「カナメ!」
後ろに庇っていた蛍が抱きついてくる
「悪い。心配かけたな」
「うん。ホントに心配してた」
蛍を地面に下ろし、ドットーレを見やる
赤月を取られ、もはや三月の力の維持が難しくなったのか周囲の創造物も少しずつ崩れ始めている
「傀儡様、大丈夫ですか?」
「ええ…」
カナメは近くで倒れているサンドローネに声をかける
胸は貫かれているものの、致命傷には至っていないようだ
カナメは水を這わせて、サンドローネを包む
水は淡く水色に光り、サンドローネの胸の傷が癒えていく
「傷は治りましたけど、体力は治らないんで」
「感謝するわ。スネージナヤに帰ったら女皇に褒美を進言してあげる」
「ありがとうございます」
サンドローネに一礼してからドットーレに向き合う
ドットーレはまだ余裕の表情を崩していない
「随分と余裕そうだな」
「当たり前だ。まだ月髄は近くにある。それをまた手中に納さえすれば、全ては丸く収まる」
カナメを創り出した赤月はそのままカナメの体に吸い込まれてしまった
だが、未だドットーレの目の届くところに月髄は存在しているのと同義だ
「じゃあ…その後ろの全部壊せば解決か」
月の輪を手に入れ、操ることが出来るようになった水元素を操り、手の中に渦の玉を作り出す
ドットーレもまた円錐のようなものを浮かばせる
互いに攻撃態勢に入り、隙を伺う
「っ!?」
だが、攻撃するよりも早く、ドットーレが上空の違和感に気づく
ドットーレは咄嗟にサンドローネの方を見るが、サンドローネは何もしていない
サンドローネの後ろに倒れているプロンニア…彼の中で計算は進められていた
そして、地上ではアレルッキーノとファルカ、そしてニコの3人が月を引きずり下ろそうとしていた
「フッ…」
だが、博士は残りの月髄をどうにかして操り、偽りの空を閉ざす
月が近づくよりも早く、偽りの空はまた元に戻ってしまった
再び笑みを取り戻してこちらを見てくる
だが、その余裕もすぐに崩れさることになる
月は、もうすぐ側まで来ていた
空を砕き、月が現れる
「コロンビーナ!」
そして、月光が降り注ぐ
月から、1人の人影が舞い降りてきた
大きな翼を広げた彼女は、悠然と飛び、そして蛍の隣に舞い降りる
コロンビーナが帰ってきた
常に閉じられていた瞳は開かれている
「ありがとう。ただいま」
「おかえり」
その後は…もう…ぼっこぼこよ
カナメは入る隙間も無かったからサンドローネとプロンニアを背負って先に地上に降りていた
地上から見えたのは眩いばかりの月光だった
ま、まぁね?元々勝てる戦いにいる意味ないし…
なら怪我人運んだ方がいいし?