「改めて、スネージナヤにようこそ」
「うん。驚いたよ。カナメってあんなとこに立てる地位だったんだね」
「おい何言ってんだよ」
ニヤニヤしながら弄ってくる蛍の頭の両側面を拳でグリグリする
蛍は痛い痛いと言いつつも笑いながらカナメの手を握る
「もう…ほんとに痛かったんだけど」
「お前があんなこと言うからだ」
頭を擦りながら睨んでくる蛍の頭をポンポンと撫でる
「んっ…もうちょっと強くして」
蛍の要望に答えて少し強めにポンポンと撫でる
気持ちよさそうに目を細めている
「随分仲がよろしいんですね」
「あ…」
どこからか出てきたオデットを見て、カナメは蛍の頭から手を離す
蛍が何かを呟いていたが、オデットを見て急いでカナメから離れる
「オ、オデット…元気してた?」
「昨日会ったばかりでは?」
どうやら蛍とオデットは知り合いのようで、2人は昨日も会っていたようだ
それにしては蛍の様子がおかしい
「……その…ホントに…?」
「しかし…私が見たのはやはり…」
2人でコソコソと何かを話している
少ししてから、意を決したような顔をしたオデットがこちらに歩いてくる
「カナメ、1つ良いでしょうか」
「?ああ。どうした?」
「ここでは少し話しにくいので…カナメの部屋まで行っていいでしょうか?」
「良いぞ」
久しぶりに自身の部屋に向かう
何故か蛍も一緒に来ている
「…で、何の話…っ!?」
部屋に入り、後ろを振り向いた瞬間、オデットの押し倒される
オデットは何も言わずにジッと見つめてくる
「…………」
「おい…オデット…何してんだ…蛍…助けてくれ…」
隣にいる蛍に目を向けるが、蛍もオデット同様にジッと見つめてきている
「………オデット…なんか言ったらどうだ?」
「……前に1度…貴方が私との約束を破って寝ている場面に遭遇しましたよね…」
ナタに行く前、オデットの約束をすっぽかしていたことを思い出す
だが、なぜ今その話を?
「まだ根に持ってんのか?悪かったって…今度飯行く時は俺が奢……「あの時、寝ていたと言うのは嘘なんでしょう?」………」
思わず黙ってしまう
本当のことを言い当てられたから
なら、なんで言い当てられた?
「…私達、この前死んだんだ」
隣の蛍がポツリとつぶやく
その言葉にカナメは目を剥いた
カナメが口を開く前に、オデットが畳み掛けて口を開く
「…貴方がナタに行ったあと、私は…ある事情でミティヤさんの研究所に忍び込んだ時に見たのです。彼が……貴方と同じように…死んだように横たわっているのを」
心臓が、今までで1番跳ね上がる
つまり…オデットはもう…
「嘘を…つくのはもう…やめてください…」
震えた声
オデットはいつもの無表情が崩れ、目尻には涙が浮かんでいた
カナメを押さえつけているオデットの手は更に力強く握られる
「ねぇカナメ。私もそう思う。もう、隠さなくていいんだよ」
隣の蛍もそう訴えかけてくる
(…隠し通すのももう無理だな…)
「…2人とも今まで隠しててごめん。本当のことを言うよ」
覚悟を決める
もう隠せないなら、受け入れてもらうしかない
だがその時…今1番来て欲しくない感覚が襲ってくる
「っ…オデッ…ト…」
意識が朦朧としてくる
上のオデットも意識が遠のきかけているのか、瞼が閉じかけている
ドサッと言う音と共に蛍が倒れた
「カナ…メ…」
オデットも意識が途切れたのか覆いかぶさってくる
カナメの意識もだんだん遠のいて、視界がぼやけてく
「フン…」
ぼやけた視界の中で、赤黒い何かが視界の中に写っていた