「えっと…」
「いや…」
プイッとそっぽを向いた少女
まさかこんな感じで拒否されるとは思わずカナメはワタワタとしてしまう
「えっと…何か嫌なことが?博士がまた変なこと言いました?傀儡様と喧嘩でも?」
「ううん。でも、もう帰らない」
思わず頭を抱える
ナド・クライに来る前、傀儡様から嫌という程少女様の愚痴(惚気話)を聞かされたが、こうなってしまうとかなり面倒くさいらしい
「えっと…カナメ?やっぱり彼女って執行官だよね?」
「ま、まぁな…このまま連れて帰りたいんだけど…」
この感じ絶対に動かなそうだ
こうなったらやることは1つ
「はぁ…気が済むまで…か」
「じゃあ?」
何故か蛍が目を輝かせる
カナメは頭を抱えながら答える
「仕方ないから道化様にもうちょい任務期間の延長を打診してくる…はぁ…」
カナメはその場を後にする
少女は蛍と一緒にどこかへと向かったようだ
部屋に帰った後、カナメはすぐに書類を書いてスネージナヤに送る
そして7日後、道化から返事が帰ってきた
「…女皇様の意思によりそのまま見守ってくれ…か」
カナメ、ナドクライでの残業決定
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「それで?ここに来たの?」
カナメが向かったのは蛍に連れてこられた銀月の庭
どうやら少女はそこで生活しているようだ
「傀儡様から教えてもらったクッキーなども持ってきました」
「…!」
少女は傀儡の名前を聞くと嬉しそうに近づいてきてクッキーを持っていく
そのまま石に座るとクッキーをポリポリと食べ始める
「なんか…ああ見ると可愛いね」
隣にいる蛍が耳打ちしてくる
クッキーを小さい口で齧っている様子はまさに小動物のようだ
「そういえば、ファデュイの連中が召使様が来るって騒いでたが?何かあったのか?」
「ああ…それはね…」
この前戦った紫色の人型はレリルと呼ばれるらしく、彼は今でも力を付けて少女を狙っていると
それに対抗するためにモンドの騎士団長と協力して倒す計画を練っている
そのために少女の力を取り戻す必要がある
「それがどうなって召使様に繋がるんだ?」
「アルレッキーノはね…虹月との関わりが深いらしくて…それで虹月を返す代わりに手伝って貰おうと思ってるんだ」
「召使様にそんな関係が…」
「そうだぞ!だからお前なんかの力を借りなくても問題ないんだぞ!」
どうやらパイモンちゃんからは悉く嫌われているようだ
プンプンと地団駄を踏むパイモンちゃんのモチモチほっぺをぷにぷにするとさらに怒ったようでぺちぺちと叩いてくる
「そういえば…召使様なら見返りなくても協力してくれると思いますが?」
「そうなの?何かをするには何かを返さなきゃ」
これがただ単に良い子なのか、それとはまた違う歪みなのか
まだ今は分からない
「そういや淑女様も来るらしい。道化の手紙の後ろにくっついてた」
少女に手紙を渡す
淑女の名前を聞いて蛍が顔を顰める
「まぁまぁ…淑女様も敵対してなかったらただの口うるさいおばさんだから…」
「ブフッ…お前…おばさんって…」
パイモンがカナメの淑女をオバサン呼ばわりしたことに吹き出す
それに釣られて蛍も少し笑う
「おばさん?」
少女は分かっていないようで首を傾げている
パイモンがなんでもないぞ!と誤魔化している
「まぁ、明日には来るらしいし、淑女様が最近の少女の様子をみたいから茶会の準備をしなきゃいけないから俺は先に失礼するぞ」
蛍やパイモン、少女に別れを告げ、ナドクライへの買い物に向かう
昔は少し近寄り難い雰囲気であまり関わることがなかった少女だが、本質的には幼子のようなイメージだった
少し、仲良くなれそうな気がした