アイギス「…混沌…巨人…楽園?」
ラウンジの本棚を無作為に漁るアイギス。
難しい専門書や大量の文字の本から一冊を手に取る。
それは予言か何かが書かれているだけのボロい本。
アイギス「全くもって意味不明であります。」
巌戸台分寮 9月n日 夜
つい先週にポロニアンモールで大型シャドウを撃破した課外活動部。
その時順平は訳あって戦いに参加出来てはいないのだが、当時の事を何度も思い返している。
順平「はぁ…チドリが、なぁ〜…」
ソファにどっしり座り込み、
天井を眺めながら独り言を呟く。
大きなあくびをする。
少し眠気がしてきた。
部屋に戻るのも面倒だしちょっぴり仮眠しようと、瞼がどんどん下がってくる。
理「順平。」
背後からのリーダーの声に驚き目が覚める。
理「今日はタルタロスだから。そろそろ行くよ。」
すっかり忘れていた。
順平「やっべそうだった。」
急いで大剣、防具を担いでみんなについていく。
タルタロスまでの移動中…
アイギス「ライトナー…ダークナー…?」
あの本の内容をぶつぶつと呟いているアイギスを横目に、ゆかりは順平と話していた。
ゆかり「どうしちゃったのよアイギス。」
順平「まーたなんかに影響されちゃってんだろ?」
眠そうに頭を書きながら答える順平。
ゆかり「でもあんたいっつもアイギスに変な事吹き込んでるよね〜?」
順平「いやいや!今回は俺ッチ関係ないって!」
ゆかり「はぁ、だと良いけど…」
呆れたようにため息をつくゆかり。
午前0時0分。
影時間。
普通の人間には感じる事のない時間。
影時間になると、彼らの通う月光館学校は壮大な迷宮へと姿を変える。
タルタロス。
この迷宮の謎を解き明かすべく、この課外活動部達は突き進んでゆく。
タルタロスの入り口で準備を整え、4人の前線メンバーにより探索が進められる。
理「敵の掃除は真田先輩。回復にゆかり、強敵相手に順平。コレで行こう。」
ゆかり「了解!」
矢と弓の確認を済ませると伸びをして、リーダーの後ろに続く。
真田「今のところ何階まで進んでるんだ。」
グローブを握り直して立ち上がる。
風花「最高は117階ですね。今日はどこから開始するんですか?」
理「今日はその辺りから始めようかな。」
大剣を担ぎながらリーダーの後ろについてゆく。
順平「よし!ガンガン進もうぜ。」
転送装置で階数を設定し、一瞬でテレポートする。
風花「探索開始です。」
ナビの声がタルタロス内で響く。
どこからか照らされる光で不気味に明るく、ところどころシャドウが見える。
ゆかり「ねぇ、宝箱あるよ。」
順平「階段発見〜!」
真田「シャドウだ。警戒しろ。」
着々とタルタロスを駆け上がってゆく課外活動部。
シャドウを倒しつつ、宝箱を開け、門番を撃破し、階段を登る。
いつもと変わらない非日常。
そこに差し込まれる一太刀の斬撃は、
きっと、この迷宮に新たな世界を生み出す。
風花「この反応…死神です!どうします?」
タルタロスに現れる黒い影。どうやらすぐ近くまで来ているようだ。
理「う〜ん…戦っても良いんだけど…ゆかりはどう思う?」
ゆかり「できれば戦いたくは無いんだけど…」
そう悩んでいる内に死神が鎖の音立てて近付いてくる。
順平「おいマジでもうこっちくるぞ!?」
真田「チッ!相手をするしかないようだな…!」
ゆかりは弓を引き、順平は大剣を握り直し、真田先輩は構えを取る。
死神が自分達の目前まで迫ってくる…と死神は唐突に動きを止めた。
ゆかり「……?攻撃して…こない?」
そのほんの一瞬後、ナビの切羽詰まった声が響く。
風花「な…何?この反応…!?」
理「どうかした?」
ナビの声が震えている。
風花「死神の後ろから、異常な戦力を感じる…?」
真田「新手のシャドウか?」
風花「違います…この反応、シャドウじゃない…!?」
全員が顔を見合わせる。
順平「もしかしてストレガのヤローじゃ!」
風花「人間もペルソナ使いも反応も特には…とにかく早く逃げて!」
ナビの焦る声が聞こえたと同時に、倒れ込み消滅する死神の後ろから真っ黒な影が現れる。
鋭い悪寒が走る。
並大抵のシャドウなんかとは違う。
殺気とも感じられる恐ろしい気迫。
理「みんな早く!」
順平「お、おう?」
先程理が発見した帰還装置に一目散に走り抜ける4人。
だが黒い影は圧倒的なスピードでこちらを狙っている。
ザシュッ!
