それからは、ただひたすらに戦った
雷を撒き散らし、アビスの魔物を駆逐する
ひとまずの戦いの終わりは空に浮いていたアビスの太陽のようなものを炎神が破壊したことだった
「お~い!こっちに物資運んで貰えるか!?」
「分かりました!」
戦いの後に待っていたのは後片付けだ
壊された家屋を戻し、怪我人を医務室まで運んでいく
特にカナメは雷の速度を用いて闘技場から離れた村などに物資を届けていた
最後に訪れたのはナタの入り口に近い「こだまの子」に来ていた
物資を配り終え、シロネンの工房を訪れる
何故、シロネンの工房を訪れたのか
『あのさ…その…後で時間ある?もし…あったらで良いんだけどさ…』
目的を言わずに去ってしまったシロネン
何となく気になったカナメは旅人から逃げるためにもシロネンの工房に来ていた
「シロネン?いるか?」
扉をノックして声をかける
中からどかどか音がしてからドアが勢いよく開けられる
「ご、ごめん…ちょっと片づけてて…」
「ああ。なんか怪我とかはしてないか?」
「これくらいじゃ怪我もしないよ。でも…さんきゅ…」
髪を弄りながら答えるシロネン
今日はいつもより着飾っているようだ
「今日はこの後なんか集まりでもあるのか?」
「なんもないよ。今日はやること終わったしね」
「そうか。随分綺麗だから祝勝会でもあるのかと思ったんだが」
「ッ!?」
一気にシロネンの頬が赤くなる
シロネンのふさふさの尻尾がピンと上に上げられている
「……そ…ありがとう…」
「何か手伝って欲しいのか?片付けか?」
「いやいや!もう片付け終わったから!違う違うそうじゃなくてさ…その…戦ってるときパンチとかしかしてなかったじゃん」
どうやら戦いの際にカナメが徒手空拳で戦っていることが気になっているようだ
(実際…剣はあるんだけど殴る方が早いんだよな…)
「ほら!ウチ、鍛冶師じゃん…だから…そのぉ…」
「武器作ってくれんのか?」
「そうそう!ほら、なんでもいいなよ!ウチ、ここ1番の鍛冶師だし任せなよ!」
(と言ってもな…戦い方的にも速度に耐えれる武器無いよな…)
流石に好意で作って貰えるなら作ってもらいたい
少し悩んだ後、スネージナヤで少し頭を悩まされていたことを思い出した
「そうだ。銃を作ってくれないか?」
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「変な夢?」
「うん。夜神の国で半透明の大勢の人を見たんだ…その奥に隊長と初めて見る人が話してて…」
朝、旅人が変な夢を見たテントに言いに来た
「まぁ、お前もあんなことは初めてだろうし悪夢に魘されたんじゃないか?」
「そうなのかな…」
「はぁ…なんか調子狂うな…ほら、炎神のとこ行くんだろ?」
旅人は炎神に用があるらしくパイモンは外で待っている
「うん。そうだよ」
「なら早く行けよ」
「え?一緒に行かないの?」
まるで当然と言わんばかりの顔でカナメの手を取る旅人
その手からスルリと抜けだすとそのまま旅人の背を押して外に出す
「今日は隊長から呼び出されてんだ。悪いが一緒には行けねぇよ」
「………そういえば…シロネンの家行ったらしいじゃん…」
急にガッと距離を詰めてくる旅人
(クソッ…不安で昔みたいに大人しかったのに!)
「おうちで何してたの?ねぇ?何してたのかって聞いてるんだけど」
どんどん強くなる力
一応男女の筋力量の違いはあるはずなのに力で敵う気がしない
「武器!武器作ってくれるって言ってたからちょっと話してただけだって!」
「ホント?カチーナが言ってたよ。シロネンが珍しくおめかししてたって…それに…帰ったのは真夜中だったよね?」
(え…もしかして外で見てた?)
まるで直で見ていたような話をする旅人
やっぱ怖い
「旅人~?もう時間だぞ~?」
「は~い。……またね」
何とかパイモンが旅人を呼び出してくれたおかげで難を逃れた
服を整えて気を取り直して隊長のテントに向かう
「来たか」
テントの中では隊長だけがいた
「あれ、他の人たちは?」
「今は席を外してもらっている。今日、お前にここに来てもらったのはこれを渡そうと思ってな」
隊長から手渡されたのは隊長がいつも使っていた篭手
「……昔欲しいって言ったけど急にどうしたんだよ」
「本当はダニカやヴェスナにも…いや、何でもない。今回、俺がナタのために戦ったのは完全な私情だ。それにも関わらず付き合ってくれたお前に礼をしたくてな」
早速篭手を付ける
今の服装は白を基調としてるから少し浮いてしまっているが、今度から制服を仕立て直してもいいかもしれない
「3日後、旅人と炎神は最後の戦いに挑むらしい」
「その様子じゃ、俺らは参加できない類か」
「ああ。だが、やることはまだある」
この時、気づくべきだった
いつもの厳格な雰囲気とは違う、隊長に
そうしたら…師であり、父である彼を…