いつかあの顔面に拳を叩き込むまで 作:上手い話なんてある訳ない
初めて転生物書きます。頭空っぽにして見た方が楽しめると思います。
更新速度はかなり遅め。所謂亀ってやつですね。
「━━━━━おぉ、人間。死んでしまうとは情けない」
目の前にいる白髪白髭の爺さんは、これ以上ないと言った様子の同情の視線を俺に向けてきた。
「……は?」
「たかがトラックとの正面衝突で死んでしまうとは、情けないのぉ人間というものは」
「ふっざけんなジジィ。数万トンの質量が凡そ時速60キロでぶつかって来るんだぞ。地球上に存在する生き物で、そんな質量との衝突で原型保ってられる生き物なんてそうそういないわ」
「……あぁ、貴様ら作ったのワシらだからな。設計ミスったメンゴメンゴ」
「……な、何言ってんだこのジジィは?」
まるで自分が所謂創造神みたいな言い方をするジジィ。なんだよミスったって。確かに人間は欠点のある構造してるとかって言われるけどさ。
「まあ死んだのはワシのミスじゃ。すまんかったの」
「てめぇのせいかよクソジジィ!!情けないとか言っときながら、その情けない元凶作ったの殆どオメェのミスじゃねぇかよ!!」
「落ち着けよドパガキ。そんなカリカリしてちゃカルシウム足りなくなって成長しないぞ。あ、お前さんもう死んじゃってるんだった」
「ドバガキ言うなドーパミンなんて求めてねぇわ。一々俺が死んだことネタにしねぇと会話出来ないのかこのジジィはよぉ……」
このワシなにかしちゃいました?みたいな顔マジうぜぇな。殴りてぇ。
「んん。まあわしのミスは置いといて、お前さんの死は正直予定外じゃった。それに関しては本当にこちらのミス。おおっ、そうじゃそうじゃ言い忘れとった。わしは万物の祖、お前さん達の世界に神話として語られる存在、神と呼ばれる存在の大元じゃ」
「……大元?」
「さよう。神話と言うのは、言わばありえたかもしれない過去の話。ギリシャ神話や日本国誕生の話。イエス・キリストなど、神とお前さん達が呼ぶ存在は、人々がわしの姿を見て得た出涸らしのイメージなのじゃ」
「……は?え、いや意味わかんないんだけど」
詰まりと、ジジィは語る。
神とはこのジジィのみ。ジジィが神として地上に降臨すると、様々な人々がジジィの姿を見る。そうすると情報として人々が記憶するが、それが個性ある人々の感じ方見方によってごちゃ混ぜになり、結果神話という現代の話として作り上げられた。神が複数いるのはジジィを見た人々が時代や世代の違いから様々なイメージとして想像されてしまい、結果多くの神が存在するということになったとの事。
つまり人の見方とかイメージが若干違っただけで神が複数存在するということになってしまったのだとか。
「まあわしはいいんだけどね?イエス・キリストとか知らんけど。あんなのただの偶然じゃよ」
「……おい、それ言ったらブチギレる人地球上に何億人いると思ってる?発言に気を付けろよ。俺だって被害受けるんだぞ」
「ワシ神様なのでしーらない。それにお前さんはもう死んじゃったから元の世界には戻れませーん」
「は?ミスったとか言ってんだからサービスしろよ。輪廻転生とかそう言うのあるだろ」
「そりゃあるが、それは正当な生を全うした魂だけが通れる極楽浄土への道じゃ。お前さんは全うする前に死んじゃっとるから輪廻転生は出来ないんじゃよ」
「じゃあどう落とし前つけんだよ俺のこの不本意な生涯シャットアウトは!?」
「だから落ち着け。短気は嫌われるぞ」
誰のせいだと思ってんだよクソジジィ!!
こちとらこれからだって時だったのにさぁ!?やっと指輪買って結婚出来ると思ったんだぞ!?渡しに行こうと思ってた矢先にトラックに突っ込まれるとか、やっちゃいけないことだろ普通!?死は唐突とかよく言うけど、わしのミスとか言われてそりゃしゃあないみたいな感じで済ませられるかよ!?
