個性:病原体 作:HERO
子供たちの笑い声。先生の嗜める声。
3歳から4歳の子供たちが集まる幼稚園の部屋の端っこに、黒髪黒目の少年がいた。
彼の名前は
そんな病がいつものようにのんびりとしていると、目の前に現れた謎の画面のせいでのんびりできなくなってしまった。
(え、なにこれ)
一言で例えるならば"未来的"だろうか。
宙にホログラフのように浮かぶ半透明な画面は、SF作品で見たような見た目をしている。
そんな画面に映るのは、これまた謎の項目。
左半分には大きな丸い何か。まるで顕微鏡で見た細菌のようなものが映し出され、右半分にはスキルツリーのようなものが表示されている。
(もしかして、これが俺の個性?)
"個性"。世界総人口の8割が持つとされる超常的な力。一般的には4歳までに発現するとされているため、3歳の今に突然現れたのならば、これが個性の可能性が高い。
そうして考え込んでいると、背中に一人の重みが乗っかってきた。
「ねぇ、なにしてるの?」
プラグのようなもので頬をツンツンと突きながら、元気そうに耳元で囁かれた。
振り向いてみれば、三白眼にボブカット、耳たぶにプラグの付いている可愛らしい少女が見えた。
個性が発現した事は、言わなくてもいいだろう。
まずはコレで何ができるのかを把握してから。そこから個性が発現したことを周りに伝えればいい。
なので今は彼女──耳郎響香の興味を別のものにすり替えなければ。
「それよりさ、歌でも歌わない?」
「えっ、歌う!」
「よし、先生に音楽をお願いしに行こうか」
彼女の趣味は音楽。どうやら親が音楽家らしく、それゆえの趣味だそうだ。
見た目的にもロックをしてそうだし、個性的にもピッタリな趣味だと言えるだろう。
そうして耳郎の興味を別のにすり替えつつ、病は自身に芽生えた個性について考え始める。
(これは……前世のゲームみたいだな)
画面の下には地球のマークがあり、そこを脳内カーソルで押してみれば画面が切り替わった。
映し出されたのは世界地図。その画面は前世にあったゲーム"Plague Inc”を彷彿とさせる。
(ウイルスや細菌、寄生虫を世界中に感染させていくゲームと同じ、か。……つまり最初の画面にいた丸いのは細菌かウイルスってことか?)
先生、耳郎、他の児童が歌う横で適当に歌いながら、徐々に自身の個性について理解していく。
世界地図から最初の画面へと戻し、右半分のスキルツリーを見てみれば多種多様な効果を付与できそうだった。
(致死率や感染率はないのか。ゲームならあったけれど、あくまで別ってことね)
ゲーム"Plague Inc”ならば危険度、感染力、致死率、という項目が存在した。
危険度が上がれば人類に見つかりやすくなり、感染力は感染しやすく。致死率は文字通り、感染させた対象の死ぬ確率。
基本的には危険度と致死率は上げず、感染力をひたすら上げて全人類に感染させるのが攻略の仕方だった。
ただこの"個性"にそのような項目は無いようだ。
(代わりに……身体能力ってなんだこれ。もしかして感染するだけで身体能力が上がるのか?)
その他にも"脚力"やら"頑強"やら、スキルツリーにはまさしく多種多様な能力があるように見える。
そうして見ていく中で興味深い物を見つけてしまった。
(……精力増強? なんだこれ、エロゲーか?)
よくよく見てみれば、エロゲーのような能力がたくさんあった。
"精力増強"から始まり"思考誘導"、"感度上昇"、"発情操作"。
身体能力やらがあった場所には"成長促進"という項目があり、そこには"身長"、"筋肉密度"、"髪"。"性器"という項目には"太さ"やら"硬さ"やら"長さ"やら。もう"そういうことをしてくださいね"と言わんばかりの項目がたくさん見つかった。
(成長促進ってことは、成長しきっちゃったらダメなのか)
どうやって個性を使って、どうやって感染させるのか。そもそも想像通りの個性なのかも不明。
それでも見た感じだと、この個性はまさしく万能と呼んで良さそうだ。
(ウイルス、細菌ならば個性を使っているかどうかなんてわからない。これは試しまくるしかないな)
試して試して。予想通り、想定通りの個性だったのならば。
(精力増強。感度上昇。思考誘導。病気とは思えない能力を付与できるんだし、これはもうそうしろってことだろ)
目指すは個性を使ったハーレム生活。
"個性"の私的な利用は"
そのためにまずやるべきことは。
(……どうやって使うんだ、コレ)
個性の使い方を理解する所から始めなければ。
成長を考えれば時間は有限。4歳までに使い方を理解できるように頑張ろう。