが主催したのは何故ですか?」

 

縁部理桜:

「ミスティ・ローゼンブルム王女をはじめ、王室をお助けするためです。

先程触れました通り、4月27日のテロ事件のために、王宮への被害だけではなく、警備車両やSP、侍女の方々に至るまで、甚大な被害を被ったのです。

現在も被害に遭われた方はそのほとんどが入院中か、治療中なのです。

私としても、やはり国王ご夫妻の多大な負担を少しでも軽減するためにも、私が主催する形で誕生会パーティーを開催させて頂きました。」

 

大倉キャスター:

「王宮には侍女などの王宮関係者も多いので、彼らへの給与や王宮維持の支払いも大変でしょうからね。ましてや、テロ攻撃の標的にされて大きな被害を被ったのですから、いわゆる「被害救済支援パーティー」のようなイメージで開催されたのですか?」

 

縁部理桜:

「そのように捉えて頂いて構いません。」

 

笹井:

「それでは何故、ミスルギ皇国のアンジュリーゼ皇女殿下を招待したのですか?」

 

縁部理桜:

「やはり、そこは芸能界や音楽業界などに関わる者のつらいところでして、過去に少しでも関わったことのある方をお呼びするのは、ごく当たり前の事です。

現在でも、ミスルギ皇国では私がプロデュースしている「おとうさんといっしょ」など、幾つかの番組や芸能関係のプロジェクトに関わっている状況ですから。

ジュライ皇帝陛下とアンジュリーゼ皇女殿下には、特に昨年よりスタートした私の番組「おとうさんといっしょ」にはレギュラー出演頂いた時期もある程のご縁があるのです。」

 

中田:

「なるほど。今後もパーティーなどのイベントにアンジュリーゼ皇女殿下を招待するご意向でしょうか?」

 

縁部理桜:

「そのように捉えて頂いて構いません。」

その発言には、私を含めてミスティ、アルベルト、ヒルダの4人は「また来るの?」と、内心で驚いた。

 

大倉キャスター:

「話題は変わりますが、『ミスルギ皇国のアンジュリーゼ皇女殿下とその筆頭侍女モモカの政治的・社会的な暴言事件』では、マナを使用している国が、いかに使用出来ない人を「ノーマ」として迫害し、差別して人間扱いすらしていない実態が、改めて浮き彫りになりました。

 

ミスルギ皇国の皇室関係者ですら、平然とノーマを人間扱いしていない、マナを使わない我が国などの世界の大部分の国や地域を未開発国や未開発国民扱いする有様ですから、マナを使っている国や地域では一般社会ではノーマの逮捕と社会からの排除だけではなく、自治領ローゼンブルム王国の隣国であるミスルギ皇国、エンデラント連合、ガリア帝国では、「マナ」の使用者が絶対であり、ノーマが逃走したり、ノーマを匿ったり庇ったりする者には、発砲や射殺さえ許されているのです。

 

ここにいるヒルダさんも、その迫害を受けた方のお一人です。」

 

ヒルダ:

「先月27日、家の中で食事していたところと、突然検疫官に捕まり、国境で自治領ローゼンブルム王国に引き渡されました。

それでも、私はこのように国境を挟んだ隣の市出身の幼なじみのアルベルトがいて、リデルやミスティなどの仲間がいる。

迫害で苦しんでいる多くの方々を思うと、私は恵まれていると思っています。

本当に、マナが使えないだけで、家族や友人らから引き離され、社会から排除される制度は間違っています。」

ヒルダは力を込めて、はっきりと発言した。

 

 ここで、番組スタッフ達がエンデラント連合と自治領ローゼンブルム王国との国境に近いヒルダの出身地などを訪れ、取材した映像を流した。

ヒルダにとっては、これはいずれ通らなければならない試練の時であったのだろう。

 

それでも、ヒルダは「懐かしい映像や風景を拝見できました。有り難うございます。」とはっきりと言えたのは、偉い!!