「……まあ最後まで話を聞け。わしのミス、それは認める。だが、元の世界に変えるにはお前さんの魂は道を外れてしまった。じゃから、お前さんには別の世界に行ってもらう」
「……それって、所謂異世界転生、ってやつ?」
「お前さんらの世界は面白いことを考えるよのぉ。この神の手によれば平行世界多次元世界全てを司るこのワシの力を持ってすれば、別次元の世界に飛ばすことだって可能なのじゃよ」
「……言っとくが、俺は現代っ子で格闘技とかやったことの無い一般人だぞ?スポーツだって社会人になってもう殆どやってない運動不足社会人だ。そんな俺が転移やら転生やらでその世界に馴染めると思うのか?」
「確かに転移ではその身体では無理じゃな。真っ先に死ぬ。じゃが、転生ならば、魂はお前さんでも肉体はその世界由来のものじゃ。故に、その世界基準となって身体の使い方もその世界になっていくじゃろう。現代社会のくせが抜けないのは仕方ないかもしれんが、まあ幼少期から体を鍛えれば現代っ子も動けるような身体になるじゃろ」
「すっげぇ他人事だなおい。自分のミスだってお前分かってんの?」
「んんー?ワシのミスかのぉ?はてはて?何の話じゃぁ?」
「……もういいや。話し続けると頭痛くなる」
くっそ。なんで戻れないんだよ。せめて彼女になんか言ってから死ぬんだった。まあそんな死ぬとか分かってなかったけど。
「……さて、少し時間が押しとる。質問等色々あるじゃろうが、まずはワシの説明を最後まで聞いてからにしてくれ」
「……本当に戻れる道は無いのか?」
「ない、諦めろ。……と言いたいところじゃが。今からする説明の最後にその質問に対する答えを話す。最後まで心して聞くのじゃ」
ジジィは語る。
俺に残された道は3つ。1つ、魂をこのまま別世界に定着させ、転生する。記憶はそのまま。2つ、魂を浄化して新たな人生をやり直す。記憶は無くなるし、現代世界では無く別世界。3つ、転生せず、このまま魂が休む天国に行って、そこで悠久の時を過ごす。
正直どれもテンプレ的な話ではあるが、3は論外。魂だけなんて死んだままなんだから嫌だ。選ぶなら1か2。
「そして、ここからが重要じゃ。1つ目に言った記憶を持ったまま転生。これにはしっかりと理由がある。1つ目を選んだ場合、ワシからの生涯ミッションと言うものを授ける。そのミッションをクリアした場合、お前さんが転生した世界で天寿を全うした際、ワシからお前さんの願いを一つだけ叶えるという報酬を与える」
「……は?それは、何でもってことか?」
「そうじゃ。何でもじゃ。お前さんの言う、元の世界に戻すことも可能じゃ」
それは魅力的だが、なんか引っかかる。
「ミッションは世界別でランダム。そのミッション自体はその世界でのシステム根幹を破壊すると言っても過言では無い過酷なものじゃ。今まで誰一人としてこれをクリアしたものはいない。さぁ、話は終わりじゃ。質問はあるか?」
「……ジジィ。わしのミスとか言っておきながら、その補填は無しなのか?俺への詫びは無いのか?」
「まだそんなこと言っとるのか。詫びなど無い。死んだならそれまでじゃ。どうすることも出来ん。はいお終いじゃ」
「ふっざけんなよクソジジィ!!そんなの横暴すぎるだろ!?てめぇの都合でてめぇの敷いたレールを歩けって言いてぇのか!?」
「なぁにをカリカリしておる?現代っ子なら転生転移なんて大好物じゃろ?」
「話を逸らしてんじゃねぇよ!!勝手に殺されて勝手にこんな場所連れてかれて、挙句の果てにこれからワシの敷いたレールを進んでくれだぁ!?」
「馬鹿にするのもいい加減にしろよクソジジィが!!」
息を荒らげて、俺は思いの丈を叫んだ。しかし、ジジィは何食わぬ顔で分かったと呟くと同時に、俺の周りが急に光に包まれた。
「は!?何すんだよコラァ!?」
「もう面倒臭いから、1つ目の道に進ませるぞ。大丈夫じゃ、生涯ミッションをクリアしたらしっかり報酬を与える。それと、まあテンプレじゃがお役立ちスキルを3つ程与えてやるぞ。ほな、頑張れ━━━━━」
「━━━━━ジジィがテンプレとか言ってんじゃ━━━━━」
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そんなこんなで、俺は見知らぬ世界に転生した。赤ん坊の時は色々と大変だったが、今は既に5歳。本格的にこの世界について考えてみようと思う。
まず、この世界は現代的に言うと中世っぽいファンタジー世界。魔法あり、魔族あり、亜人あり、現在紛争中と言ったかなり血みどろなテンプレ世界。
これもなんか王道っぽい流れなのだが、この世界には神様が存在し、この世全ての生き物には神からの祝福が贈られて、スキルという見えない概念で神の御業を扱えるんだとか。
人それぞれで内容が変わり、基本スキルは一人一つ。それも戦闘向きから家事向きと言ったまるで生活に溶け込んだようなスキルが多く存在し、人々はそのスキルによって職業を選ぶ事が多い。戦闘向きのスキルなら兵士や冒険者。それ以外は戦闘から外れた現代でも見かける建築とか飲食とかそういう職業に流れる。
