「なぜ…そうまでして抗う」
ロノヴァが静かに口を開く
彼女の顔は心底嫌そうな顔をしており、まるでもう付き合いきれないと言わんばかりの顔をしている
「蛍、道化様から言い渡された任務はここにロノヴァを引き止めることだよな?」
「うん。なるべく長く」
「なら殴って煽った方が早くないか?あいつがまた死の権能を使っても俺なら耐えれる。お前らが帰ってくるまで時間は稼げる」
「ダメ。それでロノヴァにカナメが連れ去られたらそれこそ私たちの負け。何も解決してない。ここは私に任せて」
「話を聞いているのか?」
ロノヴァの方を見ながら小さな声で話すカナメと蛍
それに対し、ロノヴァは少し拗ねたかのような声で咎めてくる
「私を殺しておいて、話し相手になって欲しいっていうの?」
「……いけ好かない奴だ。天理もなぜ、降臨者を重視するのか分からない」
いつもは聞かないような刺々しい蛍の言葉に少しロノヴァは鼻を白ませる
そのまま蛍とロノヴァは舌戦を始める
蛍が煽る度に効いていないフリをしたロノヴァが言い返すが、段々と蛍の方がノリに乗ってきた
「貴女は…パイモンのことを道具だって言ったけど…本当の道具は貴女なんじゃないかな」
「……何?」
「天理は貴女を、私たちを縛る道具として使ってる。パイモンは私と一緒に旅をしてきて、一緒に暮らして、ご飯を食べて、時には導いてくれたの。貴女みたいな生き方とは全然違う」
「………」
ロノヴァが黙り込む
蛍は少し冷や汗をかきながらカナメの服の裾を掴む
「ね、ねぇカナメ…やりすぎちゃったかな…」
「…今更こんなこと言ってもしょうがないが…言いすぎだ」
「君たちは…ただ一瞬死ぬだけだ良かったのに…私には、殺す以外にも君たちを苦しめる方法はたくさんある」
ロノヴァの声音が半トーン下がる
「君たちには天理を恨んでもらおう」
ロノヴァの手の中にまた死の気配が集まっていく
蛍は冷や汗を流し、ダインスレイヴは構える
「何故、死ぬことを許してくれなかったのだと」
「さて…もう少しで甦りが始まる…他の奴らにも同じような感覚を味わってもらおう」
そう言ってロノヴァは笑みを浮かべる
それから1秒…2秒…3秒…時間が過ぎていく
「……どういうことだ…レインドット?」
ロノヴァはワープゲートを開き、どこかへと移動しようとする
だが、足首に鎖が巻き付き、止められる
「どこに行くんだ。まだ終わっていないぞ!」
ダインスレイブが蹴りかかる
ロノヴァはそれを手で防ぎ、後ろから襲い掛かる蛍を避ける
避けた先に、カナメが剣を振り翳す
「君も…お仕置きが必要だ…」
カナメの腹にビームが放たれる
カナメはビームに押し出され、遠くへと吹き飛んでいく
「はぁッ!」
その隙に蛍とダインスレイブが攻めるが、受け止められてしまう
「全く…君たちも煩わしい…」
そのまま吹き飛ばされる
それを見届けたロノヴァはワープゲートに入ろうとしたその時、上から落ちてくる何かを見た
「ッ…」
上から落ちてきたのは釘のようなナニか
それは強大な威力を持ってロノヴァに直撃した
「ピエロ!」
蛍の後ろから歩いてきたのは道化
彼の手には禍々しく光る邪眼が握られていた
「間に合ったか。愚者の目…実戦での試験は終わっていないが…少なくとも完成させることは出来た」
「これほどの力を操るとはな…」
ロノヴァは受け止めた自身の腕を見る
まだ雷元素が残留しており、かなり強力な事が分かる
「だが、凡人の身体や精神では耐え切れない」
「たとえ…私の不死の呪いを持ってしてもだ」
「そんなもの…
道化は一歩前に歩み出し、雷元素を再度解放する
手の中の愚者の目を握り、ロノヴァに視線を向ける
「いかなる代償もいかなる苦痛も…こうして神と向き合う資格を得るためならば」
雷元素が解き放たれ、再度空から釘が落ちる
「厭いはしない!」
釘が落ち、とてつもない衝撃波が押し寄せる
それに続き、蛍やダインスレイブが駆け出す
剣で斬りかかり、拳で殴り掛かる
だが、釘を防いだロノヴァは何ともないようにそれらを防いでいく
背後から再度襲い掛かるダインスレイブに、ロノヴァは巨大な鴉を作って攻撃する
鴉に轢かれ、そのまま遠くまで運ばれる
鴉と入れ替わりに雷が地面と平行に何本か飛来する
ロノヴァはそちらを見ると、更に数本の雷が飛んできていた
「随分遠くまで吹き飛ばしてくれたな!」
ビームで吹き飛ばされたカナメが雷元素を纏い、雷を槍のようにしてロノヴァに向けて投擲する
それに合わせて道化が更に釘を落とす
だが、ロノヴァはそれら全てを死の権能で消し飛ばす
「ッ!来るぞ!」
ロノヴァは死の権能を発動する
一瞬、蛍、道化、ダインスレイブから生気が抜ける
だが、カナメは生きている
すぐに着地してロノヴァに攻撃を仕掛ける
「しつこいな…」
ロノヴァはカナメの首を掴もうとしたその時、手に向けて攻撃が放たれた
既に適応して空中にいる数秒で戻ってきた蛍の攻撃が、ロノヴァに向けて放たれていた
ロノヴァは避けるが、後ろのワープゲートは切られ、消えてしまう
「君ッ!?ッ!?う…」
驚いたのもつかの間、突如ロノヴァが苦しみ始める
空から虹の光がロノヴァに降り注ぎ、まるで何かを吸うようにロノヴァから何かを抜き取り、そして消えていった
今この時点で、ロノヴァから死の権能が奪い取られた