 

 

大倉キャスター:

「ヒルダさんの出身地を取材した黒田君に聞きます。黒田君、ヒルダさんについて、出身地の周辺ではどうだったの?」

 

黒田:

「私が、ヒルダさんの出身地周辺を取材したのですが、ヒルダさんの話題があちこちで聞かれました。

やはり、日本連邦政府の政府広報やTVなどの出演の効果もあるかと思われます。

ただ、ヒルダさんのお母さんについては、ヒルダさんの話題には触れたくないとの一点張りのお話でした。」

 

大倉キャスター:

「ヒルダさん、これからも頑張ってね。こうしてTVや政府広報などの仕事をすることも、何かの縁なのだから、今のあなたにとっても決して損ではないからね。」

 

ヒルダ:

「はい、有り難うございます。」

 

 

話題は、ここから『ミスルギ皇国のアンジュリーゼ皇女殿下とその筆頭侍女モモカの政治的・社会的な暴言事件』に関連して、正に奇跡的な出来事についての話になった。

大倉キャスター:

「『黄金のタッグチーム』の奇跡的な現象についてですが、リデル君、あの二人に何を見せたのかな?」

 

リデル:

「私達4人のそれぞれの家紋です。

あの時、私に、家紋を使え、とのインスピレーションが降り、私はミスティ、アルベルト、そしてヒルダに、家紋を持ってあの二人に見せつけることを提案し、実行したのです。

そして、私達4人がモモカとアンジジュリ-ゼの前に立ち、『ダイヤモンド・フォーメーション』を取って一斉に家紋を見せると、そこに奇跡が起こったのです!!」

 

私は、昨日の奇跡を、興奮を交えて力説した。

 

大倉キャスター:

「なるほどねえ。それぞれ、どのような家紋なのか、見せてその由来を教えて下さい。」

 

リデル:

「私の家紋は、田中家の家紋である有名な『左右より稲の頭を垂れた姿』に、親戚であるイギリスのハート家から受けた家紋である『アーサー王とエスクカリバーの剣』の合同の家紋です。

左右より稲の頭を垂れた姿は、日本の稲作文化の象徴と五穀豊穣を意味し、アーサー王とエスクカリバーの剣は、全ての敵、全ての闇を打ち砕く力の象徴でもあります。」

 

ミスティ:

「私の家紋は、王国王家の象徴である、花言葉では愛や愛情・熱烈な恋を示す「赤いバラ」です。

しかし、バラには棘もありますよ。」

ミスティは、笑って言った。

 

アルベルト:

「私の家紋は、古代ゲルマン神話の英雄ジークフリートとその剣を示しています。彼はメドューサを退治した英雄ですので、その勇敢さを示す象徴でもあります。」

 

ヒルダ:

「私の家紋は、リンゴを雷(いかづち)の矢で射る姿を示しています。

これは、昔、スイスの独立戦争での弓矢の名手が子供の頭の上にリンゴを載せて、リンゴを射った故事と、天のご加護である雷(いかづち)の支援、つまり日本で言うところの雷神のご加護を意味します。

ちなみに、リンゴの花言葉は、選択、最も美しい人へ、最もやさしき女性へ、という意味です。」

 

大倉キャスター:

「あの時、突然、家紋から出る黄金の光に周囲は包まれ、天にも昇る光と高貴な雰囲気が辺りを包み込んだよね。

正に、『黄金のタッグチーム』と呼ばれるだけの事はあるようだね。

笹井君、家紋などの専門家は何と言っているのかな?」

 

笹井:

「非常に驚くべき家紋のオンパレードとの評価を頂きました。」

 

 

 大倉キャスターは、今日も私達を「持ち上げる」論調で、番組を取り仕切ってくれた。

本当に感謝、感謝だ。

 

 この放送で、早速、予想外の効果が現れた。

何と、日本連邦だけではなく、世界の大部分の国や地域でミスルギ皇国に対する抗議活動や大使館や領事館での抗議文の提出、抗議の電話やメールなどが殺到、そしてミスルギ皇国製品のボイコット運動などが幅広く、かつ広範囲に開始されたのだ。

 

以前より、マナを使用している国家や地域に対する抗議の一環としての運動や製品のボイコット運動は加速していたが、「ミスルギ皇国のアンジュリーゼ皇女殿下とその筆頭侍女モモカの政治的・社会的な暴言事件」が、その動きに対して、火に油を注ぐ結果となった。

 

 

その後しばらくは、私達4人にとって、順調な日々(?)が続いた。

 

