第11話
「えっと…話を整理すると…俺と…ネフェルさん…「ネフェル」…ネフェルは幼馴染だと?」
「ああ。間違ってないさ」
あまりにも堂々としているネフェルの姿に本当に幼馴染だったんではないかと思ってしまう
「だが…俺にはあんたとの子供の頃の記憶は無い…」
「本当かい?この…ネックレスに見覚えは?」
ネフェルが見せてきたのはどこにでもありそうな銀色のネックレス
だが、本当に見覚えはない
カナメが首を振るとネフェルは視線を下ろして表情を曇らせる
「………妙なことを聞いて悪かったね。今日はどんな用で来たんだい?」
ネフェルは少し深呼吸すると仕事モードに入ったようでキリッとした顔で用件を聞いてくる
「ああ。ウチの執行官様が失踪しちまってな。」
「執行官…悪いがウチにそれらしき情報は来てないね…」
「そうか…」
情報通の秘聞の館にも伝わっていないということは秘匿された場所にいるのかそれとも人が寄り付かない場所にいるのか…
「手間かけさせたな。これで失礼する」
「待ちな…」
用件が済んだので席を立とうとした時、ネフェルに呼び止められる
「もし…思い出したりしたら……いや、思い出してなくてもいい。また寄りたくなったら来な」
「…もし世話になることがあったら寄らせてもらうよ」
そういって秘聞の館を後にする
ドアを閉めるまでずっと背中に視線が向けられていたのは少し気まずかった
「………ま、俺には関係ねぇか」
何故かネフェルが名前を知っていたことを頭の片隅に追いやる
どっかで聞いた名前を勘違いしてるんだろう
「えっと…人が来なさそうなところは…ヒーシ島か…まずはここに…「あれ?奇遇だねカナメ?」……………………」
地図を広げて次の目的地を決めていた時、誰かに肩を掴まれる
背後に感じる女性特有の柔らかさと軽やかさ、そして背筋の凍るこの声は…
「ほ、蛍…久しぶりだなぁ…ナタの旅はもう終わったのか?」
「随分前に終わったよ。今パイモンは食べ物買いに行ってるよ」
終わった…唯一のリミッターはいないらしい
「そういえばさ…カナメ…」
急に蛍はカナメを壁に押し付ける
結構な衝撃に驚くが、目の前に美少女の顔が広がる
彼女の目は前の仄暗い目ではなく何かを探るような目だった
「ティレルって女の子知ってる?」
「ティレル?」
そんな名前の知り合いはいないはずだ
「いや、知らないな」
「そっか…じゃああのカナメは…」
何かをブツブツと呟いている蛍
その時、蛍の背後から誰かが近づいているのが見えた
(誰だ?地面に足が着いてるしパイモンじゃないな…)
蛍の頭を避けて顔を見る
青い目に灰に近い色の茶髪、青と白の服を着た女性がそこにはいた
「嘘…なんで…」
彼女の目は大きく開かれており、目じりには涙さえたまっている
「あ…ティレル…これは…」
ティレルに気づいたのかカナメから離れてその女性に説明しようとする蛍
どうやら彼女がティレルらしい
「………ッ!」
蛍の横を通り抜け、ティレルはカナメの方へと駆けてくる
そして、直前で跳躍し、カナメの胸に飛び込んだ
「カナメさんっ!」
どうやら、記憶外の知り合いはまだいたらしい