「サンドローネ!」
戦いも終盤戦、ネフェル、ラウマ、フリンズと分断されてしまった蛍とサンドローネはドットーレと向かい合っていた
蛍とサンドローネはドットーレに挑みかかる
だが、三月の力を手にしたドットーレには敵わず、地面に倒れ伏してしまう
そして、ドットーレが蛍に攻撃しようとしたのをサンドローネが体を張って受け止めていた
「ほう?意外だな」
「グっ…」
貫かれたサンドローネを引き寄せるドットーレ
そのまま首を掴む
「同僚のよしみだ。言い遺すことはあるか?」
「あの頃も分かってた…望まないことだけは…」
ドットーレの手首をつかみ、にらみつけるサンドローネ
そして、力を振り絞って、言葉を発した
「死んで…ドットーレ…」
サンドローネの胸に向けて、光線が放たれる
蛍が手を伸ばすが、倒れたままでは届かない
そのまま、サンドローネの胸をつらぬ…
「…ッグぁ!?」
貫く前に、ビームは消え失せた
ドットーレが突如苦しみだす
よく見ると、ドットーレの背後の装置に填め込まれている「赤月」が揺れ、装置を破壊し始めていた
「グっ…なぜだ…完全に掌握したはずだ!」
「……月は、貴方の思い通りにはならないみたいだね」
赤月が、装置から逃げ出す
そして、宙で独りでに輝き始めた
「旅人…?あれは……」
「大丈夫。あれは…彼が抗ってるんだ」
蛍は、ロノヴァから元々このテイワットに生きていたカナメの末路を聞いた
人として大地に足を着けながら、天の月に手を伸ばし続けた傲慢の果てを
月の使いと心を通わせ、月の女神に並ぼうとした1人の凡人の話を
その凡人は、最後の最後に自身の望みを捨て、大衆を救うために身を投げ出した
そして…その魂は砕け、世界にばらまかれるはずだった
だが…その魂を「虹月」が集めた
そして…今は…
赤月の下に、赤黒い人の像が形成されていく
仰け反り、空を向いている彼の目元には、涙が一筋垂れている
蛍はその人の像に手を向け、アビスを吸い始める
虹月は、かの凡人の魂を大事に、大事に抱え込んだ
それは他の姉妹が崩れ、死に絶えた後でも
そして…彼女の体も崩れ始め、死の恐怖に吞まれかけた時、アビスと彼女は混じりあった
その時、彼の魂もアビスに呑まれてしまった
赤月となっても、彼の魂だけは手放さない
旅人が赤月の封じられている異界で感じたのはあるはずのない想い人の魂
だから浄化しきれなかった
だが、今、それが想い人を現世へと呼び戻す
「お願い!戻ってきてカナメ!」
アビスを吸いながら叫ぶ
だが、戻ってくるよりも早く、ドットーレがねじ伏せ、態勢を取り戻す
青い光が、蛍へと向けられていた