「オシカ・ナタに?もうアビスとの戦争は終わったのに」
「ああ。戦争というものは戦いだけで終わらない。その地に残した傷は癒さなければ長い時間その地の人々に影響を与えるものだ」
旅人がグイ…グイー何とかと戦った後、隊長に連れられてオシカ・ナタへと向かっていた
「ッ!?」
ある程度進んだ時、いつも感じた死の感覚を感じた
「隊長…ほんとにこの先行くんですか?」
「ああ…行かなければならない」
進む隊長の後を意を決して着いていく
さらに進んだ先に、炎神、、シトラリ、旅人、パイモン…そして見覚えのある色の目が浮いていた
「これから、マーヴィカの命は夜神に捧げられ、彼女は死を迎える。その過程をわたしがしかと見届けよう」
「それをもって、数千年前に結んだシュバランケとの取引は終了する」
「さぁ、始めなさい、夜神」
その言葉の後、まるで受け入れるように炎神が手を広げる
旅人やシトラリは息をのむ
だが、夜神は何もしない
「何を迷ってるの」
「この儀式への参加を望んでた人がもう1人いるの。だから、その人の意見を無視するわけにはいかない」
「もう1人…?」
その時、隣の隊長が歩み始めた
止まることなく歩み、ついには炎神達の近くで止まる
「隊長!?」
「もう1人とは彼のことだったのか?」
「ええ、貴方と同じように、彼も崇高な理想を抱いている」
目の前で起きようとしていることを理解し、手がしびれる感覚がした
つまり…隊長は…
「俺はずっとこの日を待ち望んできた。今ならより良い方法がある」
隊長が炎神の代わりになること、隊長は500年間同胞の魂を心臓に宿し続けたこと
知らなかった
今まで剣や体術を教えてくれた時も、遠征で夜の見張りをしてくれていた時も、ずっと苦しんでたなんて
「……」
「すまないな。もっと前に言えれば良かったのだが…」
隊長はポンポンとカナメの頭を撫でる
どうか、どうかこのまま一緒にスネージナヤに帰ってくれ
そう言いたかった
(でも…)
死に敏感になったのか、死を経験しすぎたのか…
今、カナメは隊長の胸から聞こえる様々な魂の声を聞いた
それを…隊長を悲しいからなんて理由で引き止めるなんて出来ない
隊長の手が、カナメの頭から離される
カナメは頭をあげることができなかった
「お前の呪いは、俺が人と神の立場を逆転させるための切り札となった」
「これは宣戦布告だ」
隊長の声が、ロノヴァに向けられる
そらに開いているロノヴァの目は、ただそれを見つめる
「お前は、どちらかを諦めるほかない____さぁ、選べ」
「……不死の呪いは解いてはならないもの」
ロノヴァが先に声を発する
その声は少し諦観を含んでいるようにも感じた
「それで最後の願いを叶えなさい」
ひやりと、冷たい空気が肌に触れた
カナメは頭をあげる
隊長が、進んでいく
「………今までありがとう…」
届いていないであろう小さな声
だが、隊長は一度止まり、カナメを一瞥した後、鎮座し、膨大な氷元素が放たれた
「ッ………はぁ…」
大声を上げて泣きそうになり、涙を止めるために上を向いた
先程までいたはずのロノヴァの目は、もうなくなり、オシカ・ナタの空は元に戻っていた
ナタ編完結です
隊長は色々考えたんですが、やっぱり500年戦ってきた戦士には休息も必要ですよね