順平「あぶねっ!」
飛ばしてくる斬撃をスレスレで避ける順平。
ゆかり「早くこっち!戻るよ!」
黒い影は剣を構え、こちらに振りかぶってくる。
シュン!
間一髪で転送装置を起動させ、黒い影から逃げる事に成功した4人。
何とか一階に戻ってきた理たち。
風花「ケガはありませんか!?」
理「何とか…ね。」
他の仲間達も駆け寄ってくる。
美鶴「一体何があったんだ…?」
ゆかり「分かりません。ほんと急に出てきて…何なのアイツ…」
荒垣「シャドウじゃねぇとなると、ペルソナ使い…つう訳じゃあなさそうだな。」
真田「ペルソナ使いじゃない人間がタルタロスにいるというのか…?」
全員が頭を抱える。
天田「シャドウでもペルソナ使いでも…人間でもないのかも?」
シャドウでもペルソナ使いでもない。
人間かどうかも疑わしい。
一体何者であるのか。
みんながそう悩んでいる内に、アイギスが口を開く。
アイギス「光と…闇…」
美鶴「アイギス…?どうかしたのか?」
アイギス「ライトナーとダークナー…そのどちらか…?」
理「…!」
ゆかり「い、いや、何言ってんのアイギス。」
アイギスは続けて口を開く。
アイギス「シャドウでもペルソナ使いでも、人間でもないなら。光か闇のどちらかしかないであります。」
真田「何を変な事を。光か闇っていうのは一体…」
理「それってもしかして…」
静まった空気の中、一つの異変が訪れる。
コロマル「ウゥゥゥ…!」
天田「どうしたコロマル?」
コロマル「ガウッ!アウッ!」
アイギス「上…から、来る?」
順平「おいおい!?上だ上!!」
何の前触れもなく、上空から巨大な剣が5本ほど降ってくる。
いち早く察知した荒垣はこめかみに銃を突きつける。
荒垣「…!カストール!」
真田「ポリデュークス!」
跳ね返した剣は辺りの壁に突き刺さり、相当な威力だった事を想起させる。
しかしまだ終わりではない。
上空には鎧のような胴体に、漆黒の剣を持つ黒い影…
その見た目は"騎士"と呼ぶのに相応しい。
ゆかり「ウソ…まさか一階まで追いかけてくるなんて…」
その騎士は周囲から何か気のようなものを溜め、
それを一度に解放し、タルタロスを揺るがすかのような大きな咆哮をあげる。
まさに、咆哮の騎士とも呼べる。
美鶴「山岸!奴の解析を進めてくれ!」
風花「で、でも何も情報がありません…本当にただ恐ろしい戦力を持つという事以外!」
♪Black Knife
考える間も無く、咆哮の騎士はとんでもないスピードでこちらに近づく。
最初に狙われたのは…
天田「っ…!こっちに!?」
順平「天田危ねえ!」
天田の前に飛び出した順平は大剣を騎士の剣に叩きつける。
が、あっさり返され、指先から大量の星形弾を解き放つ。
順平「うぐっ…!?重っ…!」
天田は自分の眉間に銃を突きつけ、自分のペルソナを召喚する。
天田「ネメシス!」
ペルソナの放った祝福属性の魔法により攻撃は消え去った。
美鶴「来い!ペンテシレア!」
美鶴は氷結魔法を飛ばし、相手の動きを止めようとするがなかなか当たらない。
ゆかり「なら!」ヒュッ!
