「じゃ、俺は帰るわ」
ドットーレとの戦いも終わり、諸々の後片付けも終わった
少女…いやコロンビーナはこのままナド・クライに残るらしい
傀儡もコロンビーナの世話をもう少しするらしく、その旨を女皇に伝えるべく他の人たちよりも早く帰ることになった
「うん。次は私がスネージナヤに行くからね!」
「…そっか。もうスネージナヤに来るのか。時間の流れは早いな」
モンドに璃月、稲妻、スメール、ナタ…そしてナド・クライ
すでに6つの国を訪れ、もう旅も終盤に差し掛かっているのだろう
「じゃあ、スネージナヤで会えるのを楽しみにしとく」
そう言って蛍に別れを告げ、ナド・クライを離れる
ナド・クライはスネージナヤ領地なので歩いてでも帰れるのだ
別に急ぎの用ではないし、久々に歩いて帰ろうと思い立ち、歩を進めていく
ナド・クライからスネージナヤへと入るとき、吹雪がさらに強くなる
(そういや…女皇の手紙に吹雪の怪物の話が書いてあったな…)
ゲントが帰還次第に遠征に出るとの旨が書いてあり、それも今回の遠征では女皇の近衛の1人としてカナメは遠征に参加するらしい
その件もあって他の執行官より早く帰っているのだ
(でもこの吹雪だと厳しそうだな…)
あまりにも吹雪が酷いので近くにあった山小屋に入る
中はボロボロだが風を防げるだけでもありがたい
「ふぅ…それにしても酷い吹雪だな…」
「まるで、君を外に出すまいとしているかのようだ」
「…それは困るな…女皇直々に指名されてるんだから帰らなきゃ」
カナメは後ろを振り返る
いつの間にか山小屋は少し綺麗になっていて、先ほどまでは無かった椅子にレインドットが座っていた
外をよく見ると、白色の馬のような生き物が居座っていて、そいつがこの吹雪を起こしているのだろう
「……生の執政として…俺を回収しに来たのか?」
「さて…どうだろうね」
カナメも席に座り、目の前で楽しそうに笑っているレインドットに向き合う
本来だったらもう死んでいるはずの人間…生の理に矛盾しているからおかしなことではない
「……そんなに緊張しないでくれ。私はただ君と話したいだけなんだ」
魔女会のように自律するポッドで茶を注ぐレインドット
カナメは出された紅茶を口にする
「そういえば。まずは復活おめでとうとでも言っておいた方が良いか」
「……その感じだと本当に話をしに来ただけなのか?」
『ええ。この頃は貴方は消滅していたし、他の人と一緒にいることが多かったから…』
レインドットの背後にウィンドウのようなものが現れ、そこに映っているナベリウスが話す
その言葉からも嘘は感じ取れない
「はぁ…満足したら吹雪止めてくれよ」
「ああ。それは約束しよう」
外の吹雪をBGMにレインドット、ナベリウスと雑談を楽しむ
その中で、レインドットの口からこの世界のカナメについての話を色々聞けた
「ナベリウスと統合した時、彼女の昔の記憶が流れてきてね…その時、カナメに口説き落とされて「生の力」を貢いだ時の記憶を見た時はもう…」
『レインドット!その話はしないって!』
「生の力?何に使ったんだ?」
「記憶によると…本来は自身の生命力を底上げし、人の身を脱し、月に手を伸ばそうとしたらしい。まぁ、結局人の不幸を見過ごせず、その生命力さえ渡してしまったようだがね」
月に手を伸ばし、果たしかけたのにそれを手放す愚行
知らない人の大虐殺には心を動かされないが、知人の不幸にはどこまでも体を動かしてしまう
「まぁ、この世界の俺はそれで満足したんじゃないか?今の俺ならそんなことしないと思うけどな」
「どうだろうね」
紅茶を飲み干し、席を立つ
もう外の吹雪は止んでいた
「じゃあ、帰る」
「ああ。お話楽しかったよ」
『遠征、頑張ってちょうだい』
レインドットはもう消えていた
外に出ると、スネージナヤでは珍しい快晴
カナメはスネージナヤグラードへの足を早めた