7月7日には、私、リデル・田中の誕生日パーティーが王宮で開かれた。

11月11日には、ヒルダの誕生日パーティーが、

そして、翌年の2106年1月1日には、アルベルトの誕生日パーティーが、

それぞれ、王宮で開かれた。

有り難いことに、誕生日のパーティーは、この後も毎年開催されることになったのだ。

 

ミスルギ皇国のアンジュリーゼ皇女殿下とその筆頭侍女モモカもその度に招待されて来場したが、さすがに懲りたのか、以前のような暴言を吐くことは無く、大人しくなっていた。

 

私達4人は、この頃から多忙な日々であったが、人生の初期にしては恵まれていた。

 

 

 2106年1月、私達にとって大きな進路を決める時が来ていた。

私達4人は、非常に高いレベルで、多分野に渡って多くの人材を輩出している、半官半民で、日本連邦軍の支援機関でもある「宇宙医科大学校」に進学して、医者になる道を選択した。

やはり、私やミスティがテロ事件の標的になったことや、世界の理想を実現するには、ノーマ差別の現実などを是正しなければならない、この為に自分達は何が出来るのかを考え、学校の飛び級を重ね、大学受験の資格「大検」を早期に取得することで、「宇宙医科大学校」に進学することが最も近道だ、と考えたのだ。

 

ちなみに、ケマル・縁部理桜氏や私の父や母も、「宇宙医科大学校」の出身であるので、やはり、親や周囲の人の意見の聞き、そのように判断出来たことを、今でも幸運に思っている。

そして、私にとっては、ミスティとの約束を果たすのだ、との強い意志も持っていた。

 

 

「大検」は2107年に私達4人とも、取得した。

これには、私の生物化学や時事問題などの得意分野の力、私の父や母、兄弟姉妹の協力と、ミスティの英才教育、アルベルトの数学や物理、地理の非凡な才能、そして頑張り屋のヒルダの力の総合的な協力体制のお陰でもあった。

 

そして、私達4人は、この頃から兄弟同然の関係になっていった。

また、私とミスティ、アルベルトとヒルダとの関係も、「急接近」どころか、「夫婦漫才」をしている、と学友から言われる位になっていったのだ。

 

 

 

2110年3月、私達4人の「黄金のタッグチーム」は、共に国立ローゼンブルム大学付属小学校を卒業、翌月の2110年4月、飛び級で「宇宙医科大学校」に入学した。

 

ちなみに、国立ローゼンブルム大学より、「付属学校からの優秀で貴重な人材の流出は避けたい」と泣いて頼まれ、幸運にも私達4人は特待生扱いで「国立ローゼンブルム大学」への入学と「宇宙医科大学校」の学業単位の自動的取得と振替などにて単位取得、そして卒業も約束された。

つまり、私達4人は、「大学に2校入学」することが出来たのだ。

 

 今思うと、正しい選択だった。

何故ならば、私達4人が「宇宙医科大学校」の卒業後、大きな世界情勢や宇宙情勢の変化に、世界は巻き込まれていったのだから。

 




今回で、小学生編は終わりです。
いささか、駆け足でしたが、如何だったでしょうか?
原作でアンジュの性格が「崩れている」のは、帝王学を学んでいないだけではなく、スポーツも頭脳も、能力が高い人が持ちやすい特有の「傲慢さ」「上から目線」もあろうかと思います。

ノーマに対する差別も、同様ですね。
本当の世界を知らない、純水培養の人間の弱さと恐ろしさを、原作のアンジュから翻って考えさせられました。
だから、敢えて今回、本作の第8話にて、アンジュが原作の第10話にあった、ミスルギ皇国の民への「豚」呼ばわりした部分の台詞をアレンジして、ヒルダに言わせました。

ちなみに、アンジュが原作の第10話にて、反省房の中でヒルダに語った「偏見と差別に凝り固まった愚民共」の台詞も、今回取り入れましたが、一部は、既に本作の第4話でアルベルトの台詞に入れています。


次回から宇宙医科大学校編です。
そして、あの黒幕や、異星人などとのやり取りも本格化していきます。
原作に登場するキャラもどんどん登場します。
お楽しみに。
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