今回から筆者がストーリーを進め、咀嚼するまでの間で書いていきます
前話で書いた通り今までカナメが会ってきた人を過去編・現在編の2話完結ストーリーで書いていくつもりです
よろしくお願いします
「ん…うん…あともう5分…」
「もう出ないとダメだから起きろ!もう朝食も出来てる!」
「なら起きる…」
スネージナヤから少し離れた宿、カナメが借りている一室のベッドを占領していた図々しい旅の同行者はムクリとベッドから起き上がる
前まで整えられていた白髪も今は寝相でボサボサだ
「ロノヴァ、早く食べないと冷めるぞ」
「…今行くから急かさないで…」
寝ぼけ眼を擦りながらベッドを降りて食卓へと向かうロノヴァ
食卓に並べられているのはトーストにベーコン、グリーンサラダにコーンスープ…普通の朝食だ
ロノヴァはカナメと向かい合うように座る
「じゃあ、いただきます」
「…いただきます」
カナメに合わせてロノヴァもいただきますをしてから食べ始める
トーストは程よく焼かれ、ベーコンもカリカリだ
ロノヴァは黙々と口に朝食を運んでいく
「美味いか?」
突然カナメが話しかけてくる
驚いて少し黙り込んだ後、ロノヴァはポツリと答える
「…美味しい」
「なら良かった」
ロノヴァは不思議な感覚になる
今までこのように誰かと食事を共にするなんてしたことがなかった
「ん?どうしたそんなに見て。ベーコン欲しいのか?ほら、どんどん食べな」
「いや…そういうんじゃ…」
カナメはベーコンを1つ、ロノヴァの皿の上に置く
ロノヴァは少し迷ったあと、そのベーコンを食べる
やはり美味しい
(まさか…こんな風に食事を共にすることになるとはな…)
それどころか今はひとつ屋根の下で生活を共に送っている訳だが…
なぜ、ロノヴァがカナメと一緒にいるのか、それは2日前…ロノヴァ戦後に遡る
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釘に地源の胚を与え、破壊した後、ロノヴァは目を閉じ、その身を包む暖かい感覚に全身を委ねていた
(死とは…このような暖かい感覚だったのか…)
まるで眠る時のような
体が沈みこみ、暖かい何かに包まれる感覚
ロノヴァはそのまま意識を手放す
次に目覚めることは無いだろうと思いながら
だが、予想と反し、ロノヴァの意識は8時間後、覚醒し始める
体が急浮上し、意識が組み上げられる
(…私にも…死後の世界があるのか)
恐る恐る目を開ける
まず目に入ってきたのは天井
特に変わったところもない、無機質な天井だ
ロノヴァは起き上がる
周りには机、椅子、机の上に置かれた食べ物
ロノヴァは自分のいる場所を見る
柔らかい下の部分に、自身に掛けられた軽い布…ベッドだ
「?????????」
ロノヴァの脳内が、「?」で埋め尽くされる
何故、自分はベッドに入っている?
先程までの暖かい感覚は…ベッドに潜っている感覚だったのか?
「おう、起きたか」
ガチャリとドアが開かれ、誰かが入ってくる
ロノヴァはビクリと身体を震わせ、身構える
だが、入ってきたのはカナメだった
「なんでそんなに猫みたいになってんだ」
「…君が…私をここに連れてきたのか?」
「いや…連れてきたというより…なんかいたんだよ」
カナメが言うには表彰式の後、自身の寮に戻ったらロノヴァが布団ですやすや寝ていたという
そのまま布団を被せ、カナメはオデットの部屋で寝たらしい
「…何故自分の部屋なのに他人を寝かせ、自分は他の女の部屋で寝るんだ?」
「いやそりゃさっきまで戦ってた相手より長年の相棒の方が安心して寝られる」
ロノヴァはその言葉に口を紡ぐ
たしかにそれは事実だ
「まぁ、とにかく。起きたばっかで腹減ってるだろ?」
カナメに食卓まで案内される
そこには1人分の朝食が置かれていた
「ささ、召し上がれ」
席に座らされ、フォークとナイフを持たされる
そのままカナメは遠くから見守っている
ロノヴァは様子を伺いながら目玉焼きを切って、食べる
そして、目を見開く
そのままむしゃむしゃと朝食を食べていく
「ハハッ。そんなに美味いか」
あっという間にロノヴァは朝食を食べ終えてしまう
「…ご馳走様でした」
「お粗末さん」
ロノヴァが食べ終わった食器をカナメは片付け始める
それを見つめていたロノヴァは、話しかける
「何故、私に朝食を振る舞うんだ?」
「ん?」
「君からしたら私は理不尽に命を奪ってきた…憎むべき相手とさえ言えるだろう」
カナメのためとはいえ、彼の命を数分の間奪ってきた事実は変わらない
それが、今の行動の原因とは思えず、困惑する
「何故、痛めつけるどころかもてなすようなことまで…」
「……」
カナメは少し考え込んだ後に話し始める
「あんた、あんまり楽しいって思ったことないだろ」
「………」
「やっぱり。あんたがどう生きてきたとかは知らないけどさ、あんなに死に近い場所にいたら、楽しいなんて分かるわけないよな」
実際、ロノヴァは天理の枷によって束縛され、死を司ることしか許されなかった
死という圧倒的な権能を持っていても、それは自由をもたらすものではなかった
「だから、今回も敵対しちまったんだ。人間は、結構めんどくさい生き物なんだ。ただ目的のために死ぬほど頑張れるやつもいれば、楽しみを守るために命をかけるやつだっている」
「…だがそれは私には一生理解できないものだ」
「なら、これから理解すればいい」
「は?」
突拍子もないカナメの言葉に呆気に取られるロノヴァ
「さっき、女皇陛下から七国を巡って七神を集めてきて欲しいって言われな。ちょうど良いから一緒に行こうぜ」
「……………」
ロノヴァは考え込む
ここに居座ってもカナメほど話が分かる人間もいないだろう
それに…束縛の無い今なら…
「分かった。仕方ない、同行しよう」
その言葉にカナメは頷き、荷物の準備を始める
そして、その日からカナメとロノヴァは旅立った
はい。ストーリー配信を見ながら思いました
「これ…ゆっくり旅してる暇なくね?」
てことで、1,2日くらいの特急旅、始まります