騎士に狙いを定めて、何発か矢を打ち込む。
一部の矢は当たり、一瞬騎士を怯ませた所をすかさず美鶴は氷の柱で挟み撃ちにし、氷結魔法でようやくダメージを通した。
真田「今だ!畳み掛けるぞ!」
順平「了解ッ!」
このタイミングを逃すまいと仲間達は召喚機を取り出し、頭を打ち抜くことでペルソナの技を放つ。
アイギス「パラディオン、行くであります!」
コロマル「ウゥゥ…ワンワンッ!」
怯んだ騎士に魔法や斬撃を飛ばし、かなりダメージを与えたように見える。
が、ただ1人この騎士に何か引っかかる者がいた。
ゆかり「ちょっ…リーダー?攻撃しないと!」
理「…まさか、こんな所にまで騎士が来るとは思わなかった。」
ゆかり「え…?」
その瞬間!騎士は突如として理の方へ異常な速さで突撃してくる。
理「っ!」
全員はその一瞬の動きに対応が遅れ、リーダーが騎士に連れて行かれてしまう。
風花「リーダー!?」
順平「ちょっ…マジかよ!?」
騎士はタルタロスから抜け出すと、理をガラスのような球体に閉じ込め、漆黒の剣を地面に突き立て、空間に穴のようなものを開けてしまう。
理はあまり焦ってはいなかった。
空間に開いた穴から見える景色に覚えがあったからだ。
仲間達は急いで理のもとへ駆けつける…が、もう騎士は空間に開けた穴に逃げ込もうとしていた。
アイギス「リーダーが危険に晒されています…!」
アイギスの身体から青白い光が放出される。
アイギス「オルギア・発動!」
美鶴「アイギス待て!」
美鶴の静止は届かず、青白い羽を纏ったアイギスは猛スピードで騎士の方へ突っ込む。
アイギス「リーダーを離すであります!」
腕に搭載されたガトリングをフル稼働し、空中機動力を生かして騎士を翻弄するような動きをする。
蹴りとペルソナを使い、着実に攻めているアイギス。
アイギス「全弾発射です!」
騎士も負けじと弾丸を弾きつつ、アイギスに剣を振り下ろす。
ギリギリで後退し回避するものの、そのまま理は空間の穴に吸い込まれそうになっている。
アイギス「リーダー!!」
すかさず理を連れ戻そうとするアイギスだが、騎士に背中を向けた事が仇となり、剣を向けられる。
真田「アイギス!後ろだ!」
ザシュッ
鈍い音が響く時には、剣の攻撃を防ごうとしたアイギスの腕が折れていた。
明らかに大きなダメージだった。
アイギス「すみ、ません、皆…さ…」
すかさず騎士は星形弾でアイギスを押し切る。
そのままオルギアモードが停止し、理と共に空間に開いた穴に吸い込まれてしまった。
ゆかり「アイギス!?ちょっと!アイギス!!」
騎士もどうやら用は済んだように同じく空間の穴に入り消えていった。
???
暗く暗く、更に暗い。
そんな暗闇の中、右腕が外れていながらまだ活動停止はしていないアイギス。
アイギス「リーダーは…?」
暗闇を手探りで進むアイギス。
一歩ずつ前へ、前へ、
オルギアモードを使った反動か、もう既にオーバーヒートして今にも倒れそうになっている。
メインカメラは赤く光り、動きも鈍くなっている。
そんな中アイギスの頭に響く声がする。
我は影…真なる我。
貴方は自分なんかじゃない。
貴方は何故生まれたの?
自分という存在ではなく何故貴方が…
そんな頭に響く声を無視して進んでいく。
1人の男が歩いてくるのが見えた。
街中。
輝くような男がいきなりこちらへ来た。
アイギス「あ…なたは?」
「ハロー。」
大分展開が早いです。