このスキルは産まれた時から刻まれており、自覚するのは大体10歳迄。5歳未満で自覚する子供も多いが、大体はそのスキルしだいで大事故になったりするらしい。まあ炎を操るとかそういうスキルだった場合、無意識に炎を操って家ごと巨大BBQ会場にしちまうもんな。
かく言う俺も、あの神名乗るクソジジィが言っていた様に、スキルが3つ存在するのだが。これが扱いずらいものばかり。
1つが《幸運》。まあ運に恵まれるってやつ……なのかな?よく分からん。これスキルに対して説明が無いから解釈が難しいんだよな。
一度、このスキルの発動条件を考えてみたことがある。5mぐらいに木の棒を立てて、それを石を投げて倒す。まずは何も考えずにコントロールだけで10球投げる。確率は6割。まだ子供の肩だからそんなに威力はないし、倒すと言うよりも当たったという判定で6割だ。
次に、幸運と願いながら10球投げる。スキルの発動するにはどうすればいいのか分からないので、とりあえず発動するぞって内心唱えていたら、8割当たった。その内、完全に倒せたのはその更に半分、4割程度。
暫くスキルを使って投げてみてわかったことは、このスキルはまずこの歳でしっかり5mの距離を投げれたという《幸運》と、その内半分は倒せたという結果の《幸運》が出来た。
スキルを発動せずに投げたら当たるだけだった。方法はどうであれ、バウンドして当たったりノーバンで当たったりと様々だったが、スキルを使えばノーバンで命中し、倒すこともできたという2つの《幸運》が結果として見えた。
言葉で表すなら、『5歳なのにこの距離からあの棒に当てられたんだ凄いねー』と、『倒しちゃったんだ凄いねー』という当てることと倒す事の難しさという難易度に対する確率の向上。年齢的にありえないだろ、みたいな普通無理じゃね?と言われるような事でも、0%ではない以上倒せる確率があるのならばその確率をスキルだけで50%にも70%にも命中率を上げて覆して見せたのだ。
まあ便利ではあるが、中々分かりずらいな。認識としては、不可能そうなこととか成功率が低そうな事に対する確率をかさ増しして強制的に上げてくれるという風に考えればいいか。
いやパチンカス。ギャンブルじゃねぇか。
2つ目が《威圧》。まじクソ。ほんとクソ。
俺の目付きが悪いからか?いじめなのかあのジジイは。
まあ言わずもがな、《威圧》は睨みつけて相手を怯ませるスキル。ポケ〇ンの威嚇かな?それだな。よくある異世界転生ものならば、レベルとかそういうものがあるが、この世界はそんな便利な数値は存在しない。故に、この《威圧》も何処まで通用するのか分からない。
近所のクソガキ共にはしっかりひと睨みで気絶に追い込んだので、まあ自分と同じぐらいの強さまでなら無条件で効くのかなって。まだ5歳児なので、魔獣とかと出くわす事がないから、検証のしようがない。クソ。説明書用意しとけ。
そして最後。《身体強化》。まあ王道っぽい。
先にも言ったが、この世界には魔法という概念がある。本で読んだ知識なので詳しくは無いが、魔法を使うものは、魔物が流す血を媒介に魔法を発動する。
魔物とは、魔族が死んだ際に全く別の存在として生まれ変わる事。死体が動き、新たな命として誕生する、らしい。その魔物の血を使って、魔法を使う者たち、魔法使いは魔法を使用しているのだが。
魔法にも様々な種類があって、《身体強化》と言うのも魔法で使用することが出来る。だが、このスキルは魔法の《身体強化》とは別物だ。
一番の違いはまあ効果時間と言った所か。うちの近所に魔法使いがいるので、その人に頼んで身体強化を使ってもらった。曰く、身体にかける魔法は触媒の量や術者の技量によって時間がまちまち何だとか。
対して、《身体強化》のスキルは、自分が念じているだけ永続的に効果が発動。ただし、解除後の身体と頭の誤差関係がかなり厄介だ。散々早かったのに急に脳の反応速度に身体がついてかなくなるので長時間の使用は厳禁。
まあそんなこんなで、これのスキルはかなり厄介だ。いやスキルというもの自体が厄介か。
スキルの発動に代償は必要ない。強いて言うなら集中力が試されるぐらいか。大いなる力には大いなる責任が伴う、なんてどっかのヒーローが言っていたが、このスキルだってその大いなる力そのものだ。ぶっちゃけそんな訳分からん物を使い続けたくはない。
クソジジィの言っていた生涯ミッションとか言うわけのわからんRPGみたいな設定もまだ分からないままだし、一先ずは剣を振って少しでも強くなろう。魔王を倒せとかミッションで出てきたらたまったもんじゃない。
俺は独学で剣を振るい、来るべき時に備えるのであった。
━━━━━やっべ。ギャンブルちょー楽しい!!
ちなみに、スキルについてはそれぞれ授かった人達は、皆独自解釈であり何が正しい使い方とかは特にありません。十人十色、宝の持ち腐れとか言われても仕方ない人もいる訳です。