「よっしゃ!出来たァ!」
吹雪がより一層強くなってきたスネージナヤのとある部屋の中、1人のバカが両手に何かを持っていた
その手に持たれているのはピンクのサンダル
つま先の方にはウサギのような動物が描かれ、現代日本でのクロックスと呼ばれるものだ
「これなら地面を踏めば…」
ピコピコ…
「しゃあ!成功したぞ!」
彼が作ろうとしたのは赤ちゃんが良く履いているような歩くたびにピコピコ音が鳴る靴だった
あとはこれを少女様に履かせれば…
思い立ったが吉日、すぐに部屋を出ようとした
「ガッ…」
急な眩暈、立ち眩み
ものすごい勢いで意識が遠のいていく
(あっ…この感覚…)
またあの
遠のく意識の中、おそらくこの事象を引き起こしているであろう女に怨嗟を吐きながら床に倒れる
意識が途切れる前に視界の端に映ったのは、黒い脚だった
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「まったく…君はこうも変なものを作るんだ?」
1人の男しかいなかったはずの部屋に、低めの女性の声が響く
部屋の中に浮いているのは黒のドレスに身を包んだ白髪の女性
死の執政…ロノヴァ
「これは…いらないか…」
彼女が手に取ったのは先ほど男が作っていたピンク色のサンダル
彼女はそれを数秒見つめると、消滅させる
「全く…ほんとうに君は…」
地面に降り立った彼女は男を浮かせると、ベッドに腰掛け、自身の太もものに頭が乗るように寝かせる
太ももに乗せた男の顔を撫でる
男は息をしておらず、顔も青白い
「……………」
特に何もしない
たまに頬を摩ったり髪を解いたりする程度だ
だが、彼女の顔はほんの少しだが、緩んでいる
「………またか…全く面倒な…」
何かを感じ取ったのか、ロノヴァは男を優しく寝かせる
コンコン…
その時ちょうど誰かがドアをノックした
「はぁ…」
少し名残惜しそうにロノヴァは部屋を後にする
蘇生が始まる前に、部屋のドアが開かれてしまった
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「カナメ?居ないのですか?」
ドアを開けたのは水色の髪をしたプリマドンナ
この部屋の主であるカナメと同じ執行官第8位「淑女」の下でペアを組んでいるオデットだった
カナメとは半分腐れ縁の仲でもあるオデットは今晩夕食に誘ったのにも関わらずいつまで経ってもこないカナメにしびれを切らして部屋まで来たのだ
「…カナメ?」
彼女の目に映ったのはベッドであおむけになっているカナメの姿
ただ寝ているだけかと思ったが、少し違和感を感じた
まず、カナメは寝る時にうつ伏せで寝る
あおむけで身じろぎもしないのは何かがおかしい
「寝ているのですか?」
恐る恐る近づく
1歩1歩近づくたびに嫌な予感に鼓動が早まる
頭の中で最悪の予想が飛び交うが、それを振り切って近づいていく
「ッ…カ…ナメ?」
最悪の予想は当たってしまったようだ
ベッドに寝ていたカナメの顔は青白かった
震える手で首筋を触る
「そんな…嘘…」
彼は死んでいた
肌は冷たく、脈もない
「そんなわけ…ないですよね?貴方が…そんな…」
膝から崩れ落ちたオデットはカナメの手を握る
だが、感じるのは生気を感じない冷たさだけ
肩を揺らすが、一向に起きない
「嫌…嫌です…まだ…」
目の淵から涙が零れる
だが、どれだけ祈っても彼は起きない
「ッ!医者を呼ばなければ…」
冷静になったオデットは立ち上がり、部屋から飛び出す
そのまま医者のところまで全力で走った